コメディ・ライト小説(新)

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Enjoy Club  =第1章完結=
日時: 2019/09/29 17:38
名前: 友桃 (ID: E616B4Au)
参照: キャラ絵のリンク外れてましたが、今貼り直してます!

あるとき、世界に謎の薬品がばらまかれた。
数年後、不思議な能力を身につけて生まれてきた子供達。彼らは仲間を求めて、ある結社に集結した。
彼らと接触した女子高生・亜弓は、結社内の混乱に次第に巻き込まれていく――

ファンタジー&シリアス要素ありのラブコメです!


クリックありがとうございますm(__)m
はじめまして、友桃(ともも)です^^
初投稿です>< 長編になるのですが、ちょっとずつ更新していきたいと思います。
よろしければ読んでみてください^^


*たまに記事のNo.飛んでいるところがありますが、残りの返信数を増やすために必要ない友桃のコメントを消しただけなので気にしないでください^^


〜お客さま〜
・花見さん ・かれーらいすさん ・十六夜さん ・貴也さん 
・勿忘草さん(亮さん、扉さん) ・咲さん ・gojampさん ・詩音さん 
・セピアさん ・杏樹.さん(真白ちゃん・そふとくりーむさん) ・ハッチしゃnさん ・ARMAさん
・遮犬さん ・ひろあさん ・白桃さん ・ゆかさん
・aguさん ・皐月凪さん ・(朱雀*@).゜.さん ・奈々☆さん
・ 蘭*。*さん ・山口流さん ・トレモロさん ・紅蓮の流星さん
・或さん ・ (V)・∀・(V)さん(十六夜さん) ・もちもちさん ・夜兎さん
・むーみんさん(椎奈さん) ・未来さん ・ゲコゲコさん ・てるてるさん
・こたつとみかんさん ・星ファン★さん ・そらねさん ・希蘭さん
・Eternalさん ・羅希さん ・霧雫 蝶さん ・あらびきペッパーさん
・抹茶.(小豆.)さん ・野宮詩織さん ・、璃瑚. さん ・ののさん
・友美さん ・亜美さん ・蜜姫. さん ・ネズミさん
・月読 愛さん ・紗夢羅さん ・黒揚羽さん ・優香さん
・ぱちもんさん ・Lithicsさん ・苺莢さん

読んでくださってうれしいですv ありがとうございますm(__)m


〜目次〜

※一気に読みたい方 >>0-1015

<第1章>

プロローグ >>0

第1話『謎の闇組織E・C』
(1)>>1 (2)>>2 (3)>>3 (4)>>5 (5)>>6
(6)>>10 (7)>>11 (8)>>13

第2話『金髪のキミにひとめ惚れ』
(1)>>25 (2)>>30 (3)>>40 (4)>>46 (5)>>49
(6)>>50

第3話『我ら、麗牙光陰――』
(1)>>57 (2)>>58 (3)>>64 (4)>>70 (5)>>81
(6)>>86 (7)>>88,>>89 (8)>>98 (9)>>104,>>105 (10)>>108

第4話『あなたのために……』
(1)>>111,>>112 (2)>>120,>>121 (3)>>130 (4)>>136 (5)>>147
(6)>>152 (7)>>157 (8)>>166 (9)>>172 (10)>>180
(11)>>184 (12)>>188

第5話『不確かなもの』
(1)>>212,>>213,>>214 (2)>>256 (3)>>268 (4)>>285 (5)>>291
(6)>>306 (7)>>332,>>333 (8)>>346,>>347 (9)>>357,>>358,>>359 (10)>>370,>>371

第6話『衝撃のとき
(1)>>397 (2)>>413,>>414 (3)>>425 (4)>>447,>>448 (5)>>474,>>475,>>476
(6)>>486,>>487 (7)>>518,>>519,>>520 (8)>>534 (9)>>557 (10)>>568
(11)>>576 (12)>>599 (13)>>627,>>628 (14)>>648 (15)>>696,>>697,>>698
(16)>>708,>>709,>>710

第7話『友を取り巻くモノ1』
(1)>>721 (2)>>726,>>727 (3)>>750,>>751 (4)>>784,>>785 (5)>>798
(6)>>813,>>814 (7)>>870,>>871 (8)>>>889,>>890

第8話『友を取り巻くモノ2』
(1)>>893 (2)>>901,>>902 (3)>>905,>>906 (4)>>910,>>911,>>912,>>913,>>914 (5)>>918,>>919
(6)>>923,>>924 (7)>>926,>>927 (8)>>931,>>932 (9)>>934 (10)>>936

