ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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十二支牢獄Story
日時: 2011/04/29 22:14
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: c5zRNdeN)

ハジメマシテ、コンニチワ。
スレを見てくれたことにマジ感謝です。


いつ挫折するか分からないような真の駄作者につきあってくださる方のみ、お残りください。

【注意書き】
1.この作者、挫折経験アリ
2.荒らし駄目・絶対!
3.コメ大歓迎
4.意味不(←ここ重要
5.多分グロアリ…?
6.更新亀以下(←ここも重要

  では、これより始まりますは一人の少女と十二人の囚人の話に御座います。
  お気に召されれば光栄に御座います——————


※お客様※
  ◆アキラ様  ◆*+。弥生*+。様  ◆神凪和乃様  ◆腐女子まん*羽菜。様  ◆ソナー様

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Re: 十二支牢獄Story ( No.46 )
日時: 2011/03/28 21:01
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: c5zRNdeN)

13話:『……何故、笑う』






ガギャァァッ、
バギャアアアアンッッ!!

頭上で激しい金属が擦れ合った後、物がぶつかって折れる音がする。
 その数秒後、一人の人がゆっくりと空を舞った。

—————建物の上に一瞬だけ見えた人の姿。

         なぜか、あの人を思い出させた。

   居るわけがないのに。 こんな場所に。


「なんやアレ?! ひ、人??」
トーヤさんの声。

「人が……落ちて来る…!」
ケイトさんの声。

空に上がった満月が照らし出したのは、











       まるで、












「お前達! そこで何をしている!!」
「!」
「看守?!」

角から見回り中の看守たちと、空をゆっくりと舞う人のもとに白銀の光が現れるのは全くの同時だった。

だが、私の視界はただただ空中を舞う人、そして月光に反射する白銀の何かに魅せられていた。

    空中で、眩しい程の光を煌めかせながらソレは縦に弧を描く。



       ボガアアンッッ!



     「がっ、はッッ………!」

白銀に光るソレが弧を描き切ると、空中に浮かぶ人がものすごい速さで向かいの建物に叩きつけられる。

 建物の壁から砕けた際の粉塵が舞う。
唐突に吹き抜けた風が煙をさらっていくと壁に叩きつけられたその何かは、数メートル上から地面に、落ちた。

              ほんの一瞬のことだった。


     「……と! レイト! 逃げんかいっ! 聞こえてんのか、このドアホォ!!」
後ろでトーヤさんの声がした。

トーヤさんの言葉で意識が覚醒する。
自分でも気付かないうちに、ボーっとしていたのか。
あわてて振り返ると、喉先に何かを突きつけられる。



「日本……刀?」

綺麗な白銀の刃。
冷たくも何故か人を見せつける魅力を持つ人斬り包丁。

さっき空で光ったのはこれだったのか。

おそるおそる顔を上げる。

目の前にいたのは月を背に立つ黒髪の真っ赤な目をした青年だった。

  だが、その目は。


    その真っ赤な目はどこか寂しげで、悲しさを映していた。

「動くな」
一つでも余計な動きをしようなら、一瞬で切り刻む…無言の脅迫だった。

「あなたは……誰?」
つい口を衝いて出た質問。

  自然と………何故か……怖くはなかった。

「………【十二支】……『犬』。 お前は」
「レイト。 『桜宮レイト』って言うのよ」

さっきまでの頭痛は、嘘に思えるほど消え去っていた。


・・・




            笑った……。


 これでも自分はこの監獄では名を知られていると思っていた。


だけど知らなかった。



  この少女は知らなかった。



     俺の名を聞いても、笑った。


この、己の命が何時消えてもおかしくない状況で。

  今までなら、こんなことは……


 俺を見て、笑うなんて………。

「……何者だ」
「え?」

信じない。

  ここにいるわけがないんだ。

     俺に笑いかけて来る奴なんて。

 俺に、自分に……ぬくもりを……くれる人なんて……。

「……何故、笑う」
「何故って……何でだろ?」

目の前にいる少女は自分がいつ殺されても可笑しくない状況にあるのにも関わらず、本当に不思議だと言ってまた笑う。

「………お前は」
「この糞ヤロォォォォォォォオオオオオオ!!!!」



俺の声は、誰かの怒号によって遮られた。


背後に殺気を感じ振り返る。




  その刹那——————





                ガギィインッッ!





