コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- リバーシブル
- 日時: 2011/08/08 22:19
- 名前: 北野(仮名) (ID: XkXzKb57)
初めまして初投稿です
つまらないかもしれませんが暖かく見守ってください
なお、途中で作者名変わりますが気にしないで下さい。
=プロローグ=
「ねぇ、君パズル部に入らない?」
四月八日、入学式とクラブ紹介が終わった時
烏丸紫表は見知らぬ先輩に声をかけられた。
「はい?いきなり何で・・」
「いいからついてきて」
さて何が何だか分からないので朝まで戻ってみよう
〜朝8時〜
「紫表兄、早くしてよ。」
玄関のところで紫表によく似た女子が紫表を呼ぶ。
「ちょっと待ってくれ、基裏」
紫表が慌てて準備する。
「入学式に遅刻なんて洒落になんないよ」
「OK準備できた、行ってきます」
そういって二人は家を出た。
家の前には一人の男子がいた
「紫表、さっさと行くぜ」
白谷治、紫表の一番の友人で、医者志望
そして・・・ナルシスト。
学校につくとクラス発表をしていた。
「三人とも同じクラスか」
うれしそうに紫表がつぶやいた。
「おい、入学式始まるぞ」
治にうながされて、三人は体育館へ向かった。
〜そして今〜
「ちょっと・・・放してください!!」
二年の女子に引きずられる一年男子。なんとも哀れな光景である。
「おっ、紫表・・・お前何して・・」
「おひとり様追加です」
しゃべる治の声を遮って無理やり連れて行く
目の前に基裏も現れた。
「二人とも何してん・・」
「君も来な」
そうして、犠牲者がもう一人増えた
=5分後=
「ここがうちの部室だよ」
中には一人の三年生がいた。
「ようこそ、竜門中学パズル部へ」
「勝手に連れてきて何いってるんですか」
三人を代表して基裏が言葉を返す。
「伊達ぇ・・・」
無理に連れてくんなと言ったろ、そう言って悪の根源をしかっている。
「まぁいい、部長の小島早太だ。よろしく」
「伊達美千流です。よろしく」
とりあえず、俺達が思ったことは
面倒臭いことになったな、ということだ。
「いいですよ」
「は?」
いきなりの紫表の言葉に小島が動揺する。
「面倒くさいからここに入部するって言ったんです」
「紫表兄入るの?じゃあ、あたしも入る」
「じゃ、ノリでおれも」
そういうことで三人ともここに入ることになった。
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崎野手事件 バッグ事件
>>2 >>4 >>6 >>7
ドンマイ、先生たち
>>8 >>9 >>10 >>11
伊達家でかっ!
>>12 >>13 >>14 >>15 >>16
脱線!でも一番力入れました
>>17 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28 >>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34 >>35
>>36 >>37 >>38
熊の怖さとヒマ人のうざさ
>>39 >>40 >>41 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48
昔話(回想)
>>49 >>50 >>51 >>52
みんなで遊ぼう(バトル復活)
>>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>59 >>60 >>61-68
文化祭直前事件
>>69-77
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- リバーシブル ( No.10 )
- 日時: 2011/04/14 18:58
- 名前: 北野(仮名) (ID: Pi8kpTE6)
