ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 血觸症−Murderer(s) syndrome−
- 日時: 2011/04/19 23:11
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
ほぼ初投稿です。自分の文を他人が読んでも変にならないかドキドキです、特に元になる話はないけど、時系列順じゃないから説明できないところがあるけどよろしくお願いします><
1話 >>1 〜
2話 >>10 〜
まさか約三ヶ月も経ってしまうとは…忙しいのと戦闘シーンに納得がいかず、投稿を控えてましたが、最近は時間が開いて来たので再開シマス。下手くそですがヨロシクネ
第1話「殺人(者)嗜好」
一話の登場人物
副業俳優で高校生で血觸症で多重人格者の主人公:宝御示 交(ほうおんじこう)芸名は霧鎌 交
唯一交の血觸症のことを知っている親友:矢口 智嗣(やぐちともつぐ)
歌手で交のクラスメート:遠上 華波(えんじょうかなみ) 芸名はカナミ
- Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome− ( No.30 )
- 日時: 2010/12/11 17:07
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
「トゥートゥートゥートゥートゥートゥトゥー」
日本のあるキリスト教の教会で聞いた讃美歌の口笛を吹きながらスコープを覗く。
あるヨーロッパの国の夜。
今日も血觸者用暗殺任務の時間だ。
対象は【血觸者撲滅連合】の幹部。
彼は血觸症の裏にある企業連、国を知っていそうな人間を何人も誘拐し、彼自身の手で拷問し、殺している。まぁ、有力な情報を持っている奴を当てるつもりがないただの殺人狂なんだが。
【血觸者撲滅連合】とは…まぁ、名前の通りだ。
血觸症を毛嫌いし、ソレの撲滅の為には無関係の犠牲を厭わない。
世界各国の総人数500万人のカルト教団だ。中身は民間人(家柄の関係が殆ど)が多数だが、彼らは集まってオレの一族の抹殺の為に訓練や研究をしているらしい。
国、企業連の力で潰せないのは、あいつらのバックにも大きな組織がついているからだそうだ。
たかが普通の人間の武力でオレの作った一族に勝てるわけ無いのに。
一台の黒いリムジンがスコープの中に入る。4人の護衛なる黒スーツ黒サングラス黒ネクタイの男に囲まれて、暗殺対象が車から出てきた。そうとう警戒しているのか、周りをキョロキョロしている。
トリガーを引く。
スナイパーライフルの弾丸は対象の頭に命中した。肉片と血が死体の周りに飛沫を上げる。
肉の塊が地面に伏したと同時に血觸の合図が頭をよぎる。
周りの護衛は銃を取り出し、救急車を呼んでいる。助かるわけ無いだろう、頭を飛ばしたんだから。
- Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome− ( No.31 )
- 日時: 2010/12/11 17:10
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
夜空を見上げると、日本にはない星が光っていた…。
「綺麗だ…、いや、新鮮というべきか…」
だが、もう一つ、日本では100%見ることができないナツカシイモノがみえた。
月の隣を浮遊する、骸骨の顔、巨大な首切鎌、黒いローブ…人間が想像する死神だ。 ローブには血觸者撲滅連合のシンボル【逆十一芒星】があった。
顔でわかるぐらい驚いていたのか、交が心配そうに声をかけてきた。
[フォロス? アレがどうかした? 初めて見るけど、死神っぽいね…]
その声にハッとした。流石に危険だ、逃げよう。
死神の顔がこちらに向く。気づけばオレの足は震えていた。
[あれ、明らかにこっち向いてるな…。フォロス? ]
荷物を持って死神と逆方向に向かって飛ぶ。
後ろから呪いの言葉を唱えている様な声がすることからして、追ってきているのだろう。
『クソッ! なぜあれがこんなところにいるんだ! 』
[死神みたいな奴のこと!? 何でそんな逃げてるの? ]
『アレは人工神、特殊な儀式をして召喚できる。でも範囲は狭いはずだし、なによりキリスト教の繁栄の際に儀式を記している本や人物は全て処分されたはずだ! 』
[そんなにヤバイものなのか? ]
『オレはアレに殺された! 』
言い放ったとき、目の前がフラッシュバックする。
—「ここは何とかする…お前たちは一族を守るんだ…」
—「いや! パパ! パパあああ! 」
