コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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*叶恋華*Ⅱ β実話β 無事に完結!!
日時: 2012/05/01 18:53
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: 9RoM5lpe)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=22853

——好き。


好きなの。


だぁいすき。


≪知ってるくせに、
気付いてるくせに。
知らない振りは、やめてよ。≫


(●´・ω・)ノ☆☆☆HELLO☆☆☆☆ヽ(・ω・`○)

*2010.3/25*第一期『*切恋華*』完結!!
*2010.4/6*第二期、*切恋華*の続編『*君想華*』すたーと
*2011.1/25*『*君恋華*』完結!!
*2011.1/25*『*叶恋華*』すたーと
*2011.7/12*『*叶恋華*』完結!!
*2011.7/13*『*叶恋華*Ⅱ』すたーと
*2012.5/01*『*叶恋華*Ⅱ』完結!!

↑のURLは【*叶恋華*】の二年生編です!
(今作は三年生編です


一応この小説は実話を元にしたお話です^ω^b
過去形の、作者の恋愛です。
依麻の思考とかは、少し手を加えています←
あと、セリフも思い出せる限りメモしてるのですが……全てが正確という訳ではないので、ご理解お願いします。

作者の名前一覧*
絵磨◆VRtMSlYWsU
絵磨(携帯)


       掲 示 板 編 集 中 !
(今は見づらいですが、次第に見やすくなるように修正していきます><)

☆注意☆
*実話をもとにしていますが、細かいところや市名や名前、全部仮名&フィクションです
*基本フリーダムな書き方です←
*馬鹿な作者は恋すると更に馬鹿になりますので、自意識過剰が酷くなると思います; それにつれ色々むかつく点がチラホラ出てくると思いますが、暖かい目で見守って下さると嬉しいです;ω;
*中傷・ケンカは×!!
*長編なので、ぜひ! 暇つぶしに読んでください♪
*更新亀
*作者は高校生です。精神年齢はそれ以上に低いので絡む際にはお気を付け下さい。
*文章力ないので、勉強中です。描写なども下手くそなので、ぜひアドバイスしてくださると嬉しいです^^*
*コメ返しなどで「w」や顔文字など乱用します(特に「w」)ので、苦手な方はご注意ください。
*小説内でメールや手紙の時だけ絵文字顔文字が使われます。ご理解頂けると嬉しいです!




≪私さ、蕾のままでも強くなれる?≫
【*叶恋華*Ⅱ】

         〜↑目次↑〜

Prologue-ぷろろーぐ->>1
MainCast-めいんきゃすと->>2
CastⅠ-きゃすと2->>3
CastⅡ-きゃすと3->>4

第一章【新しい始まり】
1.『三年生』>>10 2.『由良の手紙』>>11 3.『好きなタイプ』>>13 4.『曖昧地点』>>25
5.『知りたい想い』>>26

第二章【複雑×心境】
6.『複雑な気分』>>36 7.『視線と距離』>>39 8.『My Heart』>>41

第三章【意味深Heart】
9.『決断』>>42 10.『隣の席の』>>44 11.『どう思ってる?』>>46 12.『梅雨の朝』>>51
13.『天下一品の発言』>>52 14.『髪型』>>54 15.『大好きな気持ち』>>55
16.『第一希望』>>58 17.『オレンジの期待』>>65 

第四章【誕生日】
18.『My Birthday』>>66 19.『十五歳』>>67

第五章【衝撃的な展開】この章の注意>>68
20.『林田とのメール』>>69 21.『林田の好きな人』>>74 22.『衝撃発言』>>75
23.『林田の本気』>>79 24.『意味深情報』>>73 25.『予行練習』>>88 26.『類似の法則』>>92
27.『プリント』>>94 28.『叶汰の言葉』>>97

