ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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      剣の舞。。。
日時: 2010/01/24 12:11
名前:   七瀬 (ID: c.8q4OQv)

ダークファンタジー系の物語書いてみたかったんだ!

 未熟者だけど読んでくれると嬉しいかな。

 皆がコメントしてくれると書いてて楽しい気持ちに
なるし、書いてて怖くないから。



  コメントよろしくお願いします////
  

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Re:       剣の舞。。。 ( No.10 )
日時: 2010/01/31 19:06
名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)



  #8


  黒安威を圧しているとは、仰天だ。
 だが、やられて終わる妾では無い。

   何時でも何処でも、
       妾は———

     『守るべきモノがある』

 悲劇でも喜劇でも、妾はやり遂げてみせる——

 「雪海ちゃん——?」

 「『王座 王龍 破綻』!!」

 —————ずずっ ずずずずずずずずっ。
      ドドドドドドドドドドドドどドドどドどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどどおどおどどおどどおどどどっどどおおどどおどどどどおどどどどどどどどどおっどおどどおどどどおどどどどどどどどどどどどおどどどおどどど。

 「雪海ちゃんっ、落ち着いて」

  落ち着いておるぞ。
 妾は十分に!
 
  「まさか、こんな幼い女の子が王龍を操作出来る
なんて——」

 「う、ぐっ、ううううううううううう」
 黒安威を倒す!
     倒す倒す殺す殺す痛みつけて、傷つけて
妾の部下を殺した事を許さぬ。
   妾は独り、もう独りにするな。
 妾——妾妾妾妾。

  「雪海っ、ちゃん!」
「父上、妾はもう、独りではありませぬ——」

  涙が頬をつたう。
 妾は、もう弱くない。
    脆くないぞ——

      お願いだ、独りにしないでくれ——
           妾を、置いてくな——

 「姫っ!!」
 「主、は——」



    奴は妾を抱き締めた。
 
 何がしたいのだろう?
 何が目的なのだろう?

    奴の温もりが伝わってくる。

 「父上は、弱く無いぞ」
「うん」
「妾はまた、独りになってしまったぞ」
「——」
「苦しいぞ、もうこんな想いはしたくないぞ」
「うん」
「う、うぅぅ」
「大丈夫、大丈夫だよ」




   気付けば君が、手をさしのばしていた。





  


    —————鬼ごっこしよう。
          捕まったら負け。
            ルールは簡単——


  


   お母さんはそう言って、帰ってはこなかった。

 還らぬ人となった。

    母は死に至った。
    死んだ。
     独り。
       独りで痛みを背負うしか無い——





  『女の人は死にました』






       ———人間失格。


  

  ————オオン————


 

  龍の遠吠え。
  犬の遠吠え?



   私は何。
   君は誰。
      



  



   女の人は戻って来ません。

   いくら待ったって戻ってくる筈がありません。

   女の人は、死んだのですから。








   ———一人の子供を、
         置き去りに——独りにして。







   『女の人って———誰ですか?』






 

Re:       剣の舞。。。 ( No.11 )
日時: 2010/02/01 19:51
名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)



 #9

 
 「……」

 ———黒安威。
 主のあの目を妾は知っておるぞ。
全てを見透かすようなあの遠くを見つめる目を——

 主も孤独であったのか?
そうであろう。
温室育ちの奴があのような目をするなどありえぬ。
 黒安威も妾と同じだったのだな——

 なあ、一緒に世界を廻ろう?
 ———もう、一人にはしないから。

  「『迷宮 永久 討滅』」

 これで止めだ。
 手加減は最低限にまで下げたから怪我は負う筈が
無いがな。
 だが、奴は体力を既に消耗しているであろう。
 これ程が丁度良いくらいだ。

  

  案の定——その通りであった。

 「なあ主」
「何?雪海ちゃん」
「奴を仲間に入れようと思う、第1号だ」
「———僕は?」
「?主は味方でも仲間でも無かろう?」

  ぶわっ、と彼は瞳を潤めた。

 「雪海ちゃんひどいよぉおおぉ、
  僕はこんなに雪海ちゃんの事愛でてるのに〜」
 本泣き!!?

