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空へと消える恋
日時: 2014/01/06 19:38
名前: ユウ (ID: viAVUXrt)

初めまして。ユウです。

空へと消える恋
井雲高校(いぐも高校)に通う16歳の少女、内宮優奈(うちみや ゆうな)。1歳年上の幼なじみ宮島昴(みやじま すばる)。2人は仲がとても良かった。
だけど、高校の入学式の前に訪れた屋上で出会った少年、近藤景(こんどう けい)。彼は悲しそうな眼をしていて優奈はどうしても気になってしまう。 

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Re: 空へと消える恋 ( No.38 )
日時: 2013/11/06 21:22
名前: ユウ (ID: viAVUXrt)

 目が覚めてから、食事もとらずに布団の中に潜っている優奈。もちろん考えているのは“けいくん”のこと。忘れていた記憶を取り戻し、深く考える。なぜ、景と亡くなったはずのけいくんが重なるのか。なぜ、彼を知っていると思ったのか。
 そしてもう1つは何かを託されていたような気がする。
 そんな考えが頭から離れなかった。まだ自分には思い出せていないことがあるのではないか。その記憶ではけいくんに何かしなかったか。
 考えれば考えるほど、よくない場面が浮かぶ。自分の想像に吐き気がする。場弥陀をこらえずにいられない。ボロボロときれいな涙の雫が真っ白な布団のシーツにしみこんでシミを作っていく。

「・・・っ!」

 声をあげることもできない、泣いているだけの自分がどうしようもなく大っ嫌い!
 自分を責めていた。彼の人生を変えたあの時のことが浮かぶたびに、罪悪感に押しつぶされそうになる。









 都の家と優奈、昴の家はそう離れていない。昴はいつもより歩くのが遅く、指輪を見ては握り、見ては握りを繰り返していた。

「何で、今頃!あいつが・・・今どんな思いだとっ!!」

 どうしようもない感情。憎しみ、恨み、嫉妬、妬み。たくさんの感情を指輪にぶつけるしかなかった。負の感情正反対に憧れ、敬い、尊敬。正の感情も出てくる。矛盾している心。守りたいと思う幼馴染。昔のようになりたい。でももう戻れない自分たち。

「これは・・・・天罰・・・なの・・・か・・・。」

 今にも消えそうなほど小さい声。誰も聞いては居なかっただろう。いつもなら塀の上で寝ている猫も今日は居ない。
 悲しいのに、きれいに晴れる空。そして鮮やかな虹。

「けい・・・・。」

Re: 空へと消える恋 ( No.39 )
日時: 2013/11/27 00:17
名前: ユウ (ID: viAVUXrt)

—————プルル♪プルル♪

 枕の隣に置いてあったスマホがなる。画面には知らない番号。ほとんど何も考えずに〈応答〉をタップする。耳に当て・・・・弱々しい声で返事をする。

「もしもし・・・・。」

 すぐに帰ってこない声。いつもなら、自分からかけてきて何だ!と電話を切っているところだが、今日は何も考えられなかった。相手が返事をしないことさえどうでもよくなっていた。

「・・・・明朝7時に学校の屋上で待つ。」
「!!」

 ぼそりをそれだけを伝え切れた電話。ツーツーという音が止まって待ち受け画面に戻る。そして数秒後に画面が消える。
 優奈は起き上がって床をガン見してる。いや・・顔をうつむかせ、考えている。今の電話の主は名乗らなかったが、その声が誰のものかすぐにわかった。

———————彼しかいない————————


———明朝

 学校・・・・・。制服の袖に腕を通し、スカートをはく。本日の授業の教科書をいれて、部屋を出る。
 リビングには朝食の準備をしている母に新聞を読んでいる父。2人に気づかれないよに玄関で靴を履く。

「行ってきます・・・・・。」

 それだけを呟いて走った。漆黒の髪が揺れる。冷たい風が頬をなでる。優奈は思っていた。

———彼に会えば何かわかるかもしれない!

 いつもなら20分かけて歩く道のりを10分で走り切る。まだ開いていない校門を飛び越え、屋上に向かう。この時間はまだ先生も数人しかいない。ばれずに行くのは簡単だった。

「はぁはぁ・・・・・。」

 息を切らせ、屋上に飛び出る。そこにはやはり彼がいた。優奈と同じ漆黒の髪を持った、彼が・・・・・景が・・・・・・。振り向いた彼を見て顔をひきつらせた。眼鏡をしていない彼は“けいくん”にそっくりだった。まさに“けいくん”を高校生にしたような顔だった。普段は眼鏡でわからなかったが彼の瞳は藍色がかった黒。それは確かに“けいくん”と同じだった。

「あなたは誰?」
「お前は誰だ?」

 同時に発した同じ質問。初めて会った時とは対照的にお互い、目を細め、見つめる。

「私は————」
「俺は————」

 またもや重なる2人の声。

「内宮優奈。」
「近藤景。」

 以前名乗ったときにはこんな想いにはならなかった。前はドキドキ心臓の音がうるさいほどだった。それが・・・・今はざわざわしている。知りたいのに、知ることを拒むような・・・・。

「「それ以外の・・・・何者でもない。」」

Re: 空へと消える恋 ( No.40 )
日時: 2013/12/16 00:21
名前: ユウ (ID: viAVUXrt)

「「それ以外の何者でもない。」」

 2人の重なった声。それは発した本人たち以外にも聞いている人がいた。屋上の入口の影に隠れて会話を聞いていた・・・・都が。右手の中指にはまる指輪を右手でギュッと握る。それは彼への祈り。彼の夢がかなわなかった。そのことにより、景と優奈の人生はくるってしまった。もし彼がまだ生きていたなら、きっと優奈は今でも彼の隣で笑っていた。景もあの少女と一緒になれていたのかもしれない。
 ・・・・・・いや、彼が生きている限り景と少女が一緒になることはない。彼が生きていても、亡くなっていても、どっちにしろ景は幸せになれない。

「私とは違う不幸の形・・・・。」

 都の心の中に潜む黒い心。憎しみと嫌悪、絶望が入っている心。それを制御していたのが、幼馴染の2人だった。だけどそれも、アメリカで壊された。
 もう・・・私には何もない・・・・。
 それが今の都の心。今のままでは決して洗われることのない濁った心。都の信じるもの・・・・唯一の光。それが絶望・・・・闇へと変わった今、彼女は何とも思わない。景と優奈、そして昴がどんな不幸に見舞われようとも・・・・・・。
 冷たい風が扉の隙間から入ってくる。今にも切り傷が付きそうなほど冷たく細い風。茶色の髪が揺れるほどの風が都の背中を見えない力で押す。靴の音を響かせながら都は階段をおりて行った。

Re: 空へと消える恋 ( No.41 )
日時: 2013/12/16 00:23
名前: ユウ (ID: viAVUXrt)

遅れましたが、参照数が300を超えていました!

読者の皆様本当にありがとうございます!

まだまだ、わかりにくいところがあると思いますが、どうかこれからも『空へと言える恋』宜しくお願いします!

Re: 空へと消える恋 ( No.42 )
日時: 2013/12/16 07:28
名前: 珠紀 (ID: bStwRqTd)

参照3000突破おめでとうございます(`・ω・´)

都…何かするつもりなのですかね(´・ω・`)
今からハラハラしております。

早く皆幸せになってほしいな…


更新頑張ってください!!


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