ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 聖歌が響く時
- 日時: 2010/10/10 17:40
- 名前: 月華 (ID: SOGiHJ/a)
初。魔法物です。
末永くかければ嬉しいです。
以上!
とにかく久しぶりなんで、更新とりま頑張って期待と思います。
記録
2010.10.10 参照が100に
始まりの歌
私はなんでここに存在するのでしょうか?
少女は問いました。
だれも答えてくれるはずありませんでした。
なぜなら誰もが少女の問いへの答えを知っていたからです。
私はどうすればいいのでしょうか?
少女は問いました。
誰も答えるわけありませんでした。
答えることと死ぬことは同義だからです。
何故私はこんな力を持っているのでしょうか?
少女は問いました。
誰もが優しく笑いかけました。
なぜなら——。
雪の中に血が、まるでグレーテルが落としたパンくずのように点々とついていました。
一人少女はその雪の中、ずっと遠いどこかを見つめておりました。
- Re: 聖歌が響く時 ( No.12 )
- 日時: 2010/09/30 18:38
- 名前: 月華 (ID: SOGiHJ/a)
(シーン続いてます)
「ま、とにかくここからは三人で」
「そうね、それがいいわ。テヨンと二人って言うのはちょっと悩むところがあるっていうか……ね、テヨンもそう思うでしょう?」
「ま、まぁな。そそうだよ。お前と2人っきりなんて……」
私がテヨンの顔をチラッと見ると、顔を背けられてしまった。その様子を見てビエッタがくすっと笑うのがわかる。もう2人して一体何がしたいの!?
でもそんなこと気にするに値しないわ。カップルだって勘違いされなければいいの。今は三人なんだしきっと大丈夫。それに学校校内(といってもまだ校庭)に入ったのだからそんなことあんまり気にする必要はないわ。私とテヨンをカップルだなんてきっと誰も思わないもの。思ったら……絞り殺してやるっておっとなんか残酷。
でも、ちょっと前方のほうに目をやると男女で手を組んでいるふしだらなカップルってえ? 同じクラスの人? ま、まさか中学生になったばかりだというのに、それはあんまりにも破廉恥だわ。2人とも恥ずかしくないのかしら。それとも、自分たちのこと意外は見えないって言う典型的な恋煩い!?
あ、でも恋煩いの使い方がなんか間違っているような気がするわ……。でも、そんなことこそ本当に気にするに値しないわね。
「どうしたの? またぼうっとしちゃって。睡眠不足?」
「あ、ごめん。またちょっとしたどうでもいいような考え事」
そう、それならいいんだけど、とビエッタは少し不安そうに答える。やっぱり私がいきなりやってきて家が焼けてるなんて言ってぶっ倒れてしまった事が気にかかっているのかしら? どっちにしろ精神的には疲労しているようには見えるでしょうね。当たり前の話だけど。
ま、睡眠不足って事はなさそうだけどね。私、眠いってわけでもないし。
とまたぼうっとしながら考え事をしていると、グォンという音とともにいきなり頭に衝撃が走った。一体何かしらと思い顔を上げてみるとって今度は鼻が……。
右手からククっというテヨンのかみ殺した笑い声が聞こえてくる。もう、人の姿見て笑うなんて失礼じゃない! 何て思っているとビエッタまで。ちょっと今日は2人ともひどすぎ。一体なんなの?
と、思いもう一度目の前の私の頭と鼻を攻撃した奴の顔をじっくり見ようと顔を上げようとすると……な。私ったらこんなものに顔ぶつけたの!?