第9話『混乱の夜明け』
(1)>>940,>>941 (2)>>945 (3)>>949 (4)>>955,>>956

エピローグ>>962


〜登場人物紹介〜
登場人物いちらん >>1015
あだ名 >>48


〜企画〜

≪第1回キャラ人気投票≫ 2010.8.27〜
結果>>225

≪第1回シーン人気投票≫ 2010.923〜
結果>>511

≪☆お客様方の小説紹介☆≫
第1弾 返信300突破記念 2010.9.25 >>304
第2弾 参照2000突破記念 2010.10.11 >>460
第3弾 参照3000突破記念 2010.11.18 >>661

≪返信400突破記念*E・Cラジオ*≫ 2010.10.6〜
NO.1 亜弓&恵玲 >>422
NO.2 恵玲&風也 >>495
NO.3 ウィル&白波 >>587
NO.4 亜弓&風也 >>676
NO.5 水希&茜 >>852

≪返信500突破記念 =キャラQ&A=≫ 2010.10.17

≪参照4000突破記念 =キャラ誕生秘話=≫ 2010.12.9
NO.1 >>743 NO.2 >>748

≪ Enjoy Club名言集*。* ≫ by 杏樹.さん 2010.9.25・26・28
杏樹さんがつくってくださいましたーv
ネタばれになるんで本編一通り読んでから、ぜひご覧になってください^^♪
杏樹さん本当にありがとうございました!!!

第1弾>>317 (友桃コメ>>319
第2弾>>338  (友桃コメ>>341)
第3弾>>362 (友桃コメ>>364

≪E・C(1章)紹介文≫ by ARMA3さん 
>>992 2013.1.27

≪Christmas Short Story≫ 2010.12.19
>>773,>>774

≪Happy Birthday≫
5月…… (朱雀*@).゜.さん
11月17日……杏樹.さん >>654
みんなでお祝いしましょ♪


~小説大会~
2010年冬 大賞受賞★
2011年夏 銀賞受賞
みなさま、ありがとうございましたm(__)m

*2011.5.4 第一章完結





=Enjoy Club=



第1章




―プロローグ―



――熱い


 燃えるように、煮えたぎるように身を焦がしていくモノは、先程注入した薬品か、はたまた我自身の高揚か……。体内に何か不可視の力がみなぎってくるのを、今全身で感じている。
 目の前の金属の台に置かれているのは、たいていの科学者が用いているだろう多量の実験器具。その透明なガラスには幾色もの液体が沈み、わずかな振動で波紋を描いている。その隣には、青白い液の残った注射器が無造作に転がっていた。
 興奮に身を震わせる私の隣に、線の細い少年が音もなく歩いてきて足を止めた。

「……」

 台上の液体を見つめる顔は冗談でも健康的とは言えず感情も感じられないが、よく見るとまだ幼いことが分かる。眠っていないのか、黒くくすんだ眼元をごしごしとこすり、彼は黙って私に視線を向けた。

「君のお陰だ。君が手伝ってくれたお陰で、ようやく完成した……!」

 この試みを始めてから8年という時が経過していた。寝る間も食う間も惜しんで、器具と薬品と毎日、毎日にらみ合い、無数に思えるほどの液体を調合し、実験をし、数値を示して再び薬品とのにらめっこ。長い、長い時だった。しかし何の組織にも属さない、2人というごく少数の科学者が8年で実験の成果を出す、ということは、あるいは幸運なことなのかもしれない。たった8年だった、というべきなのだろうか……。
 何にせよ、実験は成功したのだ。私の努力がついに実を結んだのだ!
 現実であることを確かめるように両の拳を力強く握ると、先程まで無言だった少年が、まだ声変わりしない声で囁くように言った。

「ぼく、……少しは“かげはる”様の役に立てた……?」

 彼の至極純な気持ちが伝わってくる。はっきりと頷いてやると、少しはにこりとするかと思ったが、ごく僅かにも表情は動かない。

 ――この子は今何を感じているのだろうか

 長きにわたる研究によって身に宿った、“透視”の能力。あらゆる障害物を無にし、普通視界に入るはずの無いはるか遠くにあるものをも見ることができる能力。しかしこの能力を持ってしても、人の心は、――彼の心は覗けない。


