ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 剣の舞。。。
- 日時: 2010/01/24 12:11
- 名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)
ダークファンタジー系の物語書いてみたかったんだ!
未熟者だけど読んでくれると嬉しいかな。
皆がコメントしてくれると書いてて楽しい気持ちに
なるし、書いてて怖くないから。
コメントよろしくお願いします////
- Re: 剣の舞。。。 ( No.20 )
- 日時: 2010/02/09 17:47
- 名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)
#14
激しい戦いである。
壁が切れ、肉が斬れる。
醜い戦争である。
戦っておるのは雷光。
黒安威の糸の方が良かったかも知れぬが、どうでも
よい事である。
「雪海ちゃんに刃を向けたんだってね」
「それがなんだよ?」
「不本意だけど殺すしかなさそうだね」
分かる。
雷光はとんでもない剣の使い手だ。
優秀な剣士。
神から力が捧げられたとしか表現が難しい。
———すごい。
とんっ、と床を蹴り刃を奴の喉元に持っていく。
雷光は笑顔であった。
えらく余裕だ。
そして敵である奴はそれを苦で避ける。
奴の表情は雷光とは正反対で余裕が見えない。
恐らく雷光は遊んでいる。
そんな場合ではなかろうが。
人差し指を相手の胸元に触れさせ、
「『爆』」
と相手の耳元で囁いているようであった。
「くっそ」
———ごがぁああああ!!
「あともういっちょかな〜、
手加減してるのに対応出来てないし」
「はっ、はっ」
再び立ち上がる。
全身火傷を負いもう立っている事も困難であろう。
それでも雷光は構わず刀を振ろうとする——
「らい…こう…」
「雪海?如何したの?」
「如何してあんなになるまで相手を追い込むのだ?
可笑しいだろ。もう動けないし、戦えないし、大体
預言書さえ手に入れば世界を飛び回るんだから奴は
もう無関係で敵対関係だとしても、もう敵じゃ無い
だろ…なのに…」
「…楽しんでるようにみえる?」
「ん…」
「遊んでるように見える?」
「ん…」
黒安威の言葉を曖昧な返事で返した。
「あれ、怒ってるよ、だから情が高まりすぎてるん
じゃないか?」
「え…?」
そんな、馬鹿な——
やはり黒安威にすべきだったのだ。
雷光は「殺さない」と信じていた。
否、思い込んでいた。
雷光を相手にさせたのは、間違いだった——!!
「らいこーーーーーーーーーう!!!!」
間に合わない。
駆けだしたって、もう!!
「辞めろと言っておろう!!命令を聞けぬのか!!」
無謀であろうと無理であろうと、頑張らなければ。
人が死ぬのはもうこりごりなんだ—!!
- Re: 剣の舞。。。 ( No.21 )
- 日時: 2010/02/09 18:18
- 名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)
あと一歩、あと一歩と、近付いて行く。
間に合わせる。
そう、信じながら。
「おいっ、雪海っ!!」
黒安威の声を背に浴びながら、妾は駆けだす。
倒すのは良い。
存分にするよい。
でも、殺人行為だけは——。
———キ…ン
「!!」
妾の刃と雷光の刃が交差する。
間一髪だ。
「雪海ちゃん!?」
「おい、お前!助けたつもりかよ!?」
何を言われたっていい。
命が救われれば…それで。
「雪海ちゃんの馬鹿!!この命知らず!!」
雷光に拳骨をくらった。
かなり痛い。
「なんで、飛び出すんだよ!!危ないだろ!!
下手すれば雪海ちゃんが死んでたんだぞ!!
なんでっ、そんな危ない真似を!!」
かなり怒っている。
怒る時は怒るのか。
案外しっかりした奴で良かった。
「しかし、そらぁ、俺も同感だぜ」
「……ふん」
「命知らずにも程があるぞ、あんな激はやの刃を
相手にしちゃぁな」
「命知らずだろうが何であろうが大いに結構だ。
人の命を救えたのならそれ以上のものはいらぬ」
私は言いきった。
雷光は動揺している。
「どうして…そんな事言うの?」
「…、私はな、相手の抱えてきたものが目を見るだけで分かるんだ」
「……」
「人間というのは殺人行為を起こしただけで呆気なく
朽ちてしまうであろう」
「そんなの分かってるよ!!それが何…」
「如何に大切な人がいようとも、世間的に皆の命は
同じくらいに大切である。
死んでしまえば!心も!痛みも!肉体だけでなく、
人の全てが朽ちるであろう!!
