コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 海と空〜中、短編集〜 (色々募集中)参照500突破感謝!!
- 日時: 2015/03/14 10:45
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
どもども、みにょです^ ^
知ってる方はきっと少ないので多分あなたも初めましてでしょうか?!
最初は長編小説でしたが、短編集に開拓しようと思います。申し訳ございません。
短編のジャンルは様々です!
恋愛だったり、人生だったり、家族だったり。ギャグとシリアスもごっちゃです。
そして更新遅いです。すいません>_<
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FeliceStoria〜幸せを見つける物語〜 (バリバリの長編)
今日も私は遠距離恋愛。 (長編ではないけど短編でもない)
ノロノロ更新ですが連載中の私の作品です!読んでくれたら嬉しいです(照)
〜お客様〜
七和様
モンブラン博士様
雨様
餃子女様
美奈様
〜目次〜
語り部>>1
【私は彩香ちゃんが嫌いだ。】 〈完結〉
1-1>>20 1-2>>21 1-3>>22
【普通の兄妹のある日の話】 〈完結〉
2-1>>25 2-2>>26 2-3>>27 2-4>>28 2-5.あとがき>>29
【高校の文化祭にて、俺は多分青春もどきを謳歌してる】 〈完結〉
3-1>>30 3-2>>31 3-3>>35
【雨上がり恋心】 〈完結〉
4-1>>36 4-2>>37 4-3>>38 4-4>>39 4-5>>41 4-6>>42 4-7>>43 4-8>>44
- Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中)参照500突破感謝!! ( No.53 )
- 日時: 2015/02/28 23:12
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
5-6 (ガチの方の駄文です。すいません)
「ただいまぁ〜……」
喋る黒猫と出会ってから、今日で早くも三週間が経つ。彼については、一緒に過ごすうちに少しずつわかってきた。
その一。彼は人に化けられるということ。
人に化けた彼の姿は比較的整った顔立ちをしていて、見た目は普通の男の子だ。歳は多分同い年ぐらいだろうか。また、性格はマイペースでダンボールの中が大好き。変わっているが、学校に通ったりしていたらモテるはずである。
その二。彼の生い立ちについて。
彼はすでに死んでおり、現在は妖怪としてこの世にとどまっている。寿命で死んだらしく元々は飼い猫で、死んだ後に飼い主と住んだこの町に戻ってきたのだ。
その三。彼が探している人間の情報。
彼の探している人間についての情報がなければ、探してやることもできない。そういうわけで彼から聞いたのは、その人間が女性であり、名は春子ということ。この町に住んでいたのは確かなようだが、肝心の家の場所はよくわからないとのことだ。
その四。彼の条件について。
彼は妖怪である。しかし妖怪に永遠の命があるわけではなく、死ぬこともあるらしい。その死ぬ時の条件とは、ただ一つ。
誰かに死ねと言われること。
死ねと言われたとき、彼は妖怪から普通の幽霊になり、あの世に送られるという。信じがたいが、彼の真剣な目が嘘だろなんて言わせなかった。
「おかえり、麻里」
「おー、珍しく猫の姿なのね」
「まあ、たまにはね」
あぁ、言い忘れていたことがある。彼の姿は私にしか見えないことだ。お母さんも帰ってきた和哉も沙耶も、友達にも彼は見えなかった。
さて、何故私にしか見えないのか。そこは彼にもよくわからないようだ。
「よし、あっちの部屋で会議しよう」
少し前、春子さんの大体の住んでいた場所がわかった。二丁目……私の家も二丁目だから、都合がいい。
そしてここ数日は、広い二丁目を効率よく見て回るため、どこからどうやって何日かけて二丁目を回るかの会議をしていた。むやみやたらに探し歩いても、彼の記憶を曖昧にするだけだ。
「うん、わかった」
彼は会議の時は必ず人の姿に化ける。話しやすいというのもあるし、私自身が猫と話す自分に笑ってしまうからでもある……なんて、馬鹿らしいだろうか。
夕暮れに染まる町。生ぬるい風。
私は後ほど、この和室で会議をしたことをとても後悔するのだが、そんなことはまだ、知らない。
「……麻里のやつ、独り言うるさいわよ……」
- Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中)参照500突破感謝!! ( No.54 )
- 日時: 2015/03/02 23:42
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
明後日から更新できません!スキー教室です!