第六章【期待と嫉妬】
29.『目線』>>100 30.『期待と嫉妬』>>102 31.『うぬぼれ』>>105

第七章【波乱の幕開け】
32.『五月六日の出来事』>>109 33.『呼び出し』>>112 34.『タイミング』>>113
35.『恋の痛み』>>117

第八章【痛み≒期待】
36.『○神家の壱族』>>120 37.『その差、10cm』>>147 38.『突然の会話』>>150
39.『勘違い≒期待』>>151 40.『私×君の気持ち』>>158 41.『膨らむ期待』>>159
42.『お礼』>>164 43.『バス座席』>>165

第九章【修学旅行】
44.『修学旅行一日目』>>170 45.『修学旅行二日目』>>178
46.『修学旅行三日目』>>180

第十章【片想いの定義】
47.『弱虫片想い』>>182 48.『欲張りな可能性』>>187 49.『中体連壮行会』>>190
50.『無意識』>>192 51.『加速』>>196

第十一章【進む気持ち】
52.『昔と今の姿』>>197 53.『文化祭の役割決め』>>202 54.『Start!!』>>204 55.『数分の間』>>205
56.『挨拶の手順』>>213 57.『ばいばい』>>216 58.『矛盾heart』>>220 59.『噂』>>221
60.『雨模様heart』>>225 61.『誤解』>>227

第十二章【体育祭】
62.『体育祭と気持ち』>>228 63.『お疲れメール』>>229

第十三章【決戦と決意】
63.『馬鹿な想い』>>230 64.『七月七日』>>233 65.『残聴』>>236
66.『告白と協力』>>237 67.『決戦は明日』>>238
68.『There's no turning back now』>>243 69.『優しい言葉』>>244
70.『告白後』>>245 最終話『終業式』>>247

.:*゜..:。:.::.*゜お知らせ&イベント.:*゜..:。:.::.*
返信100記念『雑談と今後の内容的なもの』>>101
苺羅様とのコラボ企画小説『平安撲滅企画』
>>124 >>126 >>127 >>131 >>134 >>135 >>138 >>143
おまけ>>144
『50話突破記念』>>193
番外編『日常』(優視点)>>232
あとがき>>248


◆お客様◇(>ω<)カンシャ!
(◆◇=前作)
(☆★=今作)
◆苺羅様 ◇宇莉様 ◆闇に光様 ◇あやめ.様 
◆ちか様 ◇偽者様 ◆、璃瑚.様 ◇のの様
◆さわ様 ◇魔王様 ◆ココ様

☆苺羅様 ★紗貴様 ☆Luke様 ★yui様
☆宇莉様 ★ココ様 ☆樹杏様 ★*ユキ*様
☆恋歌様 ★恋水うさぎ様


皆様の温かいコメントに、手が震えてます←
本当にありがとうございます><
更新やる気MAXになります///w



作者のモットー(は
【恋をしている皆さんに少しでも共感してもらえる小説を書く!!】
描写下手ですが、自分の想っている恋の感情を素直に表したいと思うので、少しでも共感していただけると嬉しいです^^*



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Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.39 )
日時: 2011/07/24 18:56
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: HpE/sQXo)
参照: こんな人生寂しいです(by.BadBye

第七話『視線と距離』


時間が経ち、あっという間に給食時間終了。
何も起きず、平凡な一日にぼんやりしながら、私は牛乳パックを置きに行く。


「お、依麻ー。ねー聞いて! 中条がねー」


牛乳パックを置くための列。
ちょうど私の前に由良が居た。
由良は前に並んでいる中条の肩に手を置きながら、何やら爆笑している。
何がそんなにおかしいのかよくわからなかったが……。
私も話に合わせて笑みを作り、顔を上げる。
そんな時。


ちょうど、向こうに居た壱と目が合った。


「……っうっ、あ、な、中条うけるねー!」


まさか、ここで目が合うとは思ってなかったから。
明らかに挙動不審。
私は戸惑いながらも笑顔を作り、壱から目を逸らして牛乳パックを触った。
……駄目だ、やっぱ逸らしちゃう。
壱と目が合うたび、由良の言葉を思い出す。
壱のあの気だるけな表情を見る度、なんだか胸が苦しくなる。