「ッ!」
「死ね、今すぐ地獄に堕ちろ!」


   何だったか……名前が出てこない。

  まぁ、いい。 殺してしまえばそれまでだ。

   名前を思い出す必要さえなくなる。



「……嫌だ」
先ほどとは比べ物にならない程の力だ。


                  理性のリミッターが外れたか。





    それは、それで面白い。






           この監獄で産まれた異端児。



    生まれながらの犯罪者。



決して世界に認められることのない汚物。

         ————俺なんて、所詮こんな生き物だ。

Re: 十二支牢獄Story 参照300突破! ( No.47 )
日時: 2011/02/05 22:06
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: au7rBPzb)



ハイコンバンワ〜。



足の爪が伸びすぎて爪が折れましたww

なんて馬鹿な毎日送っている駄作者、叶嵐です。

 新年も無事に越しまして、さてここで。




             参照300突破いたしました!!!




いやもうほんと有難うございます。
 で、キャラ紹介行きます。


     ◇    ◇    ◇


名前:『アキラ』
性別:男
年齢:19歳
身長:180cm
容姿:漆黒の髪に黒目。 制服をきっちり着こなす真面目さん。
  今の仕事が好きで自分に一番合っている職だと思っている。
  少し華奢だが、運動神経は良い。


名前:『スグル』
性別:男
年齢:23歳
身長:189cm
容姿:肩ぐらいの長さの金髪に萌黄色の瞳。
  紳士的な雰囲気があるが、破滅思考が強く薬物中毒。
  チェスが強い。


名前:『螺猿』
性別:男
年齢:17歳
身長:190cm
容姿:短く藤黄の髪に黒鳶色の瞳。
  楽観的で【十二支】にしては明るい方。 犬とは犬猿の仲。
  身体能力が高い。 レイトに恋焦がれている。
収容棟:男子棟 第九区画最上階


名前:『兎影』
性別:男
年齢:8歳
身長:134cm
容姿:背中まである東雲色の髪に青朽葉の瞳。
  聴覚が人一倍鋭く、大体の攻撃なら避けられる。
  【十二支】の中では最年少。
収容棟:男子棟 第四区画最上階


名前:『馬相』
性別:男
年齢:20歳
身長:190cm
容姿:長髪を肩がぐらいで結んだ黒檀色の髪に黄金の瞳。 ナルシスト。
  監獄内で1、2を争う戦闘マニア。 俊足の持ち主。
  その気になれば壁も走れるとか何とか。
収容棟:男子棟 第七区画最上階


名前:『犬』
性別:男
年齢:19歳
身長:195cm
容姿:首ほどまである紫黒の髪に猩々緋の瞳。 女顔。 
  日本刀片手に、挑んでくる敵を容赦なく切り捨てる。
  監獄生まれ。 ≪鮮血のかぐや姫≫と呼ばれる。
収容棟:男子棟 第十一区画最上階





  ここまで!

Re: 十二支牢獄Story ( No.48 )
日時: 2011/02/26 23:36
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: au7rBPzb)
参照: http://世界の果てまで土下座して来い。


えー、突然ですがまず謝らせていただきます。

なんかもう更新してなくてごめんなさい!

