コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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オモテとウラ
日時: 2014/12/15 17:35
名前: 葵 (ID: DXj3gHSB)

初めまして!
こんにちは!

あおいです☆

[あらすじ]
渡辺遥ワタナベハルカは学校いちのモテ女。女子からも男子からも憧れの存在。もちろん彼氏もち。
でも、それはオモテの顔。
ウラの顔をずっと隠し通してきた遥だが、同級生の高橋颯太にしつこく迫られ、ウラの顔が・・・



初めてだし、学生なのでなかなか上手く書けませんが、最後まで読んでくれると嬉しいです!

登場人物紹介>>64

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Re: オモテとウラ ( No.70 )
日時: 2015/02/02 17:16
名前: 葵 (ID: DXj3gHSB)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=38328



16 許し

私は3日間寝込んだ。
人間というものは不思議なもので、何もしたくない思っていても時間が経つにつれて動きたくて仕方なくなる。
ショックもだいぶん薄れてきた。
いつしか、大切な夏休みを3日も無駄にしてしまった、という後悔に変わっていったのである。
そしてある日、ナナから電話がかかってきた。
1コール・・・2コール・・・3コール・・・
10コールを過ぎても電話が切れなかったため、仕方なく電話に出た。
「——はい。」
「もしもし、ナナだよ。遥ちゃん?」
「ん・・・。」
「あのさ、13:00に駅前のイタリアンレストランに来てくれない?場所わかる?」
「え、うん・・・うん?」
「ちゃんときいてる?もしもーし。」
「きいてる。」
「駅のちょっと手前のあのレストラン。んーと、そう!このあいだ陸上競技場に行くときにお兄ちゃんと会ったとこ! 」
「は?なんでナナがそんなこと知ってるんだよ。」
「んじゃ、13:00に。」
「ナナ、質問に答えろ!」
「ツーツー、ツーツー」
きりやがった。




ナナに言われたレストランに行ってみると、奥の席に表裏人間集会のメンバー全員がすわっていた。
もちろん、モトヤスも。
皆、料理やら酒やらで大騒ぎ。
もう酔っぱらっている、最年長のタカオ。
いつも無口なシンは、場が違うと人が違うように明るい。
親と子、ともに参加している西内親子。
年下の女の子の世話を焼いてる、相方のナナ。
一年ほど姿を現さなかったのにも関わらず、もう打ち解けているモトヤス。
つい3日前にあったのに、皆がとても懐かしい。
自然だった。あの集会のことなんて忘れてしまったかのように。
もしもあんなことがなかったら、私も今ごろあのなかで笑っていたのだろうか。
ナナと不意に目があった。
「遥ちゃーん!待ってたんだよー。」
ナナがこっちに走ってくる。
あのチョコチョコ走り、相変わらずおもしろい。
というか、店の中で大声だして走り回るのは・・・。
「さ、こっちこっち。座って!」
ナナが私の背中を押す。
されるがまま、私はいちばん端のお誕生日席に座らされた。
皆の好奇心溢れる眼、自信に満ちた眼。キラキラ光っている数十個の眼がなんとも眩しい。
なんでそんな風に見るの?むしろ怒ってくれた方が楽だ。
憎しみのこもった眼は、なれてるから・・・。
「えーっと、遥ちゃん。今日は来てくれてありがとう。」
ナナが言い始めると、皆は食べるのをやめた。
「ここからはナナより年下だけど、アヤネに言ってもらうね。はい、アヤネどーぞ。」
「う、ん。」
アヤネが静かに喋り始めた。
「今日来てもらったのはね。あの、うんーと・・・その・・・。やっぱり、アヤネは遠回しに言えないや。3日前の集会のこと。」
「・・・やっぱり。」
「昨日だっけ、一昨日だっけ、忘れたけど遥ちゃんを除くここにいるメンバーで集まったの。今後のこと、しっかり話し合わないといけないいと思って。」
「うん・・・」
「話し合った結果、遥ちゃんには部長を続けてもらうことになりました。」
「うん・・・ええ!?」
「ナナから色々聞いたよ。ばれたのがナナのお兄さんだ、ってこととか。」
「うん。」
「アヤネはね、遥ちゃんが変わらなきゃばれても良いと思う。」
「え。かわる?」
「ばれた人間ってさ、変わるんだよ。今までとれてたバランスが崩れるんだから。ばれたことで、良い方に向かう人もいれば悪い方にいく人もいる。遥ちゃん、ばれてからどれくらい経つの?」
「・・・2ヶ月ぐらい。」
「それまでの間、遥ちゃん何か変わった?今まで通り表裏人間としてバランスとれてるでしょ?なら、なんの問題もないじゃん。」
「でも・・・。」
「ま、さすが部長だよね。バランス崩さないなんて。」
「くずれてるよ。高橋にいっつも・・・。」
「それに、好きな人なんでしょ?」
「は?」
「え、ナナから聞いたよ。ナナのお兄さんのこと好きなんでしょ?ウワキ——」
「ナナ!!!!」
「ごめんって遥ちゃん。ナナにはそう思えたんだもーん。」
「ったく・・・。ほんと馬鹿。」
「とにかく、このままでいいってことで!丸くおさまった・・・よね?」
皆がうなずく。
「ありがとう。皆のこと裏切ったのに、まさか許してもらえて更に部長を続けられるなんて・・・。表裏人間の私、は、何も変わらないと思うし変わるつもりもない。ほんとうにありがとう。」
深く頭を下げた。
嬉しくて涙が出そう。皆の優しさが心に染みる。
部長だけど私は皆に支えられていて、皆がいないと何もできない、ちっぽけな人間だと改めて思った。
「もういいよ、遥ちゃん。照れるし。」
「うん、そうだね。私実はお昼食べてないんだよなぁ。よし、今日は私の奢りだ!皆一杯食べて!」
「よっしゃっ!!ピザとビール追加で!」