壱は、顔に出さなくてもこんな奴に好かれるなんて、迷惑だって思ってるかもしれない。
私が勝手に壱を目で追っちゃって、壱がそれに気づいて目が合って、私から逸らして——の繰り返しで。
それも、うざいって思われてるかもしれない。
前に志保ちゃんたちと話してるとき言ってたよね。
チラ見されるのがイライラするとかなんとかって。


それならば、目が合ってもすぐ逸らした方がいいかもしれない。
でも、それじゃあ感じ悪く見えるし……。
それでも——、


——やっぱり、距離を置いた方がいいのかな。


Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.40 )
日時: 2011/07/24 19:10
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: HpE/sQXo)
参照: こんな人生寂しいです(by.BadBye

>>38
いやいや0Д0
うち、プリでもデブさが目立つ←
一緒に頑張ろう〜♪
夏休み明けにピカピカ女になってやる(ぇ

足あげ腹筋Σ
まじかぁΣΣ
情報ありがとう〜♪
早速やってみるw

Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.41 )
日時: 2011/07/24 21:20
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: HpE/sQXo)
参照: こんな人生寂しいです(by.BadBye

第八話『My Heart』


放課後。
今週いっぱい掃除当番だった私は、黒板消しを両手に立ち尽くしていた。


「……二刀流、」


私は黒板消しを構え、黒板に向かって思い切り押し付けた。
少しだけ白い粉が舞う。


「おりょりょりょりょりょ」


そこで一気に素早く手を動かし、黒板に書かれている文字を消していった。
黒板は、一気に白くなっていく。


「……何やってんの、依麻」


横でそれを見ていた由良は、呆れ顔でそう呟いた。
私は黒板消しを持ったまま、ゆっくりと振り返る。


「二刀流」
「めっちゃ雑じゃん」
「でもスッキリするよ」


そう、スッキリするんだ。
この『二刀流』で思いっきり黒板を消すと、なんだか少し心が晴れる。
私の心の中のモヤモヤまで、綺麗に消されてるみたいで。


「ちゃんと掃除しないと、同じ班の乙葉に怒られるよ〜」
「それは嫌だ」
「まぁ、頑張って!」


由良は私の肩を叩いた後、笑顔で教室を出て行った。
残された私は、黒板消しの裏を見た。
白、赤、黄色、青——……。
色んな色の粉が、見事に混ざり合っていた。


「……えっと、クリーナー……」


私は辺りを見渡して、黒板消しクリーナーの元へ向かう。
コンセントが抜けていたので、それを持ち上げてプラグに装着しようと顔を上げた時——……。


壱の姿が、目に入った。


「壱、待ってて」
「ん」


壱は肩にスクバをかけ、目の前の零に向かってだるそうに返事をした。
零は壱のスクバに目を落とし、それからまた壱の方へ視線を向ける。


「今日、テニス行くなら——」


零にしては珍しい、部長っぽい言葉。
普段、零は部長っぽくない言動してるからねぇ……。
そう思いながら、プラグにコンセントを差し込んだ。


今日は壱、部活あるんだな。
そう思いながら——。


「——じゃあ壱、掃除手伝って」
「んー」


今度はテニスとは関係ない、掃除の話題になった。
零の頼みに壱は、再びだるそうな返事をする。
そしてそのまま壁の方に向かい、肩にかけていたスクバを置いた。
壱が掃除手伝ってくれるですと……っ!?
掃除時間の時まで壱が見れるなんて、ナイス零!!


