コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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_ほしふるまち 【短編集】
日時: 2015/08/30 21:19
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)

( 空には、こんなに星があるのに )





こんにちは、村雨と申します(^ω^)
最近無性に文章を書きたくなって、スレを立てましたv
多分恋愛ものが多くなると思います(
コメントやアドバイスはいつでも大歓迎です∀




***novel***

【 金魚の飼育係 】>>2
【 キラキラ 】>>4
【 Love Letter 】>>7
【 星明かりが眩しいから、 】>>8
【 別れ話 】>>9
【 愛を晒せ 】>>10
【 ラブリーライアー 】>>15
【 足立くん征服計画 】>>16-17
【 恋路は近くにありて 】>>22-23
【 浴衣と天邪鬼 】>>27
【 FLASH 】>>31-32
【 あいつは××のことが好き。 】>>33 >>
【 豆太と颯太 】>>34 >>37
【 毒針に口付けを 】>>38-39
【 あめふり 】>>40
【 立ち入り禁止区域 】>>43-44
【 泣いてもいいですか 】>>47
【 歩道橋 】>>52
【 ある日美少女に告白されたら 】>>53-54 >>56
【 じめじめ 】>>63-64
【 Good Boy…? 】>>65-67
【 元、彼氏 】>>70
【 部長と副部長 】>>73
【 罵倒したい男子 】>>76-77
【 あいしてる、がつらい 】>>78
【 鳥籠の愛 】>>79
【 私、先輩を襲います 】>>80-81





***お客様***

あんずさま

梅乃さま

朔良さま

雨さま

ウささま

街角乙女さま

覇蘢さま

はるたさま

涼那 ゆたさま

蒼さま

ももたんさま

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Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.77 )
日時: 2015/07/19 18:28
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: NJc/rStM)

2/2


静かにジャズが流れる店内で、コーヒーを一口飲んだ。砂糖を追加したので、さっきより多少は飲みやすい。
「もうそろそろ帰ろうよ」

 私の声が低くなったのを察したためか、田所は窓の外から目を離した。
「ごめん平岡、こんなところまで付き合ってもらって」

 返事をする代わりに、私は口を拭こうとテーブルの端にある紙フキンに手を伸ばす。自分で紙フキンを掴む前に、別の手がそれをさっと掴んで私に優しく手渡した。
「……ありがと」
「いいえ」
 目の前で微笑む田所。こいつって、時々こういう優しいところを見せるから厄介だ。

「平岡は本当良い友達だよ」
 彼はしみじみと言った。友達、という言葉が私の胸にささる。

 その瞬間、私の中の大切な何かが音を立てて崩れた。
 ああ、どうしてこうなっちゃうんだろう。静かに流れる気取ったジャズも、一向に姿を見せないあの子も、フキンを代わりに取ってくれる優しい田所も、本当の気持ちを隠してこいつに付き合う私も、全部が気に入らない。
 どうして今まで遠慮していたのだろう。本当の気持ちを隠している限り、あいつは私のことを永遠に見てくれないというのに。

 私は残っていたコーヒーを一気飲みして、言った。
「ばっかじゃないの」

「え?」
 笑顔を崩さずにそう訊く田所。

「普通の友達がこんなことに付き合うわけないでしょ! 私はあんたをただの友達だなんて思ったことは一度もないの。いい加減気付きなさいよ、この変態ロリコン野郎が」
 体中のドロドロとした老廃物が一気に流れ出ていくような感覚だった。これは多分、私の積もり積もった二年間の田所に対する想いなんだろうな、きっと。




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お久しぶりの投稿です(^ω^;)
格好良いけれど鈍感で残念な男の子を書こうと思ったのがきっかけです。

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.78 )
日時: 2015/08/17 15:45
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: NJc/rStM)

【 あいしてる、がつらい 】


 こんなどうしようもない私に愛してるだの好きだの愛のことばを告白してくれるからということを抜きにしても、鼻筋が通って気がよく利いてスポーツの出来る彼は間違いなく魅力的な人だった。二人で歩くときは車道側を歩き、出かけるときには迷いに迷って選んだ私の服装を可愛いと褒めてくれる彼のことが、私は大好きだった。

 あいしてる。
 そう言われて、最初はすごく嬉しかった。でも同時にすごく恥ずかしくて、それを彼に悟られまいと下を向いてはにかむことしかできなかった。

 あいしてる。
 回数を重ねるごとに、新鮮味を失っていくような気がした。感覚が麻痺していくみたいだった。私って貪欲な人間なんだな。

 あいしてる。
 そして今ではすっかり色あせてしまったそのことばは、私にとってただつらいだけだ。私は回数を重ねるごとに、自分の感じる疑念がどんどん大きくなっていくことに気付いた。そしてそれはいつしか確信に変わるのだ。
 鼻筋が通って気がよく利いてスポーツの出来る大好きな彼は、私に嘘を吐いている。





