ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)
- 血觸症−Murderer(s) syndrome−
- 日時: 2011/04/19 23:11
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
ほぼ初投稿です。自分の文を他人が読んでも変にならないかドキドキです、特に元になる話はないけど、時系列順じゃないから説明できないところがあるけどよろしくお願いします><
1話 >>1 〜
2話 >>10 〜
まさか約三ヶ月も経ってしまうとは…忙しいのと戦闘シーンに納得がいかず、投稿を控えてましたが、最近は時間が開いて来たので再開シマス。下手くそですがヨロシクネ
第1話「殺人(者)嗜好」
一話の登場人物
副業俳優で高校生で血觸症で多重人格者の主人公:宝御示 交(ほうおんじこう)芸名は霧鎌 交
唯一交の血觸症のことを知っている親友:矢口 智嗣(やぐちともつぐ)
歌手で交のクラスメート:遠上 華波(えんじょうかなみ) 芸名はカナミ
- Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome− ( No.1 )
- 日時: 2010/11/21 22:26
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
血觸症…それはヨーロッパ系の母の一族が代々発生させてきた能力であり、それに引き換え人殺しを強要される悍ましいものだ。
15歳で発症すると言われるそれは、腕力や脚力を飛躍的に高め、さらに他の身体能力も一時的に上げる。
あくまで一時的であって、その能力を持続させるには【殺人者】を定期的に殺さなければ、脳に過負荷を与え、血を全て抜き取られ、死に至らしめるという恐ろしい物だった
ゴーン……ゴーン……
チャイムを境に教室の中が緩やかな雰囲気に切り替わる。
「はい、じゃぁ授業はここまで、号令おねがいします」
「起立、礼」
先生が教室を出た後、すぐに華波と智嗣が俺の机の前まで来た。
「なぁ、交、今日の帰りにこないだ新しくできたでっかいショッピングモールいかね? 」
智嗣がニコニコしながら聞いてきた。
こいつが言ってるのは、先週オープンしたばかりの最大級を誇る 大きさのショッピングモールだ。
「別にいいんだが、あそこって俺たちが行きそうな何かあるのか? 」
そう言うと、華波はポケットから一枚の紙を取り出した。
「これこれ!あそこにスッゴい美味しいって評判のケーキ屋さんがあるの! 」
華波が見せてくれたチラシには数多くの受賞している賞や、ケーキを作るパティシエの写真があったり。
華波はあまり甘い物を外で食べているイメージは無い、というかわざわざ出かけて食べなくても華波の家には数年フランスで修行したパティシエが専属でいるっていう。これは恐らく智嗣が華波を誘って俺を誘うように促したんだろう。
「要は、智嗣が行きたいんだろう? これ」
「ななななぜばれた! 」
「超 能 力」
智嗣は「なななんですとー! 」と言って驚いている、華波はクスクスと笑っていた。
「まぁ、別に用事はないし、行ってもいいぞ? 」
「お? 今になってツンデレ発動? 」
「なんで今のでツンデレになるんだ!? 」
ガチャッというドアの開閉音と共に、教室に担任が入ってきた。
「はーい、終礼はじめるわよー! 」
「じゃぁ、交くんあとでねー 」
担任が教卓に立ち、立ち話していた生徒たちは席についた。
数分後。
明日の授業の連絡や、なにやらをしゃべった後、担任の先生は突然少し真剣な顔をして口を開いた。
「最近、ナイフを持った切り裂き魔が出没してるようですね。みなさん、特に部活などで帰りが遅くなっている方は十分に気をつけてください」
切り裂き魔って確か、数人も死傷者をだしているにもかかわらず、未だに証拠すら見つかっていない殺人狂…だとか、知り合いの刑事に少し聞いた程度だが。
担任はそれだけ言った後、またいつもの口調に戻りった。
「はい、じゃあ今日はここまで、みなさん良い週末をー」
あんなリアルな話をしてまたその調子に戻りますか……