「――天音あまね


 私は少年の目を覗き込んで、そう呼んだ。

「私と同じ、能力者になろう。そしていつかはこの薬を世界中にばらまいて――……」

 試験管の中の色とりどりの薬品。それぞれが異なる性質のものであり、体内に入れたときにどのような能力を発するかは、今の段階では未知である。しかし、だからこそ、私は興奮するのだ。未知のものを追いかけたくなるのだ。

 天音が一番手近にあった、桃色がかった液体を手で示す。私は満足感に笑みを浮かべた。

Enjoy Club 第3話『我ら、麗牙光陰――』(9) ( No.104 )
日時: 2010/08/31 23:40
名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY (ID: 7hab4OUo)

 風也は最近知り合ったばかりの青年――白波と対峙しているうちに、高まっていた感情が急速に冷却されていくのを感じていた。準備態勢をとっていた体から、適度に力が抜けていく。

 ――……ちょっと待て、落ちつけオレ……っ

 一度意識して息をつく。彼の瞳から闘気が消え、ピリピリとした空気は流れるように消えていった。

 ――……相手白波だろ……っ。 何結構マジにやり合おうとしてんだ、オレは……!

 見ると、白波は珍しく眉を寄せ、不審げな顔つきになっている。彼に、拳銃を持つ手から力を抜く様子はない。
 風也は思わず舌打ちをすると、本気で困ったように髪をくしゃくしゃっとかき混ぜた。

「フィルム取り返さなきゃいけねぇし、相手お前だし……。どうしろってんだよ」

 そう言ってから彼は、内心ハッとしてある重要なことを思い出していた。


 ――……そうだ、アレ偽物――……


「……何を迷っているのか知らないが、こっちは一応口止めしておく必要がある……」


 カチャ……


 と、不吉な音が眼前に聞こえる。いつの間にか白波が、風也の前髪で隠れた額に銃口を突き付けていた。その迷いの無さに内心舌を巻く風也だが、別段怯える様子もない。撃つ気がないのが分かるからだ。撃とうとしているには、あまりにも手に力が入っていない。脅しと分かっていれば、何も怖くない。

「まぁ……別に警察に突き出されても問題ないが……」

 ――面倒だからな。

 そう続けようとした白波を、風也の声が遮った。

「別に脅されなくたって、突き出しゃしねぇよ」

 普段通りの落ち着いた声。さらにはズボンのポケットに両手を突っ込むという、完全に無防備な体勢で彼の目を見る。その、納得のいかなそうな目を。

「……何で。名前まで知っておいて」

 理解できないという気持ちが、白波の声音ににじみ出てくる。それを心なしか寂しそうな表情で、風也が聞いている。

 それからしばらくの間沈黙が続き、亜弓がそれを不安そうに見つめていると……



 シュ……



 と、空気を切るような音が耳に届き、皆が一斉に音のした方――入り口近くに視線を向けた。ある人物が突如この空間に加わっていた。

 まず目に入るのは、肩下まである艶やかな銀髪。くりっとした明るい印象の瞳は深い蒼色である。そして、全体的に小柄で華奢なイメージの人物だった。

 ――……ウィルくん……!!

 恵玲がじんわりと頬を染めて、胸の前で両手を組む。

 対して亜弓と風也は周囲の状況など頭の中から完全に消えて、この唐突な登場をした彼をぽかんと口を開けて見つめ、同じ疑問を胸中で叫んでいた。

 ――……い、今この人……

 ――……どっから出てきやがった……!!

 部屋内の空気をがらりと変えておきながら全くそのことに気付いていないウィルは、何か言おうと口を開きかけ、視界の隅に知った人物を見つけて思わずそちらを振り返りそうになった。が、それを寸でのところで止める。

 ――……何で恵玲がいるんだ……

 なぜ必死な様子で任務を断ってきた彼女がここにいるのかは理解できないが、彼女の親友の友賀亜弓がこの場にいる以上、無視しておくのが賢明だろう。
 亜弓の顔は、恵玲が以前写真やプリクラやらを見せてくれたお陰で、この場にいるE・Cのメンバーは全員知っているのである。