なんかもう面d((殴(蹴

あれです。 そうアレ。
今更読み返してみると、文章が滅茶苦茶で、これをこのまま放置すると後々困る事になるので。 書き直してます。

まだ途中ですけどねww(オイ

で、そういう訳でちょこちょこ文が変わったりします。 ゴメンナサイ。
勝手な事をしてごめんなさい。 あと文才皆無の分際でこんなことしてごめんなさい。

書き直してこの程度かよ?! なんて事は言わないでください。
土下座します。



                       叶嵐

Re: 十二支牢獄Story ( No.49 )
日時: 2011/03/29 00:00
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: c5zRNdeN)
参照: http://世界の果てまで土下座して来い。

お久しぶりです!
春休みに入り、久しぶりにpcいじりました。
そしてやっと、修正作業終わりました。
ま、この程度かな出来でしたが終わりました。
はたして報告する程度のモノなのかよく分かりませんが、終りました。




14話:『人は、やはり脆いな』









ヒュンッ!

数秒前まで自分の顔があった場所を相手の武器が空を切る。

相手は壁に衝突した時に警棒を落として失くしたらしく、その辺りに転がっていた木の棒を武器に振り回している。

……振り回せれば何でも良いと言う発想は如何なるものか。

と、半ば呆れつつも殺し合いと言うこの状況下で興奮している自分は一般的に言われている「普通の人」になれないのだろうなと納得してしまう。

「……普通なんて、興味ないのにな」

そう呟いてみると、背が堅いモノにぶつかる。
見なくても分かる。 木の幹だ。

目前には即席武器の木の棒を振り上げたアイツの姿がある。

「うああぁぁああっ!」
バギィッ。

寸前で横にすり抜けると振り下ろされた木の棒は堅い幹に衝突し、いとも簡単に砕け散る。

「チッ!」

木の棒から一瞬で木片と化した即席武器を投げ捨て、アイツは俺の姿を探す。

今の数秒で木の上に上った俺はアイツを見下ろす。

「あ、アキラ様! 【十二支】は……?」
「あ゛? 」

不用意に近づいた看守。
今のアイツに近づくのは最低でも腕一本を持っていかれるぐらいの覚悟がなければいけない。

が、その看守はその事を知らないのか、馬鹿にもアイツの肩に触ろうと手を伸ばしていった。

「…死んだか」

俺がそう踏んだ時、

「おい、止めとけっ!」

もう一人の看守が寸前でソイツの腕を引き戻す。
だが、遅い。

「で、ですが……」
「お前、今のアキラ様は……ガッ!」
「?!!」

止めに入った看守の腕が一瞬で鈍い音と同時にありえない方向に折れ曲がる。

今のアイツの半径5メートル以内は危険区域だ。
近づいてはならない。 近づいたとしても直ぐに離れるべきだった。

馬鹿な看守に構っているから、そんな事になるんだ。

「グ、ぁッ……!」
「うあ、せ、先輩!」
「ばっ、か野郎ぉ! 離れろ!」
「は、はいっ」

馬鹿な看守はもう一人の看守に突き飛ばされる。
そのもう一人の看守の判断が間違っていたのかは、ソイツ次第なのだろう。

もし、あの状況で側にいれば肉体的苦痛を強いられていただろう。

だが、看守は突き飛ばされた。 離れたのだ。
離れなければ、こんな精神的苦痛を味わうことにはならなかったのに。

「ウぁ、が、あ゛ああああああああああああああああああああああ!!!」

「あ、ひ、ぎっ……! うわあああああぁぁぁぁっ!」

二つの悲鳴が共鳴する。
そこに、骨の砕ける鈍い音が混ざる。

中々悪くもない。

「あ、あ、あ、いや……だ。 嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ」

哀れで愚か、そして馬鹿な看守は、目を耳を塞ぐ事も必死に足を動かし逃げ出す事も、これは夢だと壊れる事も出来ず。

目の前の惨劇という現実を受け止められず否定することしか出来ず。


かつて人間だったモノが真っ赤な肉片へと変わり果てていくのを見届ける。

最後に元々は腕という部位を形成していた肉片を紅い水たまりの中に落としたアイツは、看守をゆっくりと見やり、



                         微笑んだ。




笑ったでも嗤ったでもなく、微笑んだ。

