コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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リバーシブル   
日時: 2011/08/08 22:19
名前: 北野(仮名) (ID: XkXzKb57)

初めまして初投稿です

つまらないかもしれませんが暖かく見守ってください

なお、途中で作者名変わりますが気にしないで下さい。

=プロローグ=
「ねぇ、君パズル部に入らない?」
四月八日、入学式とクラブ紹介が終わった時
烏丸紫表は見知らぬ先輩に声をかけられた。
「はい?いきなり何で・・」
「いいからついてきて」
さて何が何だか分からないので朝まで戻ってみよう
〜朝8時〜
「紫表兄、早くしてよ。」
玄関のところで紫表によく似た女子が紫表を呼ぶ。
「ちょっと待ってくれ、基裏」
紫表が慌てて準備する。
「入学式に遅刻なんて洒落になんないよ」
「OK準備できた、行ってきます」
そういって二人は家を出た。
家の前には一人の男子がいた
「紫表、さっさと行くぜ」
白谷治、紫表の一番の友人で、医者志望
そして・・・ナルシスト。
学校につくとクラス発表をしていた。
「三人とも同じクラスか」
うれしそうに紫表がつぶやいた。
「おい、入学式始まるぞ」
治にうながされて、三人は体育館へ向かった。
〜そして今〜
「ちょっと・・・放してください!!」
二年の女子に引きずられる一年男子。なんとも哀れな光景である。
「おっ、紫表・・・お前何して・・」
「おひとり様追加です」
しゃべる治の声を遮って無理やり連れて行く
目の前に基裏も現れた。
「二人とも何してん・・」
「君も来な」
そうして、犠牲者がもう一人増えた
=5分後=
「ここがうちの部室だよ」
中には一人の三年生がいた。
「ようこそ、竜門中学パズル部へ」
「勝手に連れてきて何いってるんですか」
三人を代表して基裏が言葉を返す。
「伊達ぇ・・・」
無理に連れてくんなと言ったろ、そう言って悪の根源をしかっている。
「まぁいい、部長の小島早太だ。よろしく」
「伊達美千流です。よろしく」
とりあえず、俺達が思ったことは
面倒臭いことになったな、ということだ。


「いいですよ」
「は?」
いきなりの紫表の言葉に小島が動揺する。
「面倒くさいからここに入部するって言ったんです」
「紫表兄入るの?じゃあ、あたしも入る」
「じゃ、ノリでおれも」
そういうことで三人ともここに入ることになった。



_______________________________________________


崎野手事件   バッグ事件

>>2 >>4    >>6 >>7

ドンマイ、先生たち

>>8 >>9 >>10 >>11

伊達家でかっ!

>>12 >>13 >>14 >>15 >>16

脱線!でも一番力入れました

>>17 >>19 >>20 >>21 >>22 >>23 >>24 >>25 >>26
>>27 >>28 >>29 >>30 >>31 >>32 >>33 >>34 >>35
>>36 >>37 >>38

熊の怖さとヒマ人のうざさ

>>39 >>40 >>41 >>44 >>45 >>46 >>47 >>48

昔話(回想)

>>49 >>50 >>51 >>52

みんなで遊ぼう(バトル復活)

>>53 >>54 >>55 >>56 >>57 >>59 >>60 >>61-68

文化祭直前事件

>>69-77

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Re: リバーシブル    ( No.70 )
日時: 2011/06/29 20:00
名前: 北野(仮名) (ID: uel54i.x)

=第五十八話=話し合い




午前九時、朝食を食べ終えた三十分後。
沙羅はいつものようにパソコンに向かっていた。
もっとも、やっていることは普段とは全然違っているが。

<全員集まった?>

画面上についさっきまで無かった文字がいきなり現れる。
それを合図として、「いるよ」とか「います」とかいう内容の
ものがいくつもいくつも液晶を埋め尽くしている。
現在、文化祭で何をするかチャットを使ってみんなで話し合いをしているのだ。

