コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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悪の組織の一員は正義の味方にスカウトされました
日時: 2014/01/02 18:36
名前: 夕陽 (ID: PODBTIS5)

 はじめまして!
 小説を投稿するのは始めてなので、アドバイスなどをくれると嬉しいです。

目次
登場人物 天野あやめ・工藤里奈>>1
     秋山なずな>>14
     ブラックロード>>17
     佐野さくら>>27
プロローグ>>2
あやめ、里奈と会う!>>5
里奈、転校してくる!>>9
あやめ、里奈と出かける!>>11
あやめ、里奈と出かける!2>>12
あやめ、里奈となずなに昔の事を話す!>>13
あやめ、里奈となずなに昔の事を話す!2>>15
ボス、アヤメにお父さんについて話す!>>16
ボス、アヤメにお父さんについて話す!2>>18
あやめ、なずなと一緒の夏休み!>>20
なずな、あやめに昔の事を話す!>>21
なずな、あやめに昔の事を話す!2>>22
なずな、あやめに昔の事を話す!3>>23
あやめ、正義の味方の講習に行く!>>24
あやめ、正義の味方の講習に行く!2>>25
あやめ、正義の味方の講習に行く!3>>26
あやめ、なずなの父に会う!>>28
あやめ、皆と修学旅行に行く!>>30
あやめ、皆と修学旅行に行く!>>31
あやめ、里奈と一緒の冬休み!>>32 
あやめ、最後の決断をする!>>33
エピローグ>>34

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Re: 悪の組織の一員は正義の味方にスカウトされました ( No.20 )
日時: 2013/12/08 19:17
名前: 夕陽 (ID: WnzYqE1R)

九話 あやめ、なずなと一緒の夏休み!

 里奈と一緒に遊園地に行き、なずなと会ってから約二ヶ月。季節は夏だ。そして夏といえば夏休み。今、あやめは一人で家にいる。
 なぜなら、父は一年前に他界している。そして母は、その父の変わりにブラックロードに出勤している。姉は教育自習にいっている。里奈は部活中だ。どうやら陸上部に入ったらしい。あやめは帰宅部だし、友達もそこまで多くないので家にいることができるのだ。
 あやめは何ヶ月ぶりだろうとワクワクしながら“今日やることリスト”を眺めた。今日やることリストには、読書、昼寝、インターネットなど里奈といると出来ない事が書かれている。
「どれからやろうかなぁ」
 とつぶやきつつ、リストを物色していると
 ——ピーンポーン
 と、来客を伝える音が聞こえてきた。あやめにはそれが世界の終焉の音に聞こえた。大げさすぎるが……。
 しかし、あやめは来客を暑い中わざわざきてくれたのに追い返すわけにはいけないと思いドアを開けると……
「こちらがあやめのお宅でよろしいですか?」
 丁寧な口調と派手ではないものの上品な服装。
 秋山なずなだった。

「でもなずな、きてくれるなら言ってくれればよかったのに……」
 あやめはインスタントの紅茶とクッキーを出しつつそう言った。
「いえいえ、気を使わせるのは悪いかと思い……それから、つまらないものですがこれどうぞ」
 そう言いつつ差し出した袋は高いけれどおいしいお菓子の詰め合わせだった。
「えっ、これいいの? すごい高いやつだよ、これ」
「そんなことないですよ。私にとって幼少期によく食べていた駄菓子ですから。本当は最近食べた私よりも大きいパフェを持ってきたかったのですが、もってこれないので諦めました」
 あやめはなずなの言ったことに感心したり、心の中で突っ込んだりしながら何気なく訊いてみた。
「そういえばなずなってお嬢様なの?」
 なずなは少し困った顔になってからすぐにいつもの笑顔に戻っていった。
「そういえばあやめには過去の話をしてませんでしたね」
 そしてなずなは意を決したように話し始めた。

Re: 悪の組織の一員は正義の味方にスカウトされました ( No.21 )
日時: 2013/12/10 20:30
名前: 夕陽 (ID: VfitXk9z)

十話 なずな、あやめに昔の事を話す!