=第六話=裏返る時(2)
4月20日、昼休み部室にて。
「前言った通り、今日決行するわよ部長も復活したことだし」
マスクうをつけてはいるが、血色をよさそうに
している小島が伊達と立ち位置を変わる。
「よし、では今から裏活動の会議を始める」
小島がガサゴソとポケットから一枚のコピー用紙を取りだす。
「これと同じものを今朝職員室に置いておいた。
間もなく依頼が来るだろう」
「でも、俺らが何もしなかったら解決しないんじゃないんすか?」
「そうじゃないのよ」
ヨコから伊達がしゃしゃり出てくる。
「正確には推理活動をしている部活はあと二つあるの」
伊達が白板にマジックで字を書く。
「一つは一番結果の出てないミステリー同好会」
同好会まで書いた後、その上にダメダメと書く。
「もう一つはそこよりはちょっとましな探偵部」
探偵部の上にはまずまずと書いた。
「そして、うちらが一番ってわけ」
伊達が自信満々に胸を張る。
「いばるな伊達、烏丸だけの力だ」
小島が図に乗る伊達を押しとどめる。
「調度良く今日は曇ってて真っ暗だしね」
これまで黙って聞いていた基裏が紫表に話しかける。
紫表は小島が持ってきた紙だけをじっと見つめていた。
「これ・・・抽象的すぎないか?」
紙にはただ、今日の昼、大変なことが起こるとだけ書いてある。
「まあまあ、授業イヤでしょ。がんばって」
予鈴が鳴ったので、みんな教室に戻ることにした。
〜5時間目〜
「よし、授業始めるぞー。ってあれ?」
おっかしいなー、そう言って先生が何かを探し出す。
「日直は電子黒板を取りに行けと言ったろ」
そう言って、今日の日直が誰か確認する。
「今日は全クラス電子黒板使うって知ってるだろ。
日直の烏丸兄妹取りに行け」
「分かりました、行くぞ基裏」
ガラッと扉を開けて、二人は急いで出て行った。
用具室にて
「これだな、よし、基裏持って行ってくれ」
「OKまかせて紫表兄」
「すまねえ、遅れた」
代介と沙羅も来た。
「配線繋ぐからどいて」
そう言われたので、とりあえず行くことにした。
「おっせえなあ、あいつら」
治が教室でぼやいている。
するといきなり、ブレーカーが落ちた。
いきなり教室が暗くなり、クラスメート達が慌てふためく。
「何だ?何が起こっているんだ!」
先生までパニくっている
「何なんですかこれは!!」
紫表と基裏が慌てて電子黒板を引いて教室に入ってくる。
するといきなりパリーンという音がして、隣のクラスから悲鳴が
聞こえる。
なぜそうなったかは次の瞬間に知ることになる。
いきなり、グラウンドから矢が飛んできたのだ。
「うわああぁ!!!」「きゃあああぁ!!!!」
教室内に絶叫がこだまする。
教室の中で、混乱と不安が渦巻いている。
「あいつ、やりすぎだろ」
紫表と治と基裏が声を合わせてそう言った。
続く
- リバーシブル ( No.11 )
- 日時: 2011/04/14 20:00
- 名前: 北野(仮名) (ID: Pi8kpTE6)
=第七話=裏返る時(3)
ひとしきり教室に矢の雨が降り注いだ後、標的は
隣のクラスに変わった。
また、混乱と恐怖に支配される教室が一つ増えた。
そんな状況がしばらく続いた後、矢が撃たれることはなくなった。
ブレーカーが上がったのかどうか知らないが、電気が復旧した。
「何だったんだ今のは?」
少しの間、教室はざわついたが、落ち着きを少しづつ取り戻し、
窓が開いている妙な状況で授業は再開した。
(作者としてはそんな所で勉強したくない)
そして、先生は電子黒板のスイッチを入れた。
何事もなかったかのように授業をしたいところだが、
窓のなくなったこの状況では不可能としかいいようがない。
しかも、予定ではここからが今日のショータイムだ。
ザザッ・・ザッ・・・ザアアァァァァァァァァァ・・・・・・・
いきなり電子黒板の画面がアナログテレビが電波を受信
