コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- リバーシブル
- 日時: 2011/08/08 22:19
- 名前: 北野(仮名) (ID: XkXzKb57)
初めまして初投稿です
つまらないかもしれませんが暖かく見守ってください
なお、途中で作者名変わりますが気にしないで下さい。
=プロローグ=
「ねぇ、君パズル部に入らない?」
四月八日、入学式とクラブ紹介が終わった時
烏丸紫表は見知らぬ先輩に声をかけられた。
「はい?いきなり何で・・」
「いいからついてきて」
さて何が何だか分からないので朝まで戻ってみよう
〜朝8時〜
「紫表兄、早くしてよ。」
玄関のところで紫表によく似た女子が紫表を呼ぶ。
「ちょっと待ってくれ、基裏」
紫表が慌てて準備する。
「入学式に遅刻なんて洒落になんないよ」
「OK準備できた、行ってきます」
そういって二人は家を出た。
家の前には一人の男子がいた
「紫表、さっさと行くぜ」
白谷治、紫表の一番の友人で、医者志望
そして・・・ナルシスト。
学校につくとクラス発表をしていた。
「三人とも同じクラスか」
うれしそうに紫表がつぶやいた。
「おい、入学式始まるぞ」
治にうながされて、三人は体育館へ向かった。
〜そして今〜
「ちょっと・・・放してください!!」
二年の女子に引きずられる一年男子。なんとも哀れな光景である。
「おっ、紫表・・・お前何して・・」
「おひとり様追加です」
しゃべる治の声を遮って無理やり連れて行く
目の前に基裏も現れた。
「二人とも何してん・・」
「君も来な」
そうして、犠牲者がもう一人増えた
=5分後=
「ここがうちの部室だよ」
中には一人の三年生がいた。
「ようこそ、竜門中学パズル部へ」
「勝手に連れてきて何いってるんですか」
三人を代表して基裏が言葉を返す。
「伊達ぇ・・・」
無理に連れてくんなと言ったろ、そう言って悪の根源をしかっている。
「まぁいい、部長の小島早太だ。よろしく」
「伊達美千流です。よろしく」
とりあえず、俺達が思ったことは
面倒臭いことになったな、ということだ。
「いいですよ」
「は?」
いきなりの紫表の言葉に小島が動揺する。
「面倒くさいからここに入部するって言ったんです」
「紫表兄入るの?じゃあ、あたしも入る」
「じゃ、ノリでおれも」
そういうことで三人ともここに入ることになった。
_______________________________________________
崎野手事件 バッグ事件
>>2 >>4 >>6 >>7
ドンマイ、先生たち
>>8 >>9 >>10 >>11
伊達家でかっ!
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16
脱線!でも一番力入れました
>>17 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28 >>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34 >>35
>>36 >>37 >>38
熊の怖さとヒマ人のうざさ
>>39 >>40 >>41 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48
昔話(回想)
>>49 >>50 >>51 >>52
みんなで遊ぼう(バトル復活)
>>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>59 >>60 >>61-68
文化祭直前事件
>>69-77
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
- リバーシブル ( No.25 )
- 日時: 2011/04/21 20:29
- 名前: 北野(仮名) (ID: kBbtVK7w)
=第十九話=second and third battles
なぜだ?
なぜ、なんでなんでなんでなんでなんでなんでなんでなんで
こいつは今、俺の剣を防げたんだ?
