コメディ・ライト小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

*家出神さんと、男子美術部。
日時: 2016/11/06 14:07
名前: miru (ID: .pUthb6u)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel1/index.cgi?mode=view&no=41224

*家出神さんと、男子美術部。

この度は、閲覧いただきありがとう存じます



〜巴志さんの手記〜

こんにちは。はじめまして。
皆様、ご機嫌はいかがでしょうか。
本日、こちら、巴志樹より……この小説を少し解説していく次第です。

え? なぜ丁寧な言葉遣いなのか?
僕は外づらがいいんだよ。



*小説+作者についての注意事項*


・見ての通り、作者はすごくテキトー。小説も駄文だよね。
・ストーリーは蛇行運転。酔わないでね?
・更新については、スピード違反はしないよ。寧ろ亀。
・荒らし、又は中傷はご遠慮ください。わかってるよね?
・コメントを与えたげると、作者は犬のように喜ぶらしいよ。単純だよねぇ、ほんと。

・これ重要。僕たちは基本的にいい人だよ? ねぇ? 水城。
作者が 嘘だっ! とか叫んでるけど、僕に小説紹介丸投げしたテメェは黙ってな。



*あらすじ*


前髪はどよ〜んと長く、人と関わることは好きじゃない、
地味〜な主人公、竜胆和泉は、今年から晴れて高校生になりました。

なのに、なぜか男装で高校デビュー。

しかも、サラッと入った学校は、全国屈指のお金持ち私立学校なのでした。


周りに頓着しない和泉は、そんなの聞いてない! と驚く周囲の人々にも、は? と首をかしげます。

そんな心配され性の残念ヒロインを巻き込まんとするのは、それこそお金持ち学園一の残念な部活。
部員ふたりの、学園内唯一の男子文化部、秋桜院学園男子美術部。
その部長に、なぜか気に入られた和泉。
だけど、その部長には(本人曰く)ささやかなヒミツがあって……。
あなたが変な狐の面を被ってる時点で胡散臭いですよ、部長。

あれ、しかも和泉は女の子じゃなかった?

そんな、たくさんの人に囲まれた小さな存在たちが、一歩を踏み出す決意をするまでの話。



*作者から一言*


( ´ ▽ ` )ノ<それでも読んでくださる皆様、大好きです!



*目次*


episode1

『木陰のいつもの日々』

#1 >>03 雲のない空
#2 >>04 ソックリさん
#3 >>07 ターゲット
#4 >>12 ニガテナモノ
#5 >>16 前髪だとか、
#6 >>17 男だとか。

『懐中時計を持った兎ではなく、しっぽのない狐を追いかける』

#1 >>20 フレームの入学式
#2 >>25 そっち系の人(?)
#3 >>26 アリスの夢の一片
#4 >>27 猫化イヌ科
#5 >>30 夕焼けと面影
#6 >>32 四月××日 木曜 晴れ の午後
#7 >>38 あ。外に変な人が見える。
#8 >>44 キャンパス
#9 >>47 え、ちょっ、ウソッ
#10 >>50 あれ、綾小路って、ヤバいんじゃね?
#11 >>52 ぼっち同盟
#12 >>57 へ〜んそうっ!
#13 >>64-65 可愛いは正義。


*お客様&勝手に作品紹介*(載っけて欲しい、または載っけて欲しくない事がございましたら、お叱りください。)


~* のれり 様 *~【Amnesia】【かつて魔法少女と悪は敵対していた】【最初で最後の涙はきっと】【リスキーゲーム】
( ´ ▽ ` )ノ<私の体調までいつも気にかけてくれる守護者様です泣 いつもお世話になってます! 繊細な文才の持ち主で、幾つもの掲示板に浮上し、全ての掲示板全クリをも目論んでいらっしゃる方です笑

~* まかろん 様 *~【初恋? 何それおいしいの?】
( ´ ▽ ` )ノ<更新をすると、直ぐにすっ飛んできてくれます泣 いつもお世話になってます! ちょっと変な人ですが←。プロットから書いていらっしゃる真面目な方です!

