コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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海と空〜中、短編集〜 (色々募集中)参照500突破感謝!!
日時: 2015/03/14 10:45
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

どもども、みにょです^ ^
知ってる方はきっと少ないので多分あなたも初めましてでしょうか?!

最初は長編小説でしたが、短編集に開拓しようと思います。申し訳ございません。
短編のジャンルは様々です!
恋愛だったり、人生だったり、家族だったり。ギャグとシリアスもごっちゃです。
そして更新遅いです。すいません>_<

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FeliceStoria〜幸せを見つける物語〜 (バリバリの長編)
今日も私は遠距離恋愛。 (長編ではないけど短編でもない)

ノロノロ更新ですが連載中の私の作品です!読んでくれたら嬉しいです(照)

〜お客様〜
七和様
モンブラン博士様
雨様
餃子女様
美奈様

〜目次〜

語り部>>1

【私は彩香ちゃんが嫌いだ。】 〈完結〉
1-1>>20 1-2>>21 1-3>>22

【普通の兄妹のある日の話】 〈完結〉
2-1>>25 2-2>>26 2-3>>27 2-4>>28 2-5.あとがき>>29

【高校の文化祭にて、俺は多分青春もどきを謳歌してる】 〈完結〉
3-1>>30 3-2>>31 3-3>>35

【雨上がり恋心】 〈完結〉
4-1>>36 4-2>>37 4-3>>38 4-4>>39 4-5>>41 4-6>>42 4-7>>43 4-8>>44

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Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中)参照300突破感謝!! ( No.38 )
日時: 2014/12/30 12:27
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

4-3

あれから数ヶ月がたった。
町はもうお正月ムードで、所々で鏡餅やらなにやらが飾られている。中学も冬休みに入ったし、私は暇を持て余していた。
しかし、今日は雨。
もうあの日みたいには走らないけれど、走ったらまた会えるかなぁなんて思ったりする。でも多分、夏休みしか来ないんだろうなぁ。
雨で濡れたまっすぐな黒髪に、同じくらい澄んだ大きな瞳。優しい声と言葉。
「……何考えてんの私……?!」
彼のことが忘れられない。
そんなことを思っていたから、私はその時すでに……。

恋に落ちていたんだーーーーーーーー




それから更に数ヶ月。彼と出会った夏休みから、ちょうど一年が経った雨の日だった。
中学二年生の夏休みというのは部活も忙しいもので、試合とか練習試合とかで最近は筋肉痛がひどい。
運動は苦手じゃないけど、得意でもないし好きでもない。ただなんとなく、今の運動部に入ってしまったのだ。それがしっぱだったかどうかは、まだわからないけれど。
今はその忙しい部活の帰り道である。隣町の中学へ練習試合に行ったのだ。友達はもうみんな帰り道が違くて別れてしまったから、一人で。

こんな雨の日は、彼のことを思い出す。

傘もある、濡れてない、転んでない、走ってない。
こんな普通の私だったら、彼に変な人とは思われないだろうし、去年の変な出会い方ではなくなるだろう。
まあ、そんな運良く彼が現れるわけではないし。
そう思った矢先だ。

少し遠いが、信号が青に変わるのを待つ、一人の男の子を見つけた。
黒髪で長さも同じ。あのダルそうな立ち方も同じ。そう、彼と、同じ……。
そんな私を急かすように、車の方の信号が黄色に変わった。

「待って!!」

私は弾かれたように走り出した。

あの男の子が彼だって、どうしてわかったの?
心の何処かが問う。
わかんないよ、わかんないけど、ここで走らなきゃきっと後悔するから。

歩行者用の信号が青に変わり、男の子は横断歩道を渡し始めた。
「待って……待ってっ……!」
いやだ、行かないでよ……。

もう、周りなんて見えてなかったんだ。
……それが、いけなかった。

Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中)参照300突破感謝!! ( No.39 )
日時: 2014/12/31 19:45
名前: みにょ (ID: 8AM/ywGU)

4-4

運命の出会いは、人生に二度もない。何かのテレビでやっていたことだ。
それでも、運命の再会ならーーーーーーー

「待って!!」
何度だって……!

