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時の魔術師(第二章・開始
日時: 2010/01/24 20:03
名前: 白魔女 (ID: tPOVEwcZ)

ふははははっ、時の魔術師、復活ーっ!(狂

消えたと思ってたのに、復活しているという奇跡。
果たして待ってくれていた人がいたのか、という話だが……まぁ、細かいことはよしとしよう。


ってわけで、「時の魔術師」、またまたヨロシクお願いします。

「呪われた瞳と愉快な魔女達」にも、主人公のソラが登場するんで、よろしければそちらのほうも……(宣伝w




では、どうぞ(。・ω・。)ノ

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Re: 時の魔術師 ( No.5 )
日時: 2009/12/31 22:31
名前: 白魔女 (ID: iH8DsO3F)

第一章——過去の落し物——

一話——魔術師の仕事——


 魔女になるためには、悪魔と契約をする必要がある。そして、契約した後に、「契約の印」という印が、体のどこかに現れる。私の場合は、それが腕にある。そして、その「契約の印」は、どれだけ痛めつけても痛みを感じないのだ。だが、一つだけ、痛みを感じる時がある。それは、誰かが私を呼んでいるときだ。つまり、仕事の合図というわけ。

 今夜も、また仕事が始まる——。私はそう思いながら、焼けるような痛みを発する腕をこすり、ベッドから起き上がった。
 私の生活リズムは、普通の中学生と大体同じだが、私は夜中に仕事があるので早めに寝ておく必要がある。でも、それが宿題などに押しつぶされ、結局は睡眠不足になってしまうのだ。なんという悪循環!

 黒い正式の服に着替え、みなさんもよく知っている黒いとんがり帽子をかぶり、私は箒を出した。

 箒も、だいぶ汚れてきているな——そう思いながら、私はまた黒い肩掛けカバンに、必要なものを詰め込む。不気味な液体を入れた小瓶を何本か、そしてキラキラと光るペン……魔法陣を描くためのものだ。そして杖。杖はポケットにしまう。杖がなくても魔術は使えるが、あった方が便利だ。あとはよくわからないものを詰め込む。そして、小腹がすいた時のビスケット。で、最後にケータイ。そう、魔女も普通の女の子なのだ。

 私はベランダに立つと、煤けた箒をなでた。そして、飛び降りる。落ちて落ちて、気がついた時には、地面と平行に飛んでいる。冷たい風が体中に感じるのを心地よく感じ、危うく寝てしまいそうになる。いけない、いけない……。

 魔女を呼ぶときは、やはり特殊なやり方をする。血で書いた契約書を用意し、魔法陣を描いて、呪文を唱える。ここで一つでもやり方を間違えれば、悪魔君に八つ裂きにされてしまう。なんでこんなマニアックな方法、一般人が知ってるんだ、と言うと、やはり古い本などに書かれている。昔は人間とも仲がよかったから、教えてあげれたけど、今そんな事をしたら体中を変にいじくり回されてしまうだろう。でも、私を魔女だと知っている人間も何人かいる。もちろん、サキ達は知らないが——。

 最近は、インターネットが普及して、こういう方法が簡単に見つけられるようになったから、仕事が増えたんだ、と私は思っている。が、増えすぎないようにしてくれる魔術師がいるから、私はちゃんと仕事をしていられる。どうやって増えないようにするかは、やっぱり殺すのだろうか……。
 少し触れたが、この世には、やっぱり何人もの魔術師がいる。私と同業者が、そこらへんに居るという話だが、それはまた後日。
 ようやく、依頼人のいる教会が見えた。契約は大体、教会か墓場だ。公園なんかにやられたら、仕事にならないけどね——。

 箒を急降下し、私は教会の前に降りた。

 さぁ、仕事だ。

Re: 時の魔術師 ( No.6 )
日時: 2009/12/31 00:13
名前: 白魔女 (ID: iH8DsO3F)

二話——教会——


 教会は、廃墟らしく、ところどころ崩れていた。
 
 でも、これでも私は魔女なので、怖くともなんともない。と言うか、ウキウキする。この、得体の知れない不気味な雰囲気、いいと思わない?

 ここの教会なら、何度か来た事がある。祭壇の奥に穴があって、そこから人間は地下の、契約の場所に下りる。が、私は呼ばれた側なので、そっちからは行かない。魔女っぽく、依頼人が描いた魔法陣の上に姿を現す事にしているのだ。ほかの魔術師は、自分の家から直接魔術で魔法陣のところに行くが、遠ければ遠いほど、魔力を使うので、私は魔法陣のすぐ近くまで行き、そして魔術で魔法陣のところに行くようにしている。特に、私は時の魔術師なので、魔力をたくさん使うのだ。

 私は教会の中心部に行き、短い呪文を唱えた。光が体を包む。ぶわぁぁっと、プールで泡に包まれたかのような感覚を覚え、そして、気がついた時には地下室の、魔法陣の上にいた。