皆、ありがとう——

—☆


結局私たちは、18:00ぐらいまで大騒ぎしていて店員に追い出された。
そして帰り道、突然モトヤスに呼び止められた。
「遥部長。ちょっと良いっすか?」
「あ、モトヤス。何?」
「とりあえず謝っとく。俺のせいでこんなに大事になっちまったし。」
「ううん。私の方が悪いから。」
「お詫びって言ったらあれですけど、大切な情報教えます。」
「え?」
「表裏人間集会の成り立ち、世代交代についてです。」

一瞬、時が止まったように感じた。
どうやら私の夏休みはまだまだ終わりそうにないみたいだ。


Re: オモテとウラ ( No.71 )
日時: 2015/04/18 16:25
名前: 葵 (ID: DXj3gHSB)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=38328



17 闇のなかの別れ


モトヤスから聞いた話をまとめると大きく四つ。

一つ目・・・
最初に表裏人間集会を開いたのは私の先祖だということ。
詳しい年代はわからないそうだが、昔から表裏人間のような人はいた。
そんな人達を集め集会を大規模にしたのは数十年前で初代部長は渡辺正則さん。
私の先祖だ。

二つ目・・・
これまでの部長は全て渡辺一族だということ。
もともと表裏人間になりやすい血筋らしく、偶然渡辺一族が連続で部長となっている。
お母さんが普通の人ということは・・・私はなくなった父親の血をひいたらしい。

三つ目・・・
部長や副部長を経験した人は二度とそういう役につけないということ。
つまり私とナナはもう副部長にもなれないということだ。
悲しいような嬉しいような、複雑な気持ちだがそう決められてるみたい。

四つ目・・・
世代交代後、前部長は会長になるということ。
院政のように裏で操る存在になる。
新しい部長、副部長は、前部長が決めるか投票。私は投票で決まった。




「話してくれてありがとう、モトヤス。」
「いえ、伝えるように頼まれたもので。」
「・・・ちょっと待って、モトヤスが今まで来なかった理由は何?」
「なんすか、いきなり。」
「部長にはなれないって知ってたわけだろ?」
「もちろん。普通に就活してましたけど・・・」
「私てっきり部長になれなかったからふてくされたんだと・・・。」
「まあバタバタしてたし、夜出歩くの眠いじゃん?」
「サボりは連絡いれないといけねないルールですが。」
「サボりぐらい許してよ。お陰で仕事にありつけたんだしさぁ。」
「ったく・・・」
「あ、そうそう。俺辞めます。」
「はあ!?」
「遥さん、掟の第一条覚えてます?」
「この集会は表裏人間のみ入会できる———的な?」
「それに当てはまってないからっすよ。俺表裏人間じゃないんで。」
「意味不明。」
「なんつーか、変わったんすよ、俺。大切な人ができたからかなー。」
「女か。」
「女って・・・。普通に彼女って言おうぜ。」
「ふーん、仕事も恋愛も上手くいってるって感じか。」
「まあね。遥さんと違って大切な人いるんで。」
「彼氏いるけど?」
「彼氏って言っていい存在なわけ?」
「・・・」
「ま、恋愛相談ならいつでも乗るよ。」
「ばーか。死んでもするか。」
「・・・やばい、門限過ぎてる!!遥さん、お世話になりました。」
「う、うん。」
「あでぃおす!」


闇のなかモトヤスの身体が消えるまで見つめる。

さよなら。

心の奥が熱くなったのを感じた。

Re: オモテとウラ ( No.72 )
日時: 2015/04/19 09:40
名前: ことり ◆E09mQJ4Ms. (ID: .aSTFw3a)

葵ちゃーん!久しぶり!元、杏でーす!

