コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 世界を創り出す愛情理論
- 日時: 2012/07/23 16:10
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
( その理論も、愛という言葉も、よく分かりません )
.
@ ご挨拶
どうも、この小説は半年前ぐらいに挫折してしまった小説のリメイクです。今度こそ頑張って完成させる!
二次小説の方でちまちまやってますけどその名はあんまり知られてません。いいんです、蟻ですから…(遠い目)。
ここの小説としては少し雰囲気の違う小説ですが、見ていただければ嬉しいと思っております。アドバイスとかばちこーい。
※ この小説は少しだけ流血表現があります。
@ 目次
時間軸 : 01 ⇒ 00 ⇒ 03
#00 - 私、どこかへ逝っちゃいました >>1
#01 - 憂鬱らしい日常
1 >>02 2 >>03 3 >>04 4 >>05 5 >>08 6 >>09 7 >>10 8 >>11 9 >>12 10 >>13 11 >>14 12 >>15 13 >>20 14 >>23
#02 - マイナス以下の存在
1 >>24 2 >>27 3 >>32
- Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.7 )
- 日時: 2012/02/18 20:40
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: はじめてのお客様に歓喜
>>6
こんばんは。いつかは感想頂き嬉しい限りです^^
私の小説をすきだなんて…! 嬉しいことこのうえないです!
この小説は自分の力だけで頑張りたいと思っていたので、そういってくださる人がいてくれればやる気がでますね。
友達…だと? 勿論ばっちぐーです。問題なぞありません。
ですが、このスレを雑談レスで埋めたくはないので、雑談板にある私のスレで一緒に喋りましょう^^
ではでは。
- Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.8 )
- 日時: 2012/04/23 18:51
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 愛ってどこに行けばもらえますか…(遠い目)
下に下りてみると、お父さんと夕矢が目玉焼きを食べていた。きっとあの目玉焼きは美味そうだから、お父さんが作ったやつだろう、と推測してみる。
この家はお父さんの方が料理上手だ。私と夕矢で言ったら、残念ながら夕矢の方が美味しい。形はともかく。私はと言えば、形も味も食べれるもんじゃない、とお母さんから酷評を頂いたぐらいである。将来は料理作れる男子のもとに嫁ぎたいと考えている。
携帯の時計を見る。ふむ、七時八分か。十分ぐらいならまだ早い方かな。
携帯から目を離すと、お母さんが私の方を睨んでいた。え、どうしてだろう。困惑していたら、お母さんが怖い口調で言う。
「アンタ、私の料理は……?」
なんだそんな事かよ。てっきり夜の散歩で深夜徘徊してるの見つかったかと思ったよ。警察にも見つかってないのに。
「冷蔵庫に納豆があったから卵かけて食べればー?」
そう言うと、鬼の様な形相をしていたお母さんは、急に明るくなり、「TKGね! 卵かけご飯にしましょ!」と言うとるんるーん、らんらーん、と踊りながらキッチンに向かって行った。……何とも単純である。本当にお母さんなのか不安になる。
「あ、お母さん! 私、今日彼氏と遊んでくるからね」
「おみやげ買ってきてちょうだい。シャンプー切れてるからよろしく」
「誰が買うか! て言うか随分と実用的なおみやげだな!」
口悪いな、我が妹は。結構私と似た者同士かもしれない。
……ていうか、『彼氏』ねえ。
夕矢の彼氏の存在は前から知ってるんだけど、ちゃんと顔も見たことあるんだけど、やっぱり、夕矢の彼氏は誠実そうな顔だ。
ちゃんと愛されてんだろうな、夕矢は。姉には彼氏すら居ないのにねえ。自分で言って、テンションが低くなる。
『世界は愛でできている』だなんて、どこかの誰かがいつかに言っていた言葉。その言葉が、真実なら、本当なら。私の世界はどこにあるのだろう。そこに人は居るのだろうか。
何かを想うちっぽけな心を愛情と呼ぶならば、家族に対しての愛情でも、友達に対しての愛情でも、動物に対しての愛情でも、ぬいぐるみに対しての愛情でも、思い出に対しての愛情でも、変わらないのだろうか。世界はできているのだろうか。
結論なんて分からない。私の世界が在るのかすらも分からないから。