……って、こんなことを思うなんて——。
私、全然距離置く気ないよね。
そんな軽い自己嫌悪に襲われながら、黒板消しクリーナーのスイッチを入れた。


**


「——これで掃除を終わりまーす」


掃除終了の反省会。
班長の乙葉の声と共に、皆一斉に散らばった。


「お疲れー。依麻」
「お疲れ〜」


由良は笑みを浮かべながら顔を覗かせ、そう言った。
そして私の元へゆっくり歩み寄り、顔の前で手を合わせる。


「掃除終わりで悪いんだけどさー。今度は、私の用事が終わるまで待っててくれない?」
「うん、いいよ」


どうせ暇だし、由良も私が掃除終わるのを待っててくれたし。
私は頷いた後、壁に寄り掛かる。
由良は「ありがと!」と言った後、背中を向けて走って行った。
それを見届けるのと同時に、


「!」


壱が動き出す。
こ、こっちくる……っ!?
私は思わず、壱の方に背中を向けてしまった。
壱は静かに、私の横を通り過ぎる。


「……」


壱が去った後、再び前を向いた。
自分から背中を向けて見ないようにしたのに……。
なんだか、胸が寂しい。
振り返って廊下を見ても、もう壱は居ない。
……もう、居る訳ないか……。
壱、歩くの早いな。
そう思ってると、


「!?」


もう居ないと思っていたはずの壱が、廊下を通り過ぎた。
ちょうど廊下を見ていた私と、ちょうどこっちを見た壱は軽く目が合う。
あれ、そっちに居たの!?
居ないと思っていたのに居た驚きとドキドキが交差し、また壱から目を逸らしてしまう。
それと同時に壱も逸らし、真っ直ぐ歩いて行った。


「……」


今度は、壱の背中をずっと見つめた。
一目で目立つ赤茶色のジャンパー。
ポケットに手を入れて歩く姿。
華奢でスタイルがいいけど、やっぱり男の子の体をしていて。
こんな遠くから見つめる片想いなんかじゃなくて、もっと近づいて——。


いつか、君の隣でその背中を見つめたいと思った。







——あぁ、私、やっぱり距離置くつもりなんか更々ないんだ。
壱が好きなのは、紛れもない事実。



もう、自分の心に嘘をつきたくないんだ。

Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.42 )
日時: 2011/07/24 22:30
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: pkkudMAq)
参照: こんな人生寂しいです(by.BadBye

第九話『決断』


その日の夜、私はベッドの中で何度も考えた。
何度も自分の心に問いかける。
『これでいいのか?』と。


でも私は、後悔なんてしたくない。
この決断が、後悔だとは思わない。
壱を諦めて自分の心を傷つけるよりも、壱を想って自分の心を傷つけた方が——きっと、後悔しない。
それならば、私は諦めたりしない。
自分の心にもう、嘘ついたりしない。


見れば、時計の短針と長針は、もう0時を廻る。
日付が変わると同時に、決断を出した。


























悩んで悩んで、決めた事。










         ずっと貴方を、好きでいる。






**


次の日——。
私は寝不足気味で重たい瞼を擦りながら、とある列に並んでいた。
周りの女子は年に一度配られる紙を見つめながら、騒いでいる。


そう、今日は年に一度——。
女の子としては重要でもあるようなイベント、三計測の日だ。


身長、体重、座高。
この三つを調べ終わった後の女子は、必ず持って騒ぎ出す。
それは、刹那の女子にも光葉の女子にも言える——……いや、女の子ならありがちな光景だろう。
「去年より二センチ伸びたー!」とか、「去年より痩せた!」とか言い合いながら、友達と教え合いっこする。
そんな光景を、私は小学生の頃から見てきた。


「——依麻、健康カード見せてー」
「はい」


もちろん、私も一応女子だ。
周りの女の子たちと同じく、教え合ったりして騒ぐ。
由良達に見せてと言われれば、隠したりはせずに素直に見せる。
小学校低学年まで、それを恥ずかしがっていた記憶はあるが——。
今となっちゃあ、どうでもいい。
自分が周りの女子より重いのも知ってるし、身長が俗にいう『チビ』なのも知っている。
隠しても仕方がない事実だし……虚しいけど、仕方がないのだ。
周りの子が皆スタイルがよくても、うん、仕方がない……のだ。