まぎれもなく俺は超速戦闘を使っていた。
あいつの視界の外から斬りつけた。
一撃で決める自信があった、そのはずだった。
それになぜあいつが俺を差し置いて龍紋木刀を・・・
フッ、まあいい。だったら確実性をとろう。
「なさけねえなあ」
一旦、烏合の衆の方に向き直る。
「部外者に立ちいらせるほど、切羽詰まってるなんてな」
これを聞いた連中はさすがに頭にきたのか、ぎゃあぎゃあ
わめきだした。
「15歳以下という条件をつけたのはどっちだ!」
「人質取って何のうのうとしてやがる!」
本当に無様極まりない連中だ。
すぐにかっとなる低俗なやつらに元より勝ち目はない。
いや、あっても剥がしてやるよ。こんな風にな。
龍牙は思わず噴き出しそうになるのを我慢する。
「図に乗るなよ」
その耐えられぬかと思った高揚感はこの一言で打ち消される。
背筋を冷や汗が伝い、動悸が激しくなる。
今感じているこの感覚は何年も味わっていない。これは・・・・・
恐怖
とてつもない重圧のかかる中、ゆっくりと後ろを振り向く。
もちろんそこには紫表しかいない。
5メートルぐらいのところで、構えも取らずに立っている。
だがそれにも関らず、全くスキがない。
「伊達家と関係ないだと?ふざけるな」
お前も分かってんだろ?そう言って、犯罪者を見つめる冷たさと、
こらえきれないほどの怒りをたたえた目でこっちを見てくる。
「これを持ってるってのは」
刹那、紫表の姿が消える。
さっきとは違い、あのくそ忌々しいじじいも反応できていない。
「そういうことだろ」
そしてまた、一瞬の内にして、出現する。
木刀が龍牙の脳天に当たるその瞬間に剣は動きを止めた。
完全に反応出来なかった。
背中だけではなく、いつの間にか、首筋、そして額にまで、
冷や汗が伝ってくる。
「俺は、現当主の零花様の剣の技術を全て継承した者だ」
廃工場前、そこに代介は立っていた。
なぜそれ以上進まないかというと、まあ理由は一つしかない。
「邪魔だおっさん。そこ、どいてくれ」
目の前にいる長身のやせたおっさんにそう言った。
おっさんとバカにされたにも関わらず、そいつは表情を変えずに、
手をパキパキッと鳴らし始めた
「ココを通すなと言われてるもんでね」
そう言ってボウガンを取りだした。
「古風な武器だな。俺が言えることじゃあねえが。
ところで、ココを通すなと・・・」
そこで代介が一拍置く。そのとき、空気がざわめくような感覚がした。
「誰に言われている?」
そして、ざわめきの強さは頂点へと上り詰めた。
「おまえのような小僧に負けてやるほどやさしくないぞ」
「あんたみてえなクソヤローに、手えぬかれるほど弱かぁねえぞ」
ざわめきは収まり、代わりに、嵐の前の静けさが訪れた。
あんのヤローーーーーーーー
さっきまでの恐れはかき消えて、代わりに代介への怒りが伊達を
覆いこむ。
「先輩に対して・・何が臆病者だっ!」
急いで玄関の方へと向かう。
家の前に人の気配がする。
バアンッとドアを足で蹴って開ける。
「誰が臆病者だ!代か・・・ん?」
そこにいたのは全然違う人だった。
「すいません、人ちが・・」
「これはこれはこんにちは。美千流さんですね?
私蟹原と申します。普段は情報屋でして、こんな場に出てくる
ことは滅多にないんですけどあの人の依頼ですので・・・」
後ろの棒状のカバンから、するすると棒を取り出す。
良く見ると、先端には鋭利な刃が付いている。
これは、どっからどう見ても槍だ。
「仕方なく闘いますよ」
さっきまでの温厚な目と言葉づかいは豹変し、
あのときの人と同じ雰囲気を放っている。
そう、あの母さんを・・・
瞬時に、自分の体を恐怖が包み込む。
また、何かを失ってしまうのではないかという強大な恐怖。
それは、瞬く間に、全身を支配し、体を硬直させた。
「貫け、鋭槍」
目と鼻の先まで、刃が迫ってくる。
その瞬間、背後から、鞭を叩きつけるような音と、
何かをぶん殴った音の中間地点ぐらいの、
バアァァンッ!!という音が聞こえる。
私に槍が触れるより先に、目の前にいる蟹原という男が吹っ飛んだ。
「あんたなんか先輩が相手するまでもないのよ」
基裏がさっきまで蟹原が立っていたところに現れる。
「私の『ドリームバード』で充分ですから」
続く
________________________________
次回予告(もどき)
ついに戦いが本格的に始動予定
- リバーシブル ( No.26 )
- 日時: 2011/04/22 19:06