できなくなったときのように白黒の横縞の世界になる。
「次から次へと今日は何なんだ!」
先生がついにキレた。(無様すぎる・・・)
そして、一瞬にして、画面は元に戻ったように見えた。
だが、授業の単元は本来の時間割とちがう
スクープ OF ティーチャーズ(先生のスクープ)になっている。
そしていきなり画面が変わった。
<スクープその1>
牧村先生は女子生徒をやらしい視線で見る
<スクープその2>
木村先生はわいろを受け取って生徒の内申を上げる
<スクープその3>
千葉先生はコンビニで立ち読みしまくるケチ教師
<スクープその4>
田中先生は・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
といった感じでスクープがつらなっていく。
スクープその1の牧村は今ここにいる先生だ。
どのクラスも笑い声だけが響いているところをみると、
教師は皆ぼうぜんとしているのだろう。
=10分前=
基裏が電子黒板を持って行っている間、紫表はブレーカー室へ
行っていた。
基裏は教室の前で、ブレーカーを落とした後、急いで戻ってくる
紫表が来てからあたかもずっと二人でいていたかのように振る舞った。
そのころ、代介はグラウンドで待機していて、
電気がついてから矢を撃ちまくった。
そうしてきをそらしている間に沙羅がメインコンピューターを
ハッキングしてスクープを流したのである。
「大成功だったね、紫表兄」
帰り道で考え事をしている紫表に基裏が話しかける。
「ん、ああ」
なんだか気の無い返事を返す紫表。
「なんか紫表兄変じゃない?」
基裏が鋭い質問をする。
「いや、なんかもう今日は疲れた」
疲労感から逃げ出すために、
紫表は違うことを考えることにした。
もうすぐゴールデンウィークだな。
そういうふうなことを考えた。
続く
_________________________________________________________________ やっとここまで来た・・・そろそろ結構長めの章いきます
名前は・・・(考え中)・・・GW戦争編
GWはゴールデンウィークです
- リバーシブル ( No.12 )
- 日時: 2011/04/15 17:04
- 名前: 北野(仮名) (ID: OYJCn7rx)
=第八話=名門伊達家
事件翌日、朝
「先ぱーい、そういや昨日のって何が目的だったんですか?」
昨日バカみたいに矢を撃ちまくった代介があくびをしながら
そう聞いた。返答は・・・
「悪い大人は叩き潰すにかぎるっしょ、社会的に」
伊達がさらっとひどいことを言う。
「もともと、パズル部はオセロ部だったのよ。
やってたことは今と全く同じだったけど、推理と犯行、
その両方をこなすのが白と黒の表裏一体な感じ、
つまりオセロに似てたんだけど・・・まともにオセロできないから
パズル部になったのよね〜」
聞いてもいないのに、パズル部の歴史を語りだす伊達。
「そうそう、一つやろうと思っている事があるの」
いきなり話題が変わったためか、改めてこちらを向き直った。
こういうときの伊達は何を言うか分からない。
「まともな話題をお願いしますよ」
治が変なことになる前に釘をさす。
「今回はまともよ。実は、ゴールデンウィークに実家に帰るんだけど、
みんなで一緒に行かない?仙台のいいところよ。
(東北の人ごめんなさい。設定上ここじゃないといけないのです)
家もでっかいし家族も多いからにぎやかで楽しいわよ」
日本地図を広げて指でさした。
「先輩、私達そこまでバカじゃないですよ。
仙台が宮城ってことぐらあい知ってますよ」
「基裏の言うとおりっすよ。てかそんなに多くの親族がいるところに
俺達が行っていいんすか?」
紫表がちょっとした問題になりそうなことを指摘する。
「いいのいいの。てかあんなとこ一人で帰りたくないし」
そっちが本音だな、部室にいる全員がそう思った。