それが最後だった。


幸も不幸も生き残っしまった看守。

看守は腰から震えが止まらない手で四苦八苦しながらも拳銃を取り出す。

その銃口を己のこめかみにあてる。


「あ、あは、あばはっ。 あはあははあははははははまうぇぅぉおおおででええええ」

安全装置を下ろし、引金を



                                                  引いた





静まる月夜に一発の銃声が響きわたる。

その後、新たにただの肉片となった物体が崩れ落ち、紅い赤い水しぶきを上げる。


「人は、やはり脆いな」

「きっ、きゃああああああああああああああああぁぁぁ!!」

少女の、叫び声が響いた。


畏れ。 恐怖。 痛み。 苦痛。 悲しみ。

全ての意味を込めた悲鳴だった。


「レイト、レイトォ!」
「しっかりしな!」
「ああああああああああああ!!」

抑え込もうとする女二人の腕を振りほどきながら、泣き叫ぶ。


                        ———トッ……


「……!」

胸の奥深くから聞こえた。 ほんの微かに。
何かが、鼓動を打つ。


「ああああああああああああああああぁぁッ!」

                          ——トクッ……

あの少女の叫び声を聞くと、何かが、誰かが鼓動を打つ。


     ゾオォッ!

悪寒。

殺気。

出所は、アイツ。


自殺した看守の拳銃の銃口を少女に向ける。



     「   」




感情的になる事など、しばらくなかった。

ましてや、溢れ出る感情に任せて行動したことなどナイ。


なのに、何故。


俺は飛び出している。

何故、木の枝を蹴った。

何故、刀を抜いた。

何故、俺はアイツの前に立ちふさがる。




「なぜ……?」


分からない。 解らない。
全くもって理解に苦しむ。

だが、飛び出した銃弾を真っ二つに斬った時、感じた。



温かい、暖かい。

そのような感情。


何なんだ、これは。



——————解らないし、混乱しているが、自然とそこまで嫌な気分ではなかった。
















≪宮城県の被災された方々に少しでも早く普段の生活が戻ってきますよう、願って。≫

Re: 十二支牢獄Story ( No.50 )
日時: 2011/04/02 15:50
名前: 叶嵐 ◆RZEwn1AX62 (ID: c5zRNdeN)
参照: http://世界の果てまで土下座して来い。

15話:『本気で来ないと、殺すよ?』










死んだ。


人が、死んだ。


私の目の前で、また。

広がる紅。

溢れ出す赤。

止まらない。 流れ出す。 染め上げる。


「いやああああああああああああああああああっ!」

死んだ。
死んだ。
死んだ。


       ___死


一番認めたくない現実が私を犯していく。

嫌、助けて。

  嫌だ。 嫌!

「レイト!」
「危ない!!」

私の正面に立つ、少年。

何?
手に持っているものは何?

笑っている。 嗤っている。 哂っている。



       「   」



                  __何て、言ったの………?



          ガギンッッ!

突然目の前が真っ暗になる。

 違う。


 その人は少しだけ振り返る。

「あなた、は………」
「……」

彼の目も、赤い。

だけど、違う。
私が嫌いな赤とは違う。

  悲しげで、怨んでいて、恐れていて、怖がっていて、何かを求めていて。

ちゃんとした、人間の目。
感情のある、生きている人の目。

「犬……さん」

彼は少し驚いた顔をして、でもすぐに前の表情に戻って。
前を見据え、

「消えろ」

と、短く言った。

「まっ、……!」
「レイト、逃げるよ!」
「早く!!」

後ろから腕を引っ張られる。
「犬さん!!」

彼はもう振り向く事はなく、地面を蹴リ上げた。




・・・

 名前を呼ばれた。

今までとは違う声。


蔑みも、

軽蔑も、

恐怖も、

偽善も、

無かった。


「犬さん!!」

その声を聞いた時に、ふいに何かが頭をよぎる。
それが何かは解らない。

ただ、俺の知らない感情が俺を動かした。

地面を蹴り上げる。

裸足の足に冷たい地面を感じる。


   ガギャン、がギン!

