コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- Heart Break No Wing 第2章突入!!
- 日時: 2011/03/17 09:24
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
〜各話リスト〜
一章『気になるあの子』
1話「それぞれの想い」
pt1>>1、pt2>>4、pt3>>5、pt4>>6、pt5>>7、pt6>>8、pt7>>9、pt8>>10、pt9>>11
2話「新人戦!!」
pt1>>12、pt2>>13、pt3>>14
3話「初めての女子校」
pt1>>15、pt2>>16、pt3>>17、pt4>>18、pt5>>19、pt6>>20
4話「全県新人!!」
pt1>>21、pt2>>22、pt3>>23、pt4>>24、pt5>>25、pt6>>26、pt7>>27、pt8>>28、pt9>>29、pt10>>30、pt11>>31、pt12>>32
5話「涙の向こうへ」
pt1>>33、pt2>>34、pt3>>35、pt4>>36、pt5>>38、pt6>>39
第2章『恩返し』
1話「後輩の責任」
pt1>>40、pt2>>41、pt3>>42、pt4>>43、pt5>>44、pt6>>45
2話「新入部員歓迎会」
pt1>>46、
☆参照500突破記念☆
イメージソング『少年カミカゼ - WINDER〜ボクハココニイル〜』
>>37
〜登場人物(バドミントン部新入部員のみ)〜
・桜野 優羽(サクラノ ユウ)
咲崎南工業高校1年 工業化学科
まっすぐ前向きな性格で、「折れない心」の持ち主。
そのどこか抜けた顔から、よく不良に絡まれる。
中学時代は、バレーボール部の補欠アタッカー
・打矢 智宏 (ウチヤ トモヒロ)
咲崎南工業高校1年 工業化学科
高校に入学して、優羽が最初に友達になった。
坊ちゃんカットの髪に黒縁めがねとパッと見オタク...だが中身は、友達思いのいいやつで、シャイボーイ...ムッツリさん
中学時代は、バスケ部の補欠部員。
・岡見 隼人 (オカミ ハヤト)
咲崎南工業高校1年 建築科
普段はボーっとしていることが多く、適当なところが多い。
顔立ちは、普通の上くらいで悪くわない
やるときはやるタイプの人
スネが毛深いのがコンプレックス
中学時代はサッカー部所属。
・真嶋 浩輝(マジマ コウキ)
咲崎南工業高校1年 機械科
一言でいうと、真面目くん。
監督、先生の指示には忠実に従う。
頑張りやさん。中学時代は、剣道部所属
・佐藤 文耶 (サトウ フミヤ)
咲崎南工業高校1年 電気科
スラッとした背に細身の体。
天性のバドミントンセンスを持っており、高校でその力を発揮する。
クールな性格で、人の上に立つのは苦手...これは表向の彼で、本当にうち解け合った仲間の前では、頭にパンツをかぶり、奇声を発するなどアブノーマルなやつになる...これをみんなは、裏文耶と呼ぶ。
・武田 祥(タケダ ショウ)
咲崎南工業高校1年 電気科
バドミントン部に入部した一年の部員のなかで、唯一のバドミントン経験者(ジュニア)...
だが凄いのは、素振りだけで、実際に羽を打つとへたくそ...