~* 朔良 様 *~ 【甘美な果実〜微かな吐息〜【短編集】】【狼どもと同居中。〜狼さんちの赤ずきん〜】
( ´ ▽ ` )ノ<とても丁寧で、自分でも気づいていなかったところまで評価しているコメントをくださいます泣 いつもお世話になってます! 発狂するほどドキドキするお話を書いていらっしゃる、女子の心を鷲掴みにするタラシさんです笑

~* えこくん 様 *~【トリップしたらハーレム状態になった件について。】
( ´ ▽ ` )ノ<私の拙い文章を、素晴らしい読解力で補い読み解いてくださいます泣 いつもお世話になってます! 独特な文章の、面白すぎる爆弾小説をボソッと投下していく、罪な人です。のれり's hamster。←

~* てるてる522 様 *~【ハツコイ】【僕と君との2年間。】【大切なもの】【温かい食卓】
( ´ ▽ ` )ノ<このスレッド内でのはじめましてのお客様、記念すべき第一号様です! いつもお世話になってます! この方の更新速度と、コミュニケーション能力、そしてお話の友情・恋愛は脱帽ものです!

~* 杏莉 様 *~【スイーツは、恋の嵐!】【Ilove ando この恋は?〜どこまで続くかな〜】【部活生活】
( ´ ▽ ` )ノ<このお名前やコメント等々から漂う雰囲気そのものの、可愛らしいお方です!(可愛らしいとか気持ち悪いな、作者。by樹) いつもお世話になってます! 小学生とは思えない、生き生きとした文体で素敵な恋愛小説を書いていらっしゃいます!

~* 成宮 理斗 様 *~ 【小説を執筆されていると聞き及び、作者、探し回りましたが見つからず……すみません(´・_・`)】
( ´ ▽ ` )ノ<全然関係ないですが、お名前がとても作者のタイプです! いつもお世話になってます! 和泉くんを一番と言っていただけました、まじありがとうございます!

~* いろはうた 様 *~【ベスティア・ラッコント】
( ´ ▽ ` )ノ<作者がめちゃめちゃ尊敬している方です! いつもお世話になってます! ぎゅっとくる恋愛小説を執筆されていて、作者はずっと前からこの方のファンです!

~* 湯呑ゆざめ 様 *~【観覧車。【短編集】】
( ´ ▽ ` )ノ<肺活量の素晴らしい方です! 温かいお言葉をいただきました! いつもお世話になってます! 執筆されている短編はどれも作者の好みで、爽やかな感じがします♪


*記念日*

ご愛読感謝です!

2015.
07/23 執筆リスタート>>00
08/04 参照100突破!>>15
08/18 参照200突破!>>22
08/30 参照300突破!>>29
09/09 参照400突破!>>37
10/01 参照500突破!>>50
10/13 参照600突破!>>50
10/26 参照700突破!
10/31 参照800突破!
11/06 参照900突破!
11/10 参照1,000突破! >>71
12/23 休載&必ず戻って来ます宣言 >>71
2016.
03/05 更新再開いたします宣言 >>72
03/05 参照1,300突破!>>72
03/07 参照1,400突破!
03/12 参照1,500突破!
03/23 参照1,600突破!
03/23 和泉くんがボクっ娘になりました。(変更)
03/24 暴露ぉおおおおって言うほどでもない暴露 >>86
03/24 トリップつけたよ。

( ´ ▽ ` )ノ<とってもabout!←



※URLはもう一つの執筆作品『ブランカ・ボニート・メニーナ〜交わした約束〜』
巴志樹.3月23日 巴志さんの手記より

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18



Re: *家出神さんと、男子美術部。 ( No.49 )
日時: 2015/10/10 11:42
名前: miru* (ID: .pUthb6u)