<別に全員いなくていいから始めようぜ>

そんな中、一つのセリフがその連鎖を断ち切った。
まあ、クラス全員がいるのはすでに確認できたからもういいのだが。

「誰よ、そんなこと言ってんのは?」

キーボードには打ち込まないが沙羅は現実世界で愚痴を言った。

「真後ろにいんじゃねーか」
「あんたかよ、代介」

かなりだるそうにして掌の中で何かを扱っている。
良く見てみると、それは最近人気の出てきた
「小さいパソコン」という代名詞の付いたケータイの一種だった。

「ス●ートフォンだっけ?なんでそんなもん持ってんのさ?」
「ついこないだ助けたおっさんが通信機器の会社の偉いさんで勝手にくれた」
「助けたって・・・何したのさ?」
「強盗に襲われてたから矢で射抜・・」
「やっぱいいです」

なんにせよ、いやいやとはいえ、代介が混じっている
この珍しい状況の中、会議は進んでいくのであった。

なぜこんなにも慌てているのか?
その疑問に答えるのは簡単だ。
時間が無いから、そうとしか言いようが無い。
具体的に何をするか決まってからは、準備は総合の授業中にしか出来ない。
一ヶ月後にはもう開催、ちなみに準備が出来る授業は週一である。
ついでに言っておくと、もうすぐ魔の中間テストである。
正直代介、紫表、治は成績いいが、自分と基裏は・・・酷い。

「ま、いいわ。さっさと画面に集中して」

そんな会話をしている時には、もういくつか返信があった。
どれどれ、中身は・・・

<うわ、代介だ!意外!>
<機械系使えるんだ—>
<代介の言うとおりさっさとしようよ>

あ・・・完全にこいつ話題の中心だ。
とりあえず、会議は続くのであった。

<喫茶とかどう?>…クラスメートA
<それはPTAの専門だから許可されません>…代介
<歌おうよ!>…クラスメートB
<二年生に負けるよ>…代介
<劇も無理?>…クラスメートC
<無論>…代介
<何ならいいんだよ!>…クラスメートA
<縁日とかでいいんじゃない?射的とか>…代介
<銃どうすんの?>…クラスメートC
<エアガン?>…クラスメートD
<いや、しょっとが・・

「待て待て待て待て!!」

さっきからこの会話に入って行けず、とりあえず代介の方の
画面からその光景を見ていた沙羅だったが、
法に触れそうなものが出てきそうだったので、
送信を取り消した。

「なんでショットガンなんてあんのよ!?」
「親の趣味がクレー射撃」
「結構そんなものだったりすんのね・・・」



中々進まないものだったりした・・・・・






                        続きます



_______________________________________



基裏「紫表兄勉強教えてー」

紫表「どのへん?」

基裏「疑問文のあたり」

紫表「Doを最初に付けて最後に?そんだけだよ」

基裏「いや、だからそれがちょっと・・・」

紫表「え?なんで」

基裏「いや、何か生理的に・・・」

紫表「言葉なんだから理屈は抜き、さあ覚えましょー」


結論

紫表に勉強を教えてもらう時は必要最小限の知識を持ってから!

Re: リバーシブル    ( No.71 )
日時: 2011/06/30 17:58
名前: 北野(仮名) (ID: aS9uLd49)

=第五十九話=手抜いてるとか言わないで!






その日一日中みんなで話し合いをして、ようやく決定した。
文化祭でするのは代介の提案した縁日。
内容は、射的とくじ引き、そして金魚・・・は流石に無理だったから
スーパーボール掬いになった。

射的の担当は代介と沙羅とクラスメート数人。
景品は各自が家にある特に使わなくなった物を持ってくることにした。
古くなったサッカーボールとか、でっかい水鉄砲とか色々
よさげな物がそこそこ見つかった。
銃は何を使うのかというとエアガンである。
ただ、普通のBB弾じゃ倒すことなんて到底出来ないから
位置は多少遠くなるが的を設置、そこに当てたら商品ゲットである。

次にくじ引きだが、ただ単に射的を簡略化しただけである。
担当はクラスメートA〜Cとその他数人。

ラストのスーパーボール掬いは・・・説明いるかな?
担当は残ったやつ全員。

ここおまで決まるのに軽く五時間はかかった。
途中昼飯を取ったりしたので結局の話、終わったころには
軽く三時を回っていた。

そうして、パソコンの電源を切ったそのとき、
タイミングを見計らったかのように伊達がやってきた。
手には楽譜を持っている。
おそらく一人でどこかで歌の練習をしていたに違いない。
そのまま楽譜を鞄に入れて、二人の方にやって来た。