私の世界に家族は居ない。独りぼっちで立ち尽くしている。それはきっと、私が愛という感情を思い出したくないからだ。
愛なんて物を持ったとしても、それは結局他人事。
————私の理論を唱えたところで、また私が反論する。全く意味の分からない、心情だ。
- Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.9 )
- 日時: 2012/03/18 08:49
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 私沖縄県民なんですけど、本島の人って手袋して学校行くのでしょうか
「んひょい!」
奇声をあげながら、勢いよくソファから立ち上がってみた。別に誰かがこっちを見るわけでもない。さっきまで皆が朝食を食べていたテーブルには、人一人居なかった。朝は皆忙しいんだよねー。
危うく寝てしまうところだった、ふう。と安堵する。眠気と憂鬱を振り切って、なんとか前を向く。別に振り切れたわけでもないけど。
ソファの上に置いておいたジャージとスクールバッグを片手に持って玄関まで歩く。だらだらと。さきほど携帯を覗いたところ、時刻はもう七時半だった。
玄関前で、ジャージを羽織ってから靴を履く。玄関のドアを開けて、ちょっとだけ小走りになる。暖かかった中とは違って、外の温度は私の肌を強く刺激してきた。ジャージのポケットに、手を入れる。勿論、カイロは持参している。手に暖かい温度がじわり、と伝わってくる。暖かい、というよりは熱いの方が合っている気がするけれども。
こういう寒い日は雪が降っている情景を想像しそうだが、想像も想像。現実ではただ風が吹いているだけだった。あと風邪菌も。
「あ、忘れてた」
私の後ろに立っている一軒家の家に目をやって、思い出した。
何を忘れたかというと、挨拶である。行ってきますの一言。ただそんだけ。
挨拶必須、なわけでもないけれども、それでも挨拶は大事なので、私はちゃんとおはようからおやすみまで欠かさないつもりだったが、つい寒さに忘れてしまったらしい。
——行ってきます。
今更、外に出て言うのも何だか変な気分なので、とりあえず心の中だけで言っておいた。
顔の真正面に風が吹く。あー、寒いなあ。
だるい気分で、足を前に進めた。
通学路途中に建っているコンビニに入る。暖かい、とはいえないぬるいぐらいの温度を感じながら、お弁当コーナーに向かう。私はそこで、しばらく立ち尽くして考え、からあげ定食なる物を手に取り、飲み物のコーナーへと歩き出した。飲み物はいつも通りのカフェオレを手に取って、レジに並ぶ。
このコンビニには日頃からお世話になっていて、店長とは顔見知りぐらいの仲だ。弁当作ってくれる人も起きてなければ、作れる人も居ない朝の家なので、毎朝このコンビニに向かうのが私の習慣だ。
温かそうな肉まんを見つめていたら、目の前に並んでいた人がそそくさと出口に向かっていった。
私は、やる気なさげな店員の前に立ち、カフェオレとからあげ定職、をカウンターの上に置いた。その疲れている表情に対して、慣れた手付きで商品のバーコードを読み取り、袋に詰めていく。いやまあ、どうせ弁当と飲み物だけなんだけど。
「六百八円です」と言う店員の声を聞いて、私は財布から六百十円を取り出した。店員にお金を渡すと、店員はレジからおつり分の二円を取り出し、私の手に乗せた。「ありがとうございましたー」と、やっぱりやる気なさげな店員の声を尻目に、私はコンビニから外に出た。
強い風が吹き抜ける。私は、やっぱり寒いなあ、と白い溜息を吐き出して、歩き出した。
- Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.10 )
- 日時: 2012/04/23 18:56
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 癖っていう漢字と避けるっていう漢字似てますよね
——心の中に、憂鬱という名の感情が埋まっていく。そして私は、俯きながら通学路を歩く。
毎日がつまらないなんて思った事はない。ゲームもできるし、漫画も読める。お菓子も食べれるし、友達とも遊べる。それでも、何かが足りないと思ってしまうのだ。何か、一つだけ。
昔、どっかに落としてきた落し物の名前なんて思い出すだけで気分が暗くなる。幼い記憶を思い出す度に、私は泣きたくなる。
成長した気になってただけで、まだ子供だった私。あの頃に比べたら今は成長している。……気のせいだったなら、悲しいけど。
早く登校する癖がついてしまった。皆からの目を避けるようになった。何かを想って心配されるのが痛くなった。優しさが怖かった。嘘じゃないって分かってるけど、それでも。私は愛を信じられなかった。