「という訳で、4月29日祝日から、土日の30、1日祝日の
二日、三日、四日そして創立記念日の五日の七連休で
みんなで仙台行くからなー。朝九時集合。
三時ごろ到着予定よ」
半強制的に伊達が決定させ、その日は解散になった。
〜29日〜
「はーい、みんなそろったわねー」
自分の実家に帰るだけあって、この話・・もとい、今日は
伊達がしゃべりっぱなし仕切りっぱなしである。
「OK、みんな電車に乗って乗って」
すでに乗っていた小島以外の紫表、基裏、治、沙羅、
運悪くゴールデンウィーク中部活の無い代介を電車に押し込みつつ、
伊達が命令した。
「無理やり押し込んでるくせに何が乗ってだよ」
邪魔としか言いようがない弓をかついでいる代介がぼそっと
つぶやく。
「何か言った?」
久しぶりに発動する地獄耳、どんな悪口も聞き漏らさない。
「何もねぇっすよ」
面倒くさそうに答える。
「ちょっと早送りするから待ってて」
「早送りって何さ!?」
紫表の質問もむなしく、時は進んだ。
=午後二時ごろ=
「予定より結構早くに着きましたねー」
沙羅がみんなに聞こえるように言う。
「あぁー、よく眠れたー」
いつもと違って、スッキリ目が覚めた代介がこれから
起こることを楽しみにするような口調になっている。
「ヴー・・・やっと着いた」
それに対して治は電車酔いでグロッキーになっている。
小島もそこまではいかないが、少し元気がない。
いきなり伊達が歩みを止めた。
「おっ、着いたんですか」
紫表はまだまだ体力的に余裕があり、普段弓道とはいえ、
運動部に所属している代介も全然疲れてはいないが、
インドア派の治、小島、女子組の基裏、沙羅は
もうヘトヘトで、今にも倒れそうだ。
だが、目の前に広がるのはとてつもなく大きな屋敷だけで、
都会にあったらヤクザの家ではないかと思うほど、
純日本と言わざるを得ない、瓦張りのでっかい豪邸。
周りが田舎でのどかで、あげくの果てにはヒヨドリが鳴いている
この風景の中では、ただのでかい家としか言いようがない。
「なんだ、休憩っすか」
紫表がそう言ったとき、即座に伊達に否定された。
「違うよ。ココが私の家、そして、独眼竜が建てた家でもあるのよ」
「ハァ・・ハァ・・戦国・・・武しょ・・う・の?」
死にそうな声で治がのどから声を押しだす。
「そう、私の家は、伊達正宗の子孫なんだ!!」
続く
- リバーシブル ( No.13 )
- 日時: 2011/04/15 21:09
- 名前: 北野(仮名) (ID: OYJCn7rx)
=第9話=大家族
「ハアアアアアァァァァァァァ!!!!!!」
ド田舎の風景の中に竜門中学パズル部一向の怒鳴り声がこだまする。
向いの山に反響し、山彦が帰ってくる。
「先輩が伊達正宗の子孫!?冗談にしては正宗に失礼すぎますよ!!」
「君の今言ったことも相当失礼じゃないかな、紫表君?」
定番の怒りマークを付けた顔で、こっちに近寄ってくる。
だが今回ばかりは黙って引き下がれない。なぜなら、
伊達正宗は超がつくほどの有名な偉人。
こんな顔だけ整った腹黒極悪な先輩に子孫などと言わせては
いけない!紫表はそう決心し、目つきを鋭くして話を再会した。
「ですからせんぱい!じょ・・」
「ごめんなさいは?」
どこから出てきたのかは分からないが、伊達が紫表に向かって
竹刀を振りおろす。もう少しで紫表に命ちゅ・・
「がめんなさあぁい!!」
意思は簡単に打ち砕かれてしまった。(あわれ)
「うおーーーーーーーい、帰って来たぞーーー」
でっかい門を開けるのを男子四人組にまかせて大声で自分が
帰って来たことを家にいる人たちに伝える。
「おー、美千流。来たのか」
最初に出迎えてくれたのは一人の中年の男性だった。
「ただいま、お父さん。こっちのみんなは部活仲間」
先輩の話を聞くやいなやすぐに先輩が父と呼んだ人は
こちらにおじぎをしながらやって来た。
「いつも娘がお世話になってます。