大昔の話だ、まだ宗教という概念ができたばかりの頃のギリシャ。
偶然、血觸の力を見つけたオレは仲間や家族を血觸症にさせ、村を作った。開拓地の資源が豊富だったので、すぐに村は栄えた。
村自体を当時の裏社会に悪人専用暗殺者として介入させることができたオレは、一族の誰一人として血觸ができずに死ぬということをさせなかった。
だが、どこからか漏れた情報により暗殺を良く思わない人間たちが【血觸者撲滅連合】を立ち上げたのだ。その時は、彼らは幾度と無く攻めてきたが、カスリ傷一つ負わず追い払えた。
しかし、彼らは突如【魔法】や【肉体凶化薬】など、特殊な人物しか使えない禁術とされているものを連合全体が使ってきたのだ。
そして、血觸者を散り散りにさせた原因。【人工神】 何十人の志が完全に一致しているものを、生贄に捧げて降臨させる外道の技だ。
彼らが模したのは、彼らの組織の基になった神話に出てくる、闇や破壊を司る【チェルノボグ】
もちろん、人工神は神の贋作のようなもので普通は力なんてあってない様なものだった。 だが、何故かアレにはあった。
飛行している。
物理攻撃が効かない。
魔法を使える、などだ。
オレは…村を守るために生命を代償にする固有能力を使ってソイツをなんとか倒した…、いや、オレも死んだから相打ちか。だが、血觸者達は村を捨てざる負えなくなり、世界の各地に散り散りになった。
あぁ、今でも憶えている。死神が村に来たその時を…鮮明に。
「パパあああ!! 」
遠くから、妻に抱えられて逃げている八歳の息子の泣き声が聞こえた。
今現在、オレの肩からは血が吹き出ている、右腕をバッサリ斬られたのだ。だがこの程度でオレが止まるわけがない、死ぬわけがないがない。
創ラレタ神から距離を置く。当時のオレの固有能力は色々あったが、どれも効果なし。一つを除いては。
「フッ…。これが私の最後だ、陰の模造品。 The blade is a light beyond the blood.」
左手に持った最後の剣を相手に向け、唱えた。剣は紅と朱の二つの霧をまとい、刃は太陽の光を放っていた。
コレは血觸の脳内に分泌している特殊成分、【スパイロ】を体から乖離させ、体外の物体にまとわせるオレの能力。
ただ、過負荷により、使い終わった頃に確実にオレは死ぬ。
「それでもっ! 」
死神に向けて剣を大きくなぎ払う、剣は凄まじい光波を放った。
- Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome− ( No.32 )
- 日時: 2010/12/11 17:12
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
[フォロス! あそこに教会がある! ]
交の声で我に返る。交が指した場所には、プロテスタント系の教会があった。
扉を開け駆け込むと、後ろから迫っていた殺意は消えていた。人工神は他宗教の建造物には入って来られないようだ。
「ハァ…ハッ…クッ…」
動悸が激しい。恐怖と死ぬ直前の記憶に足が震えている。
「♪ー ♪ー」
「…! 」
携帯電話の着信音だ、電話は依頼してきた企業連の奴らからだった。
「交様、予定時間が過ぎております。何か問題でも発生しましたか? 」
「対象はちゃんと殺した。回収地点には今から向かうから、待っていてくれ」
「その必要はございません。只今その建物の上に待機しております」
教会の外に出ると、ヘリコプターが搭乗用の梯子を降ろしていた。
- Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome− ( No.33 )
- 日時: 2010/12/11 17:13
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
翌日
ヘリに乗った時点で体の意識がもとに戻った。やけにフォロスは落ち込んでいた。
ヘリから空港に行き、専用ジェット機に乗り日本に帰った頃にはもう朝の八時だった。
フォロスは呼びかけても黙っている、疲れて寝ているのだろうか。依頼はしばらくないから、ゆっくり休めると思うが…。
エレベーターに乗り、自室のある二十五階のボタンを押す。エレベーターを出ると、俺の部屋の扉の前に、一匹の黒猫が座っていた。
このタワーマンションは、セキュリティがすごい為、一階からの不法侵入を虫一匹許さないハズなのだが…。
「貴殿が、幹恵殿の御子息なる方か? 」
「……猫が喋った…。」
小声で呟いてしまった。
血觸使ってない状態でみえるから幽霊ではないし、他に人の気配もないし腹話術とかそんな物じゃない。