『へぇー、ここらにそんな面白そうな奴がいるのか、定期の奴もまだだし、なにより近いしな。そいつで血觸するのもありじゃないのか? 』
頭の中から声が聴こえる、意識の部屋(?)にいるアイツが話しかけてきたのだ。
[警察も手がかり一切見つかってないのに、どうやって見つけるんだよ。というかまだ血觸しなくてもいいんだ、極力人を殺したくない。]
『どうかな、最近なんにも起こらないからツマラナイとか思ってるんじゃぁないのか? 』
頭の中のこいつは、見るからにニヤニヤして聞いてくる。こいつはいつも知ったような口を聞く、えぇい忌々しい。
—実は、この頭の中の声は自称・「母方の一族の祖先」
俺の人格の片方は殺人狂を生んだ張本人でもあり、最初の血觸症患者だ。
- Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome− ( No.2 )
- 日時: 2010/11/19 00:03
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
委員長が挨拶をした後、また教室ががやがや騒がしくなる。しばらくするとカバンを持った智嗣と華波が目の前まで来た。
「ほんじゃ、行こうぜ」
「そういえば、有未さんはどうするんだ?行くのか?」
「ユミねぇは来月の修学旅行の話し合い等で今日は忙しいみたいだぜ?他に誰か誘うか?」
彩谷 有未さんは、3年3組のクラスでも一番信頼が厚く、3年連続で学級委員長をしているらしい。そっか、今の時期は委員長は流石に大変かな。
「うーん、長郷さんは?」
「条士は多分あれだ、部活だ。」
長郷 条士さんは智嗣の従兄弟で、この学校の3年であり、柔道部の主将をやってる、来月あたりの最後の全国大会の為に猛烈に練習しているようで、最近は朝と昼休みと放課後は殆ど道場に篭りっぱなしらしい。
そもそも、なぜ俺達が違う学年の人と遊ぶかと言うと…じつは俺にもそれが分かっていない、何かもう、自然に集まってこうなってたみたいな感じなのだ。
「じゃぁ、しょうがない、3人で行こう!」
「そうだな、ていうか何気にカナ行く気まんまんじゃね?」
「うん!ケーキ好きだし、私!」
智嗣は口が上手い、特に何かを進める時とか紹介する時とか、コレも恐らく華波がいつも家で食べているすごい高いやつより美味しいとか言ったんだろう。
「よし、じゃぁいこうぜー」
「あぁ、私、何食べよう!」
二人が歩き出す、俺は何か嫌な予感がしていた、恐らくそれは担任が言っていた「切り裂き魔」がそのショッピングモール付近で事件を起こしていたからである。
2人と一緒に学校をでて、電車で3駅乗り、少し歩いたところにそのショッピングモールがあった。なんと駅からそこに行くための専用の渡り廊下が用意されており、動く歩道まであった。
「わー、CMで見るよりもでかいんだねー!」
華波は子供の様にぴょんぴょん跳ねてとてもワクワクしているように見える。
周りの通行人がみんな俺達の方向を見ながらこそこそと話している。
「あれって、歌手のカナミじゃない? 」
「あ、ほんとだー、隣にいるのって舞台俳優の霧鎌くんでしょ?二人って同じ学校だったんだ」
とか周りは似たり寄ったりな話をしている。すると智嗣が目の前で腕を組み
「有名人はいいなぁー、いつでも周りがさわがしいぜ? お前ら」
と、すごい憎たらしく棒読みで言ってきた。
「お前絶対いいと思ってないだろ、というか皮肉ってるだろそれ」
「あ、ばれた?」
俺はいいんだが、華波の方は気にしないかなー…と華波の顔を覗いてみると、ちょっと迷惑そうにしていたが、慣れっこなのか大して気にしてもいなさそうだった。
だが俺は少しだけ違和感を感じていた、なんだか餌を見るような目で…いや、人の視線なのか分からない様なものでみられていた。
ショッピングモールの中は結構色々あった。俺達は最初にゲームセンターに行き、その後、ショッピングモール内を適当にぶらぶらし、服や本、映画などを見て回った。
既に午後7時過ぎ、少俺達はショッピングモールの中にあったイタリアンレストランで食事をすることにした。
席に着いたあと、華波が伸びをしていた。
「あーあ、今日は楽しかったー、家で食べる用のケーキも買ったし、満足満足! 」
すると智嗣が