そんな武田には、凄い兄さんがいる。
・山内 大輔(ヤマウチ ダイスケ)
咲崎南工業高校1年 電気科
ニックネーム(D輔)
部活に来たり、来なかったりする。
いわゆる幽霊部員
- Heart Break No Wing 11話 ( No.13 )
- 日時: 2010/10/28 16:50
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
____中央地区新人戦 男子団体一回戦『咲崎南工業高校VS遊学館高校』
いよいよ、団体戦一回戦が始まる。
団体戦のルールを説明すると、各校の監督がオーダー用紙にトップダブルス、セカンドダブルス、トップシングル、セカンドシングル、サードシングルの選手名を書き込む。
トップダブルスとは、最初にでるダブルス。
セカンドダブルスは、トップダブルスの次に出るダブルス。
シングルスも同様だ。
でもこういう大きな大会の場合、時間が限られているので、コート二面で展開される場合が多い。
今回もそれだ。
先に3ゲーム取った高校が勝ちだ。
ゲームは、2つのダブルスの後にシングルスが行われる。
よって、先にダブルスを2つ先取してしまえば、あとは3つあるシングルスのどれかをとれば勝利は確定する。
今回の団体戦のオーダは、
トップダブルス 佐藤・桜野組
セカンドダブルス 打矢・岡見組
トップシングル 真嶋
セカンドシングル 桜野
サードシングル 佐藤
と言うオーダーだ。
早速、コートに入る。
隣のコートには、岡見・打矢組が入る。
...俺たちの相手は、いかにも中学校で野球やってましたオーラを出しているやつと、黒ぶちめがねの少年だった。
___まず、それぞれ握手をし、軽く羽、シャトルを打ち合う。
...この空気と湿度からすると、若干力は弱めでいいな....
羽、シャトルは微妙な湿度で飛距離や速度が変わる。
この一瞬の羽のやりとりでそれを確認する必要がある。
『ファーストゲーム、ラボールプレー!!』
...主審が合図をする。試合開始だ。
サーブは相手からだ。
....そして、そのサーブは俺が受ける。
ダブルスでのサーブは、基本ショートサーブだ。
ここで、ショートサーブとロングサーブの違いを説明しよう。
ショートサーブとは、ラケットをバックハンドで持ちセンターラインギリギリから、打つサーブでネット手前に落としてもいいし、後ろのラインギリギリに落としてもいい。
ロングサーブとは、ラケットを下から上に振り上げサーブすることで、初心者はこちらのサーブを多様する。
そして、今の相手はショートサーブを選択した。
...相手が、打つ。
.....球が白線から浮いている...浮きすぎだ。
こんな球、回内で潰せる!!
...俺は、サーブされたシャトルを、内旋を使って地面に叩きつけた。
回内(内旋)というのは、肘から上を内側に曲げ、手首のスナップをきかせ、シャトルにとてつもない勢いをつけると言う、うちの高校だけの技らしい。
早速、一点先取だ。
....相手は、ビビってしまっている。
...サーブ権は、得点を入れた方にまわってくる。
従って、今サーブ権はこちらにある。
...俺は、ネットの白帯ギリギリにショートサーブしてやる。
案の定、相手はネットにシャトルを引っかける。
...バカだな..
そして、俺一人で二セット先取してしまう。
一セット目
咲南 21-0 遊学館
二セット目
咲崎 21-0 遊学館
相手は、一点も取れないまま終わった。
こういうパーフェクトなゲームをバドミントン界では、ラブゲームと呼んでいる。
....観客席から歓声がわき起こる。
「こんなん試合じゃねぇ...」
...俺のダブルスのペアで今の試合でまったく活躍しなかった文耶が言う。
「ああ、確かに相手弱すぎだろ...」
「次の試合は、俺にも出番よこせよなぁ〜!!」
...悔しがる文耶。
「ごめんごめん.......えっと、岡見と打矢のダブルスは〜?」
...打達のダブルスも相手の得点を一桁だいに押さえて余裕の勝利をしていた。
あとは、シングル一個だけだな...
俺と文耶がさっき試合していたコートには、もうトップシングルの真嶋が試合していた。
....様子をみる。
.......余裕だな。
真嶋は、相手に18点の差を付けて勝った。
同時に、咲崎南工業は、3ゲーム先取したので二回戦進出となった。
.....監督が歩いてくる。
「お前ら...手、抜いただろ....ばかやろー!!!!」
...監督がブチ切れる。
「どんなに弱い高校でも、決して手を抜くな....相手に失礼だろ!!!.....まぁ、次にあたる第一シード...神崎清陵高校は、遊学館とは次元が違うから覚悟しておけ......去年うちも苦戦した高校だ...」
- Heart Break No Wing 2話 pt3 ( No.14 )
- 日時: 2010/11/09 13:27
- 名前: 皐月凪 (ID: VozPDcE.)