金曜日に帰るので、土曜日から更新できるかもしれませんので、それまでお待ちください。
- Re: 海と空〜中、短編集〜 (色々募集中)参照500突破感謝!! ( No.55 )
- 日時: 2015/03/20 18:02
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
5-7
沙耶の部屋に繋がるふすまが音をたてて開いたのは、作戦会議を始めて数分後だった。
ガタンッという大きな音。それと、沙耶の眉間のシワ。どれをとっても、沙耶の不機嫌を表している。
「さ、沙耶……」
どうしたの。なんで怒ってんの。そう聞こうとしたが、それは本人のいつもより低い声で遮られた。
「うるさいんだよ」
これは相当怒ってる……!!生まれてからの付き合いだ。本能的にその怒りの大きさがわかってしまう。
三人兄弟として生まれてきてしまった性格の違いすぎる私たちの喧嘩は、兄なしでは収まらない。これも生きてきて学んだ事。だからこそわかる。
今回は、本当にやばい。
「え、えっと、なんかごめんね?」
謝ったもん勝ち。私は理由もなく謝った。強いて言うなら、早く作戦会議をしたいからという理由だろうか。
あの黒猫も、不穏な空気に身を強張らせているのがわかった。美少年に化けた黒猫……黒猫って呼ぶのやめたいな。今度名前をつけてやろう。まだ時間はあるだろうから。
おっと、話がずれた。とりあえず、私はそんな感じで沙耶に頭を下げたのだ。納得いかないけど、仕方ない。
「あのねぇ。私今受験生なの。みんな勉強してるし、あんた勉強しなくていいんだから黙っててよ。どうして協力してくれないの?」
しかし、これにはさすがに耐えきれない。
私だって、この黒猫のために……!
拳を強く握る。ブチっと、あっけなく何かが切れた。
「受験生って、そんなに偉い身分なの……?」
沙耶の眉間のシワが増える。黒猫が「おい、」と声を掛けるが、私はそれを無視して沙耶を睨みつけた。
和哉なら、もっとうまくかわせたのかもしれない。
やっぱり私は、ダメな妹だ。
「ふざけんな!!勉強のイライラ、こっちにぶつけないでよ!!」
ドタドタと走り去る。ここにはもういられない。
背後からは黒猫が追いかける足音が聞こえたけれど、私はそれを振り切るスピードで町をかけて行った。
- Re: 海と空〜中、短編集〜 (色々募集中)参照500突破感謝!! ( No.56 )
- 日時: 2015/04/25 17:12
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
5-8
気がつくと、そこは家から走って1分程度で着く河川敷だった。つまり、無意識でここまで走ってきたのだ。
小さい頃は、沙耶と和哉と三人で、よくここで遊んだっけ。川に入って溺れかけて、水泳が得意な沙耶が助けてくれた。和哉は陸上部だったから足が速くて、すぐに母さんを呼んできてくれた。
「……ここじゃ、見つかる」
別に見つかってはいけない理由なんかないけれど、私はまた走り出した。
どれくらい走っただろうか。体力には自信があるし、まだ走れると思うが……。
「ここは……」
まただ。この公園も、家族の思い出がたくさんある。
虐められた私を、沙耶が木の棒を片手に助けてくれたんだ。その時はもう和哉は随分身長が伸びてて、いじめっ子達は和哉を見て逃げちゃったんだよね。今思い出すとなんだか笑えるなぁ。
「ここも……」
「ここもダメ……」
「もう、なんで……?」
走っても走っても、立ち止まる場所には思い出がたくさん。そんな場所にいたら家族のこと思い出して、謝りに行きたくなっちゃうじゃん。そんなの、負けたみたいで嫌なのに。