 ウィルは状況を把握しようとざっと部屋を見回し、それを白波の所でピタッと止めた。彼はまだ、風也に銃口を向けたままである。

「――もういいよ、白波」

 ウィルが場の空気に似合わない穏やかな透き通った声で言うと、白波は何も言わずに銃を引いた。風也が何か言いたそうな目で見るが、彼はふっとその視線を避ける。

 そして今度こそ広間にいる全員の目がウィルに集まった。それでも余裕の笑みを崩さないウィル。

「……もう1人E・Cのメンバーが来てたとはな」

 声に不快感がこもる。たいていの人が見惚れる彼の笑顔が、風也にはなぜかとても気に食わなかった。今にも舌打ちをしてしまいそうだ。

 しかしウィルはそんな彼の様子などお構いなしに、快く頷いていた。

「そう。ぼくはウィル=ロイファー。よろしく、金髪くん」

 風也の目に、殺気がこもる。

 しかし彼が行動を起こす前に、正面にいる白波が口を開いていた。

「依頼物は確保できたのか」

 ウィルが心底うれしそうにそれに答える。

「うん、もちろん!」

 そう言って彼は、右手に握っていた“あるモノ”を軽く振って見せた。



 それは、フィルムだった。

 もちろん白波とは別のモノ――……



「――! それ……!」

 亜弓が思わず身を乗り出して声を上げる。そちらを振り返って、ウィルははっきりと頷いて見せた。

「これが本物だろうね。……キミ達の反応からしても」

「何で場所が分かった!!」

 そう驚愕の表情で叫んだのは、今まで呆然と成り行きを見つめていた警備員。
 しかしウィルはその質問には答えず、何か隠し事をするような意地の悪い笑みで、手の中のフィルムをもてあそんでいる。

「さぁ、なんでだろうね〜」

 ――……影晴様のお陰なんだな〜これが

 心の中でほくそ笑む。

 ――……透視の能力で事前に場所を見つけておいてもらったんだよ

 ただ、見た目だけではどちらのフィルムが本物かは判断できない。だから白波と二手に分かれてどちらも入手したのである。ウィルの方も水希が能力で敵の足止めをしてくれたため、思っていたよりもあっさりと事が運んだ。


 じゃあそろそろ帰ろうか、とウィルが口にしかけた瞬間。

 突然風也が、舌打ちと共に攻撃を仕掛けた。

 まず手始めに、白波が握っていた銃を的確に蹴撃を放って吹き飛ばす。カンッと高い音が響き、銃はカラカラ…と床をすべって恵玲の近くで動きを止めた。恵玲がどうするべきか悩むような表情でそれを見つめる。

 そして、ようやく本気で驚いたような表情を浮かべ、空になった自分の左手を見つめる白波を置いて、風也は素早く床を蹴った。




 狙いは……




 ウィル=ロイファー…!!

Enjoy Club 第3話『我ら、麗牙光陰――』(9) ( No.105 )
日時: 2010/08/31 23:42
名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY (ID: 7hab4OUo)

「――え、ちょ……っ!?」

 ウィルが目を見開き彼を止めようと手を出しかけたのも束の間、空間を斬るような鋭い回し蹴りが顔面に迫って来て、彼は本能的な反応の速さで顔を後ろにグイッと引いた。紙一重で、足が前髪をかすっていく。……今の蹴りをかわせたのは、確実に恵玲のお陰だ。いつも恵玲のフォームを目にしていたお陰で、すぐに1発目は反応できたのである。

 しかし、問題はこの後だった。

 1発目をかわされたのが相当不本意だったようで、あからさまに顔をしかめた風也がさらにスピードを上げてきたのである。

「――!?」

 ゾクッと背中を悪寒が襲うとともに、左足が下から弧を描いて振り上げられる。まるで鞭のようにしなる蹴撃――! それをよけきれず体勢を崩したウィルの白い頬に、ピッと一筋赤い線が引かれる。しかし顔をしかめて居る間もなく、続けて今度は狙う位置がぐっと下がってきた。

 ――フィルムを握る右手である――!


 ――……それだけはさせない――!!


 全神経を右腕に集中して、寸前どうにか直撃を避ける。今のは完全に意地だ。突然無理な動きをしたせいで、腕の筋がピンと伸び痺れたような感覚になる。

 そして直後、今度は右肩口を狙ってくる軌跡――。

 ――……マズい……っ、当たる――!!