「こんばんは」

 私は依頼人に挨拶した。一応、礼儀はわきまえているつもりだ。だけどこの挨拶を返された覚えはない。

 依頼人は、男子高校生だった。

 まず、私を見下ろした。

 そしてキョロキョロする。

 他に誰もいないことを確認して、私を指差す。

 私はゆっくりと首を縦に振った。にこやかに笑いかける。

「えぇぇぇぇぇぇぇ————!!!?お前が魔術師ぃぃぃ!?」

 私の笑顔が引きつった。

Re: 時の魔術師 ( No.7 )
日時: 2009/12/31 00:14
名前: 白魔女 (ID: iH8DsO3F)

今日はここでやめます。

明日、続けてやります。

Re: 時の魔術師 ( No.8 )
日時: 2009/12/31 11:44
名前: 白魔女 (ID: iH8DsO3F)

あったあった、危ない危ない……

じゃ、続き書きまーす。

Re: 時の魔術師 ( No.9 )
日時: 2009/12/31 11:47
名前: 白魔女 (ID: iH8DsO3F)

三話——依頼人——


 高校生の名前は藤岡ケント。

 時間を戻りたい理由は、なくしたお母さんの形見を探しに行く事。

戻りたい年は、2001年。

「母さんの形見ねぇ……」

 さっきのケントの言い方でむかついた私は、敬語を一切使わないことにし、「ケント」と呼ぶことにした。

「今から探せばいいじゃん〜。全く、人間ってのは何考えてんだか」

 イスに座ってコーヒーを飲む私。依頼人と契約の話をするので、いつもテーブルとイスとコーヒーを出してあげるのだが、依頼人よりも私のほうがくつろいでいる。

「本当に、戻れるんだよな!?」

「そのかわり、終わったら魂もらうからね〜」

 うっ、とケントは低く言った。

「つまり、お前が俺を食うんだよな……?」

「そうともかぎらないよ」

「へ?」

 キョトンとするケント。

「やり方はたくさんあってね。契約内容によって、色々支払いが違うんだよ」

 ケントは余計に頭がこんがらがった様だ。

「時間を戻ってすぐ私に食われるか、寿命を私が頂くか、地獄に落ちた後に悪魔達に引き渡して永遠にもてあそばれるか」

 淡々と言う私に、ケントは少しゾッとしたようだった。

「他にも色々あるけど、大体はこの三つ」

「じゃ、じゃあ、寿命で!!」

「ただし!」

 死にたくありませんと言う気持ちがありありとわかるケントに、私は釘をさした。

「寿命の場合は、その年の数分のお金をもらうから〜」

 そして、今まで以上の笑顔。接客はね、笑顔が大事なの。まぁ、敬語を使わない時点で接客も何もないが。

「それに、時間を戻って過去に変な行動をしたりしたら、強制的に私か、他の人が決めるから」

「そんなぁ……」

 見るからにガックリと、ケントはうなだれた。

「なに、その言い方。時間を戻れるんだから、安いものじゃない」

 そして、コーヒーを飲み干す。

「支払いは、帰って来た時点で決めるから、行こうか」

「ちょ、ちょっと!」

 立ち上がる私に、ケントは慌てた。

「行こうかって、お前も行くの!?」

「当たり前じゃん」

 私はスラッと言った。

「あんたが過去に戻って変な行動をしないように、私が見張るの。何して来たかわからないと、支払いもわからないでしょ?」

「そ、そうだけど……。何か自分の過去を見られるって、嫌だな」

「そう、じゃあ、支払いは“死んだら悪魔にもてあそばれる”でいいのね」

「あわわ、いいです、結構です!」

「はいよ」

 ニヤッと笑う私に、ケントはため息をついた。

「お前、友達少ないだろ」

「大きなお世話です!」

 それからテーブルたちを消すと、ケントが描いた魔法陣を、時間を戻る魔法陣にするために、あのペンで書き加える。

「へったな魔法陣だなぁ」

 描きながら私は言った。

「うるせぇ、こんな暗い場所で上手く描けるわけねぇだろ」

 そして、より細かい魔法陣にし、私とケントは魔法陣の中心部に立った。

「これからは黙ってよ。ミスったら、体の一部が消えたりするから。もっと悪い場合は、白亜紀とかに戻って戻れなくなるからね」

「はいはい……」

 その返事を聞いて、私は意識を集中させた。

 魔術のなかでも、時を戻る魔術は特に難しい。魔力を、魔法陣に注ぎ込むと、魔法陣が光りだした。カバンからあの小瓶を取り出し、魔法陣に垂らす、と、魔法陣は私達を乗せたまま浮き上がり、まわりだした。私達からはそう見えるだけだがな。そして、ビュンと音が鳴ると、光が自分達を包む。自分の体があるのか、実体なのかわからなくなる。

 この感覚が、私は好きだ。魔術って感じがする。

 だから、時の魔術は好きなんだ。


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