>>まかろん様!>>

コメントありがとうございます!
こんばんは!miruです

確かに最近、読むのが辛そうな面白くない話書いてるなぁと思っておりました。もっと楽しくバババッと書きたい!
ふふふ……今のところ、というところですわね。いつか引きずり込みますよう笑

え、何それ怖い。←

さらに怖い笑
キャッツ勧誘してる笑

そうですね、多分いけめぇんだったと思います笑
今はどこ行っちゃったんでしょうか←

美女……いいね!←
※男子美術部

ふ、フラグ……? 何それ美味しくなさそう……

更新を楽しみにしていただけるほど嬉しいことはないです!
コメントありがとうございました!
頑張りますっ(`_´)ゞ

Re: *家出神さんと、男子美術部。 ( No.50 )
日時: 2016/03/23 12:10
名前: miru* (ID: .pUthb6u)

#10


「和泉ちゃん、心ここにあらず、って感じねぇ……。あれ、大丈夫かしら……」

うわの空で食事中の和泉を、遠まきに管理人と双子は心配そうに見ていた。

ついに管理人は動き出し、和泉に声をかけた。

「和泉ちゃん? どうしたの?」
「えぇ、ちょっと本が読みたくて手が震える症候群にかかっ……いやなんでもないですどうしましたか?」
「う、ううん、大丈夫よ。今日のご飯、おいしい?」
「あ、はい! とても」

机の上の食器に一瞥をくれ、双子のもとへと帰ってきた管理人は言う。

あれはマズい、と。

やっぱり秋桜が合わなくて、ついにおかしくなっちゃったのかしら……、と管理人が言うと、ほれみろあそこは和泉が行くようなところじゃないんじゃん、と双子の片割れが吐く。

ぶつぶつと続く会話は、急に和泉が立ち上がったことによって強制終了した。

「ど、どうしたの? 和泉ちゃん」
「あ、清子さん、ごちそうさまでした。とても美味しかったです」
「それはよかったわ……」

そう言って食器を洗うため、台所に向かった和泉の手の上には、和泉が何杯もおかわりした丼が乗っていた……。



「…………」

ただいま和泉は自室にて、煩悩を振り払うため悟りを開こうとしていた。

……ふぉぉおっ。本が。あの本が。読みたくて読みたくて。頭から離れない。

いけない。いけないいけない。そんなことを考えては。

煩悩にとりつかれそうになり、和泉は先ほど夕ご飯を大盛りでかきこんだ。正直お腹が苦しくて、胡座もキツい。

「……なんで、あんなところにあるのかなぁ……僕の大好きな作家さんの本が! 読みたい! もう絶版済みの古い本だぞ! 滅多にないぞ! 読みたい!」

ぅあーっ! と叫ぶと和泉はバッと机の椅子を引いた。
ドカッと座ると、猛然とテスト勉強を始める。


ドアの外では、管理人が額に手を添え、双子が揃って、黙って首を横に振った。




テスト間近の今日この頃、和泉はテキスト片手にゆっくりと廊下を歩いていた。

廊下で勉強しているのは、決して、教室が居心地悪いからではない。
ひとりで勉強しているのも、ぼっちだからではない。

と一匹狼を演じる。

「少しいいかしら? そこのあなた」

後ろから声をかけられて、前にいた生徒が振り返ろうとする。

なんだ、自分じゃない。

油断する和泉の腕を、何者かがガッと掴んだ。

「少しよろしくて?」
「……え? ちょっと、何するんでっ────」

まさか自分が声をかけられたとは思わなかった和泉は、油断している間にあっと言う間に声の主に連れ去られた。

一瞬で角の向こうに消える。

「…………?」

後には、一瞬の出来事にぽかんとする生徒が残るばかりだった。



校舎の奥、午後のティールーム、綾小路栞子のサロンにて。

「ふぅ……」

かちゃん、と丁寧に施錠確認する彼女は、満足したように和泉の方を振り返った。
綺麗な巻き髪がふわりと舞う美女。

彼女の名前は、綾小路栞子という。3年生の先輩だ。
先ほど道中、『私、綾小路栞子と申します! 突然押しかけて驚いたでしょうけど、私どうしても貴方とお話がしたくて、ね』と飛ぶように移動しながら叫んでくれた。

綾小路って、この学院最大派閥組の名前じゃね?