「決まった?」

電源を切ったところを見ていたので、
話し合いがもう終わっているのは知っていた。

「はい、何とか。プチ祭りみたいなことをしようと・・・」
「ああ〜、私が一年の時に隣のクラスの人がしてたな」

結構受けは良かったよ、そう言って居間の方に帰っていった。

「俺も部屋戻るか」

ケータイをポケットにつっこんで伊達が言った反対の方向に
スタスタと歩いていってしまった。







「練習しないとな」

部屋に着いた代介は、壁に立てかけてある
弓を取りだした。
まだあの日の闘い以来、天弓の蛇の装飾の色は褪せている。
まだメンテナンスが必要な証拠だ。
ま、普通の矢は撃てるのだが。

「で、部長。何に顔をうずめてんすか?」

部屋の隅で小島が顔を一心に寄せて
何かを読み込んでいた。
確か三年は劇だから台本だろうな。

「うちのクラスの台本。なんか知らんがいろんな人に
 大量のセリフがあってな。俺も結構覚えないといけないんだ」

やっぱな、そして大変そう。
それだけ心の中で言って、「そっすか」と
素っ気ない返事をして矢の打ちっ放しに行った。
自分だからこんなもので終わったが、伊達にならもっと
キツかったろうな。
そう自分が代介に嫌われていないことをやや感謝した。

「伊達以外はあんだけ言われたら心折れるんだろうな」

苦笑いしながら台本に目を戻した。
















「あれは手に入ったか?」

暗い理科準備室であの輩がまたしても話をしていた。
ここには、人体模型や生物のホルマリン漬けなど
様々な見慣れない物が並んでいるが、ここが部室になってから
もうかなり経っているので何も感じない。
慣れとは恐ろしいものだ。

「ああ、手はず通り横流しで手に入った」
「一時はどうなるかと思ったよ。あんなのが配られるなんて」

机の上に、数枚のお札が並べられた。
幾何学的な模様が螺旋を描いている。

「呪術符だ。一つずつ配っていく」

六人の人間が一人の前に並んだ。

「スタークロス(五傍の聖架)」

そう言って、目の前の人間にそのうちの一枚を与える。
真っ黒なローブを羽織っているので、男女の区別は
ここの人間にしか分からない。

そして、一人一人、慎重に配っていった。




                          続く

Re: リバーシブル    ( No.72 )
日時: 2011/07/02 13:47
名前: 北野(仮名) (ID: arQenQl7)
参照: もうゴールデンウィークのネタが尽きたんだ

=第六十話=開戦までのカウントダウン



そういう風に平和に五日目は過ぎ去り、ついには六日目になってしまった。
明日が長かったゴールデンウィークの最終日。
一日家でゆっくり体を休めるためにみんな今日中に家に着くよう
荷物をまとめて帰る用意をしている。

「用意出来たか、基裏?」

寝坊した妹の元へ紫表がやって来た。
もう昨日のうちに荷物を畳んでいた紫表はすでに暇人であった。
沙羅もコンピューターだけを大事にしまい、
他の着替えなどの荷物は適当に詰め込んだので
もうとっくに終わっていた。

治や部長、代介は早起きしてさっさと片付けていたから
朝食までにはやはり終わっていた。

「先輩の方が大変だけど私もまだだよ」

チラッと基裏が伊達の方を見た。
宗治や健史、大地や零花から大量のお土産を渡されているので
持ち運びがすでに面倒くさそうな状況に陥っている。

「今日で帰るとなるとちょっと淋しいな」

独り言のように紫表は言葉を漏らした。

「だったら将来ここに住むか?お前ほどの実力の人間なら大歓迎じゃ」

さっきまで孫と話していた零花がやってくる。
紫表は深々と頭を下げた。

「師匠、昔から世話かけっぱなしで申し訳ありません」
「構うものか。それどころかお主は立派にここを守ってくれた。
 助けられているのはこっちじゃ」

そう言ったときの話だ。
電話を持った伊達の父親が部屋に来たのは。

「紫表君、電話だよ」

一体誰からだろうかと思いながら受話器を受け取った。
そこからは、ついこの間闘ったあいつの声が聞こえた。

「久しぶり、でもないな」
「龍牙か、どうしたんだ?」
「ああ、一つ忠告だ」
「何があったんだ」
「月輪(がつりん)の連中には気を付けろ」
「月輪?一体何だそれは?」
「詳しくは俺も分からん。名前が月輪の同胞衆ということと、
 えらく強いやつがいることしか分からん。
 ボスはいないが七人の幹部がいる」
「七人?多いな」
「ああ、素性が割れてるのはたった一人だ」
「誰だ?」
「伊達彩子」
「ハァ!?それって・・」
「美千流には黙っとけよ。連中のやることは過激だと思っとけ。
 中坊に兵器まがいのものを渡すほどだ」
「何を渡したって言うんだ?」
「自分の目で確かめろ。お前らは狙われてる」