男の子が向こう側に渡りきったのと、私が横断歩道を渡り始めたのはほぼ同時だろうか。横断歩道を渡る人は男の子以外にはいなく、私は傘をたたんで手を伸ばした。
一年間、彼のことを忘れた日は無かった。雨の日は特に思い出してしまって、会えないとわかっていながらも彼のことを想っていた。
でも、会えなくなんてなかったんだ。

しかし、私が丁度、横断歩道の真ん中に差し掛かった時だった。

歩行者専用の信号が赤に変わって、トラックが走り出す。ヤバイと思った時はもう時すでに遅し。
目の前に迫るトラックが、雨粒に反射して眩しく光っていた。

自分は大丈夫。簡単に死んだりしない。
人は誰もがそんな根拠の無い考えを持っている(少なくとも私はそうだ)が、そんなものなど通用するはずもないのだ。
今まさに、私は身の危険を感じていた。






「危ないっ!!」

運命の再会は、そんなハプニングから起こった。

Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中)参照300突破感謝!! ( No.40 )
日時: 2015/01/01 00:07
名前: みにょ (ID: Qx4JmDlZ)

あけましておめでとうございます!!

今年もこの小説と駄作者をよろしくお願いします!

Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中)参照300突破感謝!! ( No.41 )
日時: 2015/01/02 20:32
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

4-5

一瞬の間だけ、全ての音が遮断されたようだった。何も聞こえなくて、死んだのかとも思った。
しかし少しずつ、サァァ……という雨の心地よい音が戻って来る。それに比例して意識もハッキリしていき、私は目を開けた。
そしてわかったのは、私の上には誰かが重なるように倒れこんでいるらしいこと。その誰かは私の頭を守ってくれていたらしく、コンクリートと頭の間には冷たく冷えた手が挟まれていること。ここはどうやら、私が渡ろうとした横断歩道のこちら側だということ。
「う……」
頭の整理が追いつかないうちに、誰かが動き出した。ゆっくりと、頭とコンクリートの間に挟んだ右手ではない方の左手だけで起き上がる誰か。
しかし左手だけでは力が足りなかったのか、誰かはフラついて濡れた地面へ倒れこんだ。
ぱしゃっという音が雨音に混じり響く。私はハッとして起き上がった。
「あ、あのっ……!」
大丈夫ですか。
そう声をかけようと思った。誰かの体を揺らして、意識を持ってもらおうと思った。
だが、私の手は誰かに向かわずに止まる。無意識に止まってしまったのだ。
「いってぇ……」

まるで、シャン……と鈴が鳴ったみたいだった。
それほどに、「彼」の瞳は、声は、姿は、魅力的だった。

「……なんで……?」

誰かは、一年前に出会ったあの彼だった。

「なんでここにっ?!」
悲鳴にも似た声を出して、私は後ずさる。すると彼はしばらくしてから、あぁ、去年の……とつぶやいた。
「なんでって……お前が道路に飛び出すから、走って助けてやったんだろ。命の恩人だぞ俺」
「えぇっ……?!」


ーーーーーーー危ないっ!!


あの時か。
私は記憶をたどって、色々と思い出す。やっぱり、追いかけた誰かは彼だったのだ。飛び出した私を、彼はわざわざ戻ってきて……。

「ご、ごめんなさいっ……!」

そうか、私、死にかけたんだ。今になって全ての記憶が元通りになり、私は恥ずかしさと罪悪感で咄嗟に頭を下げた。彼を追いかけて、トラックに引かれかけて、でも彼は私を助けてくれて。

再会した今日も雨で、私は迷惑をかけてばかり。
こんなの、嫌だなぁ……。

「お、おい泣くなよ……」
「だって……!私、去年も迷惑かけて、今年も、せっかく会えたのにっ……!」
彼は優しいから、座り込んだまま泣きじゃくる私の頭を撫でる。けど、それは多分他の女の子にも同じなのだろう。

