ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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神様が死んだ日
日時: 2009/07/02 17:36
名前: えみ ◆.OTuS3XQxg (ID: EbMOb6mj)

 今まで、何度もホラー小説を書いてきました、えみです。

今回は、大人っぽい話を作ろうかな、と考えています。

 よろしくお願いします。

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Re: 神様が死んだ日 ( No.44 )
日時: 2010/01/24 16:55
名前: えみ ◆.OTuS3XQxg (ID: EbMOb6mj)

      12話・苦しみと悲しみと

 その日、悲しみを背負ったまま会社へ行った。
会社の人たちはみんな、辛そうな顔をしていた。私は、仕事が手につかなくなり、有休をもらった。
「夕方に・・・落ち着いたら来ます。」
私は、小さな声でそう言い、会社を出た。
 腕時計を見るとまだ12時だった。
 会社の出入り口のドアを開けると、急に自分が空腹だという事に気がついた。
「カフェで済ましちゃおうかな・・・。」
誰に言うわけでもなくポツリと呟くと、会社の正面に最近建ったカフェへ、歩を進めた。


 店内には、コーヒーとミルクの甘いような苦いような不思議な匂いが漂っていた。でも・・・
「いい匂い。」
そう思えた。
「いらっしゃいませ。」
レジに立っていた若い女の人がにこやかに声をかけてくる。私は、小さく微笑んで一礼すると、奥に空いている席を見つけて座った。
「ハンバーガーでいいや。」
ふぅ、と短く溜め息をついた。一緒に疲れも取れていくみたいで、なんだか落ち着いた。


 しばらくすると、店員さんがハンバーガーを1つ、持ってきた。
「ごゆっくりどうぞ。」
持ってきたのは、なかなかのイケメンだった。
 でも、今はそんな事どうでもいい。
(恵子が・・・)
頭の中は、今朝の恵子のニュースでいっぱいいっぱいだった。

(どうしてあの時、あそこにいたのが恵子だって気づかなかったんだろう?)
 そう考えながら、ハンバーガーを口に運んだ。

Re: 神様が死んだ日 ( No.45 )
日時: 2010/01/28 20:14
名前: えみ ◆.OTuS3XQxg (ID: EbMOb6mj)

あげます!

Re: 神様が死んだ日 ( No.46 )
日時: 2010/02/05 17:10
名前: えみ ◆.OTuS3XQxg (ID: EbMOb6mj)

      13話・夢を__

「恵子。」
あの事件から2週間以上たった。ニュースや新聞は、新たな出来事や事件で、すっかり恵子を置き去りにしていた。でも、心の傷はそう簡単に癒えるものではなかった。


そっと名前を呟いて花束を置く。これが日課になっていた。毎日屋上へ足を運んではユリの花束を飾った。
「どうして?何で・・恵子・・。」
聞こえるはずも無い言葉を、返事をしてくれない言葉を、ただ玲子は呟き続けた。


 恵子は自殺なんかじゃない!
玲子がそう確信したのは、それから数日たった朝のことだった。夢を見たのだ。恵子の。


「玲子・・・あんた、立派になったわね。本当に、あの頃とは比べ物にならないくらいに。」
恵子は、なぜか大粒の涙をぽろぽろこぼしていた。恵子の周りには真っ暗で大きな闇。吸い込まれてしまいそうだった。
「でも、言いたいことがあるの。私の事、忘れないで。あともう1つ。私は、自ら望んで死など選ばないわ___。」
そう言った直後だった。恵子を取り囲んでいた闇がいっそう大きく、深くなった。
「恵子っ!」
私が手を伸ばしても、もう届く距離ではなかった。恵子は、音も無く闇に飲まれていく。
「・・・て___。」
恵子が消える直前、何かを言っていたが、聞き取れなかった。恵子は、私に何を伝えたかったのだろう?そう思ったが、はっきりした事が1つ。恵子は、自殺なんかじゃない____。

Re: 神様が死んだ日 ( No.47 )
日時: 2010/02/07 12:42
名前: えみ ◆.OTuS3XQxg (ID: EbMOb6mj)

   14話・真実を知る者

「おい、知ってるか?アノ噂。」
「ああ、真実の館ってやつだろ?」
玲子は、通勤途中、高校生くらいの男の子が話していたのを聞いた。

 真実の館・・・?

「行けば、真実が分かるってやつだろ?嘘っぽいよなァ。」
真実が分かる・・・。
嘘なら嘘でいい。ただ、ダメもとでやってみる価値はある!

「あの・・」
玲子は、笑いあっている高校生に話しかけてみた。
「はい?」「な、何ですか?」
高校生たちは少し動揺しているようだった。
「あの、さっき話してた、真実の館って・・・?」
玲子の声は、少しずつ小さめになっていった。
「ああ、ただの噂ですよ。」
「なんでも、どっかのビルの屋上に上ると・・・」
そこで途切れると、もう1人が言葉を続けた。
「不思議な格好をしたおばあさんがいて、「わしは『真実を知る者』」って言うらしいんですよ。で、その人に頼めばどんな真実でも教えてくれるって・・。」
そこまで言うと、玲子はありがとうと言って駆け出した。
「あの・・・!?」
その場に残された2人は、ただただ顔を見合わせることしかできなかった。

Re: 神様が死んだ日 ( No.48 )
日時: 2010/02/09 17:04
名前: えみ ◆.OTuS3XQxg (ID: EbMOb6mj)

   15話・夢の続き
 その夜、玲子はまた不思議な夢を見た。

「玲子__玲子__。」
声のするほうをのぞくと、そこにいたのは・・・


「おい、黒崎!」
「はへ?」
その声で私は現実へと引き戻された。
「はへ?じゃない!どうした、ぼーっとして・・・。熱でもあるんじゃないのか?」

話しかけてきたのは、同僚の松田という男性。
「あっ、大丈夫です、すみません!!」
慌ててパソコンに向き直る。

 パソコンには、まだ打ち込んでいる途中の文章があった。
「あ・・・終わってなかった。」
誰にも聞こえないほど小さな声で呟くと、私は仕事を再開した。


 真実を知る者___
仕事中、ずっとそのことが頭のなかを回っていた。
「ビル・・屋上・・。」
その日から私は、知っている限り、あらゆるビルの屋上を確かめに行った。
 しかし、いつも決まって何も無かった・・・。


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