 なずなは昔から裕福な家で育った。旅行をたくさんしたり、その世代の他の子供に比べて豪華な物をもてるぐらいの。
 しかし、なずなが小学3年くらいのときだった。
 ——なずなが今の両親の本当の娘でない事を知ってしまったのは。
 なずなは、その時作文のコンクールに最優秀賞で賞状をもらった。そのことを早く両親に伝えたいと思い、両親の仕事場に寄った。始めは両親が経営している会社に足を運んだがいないようだったので両親が会社のイメージアップのために作った慈善団体“ホワイトクロス”のほうに行ってみよう、と考えた。
 親会社から歩いて5分程度にあるその本部は普通の家くらいの大きさだ。なずなはその場に着くとこっそりと窓から中をのぞき始めた。その中には予想どうり両親がいた。急いでドアから入ろうとしたが、よく見ると二人ともどこか深刻そうな表情をしている。
 その表情をみてなずなは、なんかあったのかな? と思いドアを開けずに耳をすませた。少し待つと父親のほうから
「なずなの本当の母親からなずなを返せ、と言われたんだが、お前の意見を聞きたい」
 と言う言葉が聞こえてきた。始めはその意味が分からなかったが徐々に自分はもしかしたら偽者の娘なのかもしれないということだと思った。そんなショックにさらに畳み掛けるように
「私はいやだわ。だってその人、なずなをすてたんでしょ?」
 私の本当のお母さんは私を捨てた? 私は本当のお母さんに嫌われてたの? だんだんなずなは聞くのが恐ろしくなり逃げ出そうとした。
 こんなの夢だ。
 悪い夢だ。
 あと一歩でこの敷地から出られる、という時なずなはつまずいてしまった。すりむいたひざ小僧から血がにじんでくる。痛いのを耐えようとするかのように唇をかんだ。それでも痛くて、悲しくて、悔しくてその気持ちが形になったかのように冷たい感触が頬を伝った。
 涙だった。
 一度涙が出ると次々にあふれ出してくる。ついには声を上げて泣き始めてしまう。
 その声を両親が聞きつけこちらに向かってくる。
 その姿を涙でぼやけた視界でなずなは見続けた。

Re: 悪の組織の一員は正義の味方にスカウトされました ( No.22 )
日時: 2013/12/11 21:39
名前: 夕陽 (ID: S9m9GTYE)

十一話 なずな、あやめに昔の事を話す!2

 なずなはあの後両親にどうしたのかと尋ねたがなずなは声も出なかった。ただ、
「なずな、さっき話した事聞いたのか?」
 と言う問いに頷くのが精一杯だった。
 両親はなずなに、本当のことを話そうか? と訊いたがなずなは横に首を振った。
 ——今聞いてもきっと余計に混乱するだけだから……。
 そんな言葉を胸に秘めて。
 心の整理がついたら改めて訊こう、となずなは思い両親と一緒に車に乗って帰った。車にいる間誰一人しゃべる事はなかった。

 二週間位した頃、なずなは改めて訊く決意をした。当時小学三年生だった里奈に相談したら、
「今の親が本当だろうが違うだろうか関係ないよっ。なずなはとっても楽しそうに生活できているんだから。それにさ、例え本物の家族じゃなくても今からなればいいんだよっ」
 と言ってくれた。里奈らしい考え方だな、と思い緊張がほぐれていく。
 ちょうど今日は日曜日。会社も休みだ。思い切って両親の部屋をノックする。母の
「どうぞー」
 と言う声に導かれるようにドアを開ける。中にはやっぱり両親がいた。
「あら、なずなおひさしぶり。どうしたの?」

