コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

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妖師~ayashi~【コメ大歓迎!】【番外編更新】
日時: 2015/08/11 14:52
名前: 岩崎りん (ID: mGOQ1xar)

異形の者——妖しもの

夜を支配し、人々と一線を画するもの

太古の昔から、そういったものは人々によって畏れられ、また崇められてきた。
 
しかし、人間が夜を支配し、科学や技術が発展するにしたがってそういったものは人間の目には届かぬ所へ追いやられた。

しかし、勘違いしてはいけない。消えたのではない。見えなくなったのだ。

見えなくなったがゆえに、妖しもの——妖怪と人間との距離感は曖昧になり、信じなくなたが故に、妖怪間との関係も悪化した。

穏やかだったはずの妖怪も、狂暴化してきている現代

そんな妖怪と人間との距離感をもとに戻すべく、仲介役になっている者たちがいた。

妖怪と同じ「妖し」の力を使い、時には戦い、時には話し相手となる。

それらを裏の住人や、妖怪は「妖師」と呼んだ。




——————————————————————————————————



どうもです!岩崎りんと申します。

こんな始まり方ですが、ドタバタのギャグ路線で生きたいと思います。

世間は妖怪ブームですね!それに乗っかったわけじゃあないですけど、設定がブレブレにならないように書いていきたいです!

バトルはあまり出てこないです。あくまでラブコメドタバタ路線です。

コメディー時々シリアスと思ってください。

中学生も受験生なので亀更新かもしれません。

かけるときに書いていきますので、どうぞお楽しみください!



登場人物>>05

ワード>>09


〜コメをくださった神様〜


イナさま

八太刀さま

遠野 青陽さま

ビタミンB2さま

ありがとうございます!!

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Re: 妖師~ayashi~ ( No.34 )
日時: 2015/04/30 22:00
名前: 岩崎りん (ID: mGOQ1xar)

「おい、あんこっ!あれ、どういうことだよ?」
「え?って言うか憐馬、あんた早いわね、どうしたの。」

教室に入って開口一番、先ほどの爆弾発言について憐馬は焦ったように追求した。

あの後、

——いいですよ、別に。今日ですよね?

——本当?じゃあ今日の4時に正門まで迎えに行くから。

——はい。

という会話がされたのだ。

杏子は相変わらずのポーカーフェイスだったが、男のナンパに乗るような性格ではないということを憐馬はよく知っていた。

「ああ、あれね。あんた感じなかったの?あの人、憑りつかれてるわよ。」
「憑りつかれてる?」
「珍しいわね。あんたが気づかないなんて。」

鞄を机に下ろしながらキョトンとした顔で杏子は言った。

「スケベ妖怪のイヤミね。むじなって説があるけど。」
「ああ、あのナンパ妖怪…。」
「憑りついてるってわかったら、何とかしなきゃでしょ?だからデートの申し込みを了承したのよ。」
「ああ、そういうこと…?」

憐馬は露骨にほっとした表情を見せる。

「何よ、憐馬?まさか、あたしがナンパされて焦ってたとか?」
「ああ、焦ったよ。」
「えっ?」

少し杏子はフリーズしたが、次の憐馬の発言ですべてが吹っ飛んだ。

「だってお前みたいな寸胴狂暴女とあんな華奢なお坊ちゃんが一緒に歩いたらあいつの身がもたな……ぐはあっ!!」
「寸胴狂暴は余計よっ!失礼ねっ!」

後頭部にゲンコツをお見舞いし、床に鎮める。

そのままぷんぷん起こりながら杏子は廊下に出ていった。

「おまえ、素直じゃねえな。」
「……別に素直だし。」

京介が、軽く憐馬の肩に手を置いた。

Re: 妖師~ayashi~ ( No.35 )
日時: 2015/05/03 14:06
名前: 岩崎りん (ID: mGOQ1xar)

