ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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血觸症−Murderer(s) syndrome− 
日時: 2011/04/19 23:11
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

ほぼ初投稿です。自分の文を他人が読んでも変にならないかドキドキです、特に元になる話はないけど、時系列順じゃないから説明できないところがあるけどよろしくお願いします><
1話 >>1
2話 >>10

 まさか約三ヶ月も経ってしまうとは…忙しいのと戦闘シーンに納得がいかず、投稿を控えてましたが、最近は時間が開いて来たので再開シマス。下手くそですがヨロシクネ

第1話「殺人(者)嗜好」

一話の登場人物

副業俳優で高校生で血觸症で多重人格者の主人公:宝御示 交(ほうおんじこう)芸名は霧鎌 交

唯一交の血觸症のことを知っている親友:矢口 智嗣(やぐちともつぐ)

歌手で交のクラスメート:遠上 華波(えんじょうかなみ) 芸名はカナミ

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Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.15 )
日時: 2010/11/26 01:45
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

 しばらく走った後、タクシーが停まった。代金を払い、遠上さんを担いで下ろす。
 見上げると、智嗣の家には劣るが、そうとう高い家だということがわかるオーラが漂っている…。
「宝御示君? 」
 門の中から声が聞こえた、どうやら遠上華波が出てきたようだ。
「お父さん!? また酔っ払ってたの!? 」
 遠上華波は帰りが遅い父を心配し、玄関で帰りを待っていたようだ。
「よっこいしょっと」
 遠上に案内され、修也さんをベットに下ろす。

「ご迷惑をおかけしました」
 玄関前で遠上は深く頭を下げた。これからは君に迷惑を掛けられそうなんだがな。
「別にいいさこれぐらい」
「父は、母がいなくなってから週の半分はこの調子なんです。お酒は体をこわすと注意しているんだけど…」
 遠上は悲しそうな顔をした。先の疑問が頭をよぎる、聞いていいのか悪いのか。
「遠上の母さんは、今どうしているんだ? 」
「…多分、死んだのかも」
 やはり、だいたい感づいている。いや、思わない方が不思議だ。
 悲しい顔をしている目の前の少女は、少し黙った後、自分の近況について話し始めた。
「私、命を狙われているんです。学院祭の日に切り裂いてやるって、私の公式サイトのコメントに書いてあったんです…。勘なんですけど、多分その人が6年前母を殺した人のような気がするんです」
 俺はなにも答えれない。答えてあげたいが、親を殺した奴が自身まで狙っているというなんて経験なんて無いからだ。
「ご、ごめんなさい! こんなこと話しても仕方ないよね。学院祭の準備、手伝えなくてごめんね。私が歌のステージなんて安請け合いしちゃうから…」
「いや、遠上は懸命に歌えばいい。いろんな奴に遠上のの最高の歌を聞かせてやればいいさ」
 玄関のドアを開け、外にでる.。
「お前は、殺されなんかしないさ」
 柄にないことを言ってしまった、言ってから思うと結構恥ずかしい。
 遠上の返事を聞かずにドアを閉める。
 明日は学校だ、速く帰ってもう寝よう。

Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.16 )
日時: 2010/11/26 01:46
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

翌日

 昼休みに、昼食をとりながら智嗣に昨日の事を話した。
「ほーぅ、それで? 警備の親戚はなんて言ってたんだ? 」
「最近は警備員より、警備ロボットっていう物がバカ売れしすぎて人間のほうが暇らしい」
「要するに? 」
「ボランティアでいいってさ」
「すごいじゃないか」
 智嗣は驚いていた。正直昨日の晩に電話して、あっさりいいよと言われるのにはびっくりした。
「で? その期間までのボッデェィーガードも任されてるんだろう? どうするんだ? 家までついてく? 」
 やけに変な言い方でボディーガードといってニコニコしている。いや、ニヤニヤというべきか。
「コレを使って、ここらで一番高いビルの屋上で見る」
 俺は右人差し指で下に置いてある小さいケースを指す。
「なんだそれ? 」
「血觸者用折式超倍率筒鏡遠距離光線銃」
「ハッハッハ。それって、レーザーライフルみたいなことか? 」
 冗談をいったわけではないのだが…。
 黙って頷くと智嗣はしばらく口を開けていた。
 しばらくして恐る恐る口を開いた。
「はは、そんな星戦争映画みたいな物が…」
 星戦争って…普通に名前言えばいいじゃないか。
「とある国の血觸状態専用の新開発武器。その映画みたくピチューンとかいって光の奴を出したりしないぞ」
「へぇー、そうじゃないならどこがレーザーなの? 」
「見えない圧縮電磁波を発射するらしい。常人が使うと腕が焼けて肩が高確率で壊れるらしい。被弾した側は、内蔵が潰れ、肌が燃えあがり、骨が溶けるらしい」
「エグすぎだろ! そんなおっそろしい物使って大丈夫なのか? 」
「まぁ、犯人は学院祭の日って事を言ってるし。間に合いそうならジャンプして行けばこんな物撃つ必要がないし…」
「空からお前が降る事の方が周りに悪影響だと思うが、ていうか普通のスナイパーライフルじゃだめなのか? 」
「流石に距離があると風とか推進力とか考えなきゃいけない。そこまで血觸は万能じゃないぞ」
 あまり銃器に興味ないのか「へー」と一言で智嗣は終わらせてしまった。聞いておいてそれかよ!
「大変なんだなぁ、お前も。一人じゃ寂しかろう、俺が一緒に屋上にいてやろうじゃないか」
 ウザイ…すごいウザイ…でもこれも智嗣なりの優しさなんだろう。
「ありがとう。遠上が家につくまでだからそんなにかからないと思う」
「ヘヘッいいってことよ。お前との勝負は32勝33敗だからな、屋上で3連勝してやるぜ」
 こいつは携帯ゲーム機の格闘ゲームのことを言っているようだ、何時もなかなかの接戦で、なかなか差が開かない。
 って…屋上で遊んでる暇は多分、ないと思う。

Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.17 )
日時: 2010/11/26 01:51
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

学院祭前日の放課後

 結局、学院祭の前日まで続いたが、特に変わったことはなく、引き金を引くことも一切なかった。

 学校の中で一つ気になることといえば、学院祭の準備に生徒が屋台などを作るわけではなく、業者が全て力仕事をしていたことだろうか。
 遠上の帰路に関しては、今日も大したことはなく、屋上からエレベーターで1階まで降りる。
「なんにも起こらなかったなー」
 結局1度も格闘ゲームができなかったからか、智嗣はつまらなさそうに言う。何か起こって困るのは俺なんだぞ!
「まぁ、それが明日まで続いてくれればいいんだが」
「すっかり忘れてたが、俺らのクラスって何やるんだっけか」
 なんで前日まで忘れてるんだこいつは!
「ライブカフェだよ! 俺は宣伝でポスターを取られたから、明日はなんにもしなくていい」
「あー、そうだったな。確か俺も演奏者の楽器のコンディションを整えたから何もしなくてよかったはず」
 智嗣はやけに楽器に詳しい、見ただけで何年製造でどの国で作られたかレベルで判断できるらしい。親がそういう仕事をしてるわけでも無いが、理由を聞くとサラッと流されて教えてくれない。
「おい、遠上のステージまで暇だろ? 一緒に回ろうぜ! 」
 チンッ、という音と共に扉が開く。
「回るって、所詮学院祭だろ? そんなに目ぼしいものがあるのか? 」
 智嗣は「チッチッチ」と指を振った。
「交は甘いなぁー。交は一回もうちの高校の学院祭に行ったこと無いからなぁー」
 なんかムカツク言い方だ。従兄弟が俺らの学校の3年だからってそんな学院祭マスターみたいに威張らなくてもいいじゃないか。
「あれだろ? 例えば射撃だったら輪ゴム鉄砲で景品は1等でぬいぐるみで残念賞で10円のスナック菓子なんだろ? 」
「残念賞だなその予想」
「予測に残念賞とか酷いでしょ! 」
「確か去年の射撃は、、、一等は30万の腕時計で残念賞が高級菓子店のマロングラッセだったと思うぞ」
 淡々と学院祭に見合わない様なことをサラッという智嗣。
「総支出いくらかかったんだそれ…」
「まぁ、黒字だったんだしいいんじゃないか? 」
 黒字だからいいというものなのだろうか、俺は庶民学校に行っていたので金持ち学校の文化祭なる物がイマイチ想像がつかない。
「それで、銃の方は? まさか、実弾じゃ—」
「流石にそれはない。ただ、音まで超リアルなコルク鉄砲がだったな。一等を当てた奴はいなかった気がする」
 超難度だったんだろうな、なんて黒い学院祭だ。
 建物の外に出る、ここからはこいつとは別々の道だ。
「結構面白いぜ? とにかく明日は楽しもうや」
 そう言って、智嗣は俺に背を向け帰って行った。

 そういえば俺のクラスのブースにテレビでよく見るパティシエに似た人が来ていた様な気がしていたが、あれは気のせいじゃなかったんだ…

Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.18 )
日時: 2010/11/26 01:55
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