見ての通りこいつはちゃらんぽらんで頭が春で・・」
「ちょい待ち、やめんかお父さん!」
全力でその恥ずかしい行動を止めにかかる先輩。
さすがに親には頭が上がらないようである。
「あっ、飲み物買い忘れた」
小島が思い出したように声をあげ、しまったなあというように
顔をしかめた。
今は太陽がギラギラと照りつけていて、4月の終わりだというのに、
じりじりいうような暑さが襲いかかってきているのである。
「じゃあ俺と代介で買いに行きますよ」
いきなり紫表が自分から名乗りを上げた。
だが、その隣で代介がなんでおれなんだよ、と
明らかにいやそうな顔をして、目で問いかけている。
「紫表兄、なんなら私が一緒に行こうか?」
「俺が行ってもいいぞ」
「ありがとう。でもお前らだったら時間かかるから
まだ体力のある代介を指名したんだ」
そう言われてしまっては反論もできなくなり、
結局、代介はしぶしぶついていくことになった。
「じゃ、君達のうち、男子4人はこの部屋、
女子二人・・この際美千流もあっちの部屋を使ってくれ」
伊達の父親が家の中の間取りを一通り教えた後、
みんなが泊る部屋を用意してくれた。
するといきなり、一人の、自分たちと同年代の少年がこっちに
やって来た。
「おっ、健史(たけし)君来てたんだ」
現れた少年に伊達が声をかける。
「お久しぶりです」
なぜかその少年は伊達に対して敬語を使った。
「なぜに敬語?」
意味が分からないといったような表情を治がする。
「美千流様が本家の跡取り候補。
つまり、現当主の孫であり、昨年引退した先代のひ孫だからだ。
分家のおれが敬語を使うのも当然だ」
伊達以外の人間に対する態度がまるで違う。
「分家って・・・ていうか一族何人いるの?」
「30人ちょっとです」
さらっととんでもない数字を答えた。
驚く一向を無視してこっちへ来いというような仕草で
治、基裏、小島、沙羅を連れて行く。
着いた場所は剣道場だった。
いきなり、人数分の竹刀が投げ渡される。
そこにはさっき言っていた一族全員がいた。
「これから試合を始める」
健史の口から予想外の言葉がでたので、みんな(伊達以外)が
目を丸くする。
「はぁ!?なんで?」
「言い訳は無用。一族以外の者は勝てない限りこの俺は
外部の者を信用しない。
それが見張りとして育てられた俺の使命だ」
「そういうことは教えといてくれよ」
小島が伊達の方を見る。
「剣を取れ、全員いっぺんにかかって来い。
一太刀でも浴びせられたら、合格だ」
そうして健史は剣を取る。
「なんなのこの展開?」
基裏と沙羅の言ったことが完全にシンクロした瞬間だった。
続く
- リバーシブル ( No.14 )
- 日時: 2011/04/16 14:40
- 名前: 北野(仮名) (ID: vfhHNd5c)
=第十話=伊達流剣術
「ゼェッ・・ハッ・・・・ハァっ・・・畜生・・!」
さっきから10分も経っているのに、一太刀浴びせるどころか、
近づくことすらできていない。
自分たちを連れてきた当の張本人の伊達は
戦うことも疲れることも全く無く、涼しげにこちらを見ている。
「なんだ、その程度か。しょうもねぇな」
相も変わらず伊達以外には辛辣な言葉を言い放つ健史
基りや治たちが汗だっくだくになっているのに、
汗をかくどころか、息一つ乱していない。
「なんつーバケモンだよ」
小島も今となっては諦め口調である。
なにしろ、自分たちは紫表と代介という体力のある連中が
欠けた状態なのだ。それは諦めたくもなるだろう。
「もう時間の無駄だな、一気に片付けさせてもらうよ」
今まで、こちらに手を出さなかった健史にとって飾りでしか
なかった竹刀が治たちに木場をむけようとする。
その場にいる全員の体に殺気が突き刺さる。
遠巻きにして、観戦している一族の者には
なんら影響はないが、すぐそこに立っている
基裏、治、小島、沙羅の四人には研ぎ澄まされた刃を