___中央地区新人男子団体準々決勝『咲崎南工業VS神崎清陵』
今回のオーダーも前回と変わっていないみたいだ...
各校試合前の挨拶を交わし、いよいよ試合開始だ。
トップダブルスの俺と文耶は、コートに入る。
.....対戦相手は、結構顔立ちが整っている二人でなかなか手強そうな相手だ。
.....最初のサーブ権はこちら側にきた。
「文耶、俺さっきの試合でサーブ打ったから次お前打てよ」
「ああ、もちろんそうさせてもらうよ」
.......文耶がショートサーブを打つ。
うん、ネットの白帯ギリギリ、そしてセンターラインギリギリ.....この球は初心者には取れない...........なに!?、取った!!
相手が、返したシャトルは、大きな弧を描いて自分のコートのバックラインギリギリまであがった。
さすが、神崎
「文耶、つなぐぞ!!」
...俺は、バックラインまで金子監督から伝授された高速バックステップ使いさがって、シャトルを相手コートのバックラインに返した。
すかさず、相手はシャトルをスマッシュで返してくるが........スマッシュの威力が弱い...
俺は、弱々しいスマッシュをネット前に落とす。
相手は、予想どうりあげてくる。
「文耶!!!、俺たちのスマッシュを見せてやれ!!!」
後衛の文耶に言う。
「フッ....まかせろ!!!」
...文耶は、あがったシャトルの落下位置を瞬時に計算し、高速バックステップでその位置の一歩後ろに移動。
そして、飛ぶ。
あの地獄ともいえるスクワットで鍛えられたジャンプ力は凄まじく、マサイ族に匹敵するほどだ。
体をひねり、腕と肘からさきもひねり、シャトルがラケットのスイートスポットにヒットするタイミングで、体を一気に元に戻し、腕と手首の回旋を使い、最大の力で爆裂なスマッシュを解き放つ。
...........これが、咲南のスマッシュだ。
...........言うまでもなく、俺たち咲崎南工業高校は、団体戦、個人戦共に表彰台を埋めた。
監督の願いは叶った。
新人戦3連覇。
...........この重みを俺たちは何も分かってはいなかった。
結果
男子団体 優勝
咲崎南工業高校
準優勝
沢城南高校
個人戦男子シングル
優勝
佐藤文耶
準優勝
桜野優羽
三位
岡見隼人
男子ダブルス
優勝
桜野・佐藤組
準優勝
岡見・打矢組
三位
真嶋・武田組
.......閉会式終了後、地方テレビ局のインタビューを受ける。
「今大会のシングルス、ダブルス共に活躍された咲崎南工業の桜野・佐藤組にインタビューです!!」
「今大会がデビュー戦となりましたが、どのような気持ちで挑まれましたか?」
....マイクは、文耶の方に向けられている。
「まぁ、今までやってきたことが無駄じゃないんなら間違いなく勝てると思って、試合にいどみました」
「いままでやってきたこととは?」
「トレーニングですよ」
「では、並はずれたトレーニングをされたと言うことですね〜......今大会のMVPに選ばれた桜野さんは、この大会どうでしたか?」
今度は俺にマイクが向けられる。
「今回この大会でこのうな成績を残すことができたのは、監督、そして先輩や仲間の努力があったからです......正直、自分一人ではこのような結果は、残せませんでした。俺たち一年のモットー知ってます?.......『自分の限界を作らない』正直最初はバカみたいだと思ってました.....でも、俺には負けられない理由があるんです.......」
「ズバリその理由とは?」
「次の全県大会でお会いしましょう....」
俺たちは、その場を去った。
俺達はただ歩いているだけなのにまわりは、みんな俺たちを見ている。
.....後ろから声を掛けられる。
「あ、あの....すみません!!」
俺の後ろを歩いていた、打矢が振り向く。
「なに?」
「い、いえ.......桜野さんに...//」
振り向くと、晴華高校の制服を着た、背の低い少女がいた。背中にはラケットバックを持っている。
そして、その子の周りには、どこの高校か分からない制服を着た女子や、同じく晴華高校の制服を着た女子が群れをなしていた。
「え?、なに?....」
「あ、あの〜....よかったら、アド交換してくれませんか?......迷惑だったらいいんです.....」
....この子、勇気振り絞ってきたんだろう....顔真っ赤にして、今にも泣きそうだ。
俺が断ったら、完全に俺悪者だろうな...