 ウィルは考えるよりも前に、反射的に叫んでいた。

「――テレポート!!」

 薄皮1枚というところで、ス…と彼の姿が消失する。風也は空気を振り切ると、すぐに後ろを振り返った。


「恵玲っ!!」

 亜弓が叫び声を上げる。

 テレポートで逃れたウィルが、恵玲の腕をつかみその体を引き寄せた。彼女はチラチラと握られている腕を見ながら、素直に従っている。

「てめっ――」
「ごめん、ホントこんなことしたくないんだけど、キミ…マジで厄介だからさ……」

 本気で参ったというように大きく息をつく。

 恵玲を盾にされていては攻撃できない。というか強いんだから抵抗しろよ、とムラムラとした気持ちが胸中に沸き起こってくる。
 風也はギリッと奥歯を噛み、殺気を込めた目でウィルを睨みつけた。……困ったような笑みを返されるのがさらに腹が立つ。

 と、白波が何も言わずにウィルの横に並び、床に転がっている拳銃を拾い上げる。そして静かな瞳で風也と目を合わせた。

 同時に亜弓が恵玲を助けに駆け出そうとすると、サッと制止の手が出て彼女は思わず動きを止めていた。……ウィルだった。彼はこちらが驚くほどの優しい瞳でわずかにうなずく。まるで恵玲の身の安全を保証するかのように。

 そしてウィルは部屋を改めて見回し、やや挑発するような声音で言ったのだ。




「ぼくらは麗牙光陰――


 E・Cに属するグループのうちの1つだ」




 白波が目だけで彼を見る。

「ほんとはあんまり言っちゃいけないんだけど、キミ達とはなんとなくこの先も縁がありそうだからね。それだけ教えておくよ」

 そう言うと、ウィルはなぜか窓の方に目を向けた。亜弓達が疑問符を浮かべて彼の行動を見つめていると、窓の向こう側、つまりベランダから、1人の少女が姿を現したのである。

 黒く長い髪をツインテールにし、品の良い膝丈のワンピースを身につけた子だった。真面目そうな、“自分”をしっかり持っていそうな“強い”瞳の女の子である。

 彼女が近くに駆け寄ると、ウィルは「それじゃ」と言って手を振った。

「待っ――」

 止めようとした風也は、解放されて軽く背中を押された恵玲にとっさに手を伸ばす。そして直後、2人は同時にウィルを振り返った。



「テレポート!!」



 ウィルが床に手の平を向け叫んだ瞬間。


 白く光る円が彼ら3人を囲むように中心から広がり……



 一瞬目を瞬いた時には、彼らの姿は視界から消え去っていた。亜弓は呆然としてその空になった空間を見つめ、風也は悔しそうにじっとそこを睨みつけていた。

Re: Enjoy Club ☆ 第1回キャラ人気投票!! ( No.106 )
日時: 2010/08/31 22:37
名前: 花見 (ID: 7GPkHSud)


とうとう接触〜・・・・。

うぅ〜ん@A@з
白波君と風也君のペアが好きですwwwwww
風也君かっこええwwww^^

でもでもでも・・・
えれさまぁ〜〜〜〜〜〜(―∀―)

Re: Enjoy Club ☆ 第1回キャラ人気投票!! ( No.107 )
日時: 2010/08/31 23:45
名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY (ID: 7hab4OUo)

突然ですが、お知らせです。。。

3話から出てきてた、“風牙天明”という名前、変えさせていただきます><;

実はこれ、私がE・Cを書き始めた頃に『フェンネル大陸偽王伝』っていう小説に出てきた言葉で、「かっこいい……!!」って思って勝手に使っちゃったやつなので……

今改めて考えてみると本当に申し訳ないことをしました……。
このページは見ていないでしょうが、ここでお詫び申し上げます。本当にすみませんでした。


ということで、近いうちに変えておきます。
一応メンバーにちなんだ名前にしようとは思うのですが、ほんとにネーミングセンスないので……><;
そのへんはご了承くださいm(__)m

でわ?本当に突然すみませんでしたー

Enjoy Club 第3話『我ら、麗牙光陰――』(10) ( No.108 )
日時: 2010/09/01 13:17
名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY (ID: 7hab4OUo)


 その日は小松家の大豪邸で夜を明かした。
 結局盗られてしまったのだからと遠慮する私達3人を、小松家の人々が強い押しで招き入れてくれたのである。

 どうやら他の場所に待機していた警備員たちは、ほとんどが例の暗やみの中身動きが取れず、明かりのついていた地下にいた人たちも相手の妙な能力に翻弄され何の役にも立たなかったそうだ。それに比べれば私達は本当によく奮闘してくれた、とそう言うのである。私はちょっと後ろめたい気持ちにもなったのだが、彼らと押し問答しているうちに、ついに躊躇いや遠慮よりも好奇心の方が勝ってしまった。


 というわけで、私と恵玲は今、思わず小学生みたいに飛び跳ねてしまいそうな、ふっかふかの真っ白なベッドに横たわっている。レースがふんだんに使われているこのベッドに寝転がっていると、自分がまるで宮廷のお姫様になったみたいで体がムズムズする。

