ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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血觸症−Murderer(s) syndrome− 
日時: 2011/04/19 23:11
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

ほぼ初投稿です。自分の文を他人が読んでも変にならないかドキドキです、特に元になる話はないけど、時系列順じゃないから説明できないところがあるけどよろしくお願いします><
1話 >>1
2話 >>10

 まさか約三ヶ月も経ってしまうとは…忙しいのと戦闘シーンに納得がいかず、投稿を控えてましたが、最近は時間が開いて来たので再開シマス。下手くそですがヨロシクネ

第1話「殺人(者)嗜好」

一話の登場人物

副業俳優で高校生で血觸症で多重人格者の主人公:宝御示 交(ほうおんじこう)芸名は霧鎌 交

唯一交の血觸症のことを知っている親友:矢口 智嗣(やぐちともつぐ)

歌手で交のクラスメート:遠上 華波(えんじょうかなみ) 芸名はカナミ

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Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.10 )
日時: 2010/11/27 15:48
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)


第2話「歌姫(鯨)擬剣」

二話の登場人物

宝御示 交:高校生一年、最近よく俳優として呼ばれたりしている。血觸症があることを嫌っている。芸名は霧鎌 交
遠上 華波:小さい頃から歌手をやっている高校一年生。芸名はカナミ
矢口 智嗣:中学三年からの交の友人。血觸症の事を知っているが、実際に目撃したのは中3の時のみ。

Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.11 )
日時: 2010/11/25 15:35
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

  とある居酒屋
「えー、今回の舞台の無事終了と成功を祝して!」
 監督がグラスをあげると、周りもグラスを上に掲げる
             「「カンパーイ!!」」
 4時間前、先月売れに売れしたノンフィクション小説を題材にした、舞台の最終公演が終了した。俺は大して目立つ役ではなかったが、なかなかやりがいがあった劇だった気がする。
 現在、その打ち上げにいる。俺は未成年で酒はまだ飲めないので、オレンジジュースで乾杯をした。
 周りの俳優やスタッフ達は舞台のことを話していた、左に座っていた監督と舞台がどんな感じだったとか、これからどんな作品つくるだとか、そんなことを話していた。
 監督がその話をする対象を変えたとき、右側に座っていた今回の舞台の主役、超大物俳優の神谷 修也さんが話しかけてきた。
「君、確かアセール学院の1年2組だったよね? 」
 まさかここで学校の話をすると思わず少し驚いた、この人に学校の話をしたことあったっけ?
「そうですよ、よくご存知ですね」
 遠まわしに理由を聞いてみる。
「あぁ、すまない。私の娘が君と同じクラスでね」
 …え?
「…え?」
 しまった!口にだして知らなかったアピールしてしまった!
「遠上華波って君のクラスにいるだろ? あの歌手のカナミ。実は彼女は私の娘なんだ」
「えええ!」
 あまりの驚きにすごい声が出てしまった、周りの注目が俺に集まる。
「す…すいませんっ」
 あー、恥ずかしい、少し気が抜け過ぎかな。
 周りは先程の騒がしさを取り戻した頃、神谷さんは話を戻してきた。
「私の本名は遠上 修也だ」
「そ、そうなんですか…」
「それで、交君に少し頼みたいことがあるんだ」
 彼は俺の肩に手を回して、テーブルの下が視える程度に降ろした。
 そこにはCMでも使っている神谷修也愛用のスマートフォンがあった。
 画面は歌手カナミの公式掲示板のようなものを開いていた。
 そこには、目を疑うようなことが書きこまれていた。

