コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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世界を創り出す愛情理論
日時: 2012/07/23 16:10
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)

( その理論も、愛という言葉も、よく分かりません ) 


.

@ ご挨拶 

どうも、この小説は半年前ぐらいに挫折してしまった小説のリメイクです。今度こそ頑張って完成させる!
二次小説の方でちまちまやってますけどその名はあんまり知られてません。いいんです、蟻ですから…(遠い目)。

ここの小説としては少し雰囲気の違う小説ですが、見ていただければ嬉しいと思っております。アドバイスとかばちこーい。

※ この小説は少しだけ流血表現があります。

@ 目次

時間軸 : 01 ⇒ 00 ⇒ 03

#00 - 私、どこかへ逝っちゃいました >>1
#01 - 憂鬱らしい日常 
1 >>02 2 >>03 3 >>04 4 >>05 5 >>08 6 >>09 7 >>10 8 >>11 9 >>12 10 >>13 11 >>14 12 >>15 13 >>20 14 >>23
#02 - マイナス以下の存在
1 >>24 2 >>27 3 >>32

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Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.32 )
日時: 2012/06/28 17:26
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: 朝生「すれ違いっつーかすりぬけられる」

 住宅街をまっすぐに突き進む。進んだ先には曲がり角。ちょうど、そこに建っている、古臭い、そして懐かしい雰囲気が漂う駄菓子屋。中学二年生頃まで、よくここでお菓子を買っていた。早起きのおばあちゃんは案の定今日も早起きで、ちょこんと座布団の上に正座していた。可愛らしいその姿に、私は笑みをこぼした。
 住宅街を抜けて、大通りに出る。車の音、人の声。その煩わしさの中に居たい、と同じ女子高生と思われる集団に羨望の眼差しを向けた。羨ましく思ったところで、何かが変わるわけでもないのに。
 ——咲は今、どうしてるかなあ……。
 きっと優しいから号泣して酷い顔になってるんだろう。優しさを無下にするわけではないが、想像するとちょっと笑える。

 あ、コンビニだ。昨日も、ここにお世話になった。からあげ定食、美味しかったよ。いつも飲んでたカフェオレも美味しかった。どんな味か忘れたけどさ。
 コンビニを通り過ぎて、デパートを見上げる。昔っから、家族で買い物する時はここだった。本も服も文房具も食べ物も、ああそうだ、腕時計もここで買ったんだっけ。今年の誕生日プレゼント。
 …………あれ。ていうか、今制服なんだ、私。死ぬ時の記憶か? いやでも、腕時計してない。どうなんだろう。鞄の中に突っ込んでたのかなあ。そうだとすると、もったいない事したなあ。……ああ、もう。また後悔だよ。自分から繋がり捨ててるみたいじゃん。
 デパートを色々回って見て、くだらない日常を思い出して、笑って、最終的に切なくなった。

 そして私はまた歩く。基本インドア派で運動不足で体力のない私だったが、今は幽霊だ。力など必要ない。 
 上を向く気力もなく、人を見る余裕もなく、心を見るとかそんな冷静になってるわけでもないから、ただただ下を見て歩いていた。
 ……人とぶつかる、とか。誰かと、何かと。ぶつかることができたら、私は謝るよりも痛がるよりも、まずは歓喜するんだろうなあ。
 どうでもいいことを考えながら歩く。そして、無意識のうちに立ち止まった。自分でも流されたように来た場所。何時間ぶりだろう、顔をあげて目の前を見ると、中学校だった。

 ——記憶。中学時代は楽しかったことの方が多かったのに、それなのに鮮明に流れる記憶。なんでこんな記憶しか残らない。咲と会った事とか、修学旅行で夜更かししてお喋りした事とか、出来事は覚えてるのに、その瞬間が出てこない。どんな事よりも、明確に覚えてるとか。苦しかったのに、泣き喚いたのに。

「超、腹立つー……」

勿論、声など出なかった。

Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.33 )
日時: 2012/07/23 17:11
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
参照: 不法侵入できるあたり、幽霊っていいわよね!

 空はもう太陽がさようならしようとしている。淡い紫とオレンジのグラデーションが、なんでなんだか、今の私を象徴している様に見えた。
 部活帰りの生徒がちらほらと見える。疲れたような顔、楽しかったと笑う顔、今にも崩れてしまいそうな思いつめた顔。そんな、色々な表情が目に映った。
 折角ここまで来たので、ちょっと散策でもしてみようかと、閉まりきった玄関に体をうずめて、侵入した。
 靴箱がずらっと並ぶ玄関。別に思い出などない。ありふれたような風景だと思う。誰が忘れたのか、傘立てには沢山の傘が置いてあった。……無用心だなあ。絶対盗まれると思うんだけど。そんなどうでもいいことを頭の中で呟きながら、歩を進めた。

