ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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—バグ、消去します—
日時: 2009/07/26 23:58
名前: 空雲 海 (ID: d9r3SuxE)

キーンコーンカーンコーン……。
終礼が終わり、部活に励むため出ていくみんな。
とてもガヤガヤしている教室。
私たちのクラスは最上階で、見晴らしがいい。
天気は快晴の空。
でも、この夏の時期に快晴の空はキツイ……。
みんなは、噴き出してくる汗を拭きながら教室を出ていく。
そして、ほとんどのみんなは教室を出て右に行くのに、わたしだけは左に行く。
なぜかって? それは——……。
わたしの入っている部活は、「電脳探偵部」だから……。

たぶん目次

作者の紹介
     >>1
まずはあいさつから始めましょう
               >>2>>3>>4>>6
電脳探偵部に入ったワケ(あるいは詐欺)
第一部 ガリ勉のよくあるパターン……?
                  >>9>>13>>15
第二部 いくら頑張ったって運命は変えられない
                  >>16>>19>>20
第三部 誘拐まがいなことをする部
              >>21>>22>>23>>24>>25
第四部 その部に入部し、しかも実行
                >>28>>29>>30>>33
第五部 デリート、実行(あるいはもう元には戻れない)
              >>37>>42>>44>>45>>48
第六部 デリート! 
          >>49
あとがき
      >>50

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電脳探偵部に入ったワケ(あるいは詐欺) ( No.15 )
日時: 2009/07/24 15:57
名前: 空雲 海 (ID: JvL4RDTQ)

『…………。』
返事がない……お母さんじゃない?
「もしもし?」
『…………。』
……何この無言。嫌がらせ?

「もしも——。」
『みーーーーーはーーーーーーるーーー!!!!』
この言葉の続きは、ケータイから聞こえてくる大音響でさえぎられた。
……やっぱりお母さんだったか……。

「今、どこでなにやってるの! 早く家に帰って勉強しなさい!3位以下になったら許さない わよ!」
わたしはケータイからちょっと耳を遠ざける。
「大体、海晴は——。」
『ブチッ……ツーツーツーツー』

わたしは一方的に電源を切った。
「あの声は、そーとー怒ってるわね。」
春が横で言う。やっぱり横にいる春にくっきり聞かれてたんだ……。
「……聞こえてた?」

「わたしんとこで、すんごくハッキリ聞こえたから周りはちょっと聞こえてるんじゃない?」
春が冷静に言う。
そして、映画館で勝ってきた棒のあめを口にくわえる。

「はぁ〜……なんでこんな恥ずかしいことさせるの!?」
「あなたに自業自得という言葉を教えてあげるわ。」
「…………。」
たぶん今、春をすごい形相でにらんでるんだろうな……。
「早く家に帰った方がいいんじゃない?」
「……そうする。」
そして、わたしは全力疾走で家目指して駆け出して行った……。

「ガリ勉さんは大変ね……。」
春が一人ポツンと言った……。

「ハァハァハァハァ……。」
本日二回目の滑り込み。だけど、わたしの目の前にいたのは……。
「ただハァハァハァハァ……いまハァハァハァハァ……。」

わたしが息絶え絶えに言った瞬間!
「今までどこに行ってたの!」
そーら、キタ! これから小言の嵐だ。
「もう! あんたって子は! なんでそうフラフラと家出て行ってはこんなに帰るのが遅い の!? もう……3位以下になったら承知しないよ! 大体あんたは…………」

これから、お母さんの小言をずっと聞きっぱなし……。
こんなことになるんだったら出て行くんじゃなかった……。

わたしはとうとう、しびれをきらし、
「わぁーったよ! もうしないし、勉強に励むから。」
そういって、無理やり席をたとうとする。
「ちょっと待ちなさい! まだ話は——。」
「もう充分聞きました。ちょっとずつちょっとずつ本題がそれてる話をね。」
そういって、わたしは階段を上り、部屋に行った。

なんなのよ! お母さん!
わたしは、ベットに体を預ける。
頑張ったんだから、ちょっとくらい息抜きしてもいいじゃん……。

そして、仰向けになる。
「はぁ〜……。」
わたしはそのまま深い深い眠りに落ちていってしまった……。

電脳探偵部に入ったワケ(あるいは詐欺) ( No.16 )
日時: 2009/07/24 16:14
名前: 空雲 海 (ID: JvL4RDTQ)