放課後。やはり待ち合わせ場所に隆弘はいた。

「ごめんなさい、少し待たせましたか?」
「いいや、今来たところさ。いこう。」

さわやかスマイルを輝かせて杏子を見る隆弘。

その後ろの電柱の陰から、憐馬と京介が尾行していた。

「…くっそー、リア充爆発しろォ……。」
「今は俺もそれに同意。」

京介も、なんだかんだで憐馬に付き合ってくれている。

自分もタラシのくせに、こういう時ばかりはリア充をひどく憎む。

しばらく歩いていくと、人通りの多い商店街を歩きだした。

杏子は時折笑顔を見せて何か楽しそうに話している。

京介がふと、憐馬のほうを見ると、京介も見たことのない顔で隆弘と杏子をにらんでいた。

「…どうした。」
「ちっくしょ〜〜〜、俺公式でイケメン設定なのにィィィィィっ………!!」
「そういえばそうだったっけな。」
「俺のどこが悪いってんだよ!イケメンでしかも運動神経抜群!旧家の次期当主だぞ!?しかも伝説の妖師、妖屋六道の先祖返り!!それなりに強い!!!」
「聞けば聞くほど中二病設定だな。」
「冷静な分析はいいから。」

少し照れつつ憐馬が言う。

すん……、と京介の目が分析モードに代わった。

京介はバスケ部でポイントガードを務めることがあり、分析力は群を抜いている。

「まあ、お前の場合は素行が悪くて勉強もできず、女心もわからないヘタレで女顔だし、イケメンといえどそれは女性的な美人の部類に入るし、体つきも華奢だし、好かれるといえば男友達ばっかりで、女子にはそんなにだし、そもそも杏子ちゃんの好みにどストライクってわけでもないし、背もいつ杏子ちゃんに抜かれるかわからないわけだし、かたや成績優秀のお坊ちゃんでそれなりに整った端正な顔つき、すらりと高い背…多分180は超えてるなあ…に、完璧なモデル体型。気遣いができてジェントルマン。女子にモッテモテでバレンタインチョコは宅配便で送らないといけないほどで校内外にファン多数。…生きてるか?」

憐馬は、精神的ショックから電柱の下の地面に突っ伏して泣いていた。

「あっ!もうあんなに遠い!いくぞ憐馬!」
「うぅ……っ」

膝が抜けて立ち上がれない憐馬を引きずって、後を追う。

「というか、お前普段寸胴だ、狂暴女だって言ってる割には杏子ちゃんのことになると一喜一憂するよな。やっぱり好きなんだ。」
「ちがっ…!!何バカ言ってんだよタラシ!あんな狂暴女お断りだっ!」
「あ、復活した。」
「ただ俺は…、好きじゃないけどあいつがほかの男と一緒にいるのが気に食わないって言うか、なんかむかつくんだよ!あいつがほかの男に笑顔を向けてるのが!」

——そういうのを「好き」って言うんだよ、馬鹿!

京介は言葉を飲み込むと深いため息をついて二人の後を付けた。

Re: 妖師~ayashi~ ( No.36 )
日時: 2015/05/03 15:54
名前: 岩崎りん (ID: mGOQ1xar)

次第に、二人の後ろ姿は人気のない路地に吸い込まれて生き、結果的に廃ビルの中に入っていった。

「またなんでこんなところに…。」
「やっぱあいつ、あんこに何かするつもりだな…!」
「どうする?正面からじゃばれるぜ?」
「こっち。」

憐馬が手招きをする。

足音を忍ばせて鉄筋コンクリートのビルの割れ目が階段状になっているところを登っていくと、そこの部屋の中に二人がいた。

「ラッキー。ここなら足滑らせて落ちても問題ないし。安定してるし、いいとこだろ?」
「…お前、なんでこんなところ…。」
「美夜桜は俺の庭だぜ。」

きらりと憐馬は笑って見せるが、京介は若干引いている。

耳を澄ますと、少しずつ二人の会話が聞こえてきた。

「…で?何をたくらんでるって言うの?」
「……やはりばれていたか。」

隆弘からは、少年のものとは思えないしゃがれた声が発せられていた。

「あたしを誘い出して、こんな町はずれの廃ビルに呼び出して、何をするつもり?言っとくけど、手ぇ出そうとしてるんだったらその体ごとぶっ飛ばしてやるけど。」
「ふはははは。妖村の娘は威勢がいいねえ。」
「あたしのこと、ご存じなのね。むじな、いえ、イヤミさん?」