「ちょ、ちょっと笑わないでちょうだい」
「だって笑えるんだもん」
「理由になってないわ」
目の前にあったのは、校庭と隣の家の境の目印の一つの大きな灰色のポールだった。下から見上げると天の何処までも続いているような錯覚を感じるほどにおおきなポール。今にも雲をついてしまいそう。
「チュナ、めちゃくちゃ笑えるんだけど! お前芸人になれるよ」
「馬鹿にしないで」
冷静な捨て台詞とともにテヨンの頭を平手でバシッとたたいてやった。そして二人を置いてさっさと靴箱に向うのであった。
◆ ◆ ◆
「任務は成功したか?」
「いや、失敗いたしました」
脂ぎった顔をした五十くらいの男に少年は答える。
「何故、何故任務を失敗したのに我のもとに戻ってきたのか?」
「あなただけが私の主だからです」
全くの棒読みで少年は答える。ただ、瞳だけが真剣でその瞳はしっかりと男を捕らえていた。
「そうか、ならゆるそう。それにおまえは面白いからな」
「そう言ってくれると思っていました」
少年は初めて笑う。にこやかに、優しそうに。だけど、さっきまでの殺伐とした雰囲気は今も変わらず停滞していて、どこかアンバランスであった。
「でも、何故生きている」
「貴殿は質問が多い方ですね」
「ああそうだ。我は疑問だらけだ」
「そうみたいですね」
少年は真っ直ぐと男を見つめながら答える。それにあわせて男はどこかおかしそうに笑う。
「では、お答えしましょう。私は適当な方に私の代わりをしてもらったのです。いつものように私の能力ごと託して。何故か? それはなんとなく嫌な予感がしたから。ただそれだけです」
「ほう、嫌な予感か……」
「ええ、嫌な予感です。そしたらその娘が現れて、私の代わりは簡単にどうせ殺すと思って色々と内部情報を話してしまいました。まぁ、それはどうでもいいのですが、そしたら実は彼女は魔法を使うものだったみたいで」
「ま、魔法を使うだと!?」
男はいきなり立ち上がって少年をにらみつける。その眼光は鋭く、普通の人ならばすぐにすくみあがってしまうだろうが、少年は特に何も気にしてるようなそぶりもせずにはいと答えた。
「な、なんとどういうことだ。
あの家は残された数少ない人間だけの純血の家系なのだぞ!?」
- Re: 聖歌が響く時 ( No.13 )
- 日時: 2010/09/30 19:41
- 名前: 神凪和乃 (ID: aOQVtgWR)
はいっ! 神凪です☆
コメを頂いた事や、現在スランプ状態でとびきり素晴らしい作品を読みたいという事を含め来てみました!
何ていうか、文体が整いすぎてて羨ましいです
何処で手にいれたんですか? その文才
こう見ると僕のあの小説って……
では、失礼しました〜
- Re: 聖歌が響く時 ( No.14 )
- 日時: 2010/10/01 19:11
- 名前: 月華 (ID: SOGiHJ/a)
神凪和乃さん
来てくれてしかもコメントまでー
感謝です!
文才……、ありがとございます!
かなり嬉しい。
だけど、神凪和乃 さんには全然及びませんよー。
読んでて引き込まれて行くあの感じにはまだまだぜんぜん到達できそうもありません〜
ではでは
- Re: 聖歌が響く時 ( No.15 )
- 日時: 2010/10/02 09:03
- 名前: 神凪和乃 (ID: aOQVtgWR)
コメ有難う御座います☆
いえいえ、こっちもまだまだ未熟者ですから
更新されたら必ず目を通すようにしますね
では、頑張って下さいな♪
- Re: 聖歌が響く時 ( No.16 )
- 日時: 2010/10/02 18:02
- 名前: 月華 (ID: SOGiHJ/a)
◆ ◆ ◆
「ねぇ、ビエッタ。今日ねセイルが私に何回も話しかけてくれたんだよ?」
「はいはい、よかったですね。同じ話何回もするなんて本当に嬉しいんですね」
「なんでいきなり敬語になったのよ」
「私はあきれてるの。それだけで一日中喜んでいるあんたに」
だってぇーっと言おうとしてすんでのところでとどまる。右隣を歩いているテヨンの顔が夕日に照らされて怒っているのに気づいたから。もうなんでそんなに怒ってるのよ。
まぁ、そんなことどうでもいいわ。だってセイルに今日はたくさん話しかけてもらえたんですもの。何時もはほとんど話さない、ただの憧れの好きな人にたくさん話しかけてもらえて嬉しくない人はいないはずよ。だって、好きな人とはたくさん話したいもの。