私はそう自分に言い聞かせながら、教室へ戻る。
教室では、男子が視力検査をやっていた。
女子は三計測の前に視力検査をしたので、後は男子が終わるのを待つだけであった。
視力も三計測も壊滅的な結果の私は、健康カードから目を逸らしてドアに寄り掛かりながら男子の視力検査を見ていた。
——今、「は行」だから壱は終わっちゃったか……。
そういえば、壱はどこにいるんだろう。
そう思い、壱を探す。


ほとんどの人は自分の席についているので、普段の壱の席に視線を移してみた。
しかし、優香ちゃんの隣……壱の席には、誰もいない。
疑問に思い、視線をぐるりと一周してみる。


すると、壱の姿を発見することが出来た。


「……」


私はそれを見て、茫然と立ち尽くした。
壱は、私の隣——……。
犬ちゃんの席に座っていた。
なんで犬ちゃんの席……?
そう思いながら壱の方を見ていると、気付いた壱がこっちを向いた。
目が合った為、私は慌てて逸らす。


私の筆箱、壱の近くに置いてあるし、壱も宇宙人触ったのかな……。
目を逸らしてから、ふとそう思った。
宇宙人とは、私の筆箱についている柔らかいキーホルダーだ。
隣の席の犬ちゃんもお気に入りで、よく『気持ちいいっすね、これ』と笑みを浮かべながら触っている。
女子には『感触キモイ』などと言われるが、なかなか好評なキーホルダーだ。
だから、きっと壱も触っていたら——……。
『うわっ、何これ』とか、『え、うわっ! ぷにぷにしてる!』とか、絶対言うはずだ。
何故だかよくわからないが、壱のリアクションが想像出来る。


やばい、壱とぷにぷに相性抜群。


「——じゃあ、席戻ってー」


色々妄想しているうちに、視力検査が終わったみたいだ。
福野の声が耳に入り、私は自分の席へと向かった。
が——……。


「……」


私の座れる通路の道が、塞がってて戻れない……っ!
目の前に自分の机があるのに、椅子に座れる隙間がないというもどかしい状況。
横を見れば、壱はまだ犬ちゃんの席にいるし。
犬ちゃん、壱の膝の上に乗ってるし。
今座ったら壱と隣になって近いし、なんか図々しいよね。
でも座らなかったら座らなかったで、なんかおかしいよね。
ていうかそれ以前に、通路塞がってて座れないよね。


さぁ、水城依麻はどうする!?
そう思いながらその場で困っていると、壱が立ち上がった。
そして私の横をすれ違い、その場から去っていく。


少しだけ鼻を掠める、爽やかだけど少し甘い匂い。


「……っ」


私は思わずその場で硬直し、ただ自分の席を見つめていた。
な、なに今の匂い……っ!!
壱、いい匂いすぎる……!!
座れないパニックと、不意に香る彼の匂いが頭の中を混乱させた。


「?」


そんな私の様子に気づいたのか、犬ちゃんは顔上げた。
数秒目が合い、犬ちゃんはあどけない顔で首を傾げている。


「……っあ、え、えと! ちょっとそっちに行ってもらってもいいかな……?」


頭がパニックになりながら咄嗟に出た言葉は、これだった。
とにかく、自分の席に座れないと話にならない。
戸惑いながら言う私の顔を見つめたまま、犬ちゃんは数秒目を丸くしていた。


しばらくして、私が座れないという状況がわかったのか——。


「…………え、あ! すいませんー」


慌てて通路を作ってくれた。
よし、これで座れる!
私は軽く頭を下げて、自分の椅子に腰を下ろした。


「……」


……あー、もう……。
ドキドキが、やばいし。


私は自身の熱い頬を抑え、誰にも悟られないように顔を隠した。

Re: *叶恋華*Ⅱ β実話β ( No.43 )
日時: 2011/07/26 20:44
名前: 絵磨 ◆VRtMSlYWsU (ID: Fas9i7dG)
参照: こんな人生寂しいです(by.BadBye

安芸↑↑


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