- 名前: 北野(仮名) (ID: kBbtVK7w)
=第二十話=基裏の力
吹っ飛ばされた蟹原が、足を高く上げて、反動をつけて一気に
起き上がる。とっさに受け身を取ったのか、かすり傷以外はたいして
ダメージは受けていないようだ。
スーツについた砂をパンパンとはたいて取り、槍を拾い上げた。
「ドリームバード?はて、聞いたことがないな」
情報屋のはしくれとして、それは恥ずかしいな、そう蟹原は思った。
何としてでも解明してやろう。
「超速戦闘ではないのか?」
まずはデータを集めてみよう。何かが得られるかもしれないな。
そう思って、また柔和な態度になる。
「ちょっと話してもらえませんかね」
目の前の少女基裏は、それに対して笑顔で答えた。
「うん、そうだよ。超速戦闘とニアリーイコール。ところで・・・」
基裏が裏に隠していた怒りを表に返す。
伊達家の連中のように、殺気を飛ばして威嚇するものではなく、
ただ純粋に怒りの感情がうかがえる。
「私達の情報を提供したのはあなた?」
そうだ、と蟹原が答えると、基裏の顔つきはまたしても変わった。
今度は汚らしい汚れを見るような視線である。
だが、ゴミを見ているのと、決定的に違う一点は、怒りの有無である。
「ドリームバードが知りたいんだよね、じゃあ教えてあげる」
基裏が左腕を前に突き出す。拳ではなく、平手で。
「そもそも、私はまだ、超速戦闘が使えない。
でも、あと一歩だ」
そう言って、つきだした左腕を右側に持っていく。
そして、一瞬の制止の後、超高速で左腕を引き戻し、
自分の左後ろ辺りの空気を思いっきり叩きつけた。
さっきと同じ、バァンッという音がした。
これは、超音速で空を叩きつけたときに発生する衝撃波の音だ。
そして、その力の反作用の力を受けた基裏は、とんでもない
スピードで突っ込んでくる。
動体視力は良いので、その動きは目で追うことができる。
だが、超高速で移動する物体を回避する反射神経など、
部屋にこもりっ放しだった蟹原にあるはずがない。
もちろん、超速戦闘を使うなど、もっての他だ。
渾身の右フックが蟹原の頬にめり込む感覚がした。
先ほどのように吹っ飛ぶかと思ったが、そんなことはなかった。
なぜなら・・・腕力が一般の女子と大差なかったからだ。
さっき吹っ飛んだのは、油断し、注意の外に外していたからであり、
向き合って闘っている今となっては、全く喰らわない。
「基裏ちゃん、力不足!」
伊達が基裏に向かって叫んだ。
「仕方ないじゃないですか、そこまでするヒマはなかったんです!」
ク・・・口喧嘩が始まった・・・・
蟹原は呆れて物も言えず、ただひたすら目の前の光景に
あっけに取られていた。
「基裏ちゃん、そろそろあっちあっち」
そう言われた基裏をみて、ようやく蟹原も我に帰った。
その光景が可笑しいのか、いきなり伊達が笑いだした。
それを見た蟹原も、ついに怒りが頂点に達した。
「貴様、私を愚弄するのかぁッ!!」
殺気を目いっぱいとばして威嚇する。
だが、基裏も伊達もそんなことには眉ひとつ動かさず、
伊達は呆れ、基裏はさらに怒った。
「あんたのせいで母さんがどうなったか知ってる?」
とたんに全身に悪寒が走る。
殺気を飛ばされている訳でもない。
ただ、あの冷たい目で見つめられているだけだ。
それなのに、それなのに、冷酷な毒蛇にチロチロと
舌で触られている、そんな感じがする。
しかしここで、ふとあることを思い出した。
あいつの攻撃・・・弱くね?
よしいける、そう思った蟹原はふたたび構えを取った。
次はカウンターだ。
「喰らえ」バチィンっ
という音がして、またあしても基裏が消える。
そこだっ!
手に持っている槍を前に突き出した。
だが、槍が何かを突き刺さる感覚はなく、ただ無残にも
空を切った。その瞬間焦りを感じた。
万全の状態ならすぐに判断できたであろう、だが、おごりが
勝利の足元を突き崩した。
シュッ、という音が背後から聞こえる。
そう、基裏は背後にいたのだ。
・・・ところで「シュッ」って何だ?
そう思った瞬間に、蟹原の体は再び宙を舞った。
もう一度、とっさに受け身を取った。
今のは一体・・・
「衝空拳」
振り返ると、基裏がいる。
「私の、唯一の攻撃手段さ」
続く
________________________________
基裏
強っ!!
- リバーシブル ( No.27 )
- 日時: 2011/05/04 21:48
- 名前: 北野(仮名) (ID: Evvrhazt)
=第二十一話=空を衝く(つく)
衝空拳・・だと?