「別にいいけど、俺なんかのアドでいいの?.....」
「はい!!、ありがとうございます!!」
その子は、深々とお辞儀をする....
「あの...桜野さんって、彼女とかいらっしゃるんですか?」
背の低い少女に聞かれる。
「....いないよ」
「そうなんですか.....今日は、本当にお疲れさまでした」
...その子は、ほっとした顔で礼をすると、その場はら立ち去った。
その後から、晴華高校の女子生徒が追いかける。
「あの、桜野さん.....私もいいですか?」
見たことのない制服を着た、ポニーテールの女子に言われる。
「お〜い、桜野〜」
そのとき、団体決勝戦であたった沢城南高校のトップダブルスの一人、高坂亜澪士(コウサカ アレジ)が向こう側から走ってきた。
「おう、アレジだっけか.....珍しい名前だから覚えちゃったよ」
「そりゃ光栄だな」
....二人して笑う
「ちょっと、アレジ、邪魔しないで!!」
さっきのポニーテールの女の子が言う。
「あれ、美里....なにやってんの?」
....アレジが聞く。
「アレジ、知り合いなの?」
「同じ高校」
この制服は、沢城の制服かぁ〜
「今、桜野くんにアド交換してもらうの!!」
「ほんとに俺なんかのアドでいいんですか?.....」
「桜野くん、あなた自覚してないの?......」
「なにがですか?」
「とりあえず、アド交換!!」
....仕方なく、赤外線で送信する。
「あ〜あ、やっちゃったね〜....桜野くん」
アレジが言う。
「桜野くんありがと.......知らないアドには気をつけてね♪」
そう言うと美里さんは、向こうへ行ってしまった。
「優羽、人気者だなw...でも俺もアド交換して貰ったぜ〜」
隣で、文耶が言う。
「じゃ、俺そろそろ行くわ.....またな優羽、次は全県新人で!」
そう言って、アレジは去って行った。
- Heart Break No Wing 3話 pt1 ( No.15 )
- 日時: 2010/12/15 13:27
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
______新人戦翌日。
新人戦が終わったばかりだというのに練習だ
新キャプテン、俊介先輩の号令に続いて俺たちは集合し監督を待つ。
しばらくすると第二体育館の扉が開き、金子監督が姿を現した。
「まず一年生、よく頑張ったと言いたいが.............それ以前に反省すべき点がいくつかある、今日から全県新人に向けてそこを修正しなければならない、言っておくが地区の大会と違い、全県新人はレベルが高い.............お前ら、ここで気を抜くと一気に地の底をみるはめになるぞ..........二年生は、来年の最後の総体に向けて今から技術、体力共にレベルの向上をはからなければダメだ、今回の大会で一年を見て学ぶべき点はいくつかあっただろう..........もう一度、初心に返って練習する必要があるな............よし、みんな今日は羽を打たず、初心に返り、ランニング、筋トレ、基礎体力をもう一度付けてもらう、いいな!!」
.........初心を忘れずに.......いい言葉だ
確かに入部して5ヶ月とちょっと........部活にも慣れてきて、初心を忘れかけていたような気がする。
........でも一つだけ言える
入部したときよりは、確実にあの子に近づけた。
「はい!!!」
俺たちは、監督に元気良く返事をし、第二体育館を出ようとした...
