ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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聖歌が響く時
日時: 2010/10/10 17:40
名前: 月華 (ID: SOGiHJ/a)

初。魔法物です。
末永くかければ嬉しいです。
以上!

とにかく久しぶりなんで、更新とりま頑張って期待と思います。

記録
2010.10.10 参照が100に

始まりの歌

私はなんでここに存在するのでしょうか?
少女は問いました。

だれも答えてくれるはずありませんでした。
なぜなら誰もが少女の問いへの答えを知っていたからです。

私はどうすればいいのでしょうか?
少女は問いました。

誰も答えるわけありませんでした。
答えることと死ぬことは同義だからです。

何故私はこんな力を持っているのでしょうか?
少女は問いました。

誰もが優しく笑いかけました。
なぜなら——。


雪の中に血が、まるでグレーテルが落としたパンくずのように点々とついていました。
一人少女はその雪の中、ずっと遠いどこかを見つめておりました。

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Re: 聖歌が響く時 ( No.2 )
日時: 2010/11/02 20:27
名前: 月華 (ID: VNDTX321)

◆  ◆  ◆

 ああ、白い世界って何て素敵なの? 何処までも降り続ける雪が皆さんの足跡を消して白い世界を新しく作る。これのどこが素敵じゃないって言うの? あまりにも神秘的で今なら神を信じて言いなんて思ってしまうわ。まぁ、もちろん私が神なんかを信じるわけないんだけどね。

 ふと、この目の前の一つのガラス——窓を壊して手を出すという衝動にかられる。そして、手に雪をのせて……いえ、想像だけにしときましょう。実際にやったら私ともどもお母さんが怒られてしまうわ。学校のガラスなんですもの。それはさすがに嫌。
 ああ、怒られたっていえば今日の朝また怒られてしまったわ。寝起きが遅いですってね。しょうがないじゃない、低血圧なんだから! もうお母さんのわからずや。思い出さなければよかったわ。

「あっ、チュナどうしたの? 顔膨らませなんてしちゃってさ」
「あ、本当だわ。いつの間に……」

 窓をのぞくと其処には顔を膨らませた少女、つまりは私とその後ろにもう一人の少女が立っていた。気が強そうな短い金髪をした女の子。ほっぺいっぱいにそばかすがついている。

 でも、なんで彼女がいるのかしら? だって、この時間に学校にビエッタがいるなんて、そんなこと普通あるわけないし……。

「えっと、本物?」
「ちょちょちょちょひどい!」

 ビエッタはさっきの私以上に頬を膨らましている。その程度のことでなんで怒るのか私は理解できないわ。
 まぁ、とりあえず事情を説明すればわかってくれる……かしら?

「だって、ビエッタはいつでも遅刻す……」
 コンマ数秒の間に私の頬がバチリと音を上げる。そして、後私はそこに影を確認し……


 って、痛!
「私はいつも遅刻するなんて勘違いしてたの!? 失礼な……」

 仁王立ちって奴なのかしら? これが?
 そして、こんなことを考えるのが現実逃避なのかしら?

「そうよ、今日はちゃんと登校時間内にきたんだから」
「威張ることじゃないじゃないわ、もう」

 私はビエッタのほうに振り返る。そして顔をまじまじと確認。うん、やっぱり双子とかがいない限りビエッタだわ。本当に珍しいことってあるのね。今日雪が降るんじゃないかしらって、もうふってたわね。

「あれ、いきなり幸せそうな感じになって。何を思い出したわけ?」
 少しいぶかしむように背をかがませ渡しの顔をじろじろ見てくる。ちょっと、変体っぽいけれど、其処は突っ込まないことにしと来ましょう。

「あら、わかる? そうなの。今日は年に一度あるかないかのビックイベントなんだから」
「ああ、雪が降ったこと?」
「違う! そんなこと一月になれば毎日のようにあるでしょう?」
「えっじゃなに?」

 ビエッタは予想が外れたことで途端に驚いたような顔になる。もう、私が雪ぐらいでこんなに喜ぶものですか。でも、雪が降ったことで喜んでるのは事実ね。
 答えを今すぐに教えてあげようかなとか思ったけど、困っているビエッタを見ることがそれなりに楽しいから、もうちょっとじらしちゃおう。私ったら悪い子悪い子。

 でも、そんな私の思いなんてお構いなしにビエッタは考え込む。すると、段々顔が真っ赤になって頭から湯気がって違うか。ビエッタの背後に考え中っていう立て札持った人がいたら笑えすぎて最高なのに。
 まぁ、そろそろ答え教えてあげようかな?