「失礼した。私は、十年前に幹恵殿に血をわけてもらい、血觸症を得たトミアという者でございます」
血觸症は感染症という説がある。
血觸者から他生物への輸血を行うと、その生物が輸血元の血觸者の力を100分の1だけ得るという例があるからだ。という事を聞いたことはあった。だが実際その例を目にするのは初めてだ…。
「と…とりあえず、家入る? 」
ここだと他人に聞かれると少し不味いし…。
「了解した」
トミアは椅子に乗っている、いや、お座りしている? 表現が思いつかない。
流石に何も出さないのは癪だと思い。毎週母の弟から頼んでもいないのに届く、有名なブランドの洋菓子と、高級茶葉のダージリンを淹れたティーセットをテーブルに出す。
トミアは机の上に移り、器用にカップの端から紅茶を飲んでいた。俺はトミアの向かいの席に座る。
「幹恵って…母さんだよね。家を訪ねてくれるのは嬉しいんだけど、なんで俺の家がわかったの? 」
「つい最近まで私は血觸症の組織に引き取られていました。そこの方々にご教示してくださいました」
ワタクシという一人称で黒い猫は淡々と喋る。
血觸に関わった物の大半は組織にしばらく【保護】される、拷問とかはないが、流石にペラペラ口外に出されるのは不味いから…だろう。
「私も何かお手伝いできることがあればと思い、勝手ながら貴殿の家まで伺った所存で御座います」
手伝い……依頼とかの事だろうか?
というか、組織が教えているなら、恐らく母が既に殺されていることも聞いたのだろうか。
「うーん、ありがたいけど。体は大丈夫なの? 血觸症とはいえ、十年以上生きてるんじゃないの? 」
「いえ。私の一族は少々特殊でして。因みに私は二十五年生きております 」
二十五!? 猫にしては長生きって言う程度ではない!
「と…特殊って? 君が人間とお茶しながら喋ったりしてるのは、母さんの血を分けてもらったからじゃないの? 」
トミアは右手…じゃなくって右前足で首輪についている蒼い宝石を指した。
「確かに人語を解す様になったのは幹恵殿のおかげであります。しかし、長生きは別にあります。このブルーサファイアは私の一族代々の家宝で、永若長寿の力があります」
本当かなぁ。どう見ても普通のサファイアだ。…いや、血觸で見れば…
目を切り替える。そのサファイアは確かに肉眼で見た時より、不思議な…いや、その宝石自体が光っているようにみえたが、本当に力があるのかは分からない。
「とりあえず、朝御飯食べに行ってもいい? 俺、依頼から帰ったところでなんにも食べてないから」
「ご気になさらず好きなところに行ってください」
「いや、流石に一人にしておくのは不味いし、一緒に行こう」
席を立つ。見るとトミアのカップと皿は綺麗に空だった。トミアは頷いた後、器用に俺の肩に乗った。
パッと見どこの魔法使いだよ俺…。
- Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome− ( No.34 )
- 日時: 2011/04/19 23:09
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
喫茶店ファシーノ
母の遺言で、事件後も継続して面倒を見てくれていた一人の使用人が、中学を卒業する頃に組織に【研修】ということで連れて行かれてからもう半年間。
俺は学校にいく前も、休みの日もここで朝食を摂っている。
カウンター席に座り、トミアを膝の上に乗せる。流石にこの子が席を一つを取るのは怒られそうだし。
「あら? 交君、猫を飼い始めたの? あ、いつものモーニングね? コーヒーはドレにする? 」
テーブルの向こうから馴染みの女性オーナーが話しかけてくる。
「ブルーマウンテンで。母の親類から世話を任されましてね。あ、この子にも何か食べさせていいですか? 」
日本でのブルーマウンテンは指定されている標高を誤魔化してるものが大半だが、ここの豆は本物だ、少し高いが。この近辺は値段をいちいち考えるような人のほうが少ないから、値段が高くても美味しければ人気が出るのだ。
「はーい。へぇー、幹恵さんの親戚が世話できなくなったの? よかったら猫の飼い方教えてあげよっか? 」
「いえ大丈夫ですよ、一応だいたいは教えてもらってるので。ありがとうございます」
この子は普通の猫じゃないとかそんな事はペラペラと喋らない、むしろ俺は一般人としゃべるときの四割が嘘だと思う。
トミアは流石に人前では人間の言葉を喋らないようで、オーナーに撫でられると気持よさそうに「ニャー」と猫らしい鳴き方をしていた。
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