「ちょっと待て、一つ言い忘れた........いきなりだが明日、晴華高校に練習試合を申し込まれた.......行きたいやつは〜.......」
監督の問いにみんな目をキラキラさせて手を挙げている。
.......そりゃしょうがない、晴華高校は女子校、そこにほぼ男子校に近い工業高校の生徒が行きたく無いわけない。
「.....そりゃそうだわな、よし、今日一番早くメニューをこなした順番に晴華につれて行ってやる...........先着7名様♪」
監督がそう言った瞬間、俺たちバドミントン部員は全員もの凄いスピードで、第二体育館を飛び出した。
「悪いが、俺は晴華に行かせてもらうぜ〜♪」
俺の隣で文耶が言う。
「新人戦ではお前に負けちまったけど、今回は負けないぜ!!」
俺たちは、猛ダッシュで外に飛び出した。
_______外周15㎞地点。
現在トップ
文耶
二位
優羽
三位
岡見
四位
俊介先輩
五位
倉町先輩
六位
打矢
七位
葛西先輩
...............
と言う感じだ。
以外に一年生が上位グループに固まっている
駅前を爆走している俺と文耶は、ほぼ互角。
文耶は爆走しながら、俺に話しかける
「そういや、晴華高校ってお前の気になるあの子の学校じゃないのか?」
そう、その通り.......晴華高校はあの子の通う学校でもある
「そうだ、だから尚更頑張んなきゃなんねぇ〜〜〜〜!!!!!!!!!」
俺は、ここからラストスパートをかける.....
「.......フッ、面白くなりそうだ」
文耶も後から追いかけてくる
_____ゴール
一着
優羽
二着
文耶
三着
俊介先輩
四着
岡見
五着
打矢
六着
倉町先輩
七着
葛西先輩
と言う順番だった。
俺と文耶は、休む間もなく第二体育館に戻り、腕立て、腹筋、背筋、スクワットを始める。
後から入ってきた先輩達も筋トレを開始したみたいだ。
「そんなに晴華に行きたいか?」
俺の右隣で筋トレする俊介先輩が尋ねる。
「行きたいです!!」
「どうして?、女子がいるから?」
「それも多少ありますけど..........もっと大きなことです!!」
「そっか♪、晴華には、俺の彼女もいるからさ...」
俊介先輩が笑顔で言う。
イケメンで優しい俊介先輩に彼女がいてもおかしくない..................
でも、不安になるのはなぜだろう.......
「先輩!!、その............なんでもないです...」
俺は俊介先輩になにか言おうとしたが、言えなかった。
俺は、不安な気持ちを抑えながら筋トレに励んだ
- Heart Break No Wing 3話pt2 ( No.16 )
- 日時: 2010/12/15 16:25
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
「はい、ご苦労様......じゃ、約束通り上位七名をつれて行くことにする、いいな」
練習の最後に監督が発言する
結局、行けるのは
俺と文耶、岡見、俊介先輩、倉町先輩、葛西先輩、打矢となった。
______翌日、俺たち七名は金子監督と高久顧問の自家用車で晴華高校を目指した。
一方残留組は、今頃第二体育館で自主練をしている頃だろう
金子監督の車には、俺、文耶、打矢、岡見が乗り、あとの倉町先輩、葛西先輩、俊介先輩は高久顧問の車に乗った。
この配置は、先輩と話した結果、一年と二年で分かれて乗ったほうが落ち着くだろうと言うことでこうなった。
車の中で金子監督は言う。
「一年、相手が女子だからってなめてると、やられるからな.............あそこには、経験者がわんさかいる、少なくともバド歴は晴華高校の一年生のほうが上だ」
......たしかに、新人戦、女子は一校だけずば抜けて強い高校があった.........
......晴華女子高等学校
「気を抜くとまずいな......」
後部座席で打矢が言う。
「お前、最初から気を抜く気でいたのか?」
隣に座る文耶が問う。
「ち、違うけど..........相手は女子だぜ...」
.......打矢は、ムッツリだからなぁ...