そして、電話は切れた。
リダイヤルしようとしたが公衆電話からかけてきたようで、
それは出来ずに終わった。

「何があったの?紫表兄」

基裏が心配そうに顔を覗き込んできた。
おそらく今、自分は驚きと動揺で顔は歪んでいるだろうと思った。

「あ、あぁ。まず準備をしてくれ。その後みんなの前で言う」

それだけ言って一旦自分の部屋に戻った。








「・・・・・ということらしい」

伊達の母が幹部の一人だということだけを伝えずに
それ以外のことをパズル部のみんなに伝えた。
まず、月輪という言葉に代介が反応した。

「そいつらのことは一つだけ知っている」

珍しく眉間にしわを寄せて、瞳に憎悪を湛えた目で
吐きだすようにそう言った。
手元の弓を抱えるようにして強く掴んだ。

「七人の幹部の一人は、俺の兄弟子だ」
「マジかよ」

伊達に続き代介の知り合いもメンバーか。
世間の狭さを思い知る。

「何にせよ、襲われるというなら対策は一つね」

それを聞いても伊達は臆せず、取るべき道を切り開いた。

「帰り討ちだな」

小島もいつになく物騒なことを言う。
だが、正当防衛ならそれもやむを得ない。

「ただ、紫表と代介がフルじゃない」
「そこなのよね」

治が問題点を指摘する。
それは困るな、といった風に伊達はくしゃくしゃと
髪の毛を掻き回した。

「いや、倒してみせます」

腰に付けている立方体を手でいじくりながら紫表は答えた。

「尖牙激昂(せんがげっこう)は使えますから」
「・・・何それ?」

聞いたことがない、そう驚いた表情で伊達は
紫表の方を見た。

「説明は今度します。それより、身を守る術を考えましょう」












そうして、七人は大きく不安を残して、
帰路につくことになるのだった。






                                続く






_________________________________________



会話多すぎだ・・・

そして、次回ようやくゴールデンウィーク終了!

四十話以上もゴールデンウィークじゃん!

次は文化祭直前決闘編とでも言おうかな?

Re: リバーシブル    ( No.73 )
日時: 2011/07/02 21:42
名前: 北野(仮名) (ID: arQenQl7)
参照: もうゴールデンウィークのネタが尽きたんだ

=第六十一話=答え




「紫表君、結局あの伊達家の財産って何なの?」

今にも出発しようとしているところに伊達がいきなりそんなことをぶり返した。
あー、そんなのもあったなーと思いつつも紫表はその答えを口にした。

「簡単ですよ。あれは暗号じゃなくて詩みたいなものです。答えはき・・」
「うわ〜そんなのいきなり思い出すとかやっぱり黒いんだー」

いざ、答えを言ってやろうとした紫表の声は代介によって遮られた。
にしても隙あらばこいつは喧嘩を売るな。

「代介、しばき回すわよ」
「きゃー、紫表ちゃんお助けー」

どこまでもふざけた口調で紫表の影に隠れる。
血管を浮かべながらも伊達は嫌々拳を引いた。

「なんで紫表は殴らないんだ?贔屓?贔屓?それ良くないよね」
「いっそのこともう黙りなさい」

一度おさめた拳をまたグーに固める。
明らかに怒っちゃってますよね。

「あれ?それとも紫表くん大好き?」
「ぶっ殺すわよ。後輩に手出すとでも?」

伊達が紫表にどくようにジェスチャーをする。
それに従って横にスライドしたが、結局代介もそれに着いてきたので
ずっと盾になり続けていた。

「ていうかあんたこそことあるごとに私に絡みすぎじゃない?
 先輩尊敬してる?Do you love me?」
「んな訳ねえじゃん。俺の目には一部の人間除いて男も女もミジンコもみんな同じだよ。
 例えそうじゃなくてもあんたなんかよりハッカーを尊敬するね」