そのことはビエッタとかテヨンに対しても同じで、二人と話している時間は本当に楽しいわ。
だったら、その話をセイルの話でいっぱいにする必要はないわね。テヨンが不機嫌な理由って言うのもセイルの話をされるのが否だからとか、そういうこともありえるような気がする。テヨンは何故かセイルに対抗意識を勝手に燃やしてるから。かなうわけないのにね。
「おまえさ、なんか今ひどいこと考えなかった?」
「え、まさか。私がテヨンのこと悪く言ったことあったかしら?」
「あったけど、何回も」
「え、あ……え」
2人ともたまに私の考え読んでくることあるんだよね。しかも都合の悪いことに限って……。その能力は本当に不思議。
あ、でもそれって長く一緒にいたから察しあっているってことなのかも。ビエッタとはそれこそ幼稚園の頃から仲良かったし、テヨンとも小学校の時からずっと仲がいいもの。
察しあうか、素敵な言葉ね。
「なぁ、ビエッタ。またチュナがロマンチストみたいになってるけどどうする?」
「ほっとけば元の世界に戻ってくる」
「ちょっと何か今失礼なこと言わなかった?」
「気のせい」
あー、2人で同時に返してきたあたりなんか怪しかったけど気のせいよね。て、そんなことばっかりだから2人ともつけあがって、色々私のこと悪く言ってくるのよ。
だけど、注意って言うのもできないわ。ほっとくしかないのかな……。
みんなの吐息がまた目の前を白くする。
「あ、私ここで曲がんなきゃ! じゃぁね」
「え、帰っちゃうの!? 私、森に帰って家がないのを一人で確認したくない……」
「大丈夫、今日は昨日よりずっと早く帰れてるんだから」
ビエッタはにっこり笑う。そうされると私も反論の仕様がなくなってしまうじゃない……。
でも、ビエッタが言うことには一理あって、昨日は部活が会ったけど今日はないから大分早く帰れているんだよね。ビエッタの家によったりするつもりもないし。
だけど……。
「テヨンがいるから大丈夫。頼ってあげなよ」
ビエッタはテヨンに合図をするようにウィンクをした。テヨンがそれによって何かを察したようにハッとなり、急に顔を赤らめる。
さっき考えたことに訂正。察するって素敵だけど、目の前でやられて自分も察せられなかったらすごく嫌味なものだわ。
結局私たちの間にしばらくの間沈黙が続く。けど、それはすぐにビエッタのじゃあねっという一言と、そのトタトタという足音、近くを通った馬車によって断ち切られてしまった。
本当の意味での沈黙というのは短い。
ということで半ば強制的に私とテヨンとで2人っきりの、下校という名のデートもどきが始まってしまったのだった。
◆ ◆ ◆
「本当にそいつは魔法を使ったのか?」
「はい。それは確かに。私の身代わりのものはその娘の歌により自らを燃やして死んでしまったのを、私はしっかりと見ていた」
男は少年をまたじっとにらみつけるが、すぐにそうかとだけ答え目を逸らしてしまった。少年はただ直立不動に立っている。
「でも我はそんなことを簡単に信じる気にはなれぬ」
「でしょうね。それは私も予測していました」
少年はまた微笑む。だが、それはさっきのようににこやかなものではなくとても冷たく、絶対零度の笑みという言葉があるのならまさしくこの笑みをさしているのだと思わせるようにだ。
「だから、手は打っておいたのです」
「我はおまえのそういうところが好きだ。さっさとその手とやらを話せ」
「はい」
そういうと少年は一つ息を吸い吐き出してから話し始めた。
「普通の少女では勝てないような敵を私はあの娘の下に送り込みました。それぞれには勝ったなら金をやろうといい、つりました。そして、娘に撃退された暁には貴殿は私の言うことを信じてくれますか?」
「面白いことを言うな。だが、その相手とはどういうものだ?」
男は心底面白いとでも言うように顔をにやけさせながら聞いてくる。
「一人は‘朱雀’こと火の使い手を。一人は‘玄武’こと精神操術の使い手を。一人は‘白虎’こと動物の使い手を。そして後一人は‘青龍’こと語られぬ使い手を」
「勿論それでいい。ただ青龍まで呼ぶことができたのか」
内心少し驚いたように男は反応する。少年はそれを見て満足そうに二つ頷いた。
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