もやもや、霧がかかって見えなくなる感情。とぼとぼ、気にしないふりして歩いていく私。
ふと、自分の左隣に目をやる。何も変わらない日常。何も変わらない心情。何も変わらない情景。堤防の向こうに見える町並み。気付けば学校に行く時に、必ず通る下り坂。帰る時が一番きつい。
…………もう、こんな所に来てたんだ。ちょっと考え事していただけでも、時間を忘れてしまう。
私は小走りして、坂道を下っていく。風が頬にあたる。冷たくても気持ちよく感じた。目覚めた、とでもいうのか。別に大した意味はないんだけどね。
校舎内に入る。靴箱に向かって靴と上履きを変える。学校に来て最初にすることと言えばこれだろう。本当に当たり前のことだけど。
校舎の中は暖房がちゃんと効いているのか、どこぞのコンビニなんかよりずっと暖かかった。
あと十分ぐらいしたらうるさくなるこの学校も、今では人が少なく、非常に静かだった。この時間帯に来る人は、きっと宿題を学校に忘れただとか、学校で宿題やる人だとか、そんな人が大半だろう。私みたいな、早めに学校に来て暇を持て余す人なんか、そうそう居ない。
教室も校舎内と同様に、静かである。来ている人は二、三人ぐらいで、その来ている人も、先程私が言ったよう、勉強に勤しんでいる。
……そんな必死にやるんなら、家でやってこいよ。
思ってみただけなので誰かに聞こえるはずもない。別に悪いだとかは思わないけどさ。
自分の席に座り、やることもないから机に突っ伏せる。
- Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.11 )
- 日時: 2012/04/23 19:10
- 名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)
- 参照: 木原 咲 = きはら さき 朝生ちゃんのお友達
自分の手をまじまじと見つめる。
何の変哲もない、普通の手。ただの手。暖かくない手。人と触れ合わない手。そんな、私の手のひら。
手だけで人が見えるなんて思わない。けれど、自分の手で自分は分かる。私が誰と手を繋いだか、私が誰に手を伸ばしたか、私が誰の手を握ったか。私の手がしてきたこと一つ一つ、頭よりも正確に刻んでいる。
久しぶりに思い出す、手を繋いで帰る帰り道。あの情景を思い出して、涙が溢れてきそうだ。
手を繋ぐってどういうことだろう。どういうことだっただろう。手を繋いで世界に立って、お互いを愛し合って。許し合って。信じ合って。そんな関係を築けたらいいんだろうな——人見知りな私が、思うこと。ぶつかっても切れないような糸で繋がってたら、いいのにね。
でも私は、その内側を見るのが怖くって、へらへら笑っているだけでさ。
本性を見ることができない。私が誰にどう思われてるかなんて、怖くて見られない。裏切られたらどうしようって思ってしまう。
はあ。心の中で溜息を吐き出した。しかし私の心から憂鬱という感情が消え去ったわけじゃない。そんな簡単に消え去るものなら、何度でも溜息吐いてやるよ。それはそれで、間抜け面してそうだけど。
——ひとりで居ると、余計なこと考えるなあ。
人が居たらいつも通りに明るく振舞えるのに。私が誰かとぶつかって人を信用することができたら、私はこんなことを考えずに済むのだろうか。何かが起これば、心から笑うことができるのだろうか。
「——あーさきっ」
突然の声に、私の思考は切り替えられた。
いや、考えるよりも早く、机にもたれていた体を起こして、私の名前を呼んだ人物の姿を見る。
「咲……」
「起きた?」
「いや、起きてたよ……」
「そうなのかー」
と、咲が言うと、私の隣の座席に腰掛けた。
さっきまで静寂に包まれていた教室が、いつの間にかとてもうるさい空間へと化していた。まあ、よく寝坊する咲が教室に居るということは、それなりに時間は経っているのだろう。
「朝生は今日も早いねー。朝に生きるって名前通りだね」
「そっちこそ今日も遅いねー。今日は何があったの?」
いつも通りのお喋りである。朝というのは思ったよりも時間があるものだ。とは言え、咲は来るのが遅いから、話さないことの方が多い。咲が来る時間帯は大体ホームルームの数分前か数秒後である。
私は、咲に今日遅くなった理由を訊いた。すると咲は、しかめっ面で私を見つめてきた。睨んできたって言う表現の方が正しい気がするんだけど。
「それがね、ちょっと聞いてよー! 今日は私早く起きたのに、あの忌々しい弟が寝坊したからー! もう、今思いだしてもむかつくー!」
可愛い顔を歪ませて、弟への怒りを露にする咲。なるほど、あの顔は弟に向けてだったのか。
咲の家は、お母さんの仕事が休みの時は車で送ってもらっているそうだ。どうりで今日はいつもより早いのか。これでも十分遅いんだけども。