そう言う気持ちになるのも無理ないかぁ
「....ったく、女子か男子かなんか関係ねぇ〜、ただ付いてるか付いてないか......違うのはそれだけだろ、忘れたか?、俺たちのモットー」
俺達は、声をそろえて言う。
『限界をつくらない!!』
運転席の金子監督が少し微笑み、到着を知らせる。
「着いたぞ、お前ら一年は練習試合初めてだったな、体育館着いたら、キャプテンの指示に従って行動するように、いいな!!」
女子校という、男子禁制の領域に足を踏み入れるドキドキを感じながら返事をする。
「はい!!!」
晴華女子高等学校
随分古い学校だ........歴史は、我が高校、咲崎南工業高校より長いらしい
晴華の生徒達にチラチラみられながら、玄関を目指す
「おい、優羽.......どうしよ〜、俺たち見られてるよ〜」
ムッツリ打矢は、そわそわしはじめた。
まったく、これだからムッツリは.....
「大丈夫、だれも俺たちなんか眼中にねぇ〜よ...........ほら、俊介先輩見て見ろ」
俺は、先頭を優雅に歩くキャプテン俊介先輩を指さした。
晴華の女子は、みんな俊介先輩を見て、なにかこそこそ話しをしているみたいだ。
....文耶の様子が変だ...
「おい、文耶、お前どうしたんだ?」
「なにかね?、私は今紳士を装っているのだよ、話かけんでくれるかな?」
胸を張って、歩く文耶は、なんか紳士とはずれているような気がした。
「優羽、文耶、若干だが裏文耶化してるから気をつけろ.........もしものことがあったらまた頼む」
出発前から文耶の様子を観察していた岡見が言う。
「ああ、女子の前で脱がれたら、捕まるからな.......そういう空気がでたら、すかさず延髄ぶん殴るよ♪」
俺がそう言うと、岡見は安心した様子でグットサインを送る。
「ここで靴を履き替えて、体育館に向かう、体育館に入る前に挨拶するから、勝手に体育館に入るんじゃねぇ〜ぞ」
俊介先輩が、靴を履き替えながら言う。
俺達も靴を履き替える。
玄関の真向かいが体育館みたいだ
「整列!!」
俊介先輩の号令に従い、俺たち咲南バド部は整列する。
.......と同時に、ネットを張って準備していた晴華高校のバド部も整列を始める。
晴華高校のバド部は、総勢20数名か.....
結構多い方だな、さすが強豪校だけある
先に挨拶をしたのは、晴華の方だった。
20数名の女子部員が、俺たちの方に一礼し
「よろしくお願いします!!」
と挨拶をする
それとほぼ同時に、俊介先輩が挨拶をし、それに続いて俺たちが挨拶を交わす
「よろしくお願いします!!」
「集合!!」
俊介先輩と、晴華のキャプテンの声がシンクロした
俺は見た........集合のかけ声の前に、俊介先輩と晴華のキャプテンが目で合図しているのを....
俺たちは、各校の監督及び顧問が座る椅子の前に整列した。
先に口を開いたのは、晴華の監督さんだ。
晴華の監督は、これまた中太りの体型に髪がハゲかかったおっさんだったが、金子監督の古い友人で、全国大会出場経験もあるというおっさんらしい。
「え〜、咲崎南工業さんよくいらっしゃいました........今回は、全県新人及び県民体育大会に向けた練習試合ということで、まずは団体戦形式の練習試合をして、各校アドバイスを受けた時点で、個人戦にうつりたいと考えております。個人戦は指名形式で各自対戦相手に試合を申し込むようにしてください、私からは以上です.......金子先生からは?」
「各校手を抜かず、怪我の無いようにやってください、以上です.....................あと咲崎の生徒に言っておくが、女の子に負けたら帰りは歩きだ♪」
金子監督の発言に俺たちは沈黙したが、晴華の生徒は笑っていた。
「じゃ、準備運動だ!!」
俊介先輩の指示に従い、ストレッチを開始した。
- Heart Break No Wing ( No.17 )
- 日時: 2010/12/22 16:48
- 名前: 皐月 凪 (ID: VozPDcE.)