「明日も休みだし、どっかいくか? 」
と、提案してきた、華波はまんざらでもない様子で
「えー、またお金使っちゃうじゃないー」
と、財布のレシートを確認していた。
そうだなぁ、と言おうとしたその瞬間
「キャアアアアアアアアアアア」
店の外から断末魔のような痛々しい叫び声が聞こえた。店の中は、声がした方へ釘付けになってしまっていた。
「な…なんだろう?何かあったのかな?」
「声的に女の子っぽいし痴漢とかか?…ふごっ」
見ると華波の拳が智嗣の腹にねじ込まれていた。いや、今の冗談はさすがにしかたないでしょ、空気的に。
「いや、そんな叫び方じゃないでしょ今の…少し観に行ってみる?」
『へっへっへ…』
頭の中のアイツが不敵な笑みを浮かべてる…。
嫌な予感がする…というか嫌な予感しかしない。
叫び声のした店の入り口付近がとても騒がしい。
もし殺人絡みだったら危険だな、なんとかしなくては・・・
「おい、お前らはそこで待ってろ。周りが逃げてたらお前らも逃げろ。」
席を立ち店の入り口まで行こうとした瞬間、華波が俺の手を掴んでいた。
「えぇ…交くん、危ないと思うよぉ…」
「少し見てくるだけだ。」
華波が「でも…」と言いかけたとき、智嗣が華波に何かを耳打ちし、それを聞いた華波は心配そうな顔のまま何故か掴んでいた手を離してくれた。
何を言ったんだこいつ…じゃなくって、今は店の前で起きてることだな…。
人ごみを掻き分け、最前列まで行くと、2人の女性がそこに屈みこんでいた、殺人未遂…そのうちの1人が恐らく腕を斬られ、泣きじゃくっていた…
その腕は、異様なまでに白かった
「どうしたんですか?」
「あ…あ…赤…いジャケット…」
ここで赤いジャケットがどうとかを聞くと、混乱させるかもしれない、
その女性の連れと思われる女性に目で返答を求めた。
「赤いジャケットの男が変な形をした刃物みたいなのを取り出して…この子の腕を……」
…変な形…?
異様な色の腕、変な形のナイフ…これは間違いなく俺の超不得意分野だ。
[なぁオマエ、この子の傷をどうみる。]
『へへ、さぁ?血觸症でも使ってみればいいじゃねぇか』
いちいちむかつく、笑い方とか自分でやれとか、結局こんな類の事件はお前が最後どうにかして終わるじゃねぇか。
仕方ない、驚かれそうだからあんまり使いたくないんだけどなぁ…
目を閉じ、念じる…
……クレーロノメーセー
- Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome− ( No.3 )
- 日時: 2010/11/19 21:28
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
静かに目を開けると、足首から下が見えない奴らがうようよ歩いたり、明らかに妖怪っぽいものが見えたりした。コレが俺の血觸症の固有能力、「肉眼で見えるべきではない物を視認する」、因みに呪文みたいなのは血觸症使うときにただ単に浮かべる言葉で、別になくても使える、というか目をいちいち閉じなくても使えないことはない。
恐らく例の如く今俺の右目は白目が蒼くなり、瞳が白くなっていると思う。
血觸症の能力を使っていると、目が変色するらしく、色も個人によって違うだとか。俺の父親は普通の人間なので、半分の右目しか赤くならない、らしい。(頭の中の胡散臭い ヤツが言ってたからイマイチ信憑性が…)
周りの人達は少し驚いた様子だったが、傷を負ったこの子の方がインパクトがあったのか、そこまでびっくりしたわけではなかった。
「すいません、少し傷を見せてください。」
「は…はい…」
幸い、彼女は俯いていたので、目をみられることはなかった。傷が付いている手を取る。
何だ、これは。
思わず言葉を失う、初めて見たわけではないのだが、久しぶりに見ると気持ち悪い。
彼女の傷口は禍々しい光を放っていたのだ。
『【変な形】のナイフとは、恐らく呪術を帯びた儀式用短剣、または呪術短剣だろう…。この傷は完治しないだろう、影響がこの程度なら血は止まる。包帯あれば傷は隠せるが…まだ若いのに、可哀相だ。』
俺のカタワレが解説している、最初からいってくれればいいのに。
[要は呪いってことだろ?呪いってのは解くことはできないのか?]
