コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ
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- 私の後ろの不良執事
- 日時: 2016/04/13 17:44
- 名前: 紅色ゆりは (ID: gKAFDMkE)
恋愛小説に不慣れな紅色ゆりはです。
★コメントどしどしお願いします。
★アドバイスをいただけたら嬉しいです。
★更新は不定期です。
★中学生から書き始め、今年度(h28)高校生になりました。
よろしくお願いします。
- Re: 私の後ろの不良執事 ( No.1 )
- 日時: 2014/08/06 21:59
- 名前: 紅色ゆりは (ID: gKAFDMkE)
プロローグ
日本ビジネス。金銭社会。株価がどうの、外交がどうのなんて、まだ中学生
の私にはよくわからない。ただ、わかることはふたつだけ。その黒い世界で
重要視されるのは、ひとつめ、お金。ふたつめ、コネ。ひいては家柄であるということ——。
たいくつだった。私にごまをすってコネを必死に作る大人たちの中に居ても
憂鬱になるだけだ。
学校に行くのも、家にいるのも、どこか息苦しい。
私自身が、お嬢様という肩書きを持っている以上は・・・・・・。
つづく
- Re: 私の後ろの不良執事 ( No.2 )
- 日時: 2014/08/06 22:38
- 名前: モンブラン博士 (ID: EhAHi04g)
紅色ゆりはさんへ
お久しぶりです。元エドワード博士です!サトミちゃんの方にもコメント送りました。がんばってください!
- Re: 私の後ろの不良執事 ( No.3 )
- 日時: 2014/08/07 15:24
- 名前: 紅色ゆりは (ID: gKAFDMkE)
エドワード博士改めモンブラン博士、お久しぶりです!
コメありがとうございます。これからもがんばります★
元々完全オリジナル恋愛小説は得意じゃないですけど、ジャンルは
違えど同じ小説。頑張って精進(笑)していきたいと思います。
良かったらこれからもアドバイス等よろしくお願いします★
では早速更新!
第一章 1
「えー…お引き合わせいたします」
第一印象、ヘタレ。メガネ。お坊ちゃま育ち。何かイヤ。
「こちら山中物産の社長ご子息であらせられます、山中英介殿」
山中物産のお坊ちゃまか。髪の毛がヘアワックスでガチガチに固め
てあって、気合入れ過ぎっていうのがよくわかる。固め過ぎだよ、
いくらなんでも。それじゃ50代前半のおじさんヘアって言われたと
しても、仕方ない感じ。典型的すぎるよ、このお坊ちゃま。
「えー…こちらはご存知かとは思われますが、かの有名な名家・
宮門家ご令嬢、柚穂様にあらせられます」
引き合わせの人が静かにそういった。
「あ〜! めんっどくさかったぁあぁあ!」
シャワーを浴びた後、私はベッドに寝っ転がって叫んだ。
今日のお見合い、何よあれ。「好きな色は?」「ピンクですわ、
おほほ」って? なーにが「好きな色は?」よ。これまでのお見合い
で散々訊かれてきたこと、にこやかに話せないっての。
だいたいね、大概のお見合いはフレンチなのに、山中物産の
お坊ちゃまったら和風料亭なんて選ぶもんだから、和服なんか
着せられた上に、正座しっぱなしで足がしびれちゃったじゃない。
いくら5月初旬だからって、和服は暑いし動きづらいんだから。
お父様も、友人に頼まれたからって、ホイホイ見合い話を持って
来ないでほしいわ。
私は心の中でネチネチ文句を言うと、ふーっと息をつく。
——まぁ、お坊ちゃまもお父様も悪気はないんだろうし、色々
考えてくれたんだろうから、我慢してあげるけどね。
「お嬢様。お夕食のお時間にございます」
「わかった、今行く」
ここは宮門家第二邸。元々あった第二邸が超古くなったから、私が
生まれた時、古い屋敷の隣に新しい屋敷を建てたんだって。だから、
私の住んでいる洋風の新しい屋敷はキレイで、住み心地もいい。
隣に建つミニドラキュラ城みたいなのに住んでいたかと思うと、心の
底からぞっとする。夜に窓から見たりすると、お化け屋敷にしか
見えないしね。
宮門家——それは茶道や日舞など、和風文化を極めつくした、日本
古来の名家中の名家。そのお嬢様だったお母様に、入り婿したのが
タカミネカンパニーの社長ご子息だったお父様だった。
——あれ。よく考えてみればスゴイ話……。
その2人の間に生まれたのがこの私、宮門柚穂。
一見幸せそうに見えるけど、私はあんまりこの家が好きじゃない。
お父様もお母様も遠いところでお仕事してるし、月に何回も
お見合いはあるし。それに、昔からの使用人以外の大人は、私にこび
へつらってばかりで嫌なんだ。大人に意味もなく頭を下げられたって