  「分かった、分かったから!泣くな!」
「そう?じゃあ証明の口付けを——」
「死んで腐り果てろ」

  黒安威は妾を睨む。
妾はその姿に昔の私を重ねた。
似てる——
 「なあ、黒安威、妾の仲間になるまいか?」
「はっ!?」
「いや、この1件で妾は主に惚れたぞ!
仲間になろう!」
勿論冗談——なのだが、背後から殺気を感じる。
 え?何?この感じ——
「這いつくばれー!!
 このっ、泥棒猫ー!!」
女の台詞だろ 明らかにそれ!!
「何だ?君、さっきのお返しをお望みかい?」
「ああっ!?」
「おい、妾はそんな人間嫌いだぞ、
 名無しのごんべ」
「雷光!!雷光だよ雪海ちゃん!!」
「何のつもりか知らないけど、乗れないな」
「——安心しろ、妾は主を自由にしてやるぞ。
世界を飛び回ろう、な?
もう独りじゃないで有ろう?
そうすれば皆で痛みも喜びも分けられるぞ」

  妾の誘いに黒安威は「ふん」と鼻をならした。
そして立ち上がり、
「行くよ」
そう続いた。
「え?」
「預言書はすぐ其処だろ、世界飛び回るんだろ」
「ああ、
   主も妾に惚れたら扱いやすいのにな」



Re:       剣の舞。。。 ( No.12 )
日時: 2010/02/02 18:28
名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)



#10 


 階段を2階まで上ると迷路のようになっていた。
同じ所を何時までも周っていて階段に辿り着けない。

  預言書は直ぐ其処なのに——

 「何かもうウザイ、壊そう」
妾は不機嫌そうに言って見せた。
否、本当に不機嫌であった。

 「駄目だよ——雪海」

 「む?」

 短く返した。
「駄目だって、君の術はまだ加減しきれて無いから
この教会ごと壊しかねない」
「……ま、一理あるが…」
少し間を置く。
「なら、主はどうだ?雷光」
「え、僕?」
妾は雷光を凝視する。
 黒安威も続いたであろう。
少し慌てた様子がうかがえた。
「いや、姫の頼みなのは凄く嬉しいんだけど、
僕の刀剣は対人用で——いや、自己中だけどさ」
「全くだ、もう良い」
失望気味に言う。
 雷光は気を沈めた。
「なら主だな、黒安威」
「僕も無理だよ、僕の刀は敵に使うモノだから加減が
出来無い——」
「やめろ、嫌みに聞こえるぞ。
「——何?」
「当然であろう、黒安威、加減出来るのに出来ないと
断言——いや、主張しているのだからな」
「凄い自信だね、如何して?」
「主の刀の振るいを観察したり観察した。
妾は戦闘を恐れるが故に自分でも引くほど集中して
おるのだ」
「……怖がりすぎなの?」
「む、むう、如何にも」

 少々恥ずかしい——気もした。

 「とにかくっ、見たのだっ」
「うん」
真顔で流す。
 「例えば、あの『四紀爆刀』、とても恐ろしい
技である、でもあの技には違和感があった。
 最初の威力と最後の威力の差が激しすぎる、
というものだ」
「何それ」
「最後まで聞くがよい!」
「だって君、まわりくどいんだもん」