発砲音の後、飛んでくる銃弾を日本刀でたたき落とす。

いつからだろう、この刀を握ったのは。
いつからだろう、人を殺しても何も感じなくなったのは。
いつからだろう、泣かなくなったのは。

「関係、無いか」

自嘲気味に笑う。

   バシャッ

小さく水が飛ぶ。
さっきの血だまりを踏んだらしい。

「シネ」

アイツは目の前。
銃口は自分の額を捉えている。
だが、

                ガギャシャァッ!

「遅い」

銃口から数センチ先を刃が切り裂く。

「……」

アイツは使い物にならなくなった拳銃を捨て、俺の追撃の刃をかわす。

——昔から、アイツはキレやすかった。
一度暴走すると、普段は抑えている感情全てを吐きださないと止まらなかった。

前に油断して、両腕の骨と肋骨を数本ヤられた。
その時は左目を抉り取られる寸前で助かったが、骨が治るまで大分かかった。


素手で殴りかかって来るアイツの腹に一発決めると、数歩よろめきながら下がる。

「……う」
「?」
「違うんだよ」
「ちが、う?」
「何、ちんたらやってんの?」
「!」

嗤った。 人を見下した、自分の方が勝っていると確信した時の笑いだ。

アイツは徐に片足を上げ、地面に向け一気に踏み落とした。
すると、てこの原理でいつの間にかアイツの足元に転がっていた警棒が、回転しながらアイツの顔近くの高さまで飛び上がる。

「本気で来ないと、殺すよ?」

回転しながら落下し始めた警棒を掴む。
まっすぐ俺の方に警棒の先端を向けて来る。 挑発のつもりか、あの野郎。

「来い」

刀を構えなおす。
それと同時にアイツは一気に間合いを詰め、俺の心臓目掛けて警棒を突き出す。

見切った。 避けられる。

そう確信した瞬間、左からの衝撃が来る。
俺は踏ん張りが利かず、数メートル先に転がる。

左頬に痛みが残る。

「甘い甘い」

キヒヒッと厭らしい笑い声を上げ、右手を振って見せる。

「チッ」

油断した。
警棒は囮で、最初から右を決めるつもりだったらしい。

「さぁ、早く早く」

まるで餓鬼だ。 まだアイツの顔には厭らしい笑みがくっついている。

日本刀を杖代わりに立ちあがる。
口の中に広がった血を吐きだす。

「解った。 殺す」

少し地面に刺さった刃先を引き抜く。

月の光で日本刀の刃が煌めく。
冷たい風が吹く。

それを合図にアイツとの間合いを一瞬で詰め、白銀に光る刃を繰り出す。
一撃をいとも簡単に警棒で流す。
共に、左足を繰り出されるがしゃがんでかわす。
そこから立ち上がり、がら空きとなったアイツの腹に柄を叩きこむ。

「か、はっ!」

肺の空気が出て咳き込む。
その背後にまわり日本刀を振り下ろすが、寸前で回転の遠心力を利用し一閃をはじかれる。

「ゲホッ、はぁ、はぁ……。 流石、≪鮮血のかぐや姫≫だね」
「!」

誰が呼んだか、気付けば定着していた≪鮮血のかぐや姫≫と言う呼び名。
俺的には、気に入っている呼び名ではない。

「煩い」

少しの苛立ちとともに飛び出す。
が、

「だから甘いって」
「!!」

アイツは待ってましたと言わんばかりに腰から素早く拳銃を抜き去り、打つ。

少し反応が遅れ、目の下が裂け血が垂れる。

「俺が、銃なんて持ってないと思った?」

ゆっくりと近づいてくるが、止まった。
この距離なら、銃の射程距離内なのだろう。
どこまでも人を見下す奴だ。

急にあたりが暗くなり始める。
上を見上げれば、雲が月を覆いだしていた。

「ところで、月が隠れたら力が半減する……なんてステータスはないのかい?」
「減らず口を」

俺を挑発しているが、よく見ると、膝が震えている。
一応、ダメージは受けていたらしい。

フッと電気を消したように辺りが闇に包まれる。



———————どうやら、完璧に月が隠れたらしい。


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