 ——そして、見知らぬ女の人も。

「あなた、だれですか?」
 ゆっくりと、確認するようになずなはたずねた。
「私は山本ナナ。あなたの本当の母親よ」
 その人は本当のという言葉を強調して言った。
 両親のほうを見ると困った、というような顔をしていた。こんなに早く再会すると思ってなかったのかもしれない。
 なずなは元々の母に歩み寄り、
「あなたは誰ですか? 私の母親はあの方だけです」
 そう言って自分の今の母親を手で示す。ナナはしばらく呆気に取られていたがすぐに
「確かにあの方は今の母親かもしれない。けれど本来は私の子よ」
 と言い放った。
「もしかしたらあなたの子だったかもしれませんが今は違います。そして仮にそうだったとしても私の事一回捨てているんですよ。そんな人に母親を名乗られたくないです」
「そのときはいろいろ大変だったの。でも今はもう大丈夫だから。一緒に帰りましょ? それに——」
 そしてナナはいったん区切ると
「あの人たちはあなたを好いているわけではない。あなたを引き取る前になくなった娘さんにあなたの姿を重ねているだけ」
 今度はなずなが呆然とする番だった。そんな話聞いたことなかったから。なずなが黙ってしまい静かになったその時、なずなの母親がゆっくりと言った。
「確かに最初はそれが原因でした。でも、今は純粋にこの子と一緒にいることが楽しいです。そんなに、なずなを連れ戻したいならなずなに決めてもらいましょう。いいですよね?」
 ナナはしばらく考えた後、
「まあいいでしょう」
 と承諾した。そしてなずなに
「なずな、あなたはどっちで暮らしたい?」
 と問いかけた。なずなの答えは決まった。
「私は——」

Re: 悪の組織の一員は正義の味方にスカウトされました ( No.23 )
日時: 2013/12/12 21:57
名前: 夕陽 (ID: Ud11FEct)

十二話 なずな、あやめに昔の事を話す!3

「私は、皆で暮らしたい。今のお父さんとお母さん。そして、私を産んでくれたお母さん。私はあなたがした事を許す気はありませんがゆっくりわかり合いたいとも思うんです。きっと私の今の両親もそう望んでいます」
 なずなは気付いたのだ。両親はなずなを渡したくないだけでなく、なずなと本当の母親を仲直りさせたいのだと。そしてお父さんが
「なずなの言うとおりです。一緒に私たちと一緒に暮らしませんか?」
 それを引き継ぐようにお母さんが
「そうです。部屋ならたくさんありますし」
 と言う。ナナはびっくりしたような顔をした後、
「なずな。あなたはこんなにいい人に育てられたのね……。これなら私がいなくてもよさそう」
 そしてなずなの方を向くと
「あなたに会えないのは寂しいからなんかあったらここに来てね」
 というと簡単な、でもとても分かりやすい地図をなずなに握らせた。
 なずながそれをしっかり握ったのを見るとナナは潔く去っていった。
 その目には涙が浮かんでた。


「ということです。私は本来お嬢様ではないのですよ」
「そうなの? 結構意外だった」
 なずなは話終えると一息つくようにお茶を飲んだ。
「そういえば、なんか用事ないの? この話をするために来たわけではないでしょ」
 あやめがたずねると
「そうです。実は正義の味方夏期講習に来ていただければと思いましてこちらに足を運びました」
 きっと“ホワイトクロス”関連だろう。その団体の重役がなずなの両親らしいから。
「ちなみに迎えが2時半にくるので準備してください。まあ動きやすい格好になってくれればいいですが……」
 時計を見ると2時10分位。あやめは急いで準備し始めた。

Re: 悪の組織の一員は正義の味方にスカウトされました ( No.24 )
日時: 2013/12/17 21:11
名前: 夕陽 (ID: Am5TIDZx)

十三話 あやめ、正義の味方の講習に行く!

 とりあえずばたばたと家を出て何とか間に合った、正義の味方の講習だが、プログラムを見るとあやめはびっくりした。そのプログラムは今日の予定がびっちりつまっているからである。
 今から10分後に開会式。
 開会式の後、正義の味方になるための授業(筆記)1時間
 その後休み時間が10分。
 そして正義の味方になるための授業(実技)1時間
 となっている。これは大変だなとあやめは思った。これだと帰りは6時過ぎになるのではないか。
 そんな事を考えている間に開会式の時間になった。
 開会式は簡単な説明と、代表者(なずなの父)が挨拶をして終了した。
 そして筆記の時間。あやめは
「私は、参加者じゃないからここら辺で暇つぶししてるね」
 というなずなと別れて1人で集合場所へと向かっていた。
 どうやら今回の参加者は10人より少し多いくらいのようだ。全員あやめと同じくらいだ。特に宣伝もしてないのにこれだけ集まっているのを見ると会社の関係か、それとも誘われてきたのか……。
 まあ、どちらでもかまわないあやめはとっとと席についたのだった。


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