正直、雲の上の方だ。そんな方が自分に用があるとすれば……。

しめられるのか、とプルプル震える和泉に、栞子はふふふふ、とにこやかに話しかけた。

「ごめんなさいね、立場上、貴方といるところを見られてしまうのはあまりよろしくなくて……」
「いえ……」
「ところで、噂の的の方は、貴方様ですの? 大皇様と城野様に懐かれたという方は」

目を光らせ、ぐいっと迫る栞子。心なしか、少し食いつくように話す。

うっわ、いきなりキターっ!!

大皇様が誰か、和泉は理解するのに少しかかった。狐さんか。
そして噂の的ってなんだ。

と、とりあえず否定しないとマズいよな……。

「えっと、ち、違います。僕は教室のすみっこにいるような奴で、大皇様や城野様のような方々は同じ空気を吸ったこともないような雲の上の方です」
「えっ、嘘よ! 私見ましたもの! その前髪、確かに貴方でしょう!」

ま、前髪……。
そう言われてしまうと、もう自分以外いない気がする。

なんとか言い逃れしないと、しめられるよな、これ。どうしよう。

「…………」

黙ってしまった和泉を見て、わたわたし始める栞子。

「違うのよ、貴方を咎めようとかそんなのではないの。あの子達と仲良くなる子なんて稀で、私嬉しくて話がしたいだけなのよ」
「え?」
「そういえば、お茶も出していなかったわ。少しお待ちになって。今お茶を淹れるわ」

栞子はソファを静かに立って、白い金縁のティーセットを手に取った。

予想もしなかった言葉に、和泉はぽかんとする。

紅茶を淹れながら、栞子は話し始めた。

「私、あの子達をこーんなに小さな頃から見てきていましてですね? それはもう兄弟同然のように可愛くて仕方ないの。でも……そうね……あの子達、ひとくせもふたくせもあるじゃない? 正直イラッとすることも多いじゃない? お友達なんて珍しいのよ」
「はぁ……」

こーんなに、と指でだいたい3cmを作る栞子。
そーんなにちっちゃいときからなんですか。

ファンは多いのだけどねぇ……と頬に手を添え言う栞子に、和泉はハッとして、この人ブラコンだ、とようやく気がついた。

「ということなのだけれど、貴方、どう? あの子達のお友達?」
「えっと……」

お茶の準備がひと段落ついたのか、栞子はまたソファに腰を下ろす。

とりあえず、返答に困るので、和泉は栞子に今まであったことを話した。

うんうん、と聞く栞子はストーカーっぽい狐さんの様子を聞いて眉をひそめ、和泉が部活に誘われたことに嬉しそうに目を細め、断ったことに悲しそうにうるうると和泉を見つめた。
あの部活に入れと言うのですね、栞子さん。

そして栞子は立ち上がりながら、ふっと思い出したように眉を寄せて話し始めた。

「……そうそう。そうなのよね、あの子、ストーカーっぽいところあるのよねー……」

心当たりがあるのか、思い出してちょっとイラッときている様子の栞子さん。

「自分の気になることになると、ひとの迷惑顧みず追っかけまわすのよ、あの子。本人自覚ないんでしょうけど」

あちゃー。身内同然の方にまで言われてますよ、狐さん。

「僕、初めはあの人から逃げまわっていて。それでも追いかけて来るので、変態なんだと思い、諦めました」
「そう! 私もさすがに制裁を加えようかと思ったわ」

ここまででだんだんわかってきたが、栞子さんはあまりお嬢様っぽくないぞ。
結構おてんばなことも言っちゃってるぞ。

栞子は紅茶を和泉の前に置き、またそっと静かにソファに腰を下ろした。こういう立ち振る舞いはすごくお嬢様っぽい。

「ありがとうございます。
そうですね、本人に自覚がないんでしょうね……。
最後、言いたかったことを言い捨てて来ちゃったんですが……ずばり、それはストーカー行為ですよ、と」
「なんと、ついに! あの子にそれを言ってくれる人が現れたのね!」