嬉しくない。それに何と言っても、この夕食時のむなしさは、どう
あってもぬぐえない。大きなテーブルに一人分の料理が並べられ、
高い天井とおしゃれな西洋窓が、なぜだか極端にさみしさを誘う。
静まり返っていて、時折使用人の足音が聞こえる程度しか音が
しない。
一応、仕方のないことだって理解しているつもりだ。親の仕事の
おかげで、こんな贅沢な生活ができる。それは当の本人である私が
一番よくわかっている事実。
でもさみしい。わがままは言えない——でもやっぱり、そう思わず
にはいられないんだ。
軽いカールのかかった長い髪を一つにまとめ、ポニーテールにだて
メガネといったスタイルで、私は登校する。
新しいクラスになって二か月。中学二年生の私としては、そろそろ
友達ができたらいいなぁなんて思う。
「宮門さん、後ろにプリントまわして」
「あ、はい」
クラスのみんなは、私の家での姿を知らない。自分で言うのも
何だけど、大騒ぎになるから。私の希望で普通の市立中学校に通わせ
てもらっているからには、学校にもお父様にも迷惑はかけたく
ないんだ。
この中学校の校風自体は、実は好きだったりする。イベントが多い
し、制服も結構自由に着れるし、先生たちも個性いっぱいだし。
でもクラスはちょっと……ね。
別に誰かと同じクラスになりたいとか、そういうのはない。
仲の良い友達とかはいないし、普通に楽しくやっていけるクラスが
一番いい。でも今回のクラスばかりは少し苦手。個性的なムード
メーカー、クール男子、ウワサ好きの女子グループ、わがまま姫、
地味男。キャラが濃すぎだ。
私は伸びをして、くたっと椅子に寄り掛かった。今日は部活がない
から、帰りのHRのあとすぐに帰れるはずだ。明日は休みだし、
ゆっくりのんびり過ごそう……。
第一章 1おわり
続く
- Re: 私の後ろの不良執事 ( No.4 )
- 日時: 2014/08/07 17:28
- 名前: 紅色ゆりは (ID: gKAFDMkE)
第一章 2
——と、思ったのに!
「お嬢様、今日は執事評論会の審査員席に御呼ばれしていらっ
しゃいますと、前々からお伝えしておりましたはずです。早く起きて
お支度なさいませんと、今夜の会に間に合いませんよ」
「んー……。まだ朝の9時じゃない、荻原。先週の土曜日は10時
まで寝させてくれたのにぃいぃぅふぁぁあぁぁ……」
「宮門家のお嬢様が大口開けてあくびなんて、はしたないっ。
メイド長のわたくしめは、奥様から柚穂様のことを言い遣ってござい
ます。そのようなわけにはまいりません」
メイド長の荻原は何かと真面目で融通が利かない。メイドの中では
最年長なこともあって、プライドもプラスしておっかない。
天蓋付きの大きなおひめさまベッドは白とピンク色で、もうふっか
ふか。寝心地がよくて、もうちょっとくらい寝てたいんだけどなぁ。
「柚穂お嬢様!」
ハイハイ、わかってますよー。
執事。それはお嬢様お坊ちゃま方の世話の全体的な部分を一任する
結構大変そうな仕事。
今回の評論会は3つの県から何人ずつくらいかが出場し、言葉遣い
や気の利きようなんかを評価するとか。それで賞をもらったり、入賞
しなくても、お客様としてきたお金持ちに気に入られれば、仕事が
もらえるって仕組み。
でも私にしてみればそんなことどうだっていい。執事って言った
って、こういう小規模なコンテストにはロクなものがいない。元・
高級レストランのサービスマンとかソムリエとか、もしくは正真正銘
のど素人。高級レストランで最高のサービスマンをやるのがすごく
難しいように、執事をやるのだって、また別の難しさがある。
——つまり、執事とソムリエとかは、別々の職業だって言いたい
わけですよ。
「お嬢様、お美しゅうございます」
ふわふわした大きな淡いピンクのレースのリボンを頭につけられ、
ドレスも同じ布地のものを着せられた。
この前、パーティの時に真っ赤なフラメンコドレスみたいなのを
着せられた時、これだけは嫌だといったかいがあった。あの時よりも
ずっとボリュームもフリルも少なめで、そこそこ大人しいドレスだ。
「お嬢様、つきました」
車から降りた私は、その会場を見上げて、目を丸くした。
「うわ、会場、なにこれ……」
ふわああ、と口を開けて、私は建物を再び見上げた。
「有名な建築家の村沢 浩司氏の建造物だそうです」
その村沢なんたら氏は知らないが、すごいという事だけはわかる。
クリーム色の壁、大きなロゴ。薔薇が彫られたガラスのドア。
薄暗い時間帯だから、大きな窓からキラキラのシャンデリアがよく
見える。キレイといえばそれまでだけど、それ以上の斬新さがある。
「ずいぶんと洒落たところでやるのね」
こういうキラキラしたところは、お客としてならまだしも、審査員
だとか重要な役目で来ると緊張する。慣れたとはいえ、長時間
ハイヒールで立っているのは嫌だからね……?