『術式を施した当人を殺せば何とかならないことはないが』
[呪いを使う奴なんて今の時代生きていない……よなぁ]
『その通りだ、残念だな。とりあえず包帯あげとけ……ん?』
突然コイツは喋るのをやめた、どうしたと問おうとした瞬間、すぐにその声は嬉しそうに荒らげたものとなった。
『おい、交、右にいるぜ……その殺人狂がよ!』
その声で右を振り向いた瞬間、赤いフードを被った男が野次馬を押しのけ、その手には異形な刃物を俺に向けて振りかざした。
…っつ!?
間一髪で避ける。なぜか知らないが、剣は紫色に発光していた。
この右目で見ただけでわかる、この剣に斬られるとヤバイ!
- Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome− ( No.4 )
- 日時: 2010/11/20 23:02
- 名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)
「切り裂き魔だ!!」
野次馬の中の一人の男が叫び、みな散り散りに逃げまわる。
斬られて泣いていた女性は悲鳴を上げて頭を抱えていた。
「ほらっ、逃げるよ!」
と、もう片方の女性が手を無理に引っ張って連れていこうとしている。
恐らく、こいつは、さっき切り刻みそこねた女性を狙っているようだった。
「そこの連れのひと、その子を連れてとっとと逃げろ。あぁ、あとこれ、止血剤だ、使っとけ」
俺はポケットからいつも使っている止血剤をの女性に投げた。受け取った連れの女性は一礼した後、斬られた人の無傷な方の手を引き、その場から逃げていった。
店の中からもまだ残っていた人が騒ぎながら出ていった。うるさくて聞き取りづらかったが「交くん!」という声もしたきがしたので、恐らく智嗣達もそれに紛れて出ていったようだ。
さて、どうするかなぁ、今日は武器とか持ってきてないぞ。
周りを静寂が包む。
目の前の赤い男はゆっくり近づき、異形な短剣をものすごいスピードでとても上手に振り回してきた。素人の動きじゃないなこれ。だが、その男の体を見る限り別に鍛えていたり、そういった訓練をうけているわけではないと思われる。
もしやと意を決し、相手のナイフを持った腕を左手で捌き、半分本気で「ジョルト ブローもどき(要するに顔面を殴る)」を放つ。
普通の人間なら血觸の能力を使った攻撃を受けたら、顎ぐらいくだける程度なのだが…
赤色の男は吹き飛んだ、そして床を5メートルくらい転がっていった。しかし、彼は起き上がった、それどころかこっちに向かって一直線に走ってきている。しかし、確証は得た
「やはり、あれは…」
吹き飛んだ衝撃でフードがとれたようだ、彼の顔は白目を向いており、口元は避けてるのかと思うくらい歪んだ笑みを見せている。そして、なにより、彼の後方には赤い髪の女の霊体がまるで人形使いの様に彼を操っているすがたがあった。
その霊は男が持っている短剣から出ている、糸みたいなもので繋がっていた。
『交、分かっていると思うが。あれは恐らく、ナイフを作った霊だろう、執念なのか、あのナイフから離れられなかったようだな』
霊というのは執着や未練などがあるだけでどこにでもいるし、何にでも憑いている。しかし、あの女性の腕をあんなふうにするのは不可能なはずだ。
[でもっ、霊体自体が物体に力を与えるのは無理なんじゃないのか!ってうぉ! ]
相手はとても精巧に突きと斬りを混ぜあわせている。
集中しないとよけれない。避けるのかしゃべらせるのかどっちかを選ばせてほしい。
『よく見ろ、あの女は男を狂わせただけだ、ナイフに文字が刻まれているだろう』
文字?ギリギリのところで避けつつ、目の前の男が持つ短剣の刃の側面を見ると、確かに何か文字のようなものが光っている様に見えた。
『恐らく、霊体になっても彼女の魔力は衰えなかったのだろう。ルーン魔術は文字を砕けば呪い自体も消えるはずだ』
おわっ、なんとか避けれたが、制服のブレザーの胸部分が少し切れる。ええい、制服は相変わらず動きづらい!
[この男はどうなる?]
『助からない。この【ぬいぐるみ】は霊がいなくても殺人中毒者だ、何があっても人を殺す』
ぬいぐるみとは恐らくこの男の事、多分コイツにとってみればもう人間にみえもしないのだろう。
コイツは少し黙った後、申し訳なさげに提案してきた
『…交代するか?キツそうだな。』
[速く替わってくれ!ていうか喋るか戦うかどっちかにしろ!]
『りょーかい」
この掲示板は過去ログ化されています。