笑い転げそうになりながら、栞子は楽しそうに和泉の肩を叩いた。

だんだん素になってきてるよなぁ、と和泉は思った。失礼のないようにしなければ、と思いつつも緊張が緩みそうになる。

それに気がついたのか、栞子はぱっと態度を切り替えて、しずしずとカップを手に取り口に運んだ。すましてカップを傾ける。

が、取り繕うにはもう遅い。

可愛い人だなぁと和泉は微笑んだ。

「貴方、面白い子ねぇ……ふふ。あの子たちもそこを気に入ったのかしら。ねぇ、どうしてあの子達の誘いを断ったの?」
「……あの部が嫌だって訳じゃないんです。でも、自分には美術の知識も全くないし、誘ってくれる狐さんは美術にまっすぐですし……。なんだか、とても僕がいてもいい場所とは思えませんでした」
「貴方、狐さんて呼んでいるのね。ふふふ。
でも、あげはは貴方に来て欲しいって言ったのでしょ? いいじゃない」
「それじゃあ無責任すぎますよ。まったくあの人は本当に! 美術に関心があろうかなかろうが、気に入った人を部に入れる? なんですかソレ。部長がそんなのでいいんですか!」
「あ、あの……?」
「それに僕だって部活選びくらいします。美術の才能なんてありません。でも僕は特待生じゃないですか! あの人の頼みは無視できない」
「そ、そうね……」
「それでいて、そんなに僕に入って欲しいのかと思えば、『特待生なら勉強だよね』と言わんばかりに突き返す! もう知りませんよ! あんな人!」
「……あちゃー」

……あちゃー。栞子さんにぶつけてしまった。しかも支離滅裂。

栞子は、あぁ……と頭を抱えた。

「もういいわ、あの子達のことは」

気にしないで、ムカつく奴らなのよ、と栞子は笑った。いい人だ。

「でもねぇ、部活には入った方がいいのよ? 知ってた?」
「え? なぜですか?」
「知らなかったのね! お友達にお聞きにならなかったの?…………あっ……」
「…………いえ、はい」
「こ、こほん。ごめんなさい、失礼しました」
「いえ、大丈夫です……本当のことですから……」
「…………。……それで、この学院、こんなお金持ちじゃない?」

言いながら、栞子は指で輪っかを作り手のひらを上へ向ける。

和泉は少し頭がついていけなくなりながら、なんとか頷いた。

「……えっと、はい」
「それぞれの部活の部長もね、実力で決めるというより、家柄で決めるというか……。私も実は文芸部の部長なの。だからね、入る部活によって、派閥が決まってくるのよ……」
「え、そんなのあるんですか」
「そうなのよ。面倒臭いでしょう? でも、結構大事なことなのよ。昔と違って今はこんな感じになってしまっているから……入る部活によって、その後ろ盾が決まってくる感じ? 部員数が多ければそれだけ大きい派閥、って考えもあるけれど、基本的には、力を持った人がいる部活が大きい派閥になってくるわ」

それに、その派閥内で有能だと認められたら、それだけで力を持った人と近づけるんですもの、便利よね、と栞子は付け足した。

うわー……なんだかめんど……何でもないです。

わかった? というように、にこにことこちらを見る栞子に、ええわかりますよ、と嘘くさい笑みを返す。

「面倒臭いでしょう? うふふ、否定しなくても別にいいわよ。
要はね、ただでさえ弱い立場の外部生の貴方たちの、手っ取り早い居場所作りの方法なのよ、コレが。そういう意味でも、あの子達の部活は魅力的だったのよぅ?」