なんだそれは?またしてもきいたことがない。
目の前にいるこの少女は・・・一体何者なんだ。
「教えといてあげるよ」
基裏がようやく体勢を立て直した蟹原に無表情でそう言った。
やはり、顔に浮かんでいるのは怒り。
そしてもう一つは、蟹原に対する蔑み。
「まず、ドリームバードは、未熟な超速戦闘のスピードを
補助するためのブースター」
よくよく思い出すと、基裏が手を動かした瞬間はまだだが、
手を空に叩きつけた瞬間には、もうすでに基裏はその未熟な
超速戦闘に入っていた。
地に足がついた状態では、地面に力が逃げてしまう。
だからこそ、一旦、宙に跳んでから叩きつけることで、
セカンドブースターを発動し、超加速したのだ。
「そのためには、空気抵抗を大きくしないといけない」
基裏がそこまで説明してから、ようやく納得できた。
平手にしていた理由は、拳だと、後ろに叩きつけるのが難しい
からではない。
空気抵抗を大きくするため・・・
そして、空気抵抗の少ない拳で繰り出すと、どうなるのか。
その答えはもう出ていた。
本来、あの娘の加速した瞬間に、そこに立っていたら
もっとすごいことになるだろう。
基裏は、反作用の力による衝撃を自分の体に残さず、
100パーセント推進力にすることによって、
体への負担を減らし、加速の能率をあげていた。
そして、作用の力、つまりもともと基裏の方から空気を
押した方の力は、衝撃波となっていたんだ。
あそこには、波状に広がることにより、力が分散し、確認しづらい
大きな力が働いていたんだ。
そして、それを拳で撃ちだすことで、大きな力を一つに凝縮、
小さな形にして発射した。
今度は、反作用の力を地面に逃がすことで、
自分への負担を小さくした。
そして、推進力もほとんど打ち消したんだ。
「空を衝き、繰り出す拳、故に・・・」
衝空拳
ようやく、基裏の説明が終わった。
途中からは蟹原の推測と全く同じだった。
しかし、原理が分かったからといって、回避できる保障は
どこにもない。むしろ、回避は不可能だと言われているようなものだ。
空気を伝わる衝撃波など、目に見えるはずがない。
回避のタイミングも判断できない。
一歩遅ければ、もろに喰らってしまい、
一歩早かったら一手攻撃チャンスを減らすことになる。
だが、背に腹は代えられず、手数を減らす代わりに確実性を
取りに行く。
相手が振りかぶった瞬間、その場を離れる。
そうせざるを得ない状況だ。
おそらく、さっき二回目に自分を吹っ飛ばしたあの一撃は、
本気などではない。なにせ、正義感の強い人間だ。
一発目から相手の知らない一撃で、不意打ちのように・・って待てよ。
衝撃波の強さって加減できなくね?
できたとしても、距離の調節ぐらいだ。
第一、回避し続けたら、威力など、大した問題ではない。
スタミナの勝負なら、女子中学生なんかには、負けない。
そして、ようやく落ち着きを取り戻したところで
一つだけ注意すべき点が頭に浮かんだ。
一発目をくらっても、動揺してはいけない。
そのすきにもう一発、さらにもういっちょ、と来られたら、
そのうちぶっ倒れてしまう。
そんだけだな。
槍の切っ先を基裏がいる方に向けた。
基裏が衝空拳のモーションを取る。
とっさに横に回避する。
だが、基裏は、拳を突き出しただけで、衝空拳は使わなかった。
・・・ヤバいっ!!
そう思った瞬間にはもう手遅れで、自分の体は、
衝空拳から逃れるために、ジャンプし、空中で
地に足が着くまで、自由に動けなくなっていた。
とたんに、あの「バアンッ!!」という音がする。
基裏は、蟹原の右サイドから現れた。
基裏から逃げるため、右におもいっきりジャンプした蟹原は、
悔しくも、自分から突っ込んで行く形になった。
そして、次に『シュウッ』という音がする。
自分が向かっていく力と、0距離に近い超近距離からの
衝空拳が蟹原の右わき腹にめりこむ。
基裏「ズザザァッ」という音と共に、やや後ろに後退する。
その距離、わずか30センチ程度。
それとは違い、蟹原は5メートルは優に吹っ飛んだ。
「分かった?これがお母さんの受けた痛みよ」
続く
________________________________
おれ今回「超」ってことば使い過ぎだぁッ!!
ていうか脱線激しすぎ!
