ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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 青空兎【ソラウサギ】—完結—
日時: 2010/04/11 16:34
名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)

こんにちはー。狂乱です…。
中2です。
暇なときでもダメ出し、感想などを聞かせてくれるとうれしいです。通常、友達の3人に読んでもらっているのですが、みなさんのほうが自分の作品もありますので少し辛い感想がきけるかな?と思っています。(もちろん甘い感想でも…。)
こちらの物語は外伝です。

>>3
>>4 【0】 >>5 【プロローグ】
>>8 【1】 >>12【2】
>>16【3】 >>23【4】
>>27【5】 >>32【6】
>>33【7】 >>35【8】
>>39【9】>>41【10】
>>43【11】>>45【12】
>>47【13】>>53【14】
>>55【15】>>57【16】
>>70【17】>>73【18】
>>74【19】>>76【20】
>>75【エピローグ】

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Re: 青空兎【ソラウサギ】 ( No.73 )
日時: 2010/04/03 19:45
名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)

【18】
「あら、黒百合…。」

未来ちゃん、加南去ちゃん。そして小淵くん、カリンちゃん。

屋上にはもうみんな集まっていた。

「…白百合未来。私も一緒に行くことにしたの。」
「おほほほほ。別にかまいませんの。もうあなたは敵ではありませんから。」

未来ちゃんが笑う。

楓さんが笑う。

「晟が鐘を鳴らしたほうがいいな。“才能”をつかえば余裕で鐘が止まる前に飛び込めるだろう?」
『賛成です。盗賊。首尾よくやりなさい』
「了解ッス!!」

小淵くんが敬礼する。

「んじゃ、最初は“楓”ね。」
「ひどい“未来”…いいけど」

仲良くなってる…。

「小淵くんが最後だから、楓さんの次は私が行く。」

私は手を挙げた。

「んん…。じゃあ次は私だ。そのあとに未来嬢と加南去が行く。それでいいか?」

「OK。」
「わかりましたわ」
「うん」
『了解です』
「はい」

全員が賛成する。

「盗賊。始めなさい。」

未来ちゃんが扇を閉じる。


『ゴーン ゴーン ゴーン ゴーン』

鐘が鳴る 高らかに

柵の下に大きな穴が開く…。

「×××ちゃん。ありがとう。先行くね」

そう言って楓さんは飛びこんでいった。

私もそれに続いて飛び込んだ。

Re: 青空兎【ソラウサギ】 ( No.74 )
日時: 2010/04/05 16:21
名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)

【19】
真っ暗闇の中どんどん下へと落ちていく…。

はっきり言えば怖かった。

ずっと落ちるだけだと思っていた。

そういえばある文学作品の主人公も兎を追いかけて落ちていく。

あの主人公もこんな思いだったのだろうか?

そう思っていたら、いきなりなだらかになって来た…


“ドスン”

尻を強くうった。 痛かったぁ…。

「お久しぶりです〜。×××先輩!」
「琉姫。だめ…。やっぱりクッションか何か敷いたほうが…。」

まるっきり同じ顔をした2人が立っている。

元気なほうが、自称“身がわり羊”の弥名梨琉姫。

三点リーダーが多いほうが、自称“居眠り羊”の弥名梨呂季。

2重人格の姉妹だ。どうやらここでは1人1つ身体があるようだ。

「るきちゃん!ろきちゃん!ここは…?」
「私の“才能”で作り出したあの世とこの世の境目にある温室。」
「るーも手伝ったんですよ?もう、姉さん。自分だけの手柄にしないでください!!」

ここでも2人の仲の良さはかわってないようだ…。

“ドスン”