 智嗣と別れたあと、気になることがあり、俺は自宅に向かいながら打ち上げの時に貰った修也さんの連絡先に電話を掛けた。
「もしもし遠上ですが」
 出たのは遠上修也本人だった。
「僕です、霧鎌です」
「おお、交君か。どうだった? 」
「いえ、特に変わった事はなかったです。本当に娘さんに歌わせていいんですか? 」
「ああ、是非だ。君を信じてるよ」
 そんなつもりは無いのだろうけど、ものすごくプレッシャーを感じる…。
 —そんなことより、もっと聞きたいことがある。
「一つ、聞いてもいいですか? 」
「ん? なんだい? 」
「…何故、僕を護衛に選んだのですか? 」
「だから、なんとなくと言ったじゃないか—」
 嘘だ
「嘘です。貴方が何となくで決めれるなら、最初からボディーガードや用心棒を付けるはずです」
 遠上修也はしばらく黙った後、真実を打ち明けた。
「すまない。知っていたんだよ、血觸症のこと」
「………」
 だいたい予想はついていた、誰かが教えていたんだろう。
「だが、娘を助けたいというのは—」
「誰から教えてもらったんですか? 」
 血觸症を知る者はそういない、裏切り物はコロセと国の決まりだ。
 電話感での長い沈黙、彼は静かに息を吸って答えた。
「…20年前、一度アテネに旅行に行ったときに、偶然君の母親と出会ったんだよ」
「—!?」
 答えはあまりのも予想外だった、というか質問の解答になっていないが、それでも俺は黙るしかなかった。
「初めは、空港でぶつかった時に知り合った。そこだけの付き合いのつもりだったが、偶然にもホテルも一緒で、観光する場所も一緒だった。お互い一人旅ということもあり、次第に話が弾んでいった」
 嘘をついてるような声じゃない、実際の過去を話しているんだ。
「気付いたら彼女に連れられ、遺跡のような場所に行っていた。そこには私たち以外の観光客は誰もおらず、そこで彼女は自分の子の名前と、血觸症について打ち明けたんだ」
 多分、その場所は知っている、意識の中で寝ているコイツの墓だ…。俺は血觸症が発症した次の月に、母の弟に連れていかれた。
「彼女とは日本にいた後も色々交流はあったが、彼女が引っ越してから疎遠になってしまってね。今でも彼女との思い出は覚えているよ」
 俺は事件後から記憶を戻すために、親に関する事を知っている人に手当たりしだい当たってきた。まさか、こんなに近くにいるとは…。
「悪かった、君を利用したかったわけじゃないんだ。気を悪くしたなら申し訳ないことをした」
 やっと出会えた母の若い頃を知る人。両親は若い頃の知人や友人などが少なすぎて、どんな人だったのかずっとわからなかった。
「いえ、いいんです。任されたんですし、最後まで責任を持ちますよ。」
 上手く頼める聞き方が思いつかない、母の記憶がないことも知っているのだろうか、考えている間に、自然に言葉が出てしまった。 
「…終わったら、母の昔の話を聞かせて貰ってもいいですか? 」
 彼は電話越しに素直な声で返事をしてくれた。
「許してくれてありがとう。娘を頼むよ。是非話しをしよう」
 電話を切る。これも、血觸症のおかげなのだろうか。

Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.19 )
日時: 2010/11/26 01:57
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

学院祭当日

「交! あれやってみようぜ! 」
「はいはい」
 智嗣は子どものようにはしゃいでいた。始まってからもう5000円以上使っているのに、高すぎると思わない。値段と質が見合っているからだ。
 敷地が広いからあまり感じないが、人多すぎるでしょ、これ…。
「なぁ、この学院祭人多すぎないか? 」
「ん? あぁ、親戚から友人の友人まで入るの許してるからな。不良とかは混じらないようにしてるらしいけど」
 なるほど、それに加えそこらの遊園地以上のクオリティ、だから人が来るし、利益もでる。
「うちのクラスは既に2時間ぐらい並んでる人がいるみたいだぜ? 一休みできるところが無いから、店内を広くとったカフェは人気っぽいな」
「いや、ゼッタイパティシエや料理人のおかげだと思うよ? 」
「お前の写真もだろうな」
 いや、隅で演奏しているクラスの自信家たちのおかげというのもあるだろうけど、あえてどちらも口にしない。
 時計を見ると、もう1時過ぎだった。
「もう昼だな、少し腹がへった」
「あ、条士のクラスが毎年やってる和風レストランが結構美味しいぞ? 」
 条士とは、智嗣の一歳上の従兄弟らしい。話しを聞いたことがあるだけなのだが。
「和風レストランって? 」
「えっとなー。まぁ、行ってみればわかるって! 」

 智嗣に手を引かれる。何時もの事だが、相変わらず勝手だな、こいつは。


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