しばらく顎を抑えて含み笑いをしていた隆弘——イヤミはまっすぐ杏子に向きなおった。

「聡明だねえ、君は。しかし、そこまで大きな妖しの力は感じられない。」
「なにが言いたいのよ。」
「君じゃあ、妖崎の補佐、封印には至らない存在ということじゃよ。」
「なんですって?どういうことよ、それ。」

——封印…!?

憐馬は目を見張った。

妖村家は妖崎家の補佐的家柄で、そこに生まれた子息は主従関係にある。

実際主従関係は時代が立つ程に薄れていったが、補佐という関係は変わっていない。

しかし、封印とは。

自身の紅い瞳に関係があるのか。

イヤミはなおも話を続ける。

「そうか。まだ正式な当主にはなってないのじゃな。だったら、今のうちに喰ろうておけばいいことじゃ。」

イヤミは杏子に近づくと顎をくいっと上に向けた。

「あ゛っ!!!」

憐馬が腰を浮かせる。

杏子は身じろぎもせずにまっすぐイヤミを見つめている。

いや、動かないのではない。目が曇っている。

幻術にかかっているのだ。

「そのままわしの耳元に……よしいい子じゃ。そしてわしの耳に己の名を囁くのじゃ。そうすれば、お主は苦しむことなくわしと一体になれる。」

にい、とイヤミが気味悪く笑った。

杏子が背伸びをして耳元に唇を持って行く。

「杏子っ!やめろ!」

そういって、立ち上がろうとしたときだった。

「なめんじゃ……ないよっっ!!!!」

耳元でそう叫ぶと、裏拳でイヤミの体を吹き飛ばした。

「ぐへえっ…!!?」

奇怪な叫び声をあげ、ビルの壁に激突する。

思わず、憐馬も京介もポカーンとそれを眺める。

「かはっ……、なんで……、ごふっ……、わしの幻術が効かなかった……!?」
「幻術、結界……。あたしの得意分野よ。そこんところもよく調べておいたほうがよかったわね。」

杏子の目が完全に座っていた。

憐馬は思わず冷や汗をかく。

「まずい、あれ、本気で怒ってる………!!」
「ええ?いつもあんなに怒らせてるのに?」
「あんなの、俺らの間ではおふざけにしかすぎないんだよ。一回、あいつを本気で怒らせて死にかけたことがある…。あいつ、キレると手加減もくそもなくなるから……。」
「……マジで?」

京介も青ざめた。

憎悪が漂うビルの一室で、腰を抜かさんばかりに弁解を述べる妖怪が一体。

「お、おぬし!この体がどうなってもいいのか!?」
「しょーじき、あたし、そいつのこと大っ嫌いだから全身骨折しようが内臓破裂しようが、ど—————でもいいのよ。」

声がいつもよりワントーン低いだけで恐ろしいほどの圧迫感を覚える。

顔面蒼白の男三人が一堂に会している。

「まあ、後々のことがメンどーだから………。」

胸ぐらをつかむと、そのまま背中をぶったたいた。

ドスゥゥゥン!!という音がして、毛玉でも履くように口から小さな頭部のようなものが出てきた。

それをつまみ上げる。

「これがあんたの本性ってわけね……。」
「ゆ許して……。」
「あたしはねえ、ああいうモテるためだけに生まれてきたよーなやつと、知りもしないくせにあたしを弱い発言するヤローが、大ッッッッ嫌いなのよっ!!!!」