首筋に突きつけられているかのような重圧が訪れる。
「うっ・・・っつ!!」
声にならない悲鳴を沙羅があげる。
今までのものとは違い、全身から冷や汗のようなものが吹き出す。
「ごめーん、ちょっとあたしトイレ行ってくるわ」
周りの人たちにそう言って、伊達が席を立つ。
「なぁ、みんな。一つ提案があるんだけど」
小島が3人に呼び掛ける。
「こうなったら、みんなで囲んで一気に叩こう。
そうでもしねぇと・・・こいつは無理だ」
小島の提案にみんな浅くうなずく。
少し顔を上下させるだけでも、この重圧の中ではかなりツライ。
だが、絶対に勝たなければいけない今は、迷っている暇は無い。
目に唯一の、小さな希望を持って、健史を取り囲む。
「へぇ、脳みそはついてんだね」
そう言って、健史は構えをとる。
「今だ!!」
小島の掛け声でみんな一斉に襲いかかる。
瞬時に健史はカウンターの体制に入り、剣を振りかぶる。
狙いは、自身が声を出したことで、反応が遅れたみんなより、
半歩前に踏み出している小島だ。
「のろい・・」
振りかぶった剣を前に突こうとしたその瞬間、健史の防具に
衝撃が走った。
(今さらですが、みんな防具着てます。危ないんで)
スパアンッ!!という快音が剣道場に響く。
誰が当てたのかは分からないが、攻撃を決められてしまった以上
剣を納めるほかにとることは無く、手を止めた。
だが、そこまで反射神経が良い人間は、防具を着ている5人の中では
健史だけだった。
さらに三本の剣が健史の防具をとらえた。
健史が振り向いたときには全員竹刀を手元に引き戻し、
すまなさそうな顔をして、自分の方を見ているので、
誰が自分に攻撃を当てたのかは分からなかった。
「ちっ、合格だ。好きにしろ」
そう言い残して剣道場から出て行った。
健史が剣道場を出た時、伊達が走って戻ってくるのとはちあわせた。
「あれ?もう終わっちゃった?」
両脇には、見たことのない二人がいる。
「こっちが紫表君で、こっちが代介君。
もうこの二人の分は試験しなくていいから」
「分かってますよ。相手が4人で負けたんです。
6人だったらなおさら勝ててませんよ」
そして、ふと伊達に言わなければいけないことが出てきた。
「ちょっとこっちに来てください、美千流様」
少しの間紫表と代介には席をはずしてもらう。
「で、話って何?」
伊達が早く聞かせてくれ、というように切り出す。
「実は・・・先ほど戦った時・・妙な感覚がしました。
まるで・・・超速戦闘のような・・」
健史の話を聞いて、伊達の顔つきが変わった。
「何か、心当たりがあるのですか?」
自分では気づいていないが、目つきが鋭くなっていたのか、
伊達にそのことを注意された。
「実はね・・・前にも似たようなことがあったの」
伊達はこの前起きたテニス部の萩原さん事件のことを話した。
「そんなことがあったんですか・・・」
健史はしばらく考え込んだ。
すると、さっきの紫表と言う名は、何か聞き覚えがあるような
気がした。
でも、ただの思いすごしだろうということで、その考えを否定した。
「とりあえず・・・今の問題は、誰が伊達流剣術三大奥義・心技体の
体の奥義、超速戦闘を使えるのかってことです」
超速戦闘、その名の通り、超高速で戦闘する技術のことを指す。
超高速といってもそれは、生半可なものではない。
音速級で、その動きは
超速戦闘を会得していない限り、目にすることはできない。
「そのことについてはまだ他の人には言わないでおいて
私達の思いすごしかもしれないし」
伊達のその一言で、この話題は打ち切られた。
そして、その日はもう、日は西に傾いていた。
続く
_________________________________________________________________
健史君強っ!!
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