一部の人間とは仲のいい男子や、クラスメート、家族などが入るようです。
また、悪人や自分の嫌いなタイプの人間も例外です。(嫌いだから)

「で、結局答えは何なの、紫表兄」

宝なんかどうでもいいが、答えの気になった基裏が
紫表を問いただした。
その一言で、鬱陶しい代介をほっといて答えを聞きだすことに
専念しようと伊達は決めた。

「あれは言い方が悪い。あの財産は何も伊達家だけのものじゃない。
 財産の在り処を分かりやすく言うと・・・」

紫表は、自分と基裏の間に手を出した。
そして、そこに何かがあるようにぐっと掴んだ。

「ここにある」
「え・・・空気?」
「違う・・・・・・・」

溜息をついて、一気に呆れたような顔つきになる。
そして次に、すぐ後ろにいる代介との間で、
同じように拳を作った。

「ここにもある。何か分かるか、代介?」
「絆、とかそんな感じじゃねえの?」

一番その言葉が似合わない人間があっさりとそれらしい
解答を口にする。
かなり失礼な話だと思うが、その場の人間たちはどよめいた。

「そうだ」

しかも正解。
いやー、意外な人が当てるものなんですね。

「にしても、宝が無いってそういうことだったんですね」

伸治が当主陣に対して感嘆の句を述べる。
一番宝に期待していたような人間なのに全くと言って良いほど
落胆していない。
ほとんど好奇心だけで宝なんて眼中に無かったようだ。

「気は済んだか?」
「すっきりとしました」

ふと小島は時計に目をやった。
もうすでに十一時を回っている。

「伊達、電車十二時半発だよな?」
「はい。ってもう十一時!?」
「しっかりしてくださいよ、先輩」
「代介、何度いったら・・」
「今の治ですよ」
「え?そうなの」

確かに毒々しい言い方ではなく
ほとんど呆れるような言い方だった。
まあそれはそれでムカつくが・・・

「先輩、電車〜」
「分かったから基裏ちゃんちょっと待って」

そして、門の左側の柱に向かいあった。
右手を沿えて、優しく目を閉じて、祈るようにぼそりと呟いた。

「次こそ帰っていますように」

そして、ピッタリと体を寄せつけて
自分の身長のところに傷を付けた。
横に、十三歳と半年ぐらいと刻んだ。

「戻ったら見といてよ」

そして、急いでみんなの下に戻ってきた。
やっと、帰る準備が完全に出来たようだ。

「じゃ、次は夏休みに。今度は私一人で帰ってくるよ」
「いや、伊達流剣術持っている者は今年集合だから烏丸兄妹も来るぞ」

この瞬間、二人の頭にクエスチョンマークが浮かんだのは
言うまでもないだろう。

「えっと・・・何があるんですか?」
「ああ、今まで紫表は呼んだことなかったの。
 三年に一回、伊達流剣術の大会みたいなものがあるんじゃよ。
 まあ、十三歳と言えば一昔前なら元服までもう少し。
 立派な大人じゃ。参加してもらうぞ」
「ごえんり・・」
「紫表君、いい訳無し。後電車乗り遅れるわよ」

気付いた時には時すでに遅し。
みんなすでにはるか彼方へと行っていた。
伊達が超速戦闘で一瞬で連中に追いつく。
紫表はというと、筋肉痛が昨日取れたばかりで上手く体が動かない。
よって、一人だけ駅に着くのが電車到着の寸前なのだった。










                              続く





________________________________________




ていうかあの子もうしばらく超速戦闘できないしね

Re: リバーシブル   人の名前考えるのってめんどくさいよね ( No.74 )
日時: 2011/07/03 18:26
名前: 北野(仮名) (ID: arQenQl7)
参照: 二つに分けます

誰かー、人物名をくださーい、人間は思いつくけど名前が無いんですー

以上、独り言でしたー



=第六十二話=開戦



「ああぁ〜、疲れた」

家に帰って来た治が初めに発した言葉はそれだった。
自分の部屋の、柔らかいベッドに久しぶりに飛び乗る。
ほんの少しの抵抗だけ示して、ゆっくりと凹んだ。
洗剤のスッキリとした匂いの中で、いざ寝ようとした時に
ケータイが鳴った。