「痛っ〜。」

カリンちゃんが落ちてきた。

「琉姫。早くクッションを持ってこよう…。」
「はい!姉さん!」

2人は奥へと走っていった。すれ違いに麻ノ葉さんがやってくる

「麻ノ葉!!」

カリンちゃんが麻ノ葉さんに抱きつく。

「やぁ。カリン。おっと、君には“まだ”名前が届かないね。お疲れ様。よくやった。」

この人にほめられても全然うれしくない…。

「ひどいなぁ。そんなことないだろう?」

心を読むのもやめてほしい…。

「了解。君は早く奥にいったほうがいいんじゃないかな?楓さんだって“名前”を知ってるんだから。一番最初に呼ぶんじゃなかったの?」

「いいんです…。楓さんにお譲りします…。」

本当はいやだったけどこれで楓さんが喜ぶならいい。

もう彼女には傷ついてほしくない…過去を忘れて楽しく過ごしてほしい…。

「なんだか昔とかわんないな。カリンも君も。」
「それが一番だ。麻ノ葉。晟なんか記憶がなくなってしまってな。大変だぞ」
「あぁ!あとで治そう。大丈夫。ボクは“読者”記憶のことは任せてくれ。」

そういって2人も奥へ行く。

未来さん達はおそいな…。

私も一緒について行った。

そこは学校の温室の1周り大きいぐらいの広さだった。

真ん中にはテーブルがおいてあり、希八ちゃんと楓さんが話していた。

横に置いてあるソファの1つにはカリンちゃんと麻ノ葉さんが顔を赤くしながら話していた。

時折カリンちゃんがクッションで麻ノ葉さんを叩く

琉姫ちゃんと呂季ちゃんはクッションを運ぶのを忘れ、リンクスを追いかけている。

「“雫さん”!」

懐かしい声が私の名前を呼ぶ…

「キミ!」

そこにいたのは自称“勿忘草”のキミだった。

「どうやら成功したみたいだね。楓さんも連れてきてくれてありがとう。」
「ううん。キミのおかげ。ありがとう!キミ。」

本当の名前では呼べない。“あの冬”に一回呼んでいるけど…やっぱりキミはキミだから。

「あの、これキミの…」

私は“例のノート”を渡す

「ありがとう!雫さん!メッセージも伝わってよかったよ」

キミはやっぱり笑わない…。

私は笑った

「やっと来れたッス…。」
「あら。みなさんごきげんよう。」
『すいません。遅れました…。未来ちゃんが飛び降りるのを怖がって…。』

小淵くん、未来ちゃん、加南去ちゃんも到着し、全員揃った。

Re: 青空兎【ソラウサギ】 ( No.75 )
日時: 2010/04/05 16:26
名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)

【19】

「重大な話があるんだがね…」

麻ノ葉さんが切り出す。

全員がそっちに注目した。

「ね?勿忘草くん?」

そっちかい!

全員がキミに注目し直す

「あぁ…。ええと…」
「はっきりするッス!なっくん!」
「ボクらは今“あの世”と“この世”の境目に弥名梨姉妹がつくった“温室”にいるんだけど…」
「このままじゃ“この世”には帰れない。」

麻ノ葉さんが良いとこをとる。

「………………!!」

一瞬沈黙したがすぐに理解する!

「てことは、私達は死んだってことか!?」
「冗談じゃないわ。お父様はお怒りになりますわよ?」
『大変なことになりましたね』
「弟くん!麻ノ葉くん!どうしたらいいの?」