それを床に勢いよく投げつけた。

イヤミは完全に沈黙した。

Re: 妖師~ayashi~ ( No.37 )
日時: 2015/05/03 15:29
名前: 岩崎りん (ID: mGOQ1xar)

「お前が起こらせた原因って……。」
「うん、お前の想像通りだよ……。」

昔、仕事に行くときにけがをしていた杏子も「行く」といいだした。

「弱いから来るな」など、罵声を浴びせてどうにか行かせないようにした憐馬だったが、そこで「お前は弱いし、足手まといだから俺一人で十分なの!お前が来るといろいろ面倒なんだよ!」といった瞬間、杏子は本気で怒り、憐馬を締め上げたのだ。

締め上げ方はご想像にお任せしよう…。一つ言えることは本気でやばかった。これだけだ。

「…ああっ!」

我に返った杏子は、ぐったりしている隆弘の下に駆け寄る。

「ごめんなさい!大丈夫?」
「うう………。」

うっすらと目を開け、抱える杏子をみる隆弘。

「あ、君………!!!」

隆弘の目が驚愕に見開かれると、ずざざざざざざざっと入り口のほうに移動していく。

「ゆ、許してえええええええっ!!」
「あっ!ちょっと、宇都宮君!」

隆弘は、そのまま走って逃げて行ってしまった。

「なんで?憑りつかれてたから記憶はないはずなのに……。」
「お前があんまりすさまじいことするからイヤミの残留思念が残っちゃったんじゃねえの?」
「憐馬!」

憐馬が、外から窓を乗り越えてビルの中に入ってきた。

その後ろから京介が続く。

「なかなかにすごかったね、杏子ちゃん。」
「ど、どうして…っていうか、どこから見てたの?」
「最初っから。もう全部、ね。」
「こっちをみるな。」

ばつが悪そうに憐馬がそっぽを向いた。

「って言うことは、ずっとつけてきてたってことよね?」
「そうなるね。ね、憐馬?」
「だからこっちをみるなと……ごっはぁぁっ!!!」
「こんの、ストーカーがああああっ!!」

腹部を思いっきり殴打し、頽れる憐馬。

こぶしを握り締め、わなわなと震える杏子。

「ったく!あんたはいっつもかっつも!」
「さっさと帰ろうぜ。こんな埃臭いとこにいたら鼻炎になっちまう。」
「そうだね。」
「おまえら……、少しは俺の心配も……。」
「「あんた(お前)は心配しなくても大丈夫だろでしょ。」」
「ひでえっ!!」

ぶわっと涙を浮かべる憐馬をよそに、二人はそのまま出口から廊下に出た。

「そういえば杏子ちゃん。」
「うん?」
「いつから気づいてたの?俺たちのこと。」
「あ、わかった?実は商店街に入ったとこから。」
「やっぱりね。ちらちら憐馬のことみてるから。」
「…まあ、ね。」

ふわ…っと杏子は微笑む。

「本気で怒った時以外はさ、憐馬以外には文句言ったり怒ったりしないよね、杏子ちゃんって。というか、男子にも憐馬以外にはスキを見せないって言うか。」
「え?」
「…そういうことでしょ?」
「…………さすがは京介だね。」
「PGなめんなよ?」
「あははっ。」

杏子は吹き出すように笑った。

「まあ、そうだね。」
「そういえば、あの妖怪はどうするの?」
「今頃憐馬が、妖界に強制送還してくれてるわよ。」

Re: 妖師~ayashi~【参照300有難う!】【コメ大歓迎!】 ( No.38 )
日時: 2015/05/03 15:37
名前: 岩崎りん (ID: mGOQ1xar)

参照300ありがとうございます!!

早いもので、妖師ももうepisode4を超えました!(わかりづらいですね、すみません)

コメや感想、もちろんご自身の小説の宣伝でも構いません!コメください(切実)

コメをしてくださった方の小説には、必ず伺わせていただきます!

これからもよろしくお願いします!!


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