まだ生きれるのに!!殺すなんて…、出来る訳無いだろう」
「!!!」
瞳孔を開き雷光は予想外な事に、妾の頬を殴った。
吹っ飛ぶが、黒安威の支えがあり助かった。
「ふざけるな!!何が心だ!!痛みだ!!」
「らい…こ…」
身動きがとれぬ。
「今!!僕が雪海ちゃんの刃に刃を触らした時!!
どれだけ僕が傷ついたと思ってるんだ!!」
「……?」
「雪海ちゃんを殺すところだった!!そうなったら!!
もしも、そうなったら!!僕はどうして生きてくん
だよ!!雪海ちゃんのいない世界をどう見ていけば
いいんだ!!」
「………」
そんな言葉、親にも言われた事が無い。
なんだか、にやけてしまいそう。
どうして…何故…?
「はっ」
「!!?」
「雪海…あの子はきっと本当に…」
「分かっておる…分かっておるぞ黒安威」
「雪海ちゃん…」
「雷光、主の言いたい事は分かった」
「…うん」
「でもな、雷光、
妾は此処に居るぞ」
「!!!」
「妾が何故あんな行為に出たのか…、危険をおかし
ても助けたかったのは勿論、でも、自分なら出来ると
信じておったのだ」
「…そんな事で…」
「根拠は無い、確信無い、保証も無い、でも助けた
かった、だから信じる事しかできるわけがなかった」
「…」
「妾は愚かである、空である、
だから、空しくない人間を見捨てるなど、
出来ぬのだ」
- Re: 剣の舞。。。 ( No.22 )
- 日時: 2010/02/10 18:28
- 名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)
#15
「雪海ちゃんは…空なんかじゃないよ…」
雷光は俯き、そう口にする。
妾と同じで根拠は無い——のか?
「雪海ちゃんは今!助けたいと思って動いたよ!」
「…——」
「それは空なの!?空しい事なの!?」
その言葉に妾は動けなくなる。
——妾に どうしろ と?
妾は父と会わなくなってから独りで部隊を束ねてき
た。
父の変わり。
父の為——
あるいはそれこそが、自分の意思か。
「妾は…今、助ける事に夢中になったぞ…」
「うん…自分にしたい事がある、それはもう、
空なんかじゃない」
「……——」
『雪海、鬼ごっこしましょう…
貴方が鬼ね——』
『うん…捕まえに行くから、
いつまで経ったってずっと——…』
『じゃあ、10数えたら』
『うん、分かった』
それ以来母は帰ってこなくて、ずっと母と別れた所にいた。
そこにいれば…、母にあえるような気がした。
雷光——
らい、こう…?
あれ?
その名前——聞いた事…が——
『その子を助けたいなら、もう1度手に入る変わり
に何か大切な物を捨てなさい』
「雪海」
「あ…」
「どうした?」
「い、いやな、意識が朦朧として…、変な記憶がな」
「変?」
「う、うむ…何でも無い…」
今、脳内をよぎったものはなんなのだろう?
———— 雷光 ————
『捨てるものは、貴方とその子の——』
- Re: 剣の舞。。。 ( No.23 )
- 日時: 2010/02/14 22:19
- 名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)
#16
なんだろう。
今、頭によぎったものは。
「お前らさぁ」
敵の声で我へ戻る。
「な なんだ ?」
「馬鹿だろ
気付けよ…、預言書はもう
屋敷内にはねぇっての」
「何!?」
嘘だろ…!
しまった…!
「何処にあるの?」
「あ?」
「ら、らいこ…」
「何処にあるの?」
———!!!!黒い!
完璧に黒いオーラが見える。
雷光の黒い迫力に黒安威は平然としている。
敵である奴は…怯えてる。
無理も無い。
「そっか…コイツは見張り役かと思ったけど、
そう思わせる為のダミーなのか」
「みたいだな」
奴は泡をふいて倒れこんでいる。
やり過ぎではないだろうか。
「…とにかく行くぞ、もう教会内には無いかも知れない!例の預言書も!弓坂とか…桃とか…」
そ奴らが預言書の所有者になろうとしておるのか。
一刻も早く…。
「預言書って神のとか思いあがった思考してたけ
ど、馬鹿みたいに情けないね…、なんか神っていうよ
り、悪魔の力がするもん、ね、弓坂」
そんな声が耳に入ってくると思えば…
弓坂…?