「はぁ……」
なんとなく、ため息をつきながら空を見上げると、空はもう随分暗くなっていた。さっきの公園で見た時計は確か18時30分を指していたから、もう19時くらいだろうか。
スーツを来た大人たちが、ゾロゾロと人混みを作って押し寄せる。いつの間にか駅前の商店街に来ていたみたいで、居酒屋などのお店の明かりが、ぼんやりと光った。
流される。人混みに、流される。
まるで最近の私みたいに、周りに流される。
あぁ、ここでも思い出した。昔、動物園で迷子になって、確か沙耶と和哉がすごく心配して探してくれて……。
そういえば、二人が見つけてくれたはいいけど、今度は三人でここどこだ?ってなったんだっけか。それで私が泣いちゃって、沙耶は転んじゃって……。和哉も泣きそうだったけど、沙耶をおぶって私の手を握って、必死に人混みに逆らった。
それで母さんに見つけてもらって安心して、みんなでアイス買って食べて。
「……ごめんなさいっ……」
たくさんの、ありがとうとごめんね。
和哉にも沙耶にも、ありがとうを言わなきゃいけないのに。沙耶には今日のことをごめんねって言わなきゃいけないのに。
なんで、あの時沙耶のことわかってあげられなかったの?
なんで、あの時沙耶の隣の部屋で会議したの?
私は、喋る黒猫と出会うっていう非日常に、浮かれてただけなんじゃないの?
「ごめんなさいっ……!ごめんなさい、ごめんなさいっ……!!」
黒猫も、ごめんね……
「俺もごめん。麻里」
黒猫の声がした。
- Re: 海と空〜中、短編集〜 (色々募集中)参照500突破感謝!! ( No.57 )
- 日時: 2015/04/26 15:11
- 名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)
5-9
私はあの河川敷を、家に向かって黒猫と歩いていた。
いつの間にか泣いていて、気がつくと止まらなくなっていた。ひっくひっくとしゃくりあげる私の前を、黒猫がゆっくり歩く。私の歩幅に合わせてくれているようだ。
「……黒猫ぉ……ごめんねぇ……!」
「だから、謝るなよ。こんな変なことに巻き込んで悪かった」
黒猫が顔だけ振り返る。やっぱり猫が話す様子は滑稽だ。笑えてくる。
「家族が心配してたぞ」
しばらくして私の涙がおさまると、黒猫は前を向いたまま言った。またもや罪悪感に襲われる。
「……そうだよね。謝らなきゃ」
「いや、違うんだ」
ピタリと黒猫が立ち止まり、私も慌てて止まる。月が明るく街を照らしだし、とても幻想的な雰囲気だ。
そんな月に、黒猫はよく似合う。
「……何が違うの?」
私が尋ねると、黒猫は私に向き直り、その黄色い瞳で見つめてきた。以前も同じような感じで、目をそらせなかったことを思い出す。
「俺が、謝らなきゃいけないんだ」
「……は?」
夜風が私の髪をなびかせる。草木がザワザワと揺れ、少し不気味だ。
黒猫の言った言葉を、私は理解できなかった。黒猫が謝ることは無かったし、春子さんを見つけることは別に謝ることではないだろう。私が許可を出したのだから。
「……あの日に、俺がお前の家に行かなきゃよかった」
「な、なんで?」
わけがわからない。唐突な謝罪と後悔の意を伝えられ、私は頭の上にいくつものクエスチョンマークを浮かべた。
「だって、俺がお前の家に行かなければ、こんなことにはならなかっただろ?
だから……
俺を消していいよ、麻里」
夜風が止んだ瞬間、私は目を見開き、その小さな黒猫を凝視した。
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