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中々更新できてないですねー;
そして内容がシリアスで救いようのない感じに…
次はもっと明るいお話を考えます←

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.79 )
日時: 2015/09/03 23:48
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)

【 鳥籠の愛 】


 ベージュを基調とした1LDKの小奇麗なアパート、その一角にある白いベッドの上で俺は彼女に押し倒されていた。彼女は俺の上に馬乗りになってシーツに両手をつく。

「そっちから襲ってくるなんて珍しいじゃん」
「……たまにはこういうのも良いかと思って」

 彼女の名前は、璃乃。俺より2歳年下の20歳。長さの揃った前髪でストレートロングの黒髪に、白い肌が映えている。今日はブルーのアイシャドウにオレンジのルージュを付けていた。
 俺は璃乃が次にどう出るかを楽しみに待った。しかし彼女は一向に行動を起こさない。俺を部屋に誘って会話もそこそこに押し倒してからのことは、きっとノープランだったのだろう。そう思うと、笑いがこみ上げてきた。
「な、なんで笑うんですか!?」

 俺が高校3年のときの部活に、新入部員として彼女が入部してきて以来の付き合いである。彼女は大人びている。というか、そう見えるように努力している、とでも言ったら良いのだろうか。時としてそれは空回りする。まあそこが可愛いのだけれど。
 今だって、彼女は甘い。おかげで俺の両腕は自由なままだ。

「これで優位に立てたとでも思ってんの?」
 璃乃の瞳が揺れ、両手でシーツを強く握りしめたのが分かった。俺はその隙を見て、彼女の後頭部を掴んで一気に自分の元へと引き寄せた。彼女が小さく悲鳴を上げる。

「俺を襲おうだなんて、十年早いんだよ」
 彼女の艶やかな黒髪を撫でながら、俺はにやりとする。少ししてから腕の力を弱め、彼女を隣に寝転がらせた。身体の向きを横にすると、勿論服は着たままだが──俺たちはベッドの上で向かい合う形になる。案の定、彼女はチークの付いていない頬をピンクに染めていた。

「だってえ……先輩が……」
 璃乃は俺のことを「先輩」と呼ぶ。高校卒業の時点で、先輩と後輩の関係はとっくに消滅しているはずなのだが。習慣というのは一度始めると、中々止めることができなくなるのかもしれない。

「だって、何?」
「先輩が、私のことどう思ってるのか、知りたいから」
 口ではどういうことだよ、ととぼけてみせたが、心当たりがないわけではなかった。実質的に先輩と後輩の関係でなくなってから早4年。今でも付き合いが続いているというのは、単に仲が良いからだけではない。それ以上の感情を抱いているからなのだが、あいにく俺はそういう感情を言葉にするのが苦手である。愛を語るなんてもってのほかだ。無性に恥ずかしく、身体中がむず痒くなるような気がするのだ。我ながら餓鬼のようだと思う。でも、行動で示すほうがよっぽど楽だ。

「私たちって、今どういう関係なんですかね?」
 璃乃の瞳は、俺の答えを期待している。
「それを訊くために俺を襲ったのか」
「だって先輩、いつも訊こうとしたら逃げちゃうじゃないですか」
 たまには痛いところをついてくるな。

「それは……」
「今日は逃がしません」
 璃乃は俺の袖口を掴んだ。主導権を握っているのはどちらだろうか。

 こんな中途半端な関係を続けることに、もう限界が来ていることは自覚していた。そして自分の気持ちをきちんと言葉にする必要があるということも。あくまでも俺が主導権を握らなければならない。


 俺は覚悟を決め、照れを捨てて、彼女の耳元で最高級の愛の言葉を囁いた。





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キス描写までいかないけど、何だかドキドキするようなお話を書こうと思ったのですが…
完全に自分の趣向爆発で申し訳ないです;

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.80 )
日時: 2015/09/05 15:23
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)

【 私、先輩を襲います 】1/2


 午後三時。
 甘い香りの漂うドーナツ屋の店内で、大学の講義が早く終わった私と優子は、向かい合ってドーナツを頬張っていた。

「大体、あんたもこりないよねー」
「? 何が? ドーナツのこと?」
 それなら食べる量制限してるし、運動もやってるし大丈夫だよ、と言いかけた所で優子が遮った。
「宇野先輩のこと!」

 私と優子は高校時代からの友人である。そして宇野先輩は、私が高一のときからずっと好きだった人。というか今でも好きな人。
 彼女は先輩と面識があって、かつ現在でも交流のある大切な存在だ。だから先輩の話を聞いてくれる貴重な存在でもある。いつも話し出すと止まらなくなってしまうのだけれど。今だって、先週の日曜日に一緒に出かけたときの話を延々と語っていた。先輩って、最高に私をドキドキさせてくれる人なんだよ! と。