  素直なのか。
  気遣いが無いのか。
    どっちだ。


 「主のご要望に答え、単刀直入に述べよう、
とどのつまり、主は手加減しておる」
「ふぅん、そういう理屈?でもそれは大きな
間違いだよ、だって僕はあの時あの技の最初で
体力を消耗したし」
「それは実につまらない言い訳だな、
妾は地獄耳であるぞ、主の息を切らした音など、
聞こえもしなかったぞ」
「——風の音が邪魔したとか」
「最初の方で消耗したというのならば、
妾が意識を戻した時も疲れているはずだ、
あの差は半端なかったからな」
「————」
「妾が倒されたのは最初の『四紀爆刀』の威力で
あり、最後のあの『四紀爆刀』ではかすり傷
ひとつおわなかったのだ」
「傷を与えぬ刀の攻撃など意味があるまい、
そのぐらい、主も理解しているであろう」

 「…君は鋭いね、その通りだよ、
手加減したよ、最低限までにね」
「……」
「でも、そういうの関係無く、このフロア壊すよ」
「フロア壊すって…おい」
「大丈夫」

  何が大丈夫だ。

  凛々しい彼の姿に見惚れざるを得なかった。
 雷光の視線が多少痛かった。

 
 「此処か——」

 刀を上に振り上げ、ずがんと一発。
 いや、それ以上に——

 ————ズガガアアア、ズガッ、ガガガガ!!!

 一つの壁どころか、2階の壁全てをドミノ倒しの如く、消し炭にした。
 ありえぬ。
 一瞬でここめでとは——頼もしい。

 「雪海ちゃん」
「む?」
「僕もあれ位なら——」
「じゃあ、やれば良かっただろう、遅いが」

 「こんなモノか、迷路って意外と脆いな」

 呆気なく迷路は壊れた。
 こうして3階に行ける——はずだった、が。

 そう簡単にはいかなかった。



Re:       剣の舞。。。 ( No.13 )
日時: 2010/02/03 18:30
名前: 七瀬 (ID: c.8q4OQv)



 #11


  今この現在。
 聞こえるのは妾と雷光と黒安威の駆ける音だけ。
 のはずだった。
だが、その3人の駆ける音もある音によって消される。

  ————銃声?

 「これは…銃か?」
「そうだ、という事は僕の居た部隊だね」

 居た。
 今はもう——居ない。

 「っておい!!銃って!!あの数少ない武器を何故主の
部隊が持っておる!?」
「使わなかったけど、僕も持ってるよ」
「え…」
「ほ」

 ———バキイ!!

 「ら ?」

 雷光の足によって銃は床に落ちた。

 「雪海ちゃんにそんな物騒な物向けるなよ、
やっぱ君は信用出来ない」
「……ムカつくな、心が傷むよ」
「散々人の心を傷みつけてきた奴がよく言うよ、
君のせいで峰里は」
「あ〜の〜な〜、
 向けてないだろ!」

 ———『王龍 低』!!

 ———ぎゃああああああ。

 横たわった雷光を放っておき、落ちた銃を手に
してみた。
 うむ、中々の重みだ。
 優れた物というのがよく分かる。

 「……まだ有るよ」
 「え」

 ———バラバラ。

 数えても数え切れない程の銃を装備していた。
次から次へと銃が床を叩いて行く。

 「こんなに銃を持ってるって…
持ちきれないだろう、手に」
「いや、弾切れとかあるから一応一杯——」
「だったら弾だけ装備していろ!!怖いではないか!!」

 うむ、でも——

 「やはり本気で戦ってはいなかったのだな、
良い奴よ、でも何故だ?」
「いや、根拠は無いよ、ただ君のあの目、
久し振りに見たから、殺したいし、通したくないし
解体したいしで大変だったけど、殺したく無い、
だから通したい、殺したく無いが故に解体したく
無い、って意地が有ったんだ」
「成程、本能より意地を通したんだな、主は」
「うん、だからあの戦闘は単なる力試しだよ、
君が誘ってくれ無ければ僕から頼むつもりだったよ、
同行の事」
「何故だ?通したく無いなどという事は妾を敵と
認めているような事であろう。根拠は何だ?」
皮肉げに笑いながら問うた。
「別に…意地があったんだよ」
「主らしい答えである——」