評論会は土曜と火曜の二つに分けられ、今日は1次審査を行う
らしい。私はため息をつきつつ、審査員席に座った。
「あ、あの、宮門家の……?」
緊張気味に、隣のおじさんが話しかけてきた。審査員席に呼ばれる
ほどだから、どこかの会社の重役とか、すごい人のはずなのに、ガチ
ガチに緊張している。こう緊張されると、今更ながら親の偉大さを
思い知らされる。
「はい、宮門の柚穂にございます。失礼ながら、あなた様は」
「しっ、失礼いたしました。わたくし、こういう者でして……」
なんだかいつも通りだなぁ。お嬢様として出かけると、行く先々で
こうやって知らないおじさんに声をかけられ、名刺を渡される。
いつも、この時の対応が面倒くさい。執事がいたら、こんなことも
さらっとやってのけてくれるんだろうか……。
今回の執事は7人。スーツの良く似合うおじさんや、茶髪の10代
くらいの人、ベテランそうなひと……。なかでも、会場の人の目を
引いたのは、
「谷崎 留矢(たにざき りゅうや)。16歳。主人の命令とあらば
たとえ人喰いトラのオリであろうと、入って命令を果たします。
主のため仕えることをお約束申し上げます」
谷崎留矢っていう黒髪のイケメン。いかにもご婦人受けしそうな
見かけ。さっきからお客様席のご婦人方がきゃあきゃあ言ってるよ。
ばっからし。どーせ興味本意で来たんじゃないの? ワインの
名称を言えたりテーブルセッティングの方法だけじゃ、私は騙され
たりしないんだから。イケメンだって、いろんな芸能人に会って
きてるんだから、目は肥えてるんだからね。
「どうぞ、お嬢様」
ふーん……。
いい色のテーブルクロス。生地もちゃんと選んできてるし、お菓子
も……うわっ、なにこれかわいっ! キャラメルのムースにフルーツ
ソースがかかってる! し、しかもおいしいし……。
「お嬢様、紅茶でございます」
うっわぁ何このいい香り。これが審査じゃなきゃ、速攻銘柄聞いて
るよ。
「執事さん、こちらのタルトは」
気品のいい奥様がタルトの出品店を聞かれたときも、
「こちらは東京の丸の内に本店があります洋菓子店の……」
と、嫌な顔一つ見せず流れるような説明!
えっ、ひとつひとつ違う出品店、すべてそんなに細かく覚えてる
の? ありえない……。
「お嬢様」
「え、はい!」
急に声をかけられた私は素っ頓狂な声をあげた。執事はほかの人に
聞こえないように、
「口元にタルトソースがついてらっしゃいますよ。僕に見とれられ
るのは構いませんが、お嬢様がお恥ずかしいのでは?」
こそこそと、耳打ちした。
「は? えっ、あ……」
あわてて口元を拭くと、執事がクスッと笑った。
——今笑ったでしょ。今笑ったでしょ、そこの執事!
私の渾身の睨みにも臆せず、執事はほかのテーブルへと言って
しまった。
なに、あいつ!!
第一章 2おわり
続く
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