私達はキミと麻ノ葉さんに助けを求める

「死んだわけじゃない。ただこのまま戻るとその兎のように身体がなくなってしまう」

麻ノ葉さんがカリンちゃんの質問に答える。

「身体と一緒に戻るためには自分の“才能”をなくすのが条件となる。」

キミが続ける。

「…………………。」

沈黙する

“才能”をなくすのはかなりつらいことだ。何度も利用し、便利に過ごしてきたのだから…。

「私は戻りますわ!お父様が待ってますもの!!」
『右に同じ』

未来ちゃんと加南去ちゃんが決断する

「んじゃ。あたしも!」

希八ちゃんが赤と黒の水玉模様のマグカップに入った紅茶を飲み干す。

「OK。じゃあリンクスについて行って、この世に帰ったらもう“才能”はないからね」

麻ノ葉さんが楽しそうにいう。この展開もきっと分かっていたのだろう。

「私も行くわ!」
「楓さん?いいの?」

キミが尋ねる

「いいの、あなたにも会えたし。もう逃げたくないから…。 」
「そう、ありがとう。“姉さん”」

楓さんはそういわれ、少し泣き眼になりながら未来ちゃん達について行く。

「まってください!希八さん!」

小淵くんが呼び止められ希八さんは振り向いた

「俺は…俺はどうしたらいいっすか?希八さんを手伝いたいのに“才能”はなくしたくない!」
「フン、勝手にしな。あたしはあんたの分まできめられないからね!」
   
すごくキッパリとした答えで小淵くんは言い返せなかった。

「麻ノ葉はいかないのか?」
「あぁ。僕は身体がなくてもいいからね。“この世”
とここを行き来できるなんて最高だろう?」
「そうか…。雫は?」

カリンちゃんが私に振ってくる。

「キ、キミは…どうするの?」
「ボクは自分の“才能”がなんなのかわからない。だから帰れないんだ」
「るきちゃんとろきちゃんは?」
「るーはここを維持するため、残るです!」
「…一回死んでるし…身体がなくても遊べるし…」

みんな自分らしい答えが返ってくる…。

「私は残る!だから晟も残れ」
「えっ!?」
「きっと希八も、麻ノ葉とかキミとか琉姫とか呂季とか残ってるヤツと話したくなるだろ?そのときに手伝えばいい。」
「そうッスね!!身体がなくても希八さんに会えるッス!!」

無視されると思うなぁ…。

どうやらここに残ってる人はみんな決まってるみたいだ。

「私も残る…」

みんなが私のほうを見る

「もう、離れたくないし」」

みんな笑ってくれる。

「決まり。リンクスもすぐ帰ってきてくれる。」
「そしたらさっそくパァーと騒ぐッス!」
「…琉姫。レモネードを運んでこよう…」
「了解しましたぁ!!」

みんな一気にテンションがあがる。





私は身体がなくて幽霊になってもみんなでいられるなら怖くなかった。

それは、ずっと変わらないままでいられるってことだから。





その時— 

私は今度こそ“変わらない日々”をおくれると思い嬉しかった。

Re: 青空兎【ソラウサギ】 ( No.76 )
日時: 2010/04/10 21:05
名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)

【エピローグ】

何日。何週間。あるいは何年たっただろうか

私達は相変わらず変わらない日々を送っていた…。



だがある日、事は起こった。

「大変です!!私達の“才能”があの世に喰われたです!」

琉姫ちゃんと呂季ちゃんからの突然の報告だった。

やっぱり変わらないことなんてなかった…。

私達がバラバラになってしまうことは麻ノ葉さんも予測していなかっただろう…。

はじまりがあれば終わる…。

“あの世”という世界では何も望めない

存在を感じることもない

存在さえない—

何も考えられず

何も感じない世界—

しかし、終わりがあれば始まる…。



私達は輝く泡のように…静かに1人ずつあの世へ送られた。

お別れの言葉もいえないまま

“いつかまた会う事”を願って





END 

 

Re: 青空兎【ソラウサギ】 ( No.77 )
日時: 2010/04/05 16:18
名前: 狂乱 (ID: M2SneLVI)

終わりました!

お客様は少なかったのですが

京s savr.s 空s 白魔女s レッドs

ありがとうございました!!



次はこの話の前の話  

【春秋冬夏】シュンシュウトウカ
春編→身がわり羊と居眠り羊

を書きたいとおもっています…。

興味のある方はどうぞ!!
辛いコメントをお待ちしています!
(もちろんここでも…)

本当にありがとうございました!!



 


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