 ———……気配がするな。
      後ろか。

 「龍お…」
「『龍王 守備』!!」

 「!!」

 「この技…あの子のか」
 「……あ、ああ」

 ————ガガガガッ

 「銃!?」
「大丈夫だ雪海、今あいつがガードしている」
「分かっておるぞ…、技名からしてみれば
分かることであろう!」

拗ねる用に言う。

 「見えてはいないんだ」
「む、見えてるぞ!!」
意地を張る。
「僕は見えない、君凄いね」
「見えないんかい!!」
「だって色の無い透明のガラス式守備だから」

 見えてる方がおかしいってか。

 「雪海ちゃん、僕役に立ってる?」
「え…えと…ま、10%ぐらいかな、
誉めてやっても良いぞ」
「……うん!」

 妾は銃を構えた。
弾との接近戦は危険であるからな——

 「雷光、準備満タンだ、時間稼ぎどうも」
「え…」
「そういう事だよ」
「はいはいっ、どーもね黒安威君っ」
 
 やはり雷光は何処か女々しいな…。

 「崩れたっ!!攻めろ!!」

 「何が崩れただと?」

 ———わあああああ

 「崩れてなどいない、逆に、整ったのだ」
 
 何故か楽しい。
 全力で戦える。
 楽しい!嬉しい!!

 「ああっ、この時を待っておったのだ!!」
此方に打たれる弾に向かって妾も打つ。

  命中か。

 「主達の身体に覚えさせよう!
戦闘という怖さと、慟哭をっ!!
そして、戦慄を!!
主達の身体に刻みこんでやるぞ!!!」

 「雪海、敵キャラになってる」
「はうっ」
「黒安威!!雪海ちゃんは敵でも可愛いよ!!」
「関係無いよ、よわっ子君」
「野郎っ!!」

  争ってる場合では無いぞ。

「『百花 波乱』!!」

  ———パンッ!!

「え…?」

 ————
「雪海ちゃん!!!」
「雪海っ」

 弾がかすれたか。
 いや、腕を命中している。

 「平気だ、この程度の傷、
舐めれすぐ治るであろう」
「舐めれば治るの?雪海のその傷」
「あ、ああ…ある程度はな——」
「いや、簡単に治せるかも」
 黒安威はそう呟き、妾の腕を上げ——た。

 ———舐める。

 「んんっ!!?」

 恥ずかしい。
 照れる。
 それ以前に何をしておる黒安威は!!

「あ、あああぁぁぁぁ」

 雷光が赤面していく。
 というか目に涙がたまっているが——

 「くくくく、黒安威〜〜〜〜〜〜!!!!」

 ———ガリッ。

 「か、噛みっ!?いたっ」
「我慢して」

 弾が弾けた。
妾の腕から弾が抜けたのだ。
「雷光、守備」
「なんで俺がっ!!」
「あ、『僕』じゃ無くなってる」
「〜〜〜〜〜!!」
「雪海の為だよ」
「むぅぅううううう!!」

 不満そうではあったが黒安威の言う事を聞いた。

 「『龍桜 守備』……」

 「偉いね、よわっ子君、『吸血』」

 ———ドクッ!!

 「あっ、あっ…」

 血が出て行く。
まさに吸血——。

 そして血がまた妾の腕に戻っていた。

 ——痛くない。





 

感想をば。 ( No.14 )
日時: 2010/02/03 19:02
名前: 奄々 (ID: YD.TDOUy)


はじめまして。
奄々という生物です。

題名でハチャトゥリアンを思い出し、10頁目で太宰治を思い出しました。
なんだかいろんな意味で楽しいでs(銃撃


描写が厚く、読み応えがあると思いました!
ストーリーもキャラも素敵です。
それでいて、ブラックな感じが格好よさ過ぎますよ……。


それでは、短文乱文失礼しました。
執筆活動頑張ってくださいね。


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