「ふっかふかですー!」

 私は我慢しきれずに、“小学生みたいな”行動をとってしまった。
 「バカじゃないの?」と言うような軽蔑の視線が突き刺さり、私は大人しく布団を掛け直す。枕に顔をうずめ、そのままこもった声で恵玲に話しかけた。

「E・Cの人達、魔法使いみたいでしたねー」

 突然、恵玲が吹き出した。私は本気で驚いて体ごと彼女を振り返る。

「え、な、なんですか!?」
「魔法使いって……そんな……っ、そんなんいるわけないじゃん……!!」

 どうやら相当的外れな発言だったらしく、彼女は声を上げて笑い布団の上を転がり回っている。私と2人でいる時にこんなに爆笑するだなんて珍しい。
 それにしてもそんなに変なことを言っただろうかと首をかしげていると、恵玲はようやく元の位置に戻って比較的明るい声で言った。

「でも、その魔法使いとまともにやり合えちゃう風也くんもすごいよね」
「……確かに」

 ウィルとやり合った時の彼の動きは尋常じゃなかった。少なくとも、私の目では何が起こっているのか把握しきれなかったくらいだ。彼が有名な不良だということを久し振りに再確認した光景だった。

 ちなみに彼は今、隣室で1人で眠っているはずである。
 私は彼がいる部屋を壁越しに見つめ、それからずっと気になっていたことを口にした。

「恵玲……いつから“風也くん”って名前で呼んでるんですか?」

 頬をのせた枕を両手で抱いて話しているため、変にくぐもった震えた声になってしまった。拗ねているみたいで、ちょっと悔しい。

「いつって……最初からだけど」

 そう言って恵玲は、くるっと私の方に体を向ける。

「あんたも呼べばいいのに。何も文句言われなかったよ?」
「う〜…」
「何うなってんの」

 呆れたような声音。

 私は頭の中で何度も彼女の台詞をリピートし、そうしているうちにいつの間にか眠りに落ちていった……。





 亜弓がすーすーと寝息を立て始めると、恵玲は慎重に布団をはがして音をたてないようにベッドを下りた。爪先からゆっくり足を下ろして、そのままベランダへと向かう。
 先程と同じ大きな両開きの窓を押すようにして開けると、冷たい夜風が部屋に吹き込んでくる。さっきよりはだいぶ収まったが、それでもあまり当たりすぎると風邪をひきそうだ。恵玲はゆっくりと窓を閉め、自分は冷たい空気にさらされてじっと夜空に浮かぶ淡い月を見つめていた。

 脳裏に2人の男の子の姿が浮かぶ。

 頬がじんわりと熱くなって、彼女は両手の指先をそっと当てた。

「ウィルくんも白波くんも、ほんっとにかっこよかったなぁ〜」

 彼らの姿は全て、この瞳に焼き付けてある。

 今回のことで彼らを困らせてしまったのは間違いないが、それでも恵玲は満足だった。でもやっぱり嫌われるのは嫌なので、こんな真似は二度としないと月に誓う。


 そして彼女は、ふと隣の部屋のベランダに意識を向けた。

 いつの間にか、紫苑風也が姿を現していた。


「正直期待以上だったよ、風也くん」


 視線は前へと向けたまま、恵玲は可愛らしい声でそう言った。その声は闇の中で不気味に浮いている。

「お前はなんで手ぇ出さなかったんだよ。……人質にまでなりやがって」

 風也の声に苛立ちが見える。おそらくその感情は、彼女に対してだけではない。
 恵玲はチラッと彼を見てからかうように言った。

「人質になったのはマジで不本意だけど、風也くんの力確かめたかったのぉ〜。あたしが手ぇ出しちゃつまんないでしょ?」
「嘘つけ」

 吐き捨てるような声だった。

 しかし恵玲はそれ以上は言わず、体を反転して部屋に向かう。

「――おい」
「風邪、ひかないようにね〜」

 ひらひらと右手を振って、恵玲は部屋へと戻っていった。


 再び静かに窓を閉め、彼女は亜弓に目を向ける。……どうやらぐっすり眠っているようだ。
 それを確かめ自分もベッドに戻ろうとすると、聞き取りにくい小さな声が耳に入った。

「……っと……」

「――え?」

 少し驚いて熟睡している亜弓を振り返る。


「……こんど…は、やくに…たち……――」



 す…っと自分が真顔になっていくことに、恵玲は気付かない。



「……ごめん、亜弓」



 気が付くと、そんな言葉が口をついて出ていた……。


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