と云う事は…預言書も…。
「そうだな…、でも、関係は無い」
「やん、クール!弓坂だぁい好き」
身を委ねている。
…不潔。
「桃の願いはなんだ?」
「ん〜、桃の願いは弓坂の願いと同じだよ…」
……調子が狂う。
- Re: 剣の舞。。。 ( No.24 )
- 日時: 2010/02/15 17:43
- 名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)
「俺の願いと?」
「うん」
笑顔満面であった。
逆にその表情がおぞましい。
「あ、でもぉ」
甘い声で気持ちが悪い。
弓坂とやらもそれを許しているようだし…、
こ奴らは苦手に等しいな。
「でも?」
「強いてゆうなら、もう弓坂と桃の恋を邪魔する
低俗達が来ませんように…かな」
「そうか、お前の願いが優先だ」
「!弓坂っ!やっぱだぁい好き!」
そう言って抱きつく桃を無表情で受け止めている。
気味が悪い。
「この白紙の預言書とか…白紙シリーズって案外、
悪魔シリーズの間違いだったりするんじゃない?」
「確かに悪魔の力に似てるよな、
白紙の預言書は捕獲成功、夢へ近付いたな」
……夢?
寄せていた体をゆっくり離していき、桃は頷く。
「本当…、あと少しだね、
桃達の願いではなく、夢が叶うんだね…!素敵!」
「ああ、素晴らしいな、これで失楽園が目前だ」
失楽園?
何?
もしかしてこ奴ら、平和な世を夢見る妾の
真逆の存在?
天敵か。
「ねぇ…弓坂」
「なんだ」
「失楽園が手に入ったら、桃をお妃にしてね」
「勿論だ」
「桃を 殺してもいいんだよ」
「勿論だ」
好きな人の為なら身も捧げる。
そのような文を読んだ気がする。
おぉ?
また身を委ねてい…
「ん、はっ、ゆさ か」
!!?
な!?なんだ?口付け!?
な なんたる不潔…!
未成年(?)があんな事を…。
『……』
『黒安威…あれ…』
『……』
「ああああぁぁあああぁっぁぁあ!!!!」
「!!なっ!」
この絶叫…雷光!?
何をしておる。
「嫌らしい音って超嫌いなんだよね」
「不潔だよな」
はははは。
「「………」」
——団結してる場合か!!
「なぁに?また邪魔さん?願った傍から?」
「らしいな」
「めんど〜、遊馬藻は何してんの…、
あの俺様野郎」
遊馬藻?
「あの情報を吐かせた奴か」
「情報とついでに除法も聞けばよかったね」
「駄洒落か?駄洒落のつもりか?」
話しておる場合では無いな。
妾でもそのくらいは分かる。
「弓坂は先行って、桃が締める」
「了解」
「くっ、雷光!お前は弓坂野郎を追え!!」
「む、誰が野郎」
敵の機嫌に構ってられる程余裕では無いのだ。
「黒安威、この場は妾が引きうける、
主は先程の情報野郎を連れてこい」
「なんで」
「なんでもだ、策がある」
「雪海ちゃん、追ったらどうすんの?」
「しばりつけろ」
「了解」
皆がばらつく。
その場に残ったのは桃と妾だけであった。
「くすくす、バッカみたい、
苛立たしいなあ、悪魔に人間如きが勝てると思って
たりするの?」
「別に、そんなの関係無いぞ、
ただ預言書を奪うだけだ」
「無駄無理無謀♪
この預言書はもう桃と弓坂のって触れた時点で
決まってるの」
……関係無い。
「ウルサイ
無駄でも無理でも無謀であろうと、
妾は頑張るのだ」
「不可能を可能にするって事?
随分と大きい事言うね」
「それでも良い、
預言書を渡せ」
「え〜やだ〜」
余裕溢れる笑顔を浮かばせそう返答する。
……気に喰わない。
「だってこの預言書は、失楽園にする為に
すっごぉい必要なの」
「失楽園…」
「あんたは?目的無しに宝だから欲しいだけ?」
「主達とは逆だ、平和な世にする為
世界を飛び回る、父上を探すべく…」
冷たい眼差しをこちらへ向けてきた。
なんだ?
「何それ…あんた、世界を飛び回る事も
出来ないの?あきれた…」
ばさっ、と預言書を落とす。
「少しは出来ると思ったのに…
まさか世界を飛び越える事も出来ない
低俗な奴だとはね…」
「……っ」
流石に悔しいが、ヤケになってもこちらが痛い目を
見るだけだ。
力の差など、一目瞭然なのだから。
「しょうがないか…、やっちゃお♪」
「望むところだ」
笑みがこぼれた。
妾より断然に強い相手だ。
こんな心躍る展開があろうとはな。
「あんたは!弓坂の計画の邪魔だ!」
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