うふふっとこちらを見る栞子の視線に、目を背けて横に受け流す。
ええわかっていますよ、自分だってそんな面倒臭いなら入りたかったですよぅ。

「和泉くん、とりあえず、私の部活に来ます? 文芸部なの」
「文芸部……。ご厚意はありがたいですが、ご迷惑になるので……」
「ぜんっぜん大丈夫よ。いろいろなことをネタにして文章書いてるだけだもの、初心者全然OKっ」
「……どんなもの書いてるんですか?」
「あっ、ちょうど冊子あるわよ。読む?」

これっ、と渡された冊子をぱらぱらと読む。

…………。

「……えっと、どろっどろのびーえる」
「あ、間違えた。こっちだったわ」

栞子は和泉が読んでいた冊子をバッと取り返して、似たようなもう一冊の冊子を差し出した。

栞子はあやしい冊子のほうをひらひらさせた。
こっちは裏で回してるものなの……上に立つ者は時として、人心掌握の為に部下に娯楽を与えるものよ、と栞子はふふふふふと笑いながら言った。

気のせいかもしれないが、さっきの冊子の中に、狐さんと城野の名前が出てきた気がする。……いや、何も見なかったことにしよう。

和泉は取り繕った笑顔で、貰った冊子を読まずに返した。

「文芸部、だめ?」
「遠慮させていただきたいです」

えー、と不服そうな栞子に、今度こそ和泉は有無を言わせなかった。

「……そっかぁ……残念ね。でも、これからもお話させて頂戴ね」
「はい、よろしくお願いします」
「それではそろそろ出ましょうか」

そのとき丁度、学院の時計塔の鐘が鳴った。

「あら、ティータイムも終了ね。急がなくちゃ。きっと凛子が探してるわ、私のこと。友達付き合いも大変よね」
「そうですね……全く本当に。ありがとうございました、目立たないように先に出ますね」

ふかふかだったソファを立つ。
豪華なサロンだなぁ、やっぱり。綾小路ってすごい。

「恐れ入りますわ。くれぐれも見つからないように。私と関わると色々面倒ごとが起こるみたいなの」
「え、わかりました。気をつけますね」

スイッチが切り替わったような栞子は、サロンを出るために身支度を整え始めた。

そっと扉を開け、身を滑り込ませる。
扉の隙間から向こうを振り向くと、栞子さんが小さく手をふりふりしていた。くくく、と思わず笑いがこぼれた。とても可愛らしい。

自分のような人間にも偏見はないし、その上とてもフレンドリーに話してくれる。とてもありがたいし、嬉しい。
上に立つ人は、それだけの器があるんだ、と和泉は感心した。

扉を丁寧に閉めると、和泉は周りをキョロキョロと確認した。右、左。

よし、人はいない。

和泉はささっ、ささっ、と静かにハイスピードで廊下を駆ける。

「…………」

……うーん、そういえば。


「ここどこだろ……」


目にも留まらぬ速さで移動しながら、和泉はぼんやりと考えた。



和泉が無事、教室にたどり着いたのは、5時限目が終わる頃だったという。

Re: *家出神さんと、男子美術部。 ( No.51 )
日時: 2015/10/19 17:21
名前: miru* (ID: /..WfHud)


~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~


テスト、オワッター!
いやー、オワッタオワッタ! よかった!

あれ、変換がおかしい。テストオワタ。

こんにちは、駄作者です! どうやらテストが終わったようです。
テスト期間中にも、ちょこちょこ来ていたようですが、成績、大丈夫なのでしょうか。


まあ、それは置いといて。


その期間中に、なんと、参照が500、600共に突破いたしました!!
本当にありがとうございます!