「ごめん。つい……」
「まあいつものことだし良いけど」
そうして彼女はクリームドーナツを一口齧って続ける。
「でもずっと片思いしてた人と付き合えるなんて幸せだねえ、璃乃は」

 私はドーナツを食べていた手を止めた。
「先輩とは付き合ってるわけじゃないんだ」

「は、何で!? もうとっくにそういう関係だと思ってたのに! ていうか大学違うのに、わざわざ二人で会ったり、お互いの家に行ったりして、それがただの友達な訳ないじゃん!」
「いや、そうなんだけど……」

 確かに先輩が私より二年早く高校を卒業してからは、接点がなくなってしまっていた。それでも交流が絶えなかったのは、私の執念があってこそだと思う。私は友人伝いに先輩の連絡先を聞きだし、定期的に尚且つ嫌われないように細心の注意を払いながら、電話やメールを送り続け──そして現在に至る。

 そういえば高校生のとき、先輩が友達の男の子と読んでいた雑誌を脇から覗き見したことがある。そこには透けた服を着て妖艶に微笑む、一人の女の人の写真が載っていた。私は思わず唾を飲んだ。先輩が惹かれるのはこういう大人っぽい女の人で、私みたいなお子様は眼中にないのだな、と実感した瞬間だった。だから私は努力を重ねた。何とかして先輩と釣り合う女の人になりたいと思って。
 不意に、先週の日曜、別れ際に先輩に熱く抱きしめられたときの感触を思い出した。でも、まだ彼の口から好きだと言われたわけでもない。

「先輩は、私のことどう思ってるのかな」

 優子が呆れ顔になる。
「何だ、そんなことも知らないの?」

「だって先輩、いつも訊こうとしたら逃げちゃうんだもん……」
 私はふらふらと席を立ち、優子に荷物を見ておいてほしいと頼むとお手洗いに向かった。

Re: _ほしふるまち 【短編集】 ( No.81 )
日時: 2015/09/03 23:49
名前: 村雨 ◆nRqo9c/.Kg (ID: HTruCSoB)

2/2





 数分経ってお手洗いから戻ると、優子がにこにこしながら目配せをしてきた。
「どうかしたの?」

「さっきね、『今日の午後六時に私の部屋に来て下さい』ってメールしといたから。璃乃の愛しの先輩に」
「え、ちょ、ちょっと待ってよ!」

 私はすぐに机の上にあった自分のスマホを起動し、メールの送信履歴を見た。…………どうやら優子の今の言葉は冗談ではなかったようだ。私から先輩を呼び出すなんて恐れ多い! 先輩の家から私の住むアパートまで、電車で一時間もかかるのに……。
 気が遠くなりそうになるのをこらえて、私はどうにか席に座る。

「宇野先輩が逃げられないように、追い詰めてから訊きだすの。そのためには璃乃のテリトリーに先輩を入れるのが一番でしょ?」
「でも……」
「今日は絶対に逃がしちゃ駄目だよ。分かった?」
「でも、そんなに結論を急ぐような話じゃないし」
 もし先輩が私のことを異性として真剣に見てくれていないとしたら? そう思うと怖かった。

「何言ってんの! 第一ね、恋人なのか友達なのかも分からないような不安定な関係が長続きするわけないでしょ! 今まで続いてきたことが逆に凄いくらい。それに、このままだと他の女の子に取られちゃうかもしれないじゃない! 先輩って璃乃みたいなM女に人気ありそうだし──とにかく、一回本人の気持ちをちゃんと訊いた方が良いと思う」
 分かってる、分かってるよと心の中で呟く。優子の言うことは全て正論で、私はけじめをつけなければいけないのだ。

 私が頷くと、机の上でスマホがバイブ音を立てて振動した。先輩からの返信だ。私は呼吸を整えてから、スマホを手に取った。優子が画面を覗き込んでくる。

「了解。覚悟して待っとけ」

 先ほど優子に言われたことが頭の中で蘇った。──先輩が逃げられないように追い詰めてから訊き出す、か。逃げられないように、追い詰めて……。
 私は想像した。先輩を追い詰める様子を。私は先輩に馬乗りになって、彼の逃げ道を塞ぐ。私より力が強く頭の回転も速い先輩を追い詰めるには、この方法しかないと思った。でもこれじゃあ、追い詰めるというより襲っているみたい。……まあいいか。大切なのは方法云々よりも先輩の気持ちを訊くことなのだから。

「ありがと優子。私、頑張ってみるね」





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前作【 鳥籠の愛 】に出てきた璃乃と先輩を再び登場させました。
こちらのほうが時系列は先ですが;

優子のような積極的なキャラは物語を進める上で書きやすかったです(・ω・)
そして私にしては珍しく友情モノでしたね(


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