わたしはその後、頑張って勉強をした。
「ご飯できたわよー。」
お母さんの言葉でわたしは電気を消す。
そして、階段を下りて行く。

「さっきは、終わっちゃったけど、ちゃんと勉強するのよ。」
お母さんがわたしに言う。

その顔はちょっとくもってる。
「ちょっと息抜きくらい、いいじゃない。それに、わたしちゃんと勉強するし……。」
「本当に、大丈夫なの?」
「だーいじょーぶ! 大丈夫。それより、今日のご飯は何?」
「もう……話そらして。今日のご飯はからあげよ。」
「やったね!」
わたしはからあげが積んであるお皿に手を伸ばす。

そのとたん! ビシッ!とお母さんに手を叩かれる。
「ちゃんとおはし持って食べなさい!」
「はぁ〜い。」
そして、はしを持つわたし。
「いっただっきまぁーす!」
そして、わたしは期末テスつの向けて、勉強した。

そして、ついに……期末テストの日がやってきた……。
その結果は……。
「うそ……うそでしょ……。」
わたしは自分の答案用紙を見て絶句する。

だって……だって……。
「学年平均……10位……。」
前は3位だったのに……7位も下がってる……。
それに、わたしちゃんと手ごたえあった! なのに……なのに……。

「なんでぇぇぇぇぇぇぇぇ!」
わたしの声が教室中に響き渡る。もしかしたら、隣のクラスまで聞こえてたかもしれない…。
「どうした? 柳川。」
佐藤先生がわたしに聞いてくる。その顔はくもっている。

「佐藤先生! こんなのありえません!」
わたしは答案用紙を佐藤先生に見せる。
「わたしはちゃんと答えを埋めましたし、手ごたえもありました! なのに……なのに…… 前より下がってるなんてありえません!」
わたしは佐藤先生にしきりに訴える。

しかし——……。
佐藤先生はわたしの点数を見ると、みるみるうちに青ざめていった……。
わたしの声なんて届いてない……。
「あとでいつもの場所に来い。」
そういって、先生はわたしに答案用紙を返してきた。
「いつもの場所」とは古い理科室だ。南館の1階にあって誰も入らないから、わたしたちはいつもここで話をしている。

「先生! 今の話——」
「話は後で聞く。」
そういって、先生はわたしの言葉をさえぎる。
うそだ……。「後で聞く」って言ってるけど……本当は……。

わたしは流れる涙をグッとこらえて、席に戻った。
その手に握られていた答案用紙は、強く握りすぎたため、クシャクシャになってしまった…。

Re: 電脳探偵部 —バグ、消去します— ( No.17 )
日時: 2009/07/24 16:51
名前: 心 (ID: VZEtILIi)

コメもらった、心です。
ストーリーが好きなので、また来させてもらいます。

Re: 電脳探偵部 —バグ、消去します— ( No.18 )
日時: 2009/07/24 17:03
名前: 空雲 海 (ID: JvL4RDTQ)

心様、ありがとございます。

電脳探偵部に入ったワケ(あるいは詐欺) ( No.19 )
日時: 2009/07/24 17:06
名前: 空雲 海 (ID: JvL4RDTQ)

わたしは、あの理科室へ行く。
そして、重い足取りで理科室の扉を開けた。
パチッ……。
それと同時に電気がつく。

「遅かったな……柳川……。」
佐藤先生が机に乗ってる……。
「佐藤先生! こんなのわたしじゃありませ——」
パアンッ!
……理科室に風船が割れたような激しい音が響いた……。

「痛い……。」
わたしが左の頬を触る。
「なぜ……なぜ、こんな点数を取ったんだ!」
佐藤先生……。
「だから言っているでしょう……こんなのわたしじゃない……わたしは……わたしは……。」

「俺はお前に期待していたんだぞ! なのに……なのに! お前はそれを裏切りやがって!」
佐藤先生の眉間にシワが寄る。
佐藤先生の言葉づかいが違う……。
「ごめんなさい……せっかく期待していただいたのに……でも!」

「でもでもなんでもない! この点数は事実だ! 変えることはできない!」
「……そんな……。」
「チッ……大損じゃねぇーか……この点数じゃ巻き上げることもできねぇー……。」
……佐藤先生、口調が変わってる……。

わたしは、この佐藤先生の変わりように驚いた……。
——すごいじゃないか! 柳川! 期末テストは大いに期待しているぞ!——
あの優しい声の佐藤先生はどこへ……。

「あぁ? 何、ジロジロ見てんだよ……。」
わたしは慌てて目線をそらす。
「はっ……。こんなに変わってびっくりしたか? フッ…、そりゃそうだよね。前なんて 褒めまくってたもんな。でも、こんな点数なら褒める気もしねぇ。」
そういって、机からおりる。

「今度の課題テストは期待通り、取れ。いいな。」
そして、理科室を出て行った……。
わたしは、一人流れる水を拭いながらうずくまっていた……。


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