コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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世界を創り出す愛情理論
日時: 2012/07/23 16:10
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)

( その理論も、愛という言葉も、よく分かりません ) 


.

@ ご挨拶 

どうも、この小説は半年前ぐらいに挫折してしまった小説のリメイクです。今度こそ頑張って完成させる!
二次小説の方でちまちまやってますけどその名はあんまり知られてません。いいんです、蟻ですから…(遠い目)。

ここの小説としては少し雰囲気の違う小説ですが、見ていただければ嬉しいと思っております。アドバイスとかばちこーい。

※ この小説は少しだけ流血表現があります。

@ 目次

時間軸 : 01 ⇒ 00 ⇒ 03

#00 - 私、どこかへ逝っちゃいました >>1
#01 - 憂鬱らしい日常 
1 >>02 2 >>03 3 >>04 4 >>05 5 >>08 6 >>09 7 >>10 8 >>11 9 >>12 10 >>13 11 >>14 12 >>15 13 >>20 14 >>23
#02 - マイナス以下の存在
1 >>24 2 >>27 3 >>32

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Re: 世界を創り出す愛情理論 ( No.1 )
日時: 2012/06/16 11:11
名前: 蟻 ◆v9jt8.IUtE (ID: hTgX0rwQ)

#00 - 私、どこかへ逝っちゃいました


 ————十二月一日、車に轢かれた。


 たった数秒。学校の帰り道に起こった出来事だった。もう赤くもない夕方に、赤い血がそこに舞った。
 じわじわと痛みを感じる。赤い液体の中心に、私は居る。そして、人の中心に私が居る。
 車にぶつかっただけあって、血は大量に流れるし肉は裂けてるし。何とか正常に働く目を動かして、辺りを見回す。買い物帰りのお母さんが、一緒に連れて来た子供の目を手で塞いで、こちらを見ていた。あーもう、何見てんのよ。とんでもないくらいの醜態を晒してしまった私が憎い。
 その親子の他にも、野次馬は沢山居た。顔を真っ青にしてこちらを見ている人や、気味の悪そうな目でこちらを見ている人。混乱している人、怯えている人、中には「大丈夫か!」と私を心配してくれて叫んでる人も居た。この状況を見て大丈夫とか言えるわけない。いやむしろ、大丈夫とか実際言えない。言葉を出そうとすると、激痛が私を襲う。声に出せるのは「あぁ」とか「うぅ」とか呻き声だけで、声を出すこともできずに、ただただ皆の行動を見ていた。
 お母さんは、居ない。お父さんも妹も誰一人だって、私に関係する人なんか居ない。……まあ、仕方ないよね。皆いつも通りの日常だって思ってたんだ。私もまさか自分の命が亡くなるなんて思わなかったし。いつもの様に、お母さんとお父さんは仕事してるし、妹は彼氏とデートしてるんだ。下校途中に車に轢かれるとか、だっさー。明日から見れることはないだろう月がうっすらと浮かぶ空を見て、心の中で呟いてみる。 

 ——はあ、私死んじゃうんだろうなー。
 意外と恐怖はなかった。直前になるまで全然緊張とかしないタイプだから。関係ないって? そりゃそうだ。死ぬ手前だから日常的なことは全く関係ない。恐怖は今現在感じないけど、ただ死にたくはなかった。せめて、一回ぐらいまともな彼氏がほしかったと思う。走馬灯の代わりにやりたかった事を思い出す。これは確実に死亡フラグだ。既に何本か立ってるけどさ!
 体温が奪われていく。死ぬっていう感触が何となく分かって、ちょっとだけ恐怖心が芽生える。今更なんだけどさ。
 こんな結末だけはしたくなかったなー。私の人生安楽死って決めてたのに。人生は全く分からないなあ。血とかだらだら流したくないのに、そんな願いも空しく体温は急降下中。意識も朦朧として、見えていた景色が見えない。睡眠欲に負けそうになる。ここで諦めたら試合終了ですよ! 試合終了どころの話じゃなかった。 
 落ち着いてみる。一気に後悔と激痛が襲ってきた。
 何でこんな時に、死んじゃうっていうのに、家族が誰一人居ないのよ。人付き合いが苦手な私は、近所で事故に遭ったっていうのに知ってる人も居ないし。友達だって、見ていない。
 一人でこうして死んでいくなんて悲しすぎる。——人と付き合わなかった、私のせいでもあるんだろうけど。自業自得ってもんだ。悲しいけれど。

 そろそろ眠ってしまおうかな。もう駄目な気がする。周りの声なんか全部無視して、最後にちゃんと顔を向けた人を思い出す。



 ————知らない人だった。
 
 
 


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