まあがんばって修正したらいっか
- リバーシブル ( No.28 )
- 日時: 2011/04/23 20:00
- 名前: 北野(仮名) (ID: meZEZ6R0)
=第二十二話=激昂
「なぜ・・・俺の脳天に叩き込まなかった?」
廃工場の一室で、龍牙の声が壁に当たり反射する。
「なぜ剣を引いた?」
耐えがたい怒りで、剣を握りしめた拳がワナワナと震える。
「俺の動きに反応出来たことが・・・」
悔しさと焦りが心の底から押し寄せてくる。
こんのガキィッ・・・
「俺が貴様から目を離したことが・・・」
手に持っているそれを引き継いだことが・・・
「そんなに嬉しいか!クソがぁッ!!」
ただ・・ただじじいじゃなくて、ばばあの弟子だというだけで
それを受け継ぎやがって・・・
「それを継ぐにふさわしいのは、この俺だぁッ!!」
左手で、龍紋木刀を指差し、右手で剣を振りかぶる。
もう一度超速戦闘を使い、紫表の方へ突進する。
紫表はそれに対して、剣を木刀で払いのけようと、
下から木刀を振り上げた。
ところが、そこに龍牙はいなかった。
「終わりだ。そのおごりが敗因だと思え」
そうして、背後から刃は振り下ろされる。
まるで、そこには何も存在しないかのように、
龍牙の一太刀は紫表の体をすり抜けた。
だが、本当にすり抜けただけだった。
「残像だと・・・」
龍牙は頭の中で、それを否定した。
自分がそんなものにかかる訳が・・・そもそも残像なんか、
できるはずがない。
「残像なんて、光より速くないと無理じゃないのか?」
これは、昔から思っていた疑問だった。
マンガのキャラクターはボンボン使っているが、
目に見えるものが実はそこに無いなど、光より速く動けないと
できないのではないかというのが、過去の自分の結論だった。
「お前は頭がパーなのか」
紫表の気配が真後ろから現れる。
反射的に、距離を取り、振り返り、目を合わせた。
「あのなあ、光が届くより速く動くんじゃあない。
脳がそこに物があるという光景を演算処理している間にそこから
移動すればいいんだ。それが、俺流の残像の原理だ」
紫表が演算処理とかいう面倒くさいことばを使ってまで説明する。
憐れみでもかけたつもりかよっ・・!
頂点に達したはずの怒りもメーターを振り切って、
頂点を越えた地点にまで到達する。
まだその怒りは留まるところを知らない。
怒りを通り越して、激怒、いや、激昂状態にまでなる。
「さっきお前は、自分の動きが読み取れたことが嬉しいか、
そう聞いたよな」
龍牙が我を忘れかけているところに紫表が声をかける。
「嬉しい訳ないだろ。できて当然のことだ」
「てえぇめええええぇッ!!!!!!!!!!!」
追い打ちをかけられた龍牙は、完全に我を忘れた。
衝空拳で吹っ飛ばされた蟹原は、第二撃を避けるため、
少々加荒田に負担をかけてでも、強引に起き上がった。
「おっさんタフだねぇ」
目の前で基裏がうっとおしそうにこっちを見てくる。
蔑みの目が、怒りに変わっていたのに、また蔑むような目に
戻っている。
全くコロコロと表情の変わるガキだ。
だが、今の攻撃を喰らってはっきりと分かったことがある。
あの至近距離での攻撃を喰らってもこんだけということは
間髪入れずに何十発も喰らわない限り、手傷こそ負うとして、
敗れることはないだろう。
それに、基裏自身も反動を受け、やや後退してしまうので、やはり
何十発もくらうことはない。
勝利はすぐそこだ。
ハァ、こんなんじゃ駄目だな。
そう言いつつ、基裏は溜息をついた。
「紫表兄の妹として申し訳ないよ。そろそろ勝てないとね」
いきなり、目の前で体育の前にするような準備体操を始める。
屈伸から始まり、伸脚へと続いていく。
「無限衝空拳だ」
ふとまた聞きなれない言葉が耳に入る。
「間髪いれずに50発も入れたら勝てるっしょ」
右手をグー、左手をパーにして、パンパンと叩き合わせる。
手を反対にして、また同じことをした。
これを聞いた時、つい蟹原は吹き出してしまった。
「何笑ってんのよ?」
またあの、毒蛇に睨みつけられているような感覚が身体を包む。
「だってそうだろう。間髪いれずに50発だと?