それがどうしても悔しく、悲しく、虚しい……。

「……はあ……俺大丈夫だし、死んでなかったし、いいんじゃないの」
呆れたように、彼が言う。私はうつむいたまま答えた。
「でも、迷惑かけた……」
「死ななきゃいい。じいちゃんも言ってたんだ」
彼は立ち上がって、柔らかく優しい声で言った。顔を上げると、彼は横断歩道の向こう側を見ているようだ。その先は、おじいちゃんの家だろうか。
「……今年も、おじいちゃんの家に?」
「あぁ。毎年さ」
「うん……」
会話が続かない。本当はずっと話していたいけど、彼の傘は横断歩道の向こう側に落ちているから迷惑だ。私の傘はへし折れているし。
落ち込んでいると、彼は私の頭を最後にくしゃっと撫でた。
「じゃ、また来年な」
「うん……って、え?」

すでに彼は走って横断歩道を渡っていて、あの言葉だけが心に何度も響いていた。


ーーーーーじゃ、また来年なーーーーー

Re: 海と空〜短編集〜 (なんか色々募集中)参照300突破感謝!! ( No.42 )
日時: 2015/01/04 17:32
名前: みにょ (ID: 3HjnwYLE)

4-6

それから、中学三年生、高校一年生と、毎年夏休みに彼と会った。
連絡先も交換して、今年は何時にどこで……と待ち合わせをする。冬に待ちきれなくなったら、他愛もない話をしようと連絡する。
そんな、遠距離な私の恋……。
恋なんて初めてで、これが恋だと気づいたのは最近のことだけど。でも、気づいた時は、テンパりながらも嬉しかったのだ。
それに、毎年話す時間も増えて、彼についてわかったことがいくつもできた。
他の県から来ていること、私より一つ年下ということ、犬を一匹飼っていること……。

たくさんわかっていくうちに、もっと知りたくなっていく。
たくさんわかっていくうちに、もっと好きになっていく。

それがたまらなく嬉しかった。
でも同時に、苦しくもなった。

夏以外は会うこともできず、その間、彼は他の女の子に恋をしてしまうかもしれない。来年、来れないこともあるかもしれない。
ぬぐいきれない不安と、好きになったことへの後悔。ごちゃ混ぜになったそれらが、私の心をかき混ぜていった。




「また会ったな」
「毎年でしょ?」
「まあな」
高校二年生になった今年も、私は彼と会った。一個しか違わないのに彼の身長は伸びていて、身長差が激しい。

縮んだ?と聞かれ、あんたが伸びたんだ!とわめく。
年上なのにーとからかわれ、先輩に敬意を払いなさい!と彼の頬をつねる。
今年あった出来事を話す彼の声と表情を見て、今年も会えたことを実感する。

そんなひと時の時間を、私はゆっくりと噛み締めた。彼もそうだと嬉しいなんて、流石によくばりだろうか。
「ねえ、あんたさ、彼氏いないの?」
「……へ?」
唐突だ。唐突すぎるっ!
きっと彼は私の恋心を知らないだろうから、この質問は彼のただの興味だ。しかし、私は彼に想いを寄せている。
してはいけないとわかっていても、期待をせずにはいられない。
「……いない、よ……」
嘘はついていない。本当に、生まれてこのかた彼氏なんて出来たことないのだ。
彼はおー、同じじゃんと笑う。そして少し頬を膨らませ、リア充とか、羨ましいっつーかなりたいっつーかさぁ……とかぶつくさ文句を言い始めた。
内心は焦りながらも彼の話を聞いてみると、どうやら、彼は告白されてもずっと断ってきたらしい。好みの子とかもわからないし、付き合うとかもよくわからないそうだ。
「やっぱ、好きな人くらい欲しいよなぁ」
そう、彼が呟いた瞬間。私は我慢の限界を感じて、口を開いた。

「私、好きな人いるよ」


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