 科学室とか、美術室とか、色々あるが、どれも私は覚えていなかった。そこでやった事、そこであった事。私の中に穴が開いて、そこから全て落ちてしまったみたいに、何も分からなかった。
 しかし、そんないい加減な私でも、三つほど、覚えていることがあった。
 一つは、図書館。咲とよく本を借りたり、部活の合間に宿題とかガールズトークに花を咲かせたりした。私は帰宅部と思われがちだけど、実は中学までは部活生だったのだ。同級生にも「帰宅部でしょ?」と質問された過去があるけど、私はれっきとしたバスケ部員でした。
 なぜ、図書館を覚えているのかと言われると、実はあんまり覚えていない。場所とかも正直分かんないし、図書館の中も覚えてない。あまり本のないすっかすかな感じ、という雰囲気だけである。それでも分かるのは咲との日常もそうだけど、今でもしっかり突き刺さっている痛い過去のせいだろう。
 二つ目は、三年四組。これはもう最悪すぎた。思い出したくもない。割愛。
 三つ目は、家庭科室。私も咲も大好きだった心の優しい先生が居たのだ。今はもう居ないけど。
 
 しばらく校舎を眺めて歩いていたが、別にどうとも思わなかった。ところどころ、思い出した事はあったけれども。むしろ生徒と先生とちょっとした掲示物しか変わりのない中学校を見て、古傷からまた血が流れ出したみたいだ。うえー、来るんじゃなかったや。

 廊下の窓から見える暗くなった夜空。それを見て感傷に浸るなんて、少女漫画の主人公みたいな事はしなかった。
 どこにでも居そうなパトロールのおじさんを一瞥して、別の事を思考する。

 ——走っちゃいけない廊下を駆けて、中学校から飛び出した。 


Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.34 )
日時: 2012/07/30 09:34
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)

 ふらふら、ふらふら。自分が過ごしていた近所から抜けてきた。
 景色は中途半端な都会から、田舎らしい、川や田んぼのある風景に変わっていた。明かりはぽつぽつと灯っており、いつも見ない風景だから、なぜかとっても新鮮だった。

 ——ただひとり、会いたかった。生きてる中でも、ずっとずっと会いたいと思っていたのだ。会えなかっただけ、で。今なら会えるかもしれないと、ふと思ったから、足の赴くままにここを訪れた。


「おばあ、ちゃん」

 私は目の前のお墓に、そう呼びかけた。
 幼い頃に亡くなってしまったおばあちゃん。あの頃は何が何だか全く分からなかったけど、成長して気付いてた。おばあちゃんが既に居ないこと。あの優しいおばあちゃんは、私に笑顔を見せられないということ。
 誰も居ない、薄暗いお墓。何も聞こえない、私の心。やっぱ会えないのだろうか、私は落胆して溜息を吐いた。とき。

「——朝生」

空から、聞こえてきた。とっても優しい呼びかけ。しわがれたような声で、今でも笑って姿を見せてくれそうだった。しかし、姿はどこに目をやってもない。

「おばあちゃん……!? どこに居るの?」
「どこにも居るわけないだろう? 私は死んだんだよ」
「でも、声が聞こえるよ」
「誰にも聞こえてないよ。アンタと、他の幽霊ぐらいにしか」

ふふふ、とおばあちゃんは笑いを漏らす。確かに、私にはきこえるんだけど。でも誰にも届かないのは、既に知っている。私の声は、私にしか聞こえない。
 きっと、類は友を呼ぶって奴に似ているのかもしれない。動物が鳴き声で通じ合えるように。人間が言葉で通じ合えるように。私たちも、私たちで通じ合えるのか。

「あんたに姿があるわけはね、朝生。あんたが死にきれてないからだよ」
「はい? ちょっと待っておばあちゃん、だったらえーと……私は、まだ生きてるって事なの?」
「んなわけないでしょうが、あんた自分の血の量ちゃんと見てたかい?」

おばあちゃんが小馬鹿にするような態度で私に言った。大量に血は流れてたけど死にきれてない、って生きてるってことじゃんよ。

「分かりやすく言ったら、まだあんたは成仏してないんだよ。まだ生きたいって思ってるんだろ? 自分の死を受け止めないと、死んだとは言えないよ」

Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.35 )
日時: 2012/07/31 19:47
名前: 秋桜 ◆SVvO/z.cC. (ID: uMmok.3B)

鑑定が終了したことをお知らせに参りましたのと、応援メッセージを(いらんだろw

頑張って下さい!
応援してます!

Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.36 )
日時: 2012/08/01 23:39
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)

>>35
どうも、わざわざお知らせレスまでありがとうございます。

お、応援メッセージ…だとう…!?
その応援に答えられるよう、精一杯頑張らせていただきます!


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