更新楽しみにしてたよ!
ずっと、更新してなかったから、こなくなっちゃったんかと思ってた汗

でも、よかった!

これからも、がんばってね!

Re: オモテとウラ ( No.73 )
日時: 2015/04/21 17:48
名前: 葵 (ID: DXj3gHSB)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=38328


ことりちゃん(杏さん)、ほんとに久しぶり〜!!
更新しなくてすまそ。

しばらく書いてなかったから、一気に下手なった・・・

これから頑張るね!


▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼▽▼

参照700突破感謝!!

Re: オモテとウラ ( No.74 )
日時: 2015/04/23 20:12
名前: 葵 (ID: DXj3gHSB)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=38328



18 紅


「遥サン、S校受けるってほんとっすか?」
夏休み明け、突然高橋にこういわれた。
「は?どこでそんな話を・・・」
「出所は知らねぇけど噂されてますよ。で、どうなの?」
「んー・・・考え中。」
「ふーん。」
「別に関係ねぇだろ。私がどこを受けようが。」
「まあ、そっすね。」
「え?」
「遥サンが行きたいならいいんじゃね?応援しますよ・・・っても、遥サンの頭なら応援なんて要らないよねー。」
「・・・」
意外。本当に意外。
正直高橋は反対すると思っていた。
『遥サン、どっか行っちゃうんですか?えー俺嫌だ。』とかなんとかいうと思っていた。
私、うぬぼれてたかも・・・。
応援するって何さ。あんたの応援なんて絶対いらない。死んでもいらない。
「遥サン?なんすか、その切ない表情。」
「へ?」
「あ、俺塾あるんで先帰る。一緒に帰れなくてごめんねー。」
「誰も高橋と一緒に帰ろうと思ってませんけど?」
「素直じゃないなぁ。それじゃ。」

スナオジャナイナァ。

——認めるよ、私は素直じゃない。
でも、今だけ自分に正直に・・・



高橋に反対してもらえなくて、ほんとは悲しかった

これが私の真実の気持ち・・・



—☆

10月のある日のことだ。
私は亮と帰るために、いつものように公園で待つ。
だいぶん葉っぱが黄色くなって、残暑も過ぎて肌寒くなってきた。
三年生が始まったのがついこの間のように思うが、もう半年以上も経つのだ。
時の流れが早く思えるということは、充実していたということなのだろうか。
「遥!」
「亮遅いよー。」
「ごめんごめん。先生に捕まってて。」
「結構心配したんだから。」
「お詫びと言ったらなんだけど、紅葉がきれいな道歩いていかない?ちょい遠回りになるけど。」
「うん!遠回りでも全然良いよ。」
「よし、こっち。」
このときから、始まっていたのかもしれない。
あと15分後のコトなんて知らない私たち。

「亮!すごい!ここら辺、もう紅いよ。」
「10月とは思えないなあ。こんなに紅葉って早かったっけ?」
「んー、わかんない。けど何て言うのかな、色の対比がすごく綺麗。」
私は落ちてある、銀杏の葉を何枚か拾う。
新鮮な葉。生命を感じる。
「遥何してんの?銀杏?」
「そう。」
「なんか・・・銀杏見てると、扇形の面積の公式が出てくる。」
「ははは!亮らしー。1/2×l×r」
「うん。その様子だと受験も大丈夫そう?」
「・・・」
「歩きながらにしようか。」
「そうだね。」
たちあがり、帰路にはいる。
いつものように重なった足音が今日はなんとも重々しい。
「先生になんて言われた?」
「・・・やめといた方がいいかもって。」
「親は?」
「まだ話してない。夏休みの間、一回もあってないの。」
「そっか・・・」
「ごめんね。」
「遥が謝る必要なんて一ミリもないじゃん。」
「うん・・・。でも、S校は行けるものなら行きたいよ?」
「思ってもらえるだけで十分。俺が変な提案するから混乱したよな、ごめん。」
「え、いやいや!同じ学校に通いたいっていってくれて嬉しかったから。」
本当に亮は完璧すぎるぐらいの自慢の彼氏だ。
私は亮に頼りっぱなしで、亮が迷惑になってるのじゃないかといつも不安になる。
亮は無理してるのではないかと、いい彼氏を演じてるだけじゃないかと、疑うこともよくあることだ。
なんか、申し訳ない。
もっと亮にふさわしい彼女になりたい。


——その時だった


「遥!!」



遠くで聞こえる亮の声

目の前に現れた車

私の真横に動く人影

横から強い衝撃

鋭く鳴る車のブレーキ

グギュッという鈍い音

倒れる亮



「亮・・・!!!」





足元の紅い水溜まりに
銀杏の葉が浮かんでいた



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