「しょうがないわね、教えてあげる。何故喜んでるかって言うとク……」
「クリスマス休暇!」

 私がクまで言った刹那、ビエッタは答えた。ああもう、なにそれ。私が言おうとした時に叫ぶなんて反則よ。

「ほらもうすぐにすねないの」
「すねてなんかいないわ」
「そういうのをすねてるって言うの」

 得意そうな顔でビエッタは笑う。いらつく! 私よりまだ五センチも小さいくせに。って、背は関係ないわね。

「背は関係ないよ!」
「あれ、なんで考えてることわかったの?」
「顔に全部出てる」

 え、本当? 急いで窓のほうをのぞくけど全然わからない。

「自分じゃわからないよ」
「なにそれ!」

 っておっと。丁寧な言葉を使わなければ。私としたことが、失態だったわ。

「でもさぁ、クリスマス休暇で誰が帰ってくるの?」
「え、それわからないの?」
「だって、お兄さんもお父さんもいないんでしょ?」
「……確かにお兄さんはいないけど、お父さんは生きてるわよ」
「えっ本当?」

 今はじめて知ったとでもいうようにビエッタは途端に飛び上がる。軽く目を逸らしたのを見逃さない。そして目を逸らした先には……。

「ビエッタにどうしてそんな事を吹き込んだのよ! 私のお父さんは生きているわ!」

 三人で集まっている男子に私は怒鳴る。ビエッタは三人の方に目を逸らしたけど、三人のうちの誰が言ったかはわからなかったからとりあえず怒鳴る。
 するとたちまちに赤茶の髪の少年が振り返った。

「だ、だって……おまえの父ちゃんって政府の人なんだろ? それは死んでるって言ってもいいんじゃないのかよ!?」

 政府の人は死んでるですって? なにそれ。

「テヨン! ふざけないでちょうだい!」

Re: 聖歌が響く時 ( No.3 )
日時: 2010/09/24 21:32
名前: 月華 (ID: SOGiHJ/a)

(場面続いてます)

「だって、政府の奴って家にほとんど帰ってこないんだろう? 帰郷しても仕事三昧。そんなん生きてるっていうわけないじゃないか。少なくともみんなの心の中では死んでんだよ!」
「偏見って言うのよ」
 
 できるだけ冷静にテヨンに言い渡す。そして鋭くにらんでやる。一瞬テヨンはひるむ。男の癖に弱いわ。こんな人が多いから女性はどんどん気が強くなっていくのよ。言葉を続ける。

「私のお父様は違うわ! 確かに政府ではたらいていて中々帰って来れないわ。でもね、お父様はいつも私たちのこと思っているの! 私たちだっていつもお父様が帰ること心待ちにしてるんだから! あんたなんかに死んでるなんていってもらいたくないわ」

 冷静になんていってられなかった。さっきみたいに冷静に言おうとするのに言葉をつなぐほどに、どんどん熱くなって行くような気がする。
 一方テヨンはもう完全に参ってしまったようで、負けましたとでも言うように手を上げていた。お父様のことをけなしたから悪いのよ。
——なんてことではなかった。

「ああ、死んでるって言ったことは悪かったよ。でもなぁ、政府の人はやっぱ許せない」
「なんで!」

 さっきみたいな軽い言い方じゃなかった。否、さっきも充分に重かったけど今度はさらにという感じがする。ふと、テヨンのほうを見るとやはり少し大人っぽく見えた。気のせいなんだろうけど。彼の目が光っているような気が一瞬した。その目は真っ直ぐと私のほうを見ていて、もうそこに言葉はいらないような気がした。

「私のお父様は違うわ」
「ああ、そうかもしれないな。だがな! 俺は政府の奴や魔族が嫌いなんだよ。あいつらは権力を振りかざして俺らの店を壊したんだ。許せるかよ……」

 そういえば、昔はテヨンのお母さんって酒屋っていうかバーを経営してたんだっけ? たしかに、そのバーの話は最近きいてない気がする。店閉じちゃったのか。

「あいつらは俺らの家を壊したんだよ。政府の奴は嫌いだ。でも、もっと魔族が嫌いだ。今は政府の奴に従っているような気がするけど、いつでもチャンスを狙っているような鋭い眼光が大っ嫌いだ」

 魔族……魔法を使う不思議な人々。ずっと私たち人間とは縁がなかった世界の人たち。政府にしたがっているという言葉を聞いて少し驚いてしまった。
 まだまだ私も知識が足りないわ。でも、こればかりはしょうがない。私の家にはラジオしかないんだから。

 そんな事を考えているうちにテヨンは目の前から消えてしまっていた。言いたいことを言い切ったから席にでも戻ったのだろう。あーあ、結局反論できなかったわ。だってテヨンが言ってたことは一理あったから。権力を振りかざしているってことは、娘の私がよく知っている。

「私が変なこと言っちゃってゴメンね? お父さんが死んでるなんて……」

 ふとビエッタが小さな声で言った。何時もの強気さがぬけていてどこか変な感じがする。

「いいのよ。それに、ちょっと私もいこじになりすぎていたような感じがするの」
「でも……」
「ビエッタのせいじゃないから。そうだわ、一つ不思議な話をしてあげる。今日雪が降っているけど、実は昨日の夜ねふと思いついて祈りの歌を歌ったの」
「祈りの歌? 雪が降るようにって?」
「そう。そしたら朝起きたらふっていて……。ちょっと不思議な話でしょ?」

 私は琥珀色のビエッタの瞳を覗き込む。ビエッタは少し面白そうに一つ頷く。そして、
「ねぇ、その歌を歌ってよ」
 と、言葉を返してくれた。

「どうしよっかな?」

 別に歌ってもいいかなとは思うんだけど、これ以上雪が降ったらクリスマス休暇の前に電車が止まっちゃうかもしれないから。そしたらお父様が帰ってこれない。それはすごく困るものね。
 だけど、少しへこみ気味のビエッタの頼みを聞いてあげたいような気がする。

「別の歌でいい?」
「もちろん」

 嬉しそうにビエッタは微笑む。うん、よかったほかの歌を歌ううことにして。

 ゆっくり息を吸って……。


『When you feel sorryI am a smile and only have to exist.
 When you are lonelyCan be nice to you of me.  When you fear itI only have to be able to be with you.
 When you dislike meI will part from you.
 As you hopeIt is my happiness.