 〈オマツリノヒ、カアサンノモトニツレテイクワ〉

 学校のお祭りとは、恐らく来月の学院祭だろう。確か遠上は中庭の特設ステージで歌う予定になっている。
 まさかその歌ってい最中でコレを実行する気なのか?
「…脅喝ですか? それとも頭が逝っちゃってるファンですか? 」
「わからん。だが娘のせっかくのライブだ、晴れ舞台だ、学院祭のメインイベントとまで先生に言われたのだ! なんとか成功させてあげたいんだ! 」
 若干親バカだなぁ、この人。というか俺にどうしろと言うんだ。
 本番中まであったカリスマ的なオーラがもうない、ギャップってこんなにも人を失望させるものなのね…
「うーん、それで。僕はどうしたら? 正直言いますと彼女と親しいわけじゃないですよ? 」
 そう、同じクラスだからと言っても俺は少なくても芸能人同士がプライベートで安易に喋るって言うのは色々と面倒が起きそうで避けてきたのだ。
 神谷さんは少し考えた後、ひらめいたように言ってきた。
「じゃあ、学院祭前後の彼女のボディーガードを頼みたい! 」
 フフフ、何言ってるんだこの人は。
 黙ってにっこりしていると
「だ、だめか?」
 と言って、プライベートを知らないファンたちのイメージをぶち壊すような顔をしてきた。
「というかそんなに心配ならそういうの雇ったらいいじゃないで—うわっ! 」
 後ろから酔っ払った女優2人に引っ張られる。
「ねー、コウくんは性格よくてよーしたんれーな私をえらぶよねーぇ? 」
「なぁに言ってんのよ! コウきゅんは酒臭じいしきかじょー女になんかきょうみないわよ! 」
「なによ! あんただってお酒臭いじゃない! 」
 俺の腕を離すと二人の女優は顔の引っ張り合いをしていた。
 うわー、酔った女って怖い。
「交君、後で2人きりで話そう」
 さすがにこの場で話す内容じゃないと思ったのか、彼の方から話を切ってきた。

Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.12 )
日時: 2010/11/25 15:39
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

 —約2時間後
 皆が食事を終わり、店を出て、2次会(カラオケ)に行くとなったとき。神谷さんが目で合図を送ってきた。
「自分、明日学校なので2次会はパスしてもいいですか? 」
 場の視線が俺に向けられる、酔っ払った俳優達は
「えーーぇ、いこーよー」 
「そうだぞー、わかいうちは勉強なんてヒックてきとーでいいんだよ! 」 
 とか言って腕を引っ張ってくる。
 あぁもう!面倒くさい!
「私も、用事があるのでここで失礼するよ」
 神谷さんが手を上げていた。
 皆顔からして「えー」って感じになっていたが。神谷さんが帰るとなったらさすがに止めれないらしい。
「仕方ないな。じゃあ霧鎌くん、神谷さん、今日はお疲れ様」
 監督がなんとかまとめてくれた、さすが監督。
 霧鎌って言うのは俺の芸名だ。
「お疲れさまでしたー」
 逆方向のカラオケ店に向かう皆に手を振る。
 一行が見えなくなった後、神谷さんが俺の手を引いて歩き始めた。
「こっちに、俺の行きつけの店があるんだ。そこで話そう」
 いつも通りに見えるが、わざわざ手を引くところからして、やはりこの人も酔っているのだろう。
 いかにも、と言わんばかりの渋いバーに連れてこられ、カウンター席に座った。
「いらっしゃい。おや、そちらは霧鎌 交さんですか? 」
「ちょっと舞台で共演になってね」
 マスター(?)に黙って会釈する。
「いつもので? 」
「あぁ、頼む」
 どうやらかなりの常連のようで、マスターから「いつもの」選択をされる神谷さん。これだけ見れば普通にカッコイイ役者なんだが…
「ところで、交君。えーっと。何を雇えばいいって? 」
「えっと、ボディーガード的な人を—」
「ダメだダメだ! 顔も知らない身元も知らない奴に娘を任せられるかっ! 」
 バンッ!とテーブルを叩く。俺は少しびっくりしたが、周りの客や店員は全く動じない。
「修也さんはね、お酒が入るといつもこんな感じなんだよ」
 マスターが【いつもの】お酒を神谷さんの前に出す。
「霧鎌さんは何か飲み物いるかい? 」
「あ。じゃあ、お茶をお願いしま—」
「ダメダ!俺と同じ奴だ!ヒック」
 見ると神谷さんは先ほど出されたグラスの酒をもう半分まで飲んでいた。この人もそうとうだな…
「はい、お茶ですね。修也さん、程々にされたほうがよろしいのでは? 」
「気にしなくていい! それよりも、どうにかできんのか娘は! 」
 完全に親ばかだこりゃ、心配しすぎでしょ…。
「