_____いよいよ団体戦だ
咲南のオーダーは、
1stダブルス 佐藤&桜野組
2ndダブルス 倉町&葛西組
1stシングルス 工藤 俊介
2ndシングルス 岡見 隼人
3rdシングルス 打矢 智宏
となった。
1stダブルスと2ndダブルスがコートに入る
俺は、相手のオーダー用紙を見る
どうやら、向こうの1stダブルスは、佐伯&木村組のようだ......
佐伯&木村組は、俺たちの一つ上、俊介先輩と同じ代の2年生で、去年の新人戦ダブルス優勝経験及び総体準優勝という実績をもつダブルスだ.......しかも、佐伯、木村両方小学2年からバドをやっているらしい、かなりの経験者だ
「文耶、やつらかなりの経験者らしいが...」
俺は文耶に尋ねる
「そうみたいだな......この前の新人戦で、いくつか女子選手のプレーを見ていたが、男子選手との大きな違いがある........」
文耶のやつ、ただ鼻の下のばして女子を見ていた訳では無かったんだな.......少し安心した。
「その違いってなんだよ?」
「女子は、男子と筋肉の付き方が違う.....よってスマッシュにも限度ってもんがある.......所詮高校レベルでどんなに早いスマッシュが打てたとしても、体感速度250㎞くらいだろう、やつらは、ラリーを続けこちらの体力を減らす作戦でくると考えられる.............早く得点を決めたいからと言って、スマッシュを多様しては、たとえ俺たちのスマッシュが音速を越えるとしても簡単に返されるだろう..........今回は、まず先に相手の出方をうかがってからのラリー展開と行こう」
文耶もたまにはちゃんと考えてるんだな...
「そうだな.......じゃ、行くか!!」
ネットを挟んで握手をする
『よろしくお願いします!!』
まずは、お互いにシャトルを数回打ち合う。
...........うん、この体育館は湿度が高め...よってシャトルが少量の力でも遠くに高く飛ぶ。
今回は、少し弱めの力でラリーを展開するのが望ましいだろう
主審が試合開始の合図をする。
サーブ権は向こうにある、そしてそのサーブは俺が受ける
佐伯は、ショートサーブを選択した...
俺は、重心を低く構え、白帯から浮いたシャトルを潰す体勢に入った。
しかし、この構えには少々弱点がある......
ショートサーブから展開される、バックラインギリギリのショートロングサーブが取りにくいということ。
例え、高速バックステップを駆使して下がったとしたも、相手が打ったのを見てからでは遅い...
よって、相手の手首の動き、風の微妙な変化を予測して動かなければならない
また、そのシャトルを返したとして、返した場所によってまた試合の展開も変わってくる....
それだけ重要なこの一瞬!!!!
________相手の手首が若干動く......
風は、奥に吹き抜ける..........
ショートロング!!!!!!
俺は、読んだ.................と思ったが...
普通のショートサーブだった。
______フェイント!?
ショートサーブでフェイントを入れるということは、危険きわまりないことだ...
フェイントに失敗し、主審にフォルトを取られてしまえばお終いだ。
.........こいつ、とんでもねぇ〜やつだ...
「優羽!!!!!、繋げぇぇ!!!!!!!」
今のサーブで素早く後衛に下がった文耶が叫ぶ
とりあえず繋がなくちゃ!!!
俺は、後ろに下がりかけた体を無理矢理、体勢を前につきだし、相手コートのバックラインにあげた...
瞬間、強烈なスマッシュが俺と文耶のちょうど中間に落ちる......
俺らは、シャトルに触れることすらできなかった。
「........文耶、今の見えたか?」
「いや、見えない..........木村のスマッシュ........300を越えている............優羽.......この場面、分かるよなぁ〜」
そう、この場面...相手のスマッシュが予想外に早く、ラリー型ではない.........
夏の強化練習で習得した、桜野&佐藤組の究極陣形
『完全攻撃型フォーメーション......『極・白狼天無』!!!!!!!』
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