反動を対処してからものを言え」
あっはっはっ、と大笑いすると
身を包む感覚が変わった。
さっきのような恐ろしさとは違う、ある種の重圧が加わる。
確かに、体は動く。だが、精神的な重力は肉体的な動きをも支配し、
動きが緩慢になる。
「別に、あんたに言われるまでもないし」
そう言うと、基裏の姿が消えた。
超速戦闘、いや、ドリームバードだ。
例の衝撃波の爆音が轟き、風圧が蟹原に襲いかかる。
今までは本気じゃなかったのか、今度の動きは
捉えることができなかった。
とりあえず、不意打ちを避けるため、一番危険な後ろに振り向く。
案の定、そこに基裏はいた。
とっさに衝空拳に備えて、受け身の準備をしたが、
また快音が轟き、基裏の姿は消えた。
幾度それが繰り返されただろうか、
長かったようにも短かったようにも感じる。
それほど、蟹原は衝空拳を警戒し、瞑想に近い状態まで
集中していたのだ。
そしてあるとき、基裏の姿を見失った。
前にも後ろにも右にも左にもいない。
気付いた時にはもう遅かった。
「上か!」
自分に覆いかぶさる、影で判断することができた。
もうすでに、衝空拳の体勢に入っている。
まずい・・・・・
これでは本当に、間髪いれずにごじゅ・・
そんなことを頭で考えている間に一発目が飛んできた。
蟹原は勢いよく地面にたたきつけられた。
基裏は確かに反動を受けてやや後退したが、
見方を変えれば真上に上がっただけなので、すぐに重力に負けて、
近づいてくる。
そして、二発目、三発目、四発目、五発目、六発目・・・・・・・と、
次々と基裏の攻撃は蟹原にクリーンヒットしていく。
そうして、調度50発目で、蟹原は完全にのびた。
「言ったでしょ、私一人で充分だって」
そう言って基裏は、伊達の方へ向き直り、満面の笑みで
誇らしげに、
「すごかった?」
と聞いてきた。
「百点満点だよ」
伊達は、そういうしかなかった。
基裏の成長が、基裏本人から伝わってきた。
誇らしさと、一緒に
続く
________________________________
長えぇっ!
- リバーシブル ( No.29 )
- 日時: 2011/04/24 10:52
- 名前: 北野(仮名) (ID: meZEZ6R0)
=第二十三話=気弓
カッ!
廃工場の入り口前で、ボウガンから放たれた弾が
地面、ドア、壁などに、無数に刺さる。
龍牙の部下、前園は代介と交戦している。
だったらなぜ代介の撃った矢が無いかというと、
代介は弓だけを持ってきた。
つまり、矢を持ってこなかったのである。
「何を考えているんだ」
ボウガンの狙いを定めながら、前園は代介に向かって
問いかけた。
「撃つ物を持たぬ銃士など、戦場において何の役にも立たない」
カバン、そしてジャケットの裏に大量の、無数の種類の
弾を常備している前園としては、この代介の状況は信じがたい。
緊張感、そして真面目さなど毛ほども見られない。
今だってそうだ。あくびなんかしながらノンキにしている。
この慢心の塊のような子供が、なぜ刃向かおうとしているのか、
全く分からない。前園はそう思っていた。
「そー言われてもなー」
決して棒読みではないが、やる気なさそうに代介は説明を始めた。
「そもそもこの弓は、本来矢を撃つ物じゃねぇンだよ」
前園の耳に、未知のセリフが飛び込んでくる。
矢を撃たない弓?そんなもの聞いたことがないぞ。
・・・・・・・・・・・・・・←強調の点
「正確に言うと、世間一般で矢と言われている物を撃つ弓じゃない、
ってだけで、撃つのは矢なんだけどな」
世間一般で矢と言われているもの?
あの矢じりのついた、常識的なものか。
それを使わないとはどういうことだ。
代介が弦に指をかける。
その手には、もちろんのこと、撃つための矢は握られていない。
だが、弦に触れたその刹那、眩い(まばゆい)光を放ち、
矢を錬成した。
「なんだその光の矢は、どこから現れた?」
その光景を眺めながら、前園は目を見開いた。
「これは、気弓と言う」
情けをかけたつもりか、代介は説明を始めた。
要約するとこんな感じだ。
まず、自身の気功を核として、自然界に漂うエネルギーを纏わせ、
矢を錬成する。
自身の気は、核に使うだけなので、少量でよい。
故に、弾がきれることはない。
しかし、普通の弓では、この矢の威力は引き出せない。
だから、このように特別な弓を用いる。
「大蛇天弓」
代介が弓の名前さえも口にする。
「師匠から受け継いだ、遠距離最強の使い手である証」
そして、弓の弦は引き絞られ、光の矢は放たれた。
続く
________________________________
参照欄って何さ?
とか最近思ったりする
ちょっと都合悪くなったんで、
短めに終〜了〜
Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19
この掲示板は過去ログ化されています。