いつもコメントをくださる皆様はもちろんのこと、この画面の向こうの皆様の温かいお見守りのおかげでございます。ありがとうございます。

目指すは参照1000! ターニングポイントを通過いたしました!
参照1000は憧れでもあります(//∇//)

これからも精進してまいります。どうぞよろしくお願いします。


~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~*。~

Re: *家出神さんと、男子美術部。 ( No.52 )
日時: 2015/10/19 19:28
名前: miru* (ID: 2CRfeSIt)


#11


「おおっ……」
「うわ、まじか……」
「やっぱレベルたけぇな」

廊下に張り出された順位表のもとに、群がる外部生。
今日はテスト明けから一週間が経ち、結果が張り出される日なのだ。

「……ぅよしっ」

一番右に乗る、自分の名前の上には一番の文字。
和泉は小さくガッツポーズをした。

これなら、煩悩から逃げるために頑張った甲斐があったというものだ。

名前の隣を見れば、二位ともかなり離れた点差だ。少し安心。

「あいつか? 一位のやつ。なんかほんとガリ勉じゃん」
「すげー、点数9割取ってるよ」
「きもっ。受験勉強終わったばっかだっつーのに、最初っから一位狙うとか真面目かよ」
「なにそれ僻み? そいえばあの人、特待生とか言ってなかった?」
「あー、一位死守しなきゃな人? かわいそ」

口調が荒いので、外部生と思われる集団の声が聞こえる。

自分のことだよなぁ。

ちらっとそちらに目をやると、バチッと目があった。

あ……ども。
ぺこりと頭を下げると、集団はギョッとしたように固まった。

基本的に陰口にも動じない和泉だった。

「……い、いこうぜ」
「お、おう……」

そそくさとその場を離れる集団の背を見送って、和泉は思う。

もう友達いるのかぁ……いいなぁ……。

ぼっちには動じる和泉であった。

「和泉さん」
「えっ、あはい」

突然声をかけられ変な返事をする。

「すごいね」

新人だった。
テスト期間中、星下荘では自室に引きこもり、休み時間はほぼ教室にいなかった和泉だったので、本当に久しぶりの会話だ。

「え、なにが……」
「ん」

千歳は一番の和泉の名前を指差す。

あ、あぁ……。

「ありがとう」
「どういたしまして」

……相変わらず変だ。

あれ、そういえば新人の名前がない。

「うん……落ちた」
「えっと、どんまい……?」

張り出されるのは、今回、20番までだ。

外部生なのに、こう、ぽわぽわしていていいものなのだろうか。
こんなので、どうやってここに入ったんだ。

今もあからさまに、どんまいって何だろう、という顔をしている。慣れない言葉を使って悪かったから、困った顔をするな。

「……どうやってここに入ったの」
「えっと、推薦……」
「え? 推薦?」
「うん、運動できるほうだから……」

見えない……。とてもじゃないが、そうは見えない……。

「そういえば、もう部活決まった?」

和泉は気になっていたことを思い出した。

うーん……と悩んで、コテンと首を傾ける新人。
大丈夫か。

この様子じゃ……。

「まだ……」
「だろうね」

ちょっとびっくりしたように千歳は和泉を見た。
言い方キツかったかな。

和泉は少しホッとした。まだ置いていかれていなかった。

すると、千歳は少し悩んで、和泉と目を合わせて言う。

「ぼくは和泉さんと同じところに……」
「え?」
「部活、入る」

ん?

「あの、どういうことで」
「選ぶの、苦手……」
「あ、あぁ……。って、人を頼るな」

切り捨てられて、しゅん、とする新人。

……えーと、う、運動部とかいいんじゃないかな。

やだ、やめてよ、そんな捨てられた仔猫みたいな目で見ないでよ。

「……一緒に……来て欲し」
「しょうがない! テスト結果も出たし、今日だけだよ」
「ありがとう……!」


しょうがない、同じぼっちに免じて!