 I sang happiness. 』(訳は結構適当)

Re: 聖歌が響く時 ( No.4 )
日時: 2010/09/25 10:02
名前: 月華 (ID: SOGiHJ/a)

◆   ◆   ◆

 私とテヨンがはじめて話した時もこんな感じだった気がする。お父様のことで勝手に燃えてしまって、言い争いになって、テヨンが一方的にまくし立ててどこかに行ってしまったみたいな。
 変な奴としか私には思えなかった。

 だけど、何故かその後よく喋るようになって仲良くなったんだと思う。

◆   ◆   ◆

 私は机に肘をつきまた外を眺めていた。一番後ろの窓際の席、これが私の席だった。だから、今みたいな算数の時間とかは外ずっと眺めてしまうんだよね。昨日までは雪降ってくれないかな? と、そして今日からは早くお父様帰ってこないかな? と。
 
 校庭はやはり一面真っ白で、生徒や先生たちの足跡も雪で掻き消えてしまっていた。私たちの学年が一年のときに植えた『なかよしの木』は、もう今にも雪の重さで枝が折れてしまいそうだ。空のほうもグレー見たいな色で、あんまり景気がよさそうだとは思えない。どちらかというと鬱々としてしまうような感じであった。太陽が見えないとやっぱり寂しいわね。

 それにしても寒いわ。なんで廊下側のドアを開けっ放しにしているのかしら? そんなことしているから教室が余計寒くなるのに。ノートに文字を取ろうとシャープペンを握るたびに手が霜焼けになりそうになるのはあんまりだわ。
 はぁーっと大きくまた溜め息をついてしまった。

 そんな時、遮断していた教室のさわぎが耳に戻ってくるような気がした。理由は、あっそうか。
 黒板の方を見るとセイルが立っていた。私と同じ黒い髪と黒い眼鏡が知的そうで格好いい。どうやら先生にあてられて黒板で問題を解いているみたいね。先生の顔をうかがうと、ちょっと青くなっているみたいだわ。どうやらセイルは罰として難しい問題を解いているみたいね。でも、セイルはすらすらと解いていってしまっている。先生が少し可哀想。

「これでいいですか?」
「え、ええ。正解よ」

 先生はたじろきながらも笑顔を無理やり作っている。それがかえって痛々しい。
 セイルは何もなかったように自分の席に向って歩いていった。蒼い目が光に照らされて輝いている。

 うん、やっぱり格好いいわ。胸の鼓動が早くなるような気がする。

 それは恋よ! なんてビエッタに昔言われたことがあったような気がする。あながち外れたことを言っていたわけではないみたいね。顔が少しほてってるような、そんな気がするもの。

 その時、右側から何か気配を感じたような気がした。すると、机の上に入念に折られた折り紙が一つおいてあった。そして「チュナへ」と書かれているところから、どうやら私宛みたい。

 黒板の前に立っている先生の姿と見比べながらゆっくりと折り目をといてゆく。すると、たった一文こう書かれていた。

『さっきはやけになりすぎた、ごめん』

 紙の真ん中のところに小さな文字でそう書かれている。
 テヨンからだわ。私はすぐ右隣のテヨンの方を見る。俯いているからどんな表情をしているかよく分からないけど、ちょっと嬉しかった。テヨンのほうから謝るのは初めてだったから。

 すぐにノートのはしを切って文字を書き始める。なんて書こうかな?

『私も意固地になりすぎた』

 そう書いてたたんだらすぐにテヨンに向って投げた。すると、テヨンのベストの上にひらりひらりと舞いながら着地する。

 はたしてどんな答えが返ってくるのでしょうか? ちょっと楽しみかもしれないわ。

Re: 聖歌が響く時 ( No.5 )
日時: 2010/09/25 17:08
名前: ユエ (ID: sH2xenM.)

こんにちはー( *・ω・)ノ
訪問ありがとうございました!

チュナちゃんとビエッタちゃんが可愛い(*´ェ`*)!
仲いいですね^^ 
どんな答えが返ってくるのか、楽しみです。

Re: 聖歌が響く時 ( No.6 )
日時: 2010/09/25 18:24
名前: 月華 (ID: SOGiHJ/a)

こちらこそ訪問ありがとうございます>εδ*

2人はやっぱりとびっきり可愛くしなきゃね?うん。
(恋愛物では三角関係が怖い展開ですが……www)

さて、テヨン君早く返事を出そうか(更新します★)


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