余談

小島、伊達、治…ケータイあり 沙羅…パソコン 代介…ip●one

残り2人…何もなし


「一体誰からだよ」

ガサゴソとポケットの中をまさぐって機械の匣を取りだす。
横のボタンを押すと、カチッという心地よい音が響き、
ひとりでに画面を見せてくれた。

「・・・マジで誰だ?」

見たことも無いメールアドレスだった。
moon-circle.dragon-gate(以下略)といった感じだ。
いちいち何のメールをどこの誰が送って来てんだよ。
なんだ?ドラゴンゲートって竜門中のことか?
同級生の可能性が高いと思われたので、開こうとしたその時
脳裏をよぎる一つのフレーズ





—————月輪の同胞衆




「——っつぅっ!!!」

moon…月、circle…丸=輪

まさかこれは・・・・・





—————俺達は狙われているらしい。





脳裏に現れたもう一つの紫表のセリフ。
あの龍牙から送られてきた情報だから信憑性は個人的には一切無い。
だが、紫表は実際に信用していた。
それに、代介の話から察するにその組織の存在は確かであろう。
不安と勇気の入り混じった思いでケータイの決定キーを押した。



すぐに、開けなければ良かったと、後悔することになる。



『犯罪者どもが。いきがっているんじゃあない。
 裏活動?ハッ!驕りたかぶった偽善者の自己満足だ。
 悪人潰すと息巻いてるがお前らのしてることが悪じゃないとは言えないよなあ?
 粛清だ、制裁だ!!今すぐ学校に来いよ、相手になる
 さあ宴の始まりだ』

「調子乗ったかっこつけが何言ってんだか」

そんな風に平静を装い、強気な独り言を言ったはいいが、
内心はかなり取り乱していた。



こいつ…裏活動を知ってる!?何者だよ!



一旦紫表の家に電話をかけてみることにした。
ケータイの電源の部分のボタンを軽く押し、
ホーム画面に戻る。
そして、市外局番から一文字ずつ、
落ち着かせるようにゆっくりとボタンを押していった。








「何だこの張り紙?」

同じころ、紫表は自分の家のドアに一枚のA4の紙がべったりと
張られているのを目にした。
ついさっき張られたようで、糊が乾ききっていないどころか
塗ったばかりのようだ。
まるで、自分が帰ってくる時間が予測されていたようだ。

まずは母さんに聞いてみよう、そう思って家の中に紫表と基裏は入った。

「ただい・・」
「ああ、紫表帰ってきたわ。今代わるね」

いきなり、ただいまも言っていないのに母さんがやってくる。
手には受話器を持っている。
誰からの電話なのだろうか?

「白谷くんからよ」

どうやら治からのようだ。
おそらく内容は・・・

「もしもし」

受け取った受話器を耳におしあてる。
持っている右手が小刻みに震えている。
電話の向こう側から治の声が聞こえてきた。

「なあ、紫表。月輪が・・・」
「ああ、俺も張ってあった。内容は・・・」

この後話して分かったのだが
書かれていたことはほとんど同じだった。
ただ、少しだけ違うところは
治の場合、粛清だ、制裁だ!の部分が
紫表の場合は、裁きの時だ、その身に無力を思い知るがいい!だった。

「どうすんだ、紫表?」

まさかこんなにも早くに来るとは思ってもいなかった。
だったらいっそのこと・・・

「俺は行く。治は先輩と部長、代介に伝えてくれ!頼んだ」
「待て紫表!お前体は・・」

話を最後まで聞かずに電話を強引に切る。
そして、血相を変えて基裏の方を見た。

「基裏、ドアの片付けと母さんを頼む!学校に行ってくる」

それだけ言って、カバンを置くと
帰って来たばかりだというのにまた夜の道へと飛び出した。

「あの子どうしたの?」

母さんがやたらと不審そうな顔をしている。
それをいち早く察知した基裏は全力でフォローに回った。

「何か最近いたずらが流行ってるの。今被害にあったから学校に隠れてる
 犯人のところに行ったのよ」

まじでいたずらみたいな感じで良かった。
とりあえず、基裏が一番苦労したのは、
裏活動のことを知られないために自分ひとりで片付けるよう母を説得することだった。






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