「ねぇ、和泉さん」
「えっ、あはい」

約束通り、放課後部活動見学にまわるふたり。
もうほとんど新入生は部活が決まっているので、正直、めちゃくちゃ目立つ。

突然声をかけられ、いつぞやと同じ変な返事をする。

「最近、なんで元気ない……?」
「え」

誰もいない校舎で、校庭を駆け回る運動部を窓から見下ろす。

千歳は下を見つめたまま、和泉に話しかけた。

「テスト……だったからかと思った。でも違った……何かあった?」

突然、なんのことだろう。

夕ご飯大食いしていたからだろうか。
自室に未だに引きこもっているからだろうか。
時々あの本を思い出して、手が尋常じゃないくらい震えているからだろうか。

「全部」
「え、あ、はい」

声に出てたか。

「和泉さんはわかりやすい」

振り向いて少しだけ、千歳は微笑んだ。
能面みたいな無表情が崩れる。

ぽーっと見つめて、和泉はやっぱ綺麗な顔って得だよなぁと思った。

はぁ……と和泉は憂いを帯びたため息をひとつする。

「……えっと、実は、どっおしても読みたい本があって……」

ぽつぽつと、和泉は数週間溜め続けた想いを話した。

明らかに病気を患っている和泉の話を、うーんうん、と千歳は深く相槌を打ちながら静かに聞いた。

和泉は千歳を見直した。
いいやつだ。

「和泉さんは、その本が読めればいい……」
「そう、だね。でもどうしても読めなくて困ってる」
「じゃあ、今日のお返しに、何とかしよう」

わー、なんかまた変なこと言ってる。

普通に考えて、この状況であの本が読めるようになるとは思えない。

和泉は自分のことを棚に上げ、千歳を細めた目で見た。

「どうすれば、いいかな」
「うん、それを考えてくれるのかと思った」

「不法侵入」
「ダメ」

「正面突破」
「顔割れてるんでキツい」

「誰か他の人に」
「友達いない。……あ」

「……ぼくは無理」
「…………」

栞子さんに頼むのは気が引ける。
美術部に入っちゃいなさいよ、とか言われそう。

「変装」
「……それだ」

バレないように、狐さんだか城野だかのファンを演じて。『貴方の読んでいた本がとても気になって……』『えっ、中にたくさん本があるんですか?!』だの何だの言ってなんとか侵入できれば。

あとは、『あ……! この本って……!』とか言って何とか貸してもらえばよいのだ。ふはははは。

妄想にふけっていた和泉を、一言で千歳が現実に引き戻した。

「どういう変装……?」

……え?

「マスク」
「前髪は……?」

「サングラス」
「前髪は……?」

「帽子」
「前髪は……」

「私服」
「前髪……」

「女生徒の制服着る」
「いいアイディア……でもまえが」

「もうわかった! 前髪をいじってもいい! あの本のためなら!」

「…………」

「…………あ」


「……言ったね……?」


嬉しそうな新人の声を聞いて、ハッと和泉は我に返った。

……しまったー……。

長い間、和泉を苦しめ続けた煩悩は、こうまでも判断を狂わせる。

渋い顔で千歳を見やると、千歳は楽しそうに笑った。



……あの……やっぱ取り消し……。

Re: *家出神さんと、男子美術部。 ( No.53 )
日時: 2015/10/20 17:40
名前: のれり (ID: R4l9RSpR)

おはこんばんは、のれりです!
まずは参照600突破、おめでとうございます!

どんどんと置いて行かれるぜ(´>ω∂`)☆


にしても、前髪のくだりは吹きましたわww
千歳くん…なかなかやりおるな!←

俺は知っている。
きっとmiruはんは、次の更新のときには自作の挿絵をのせるということを。
俺は期待している。
和泉ちゃんが、とても可愛らしくかけているであろうことを!
俺は待っている!
次の更新を!!!


(ΦωΦ)フフフ…←おい
では、この辺で!

更新頑張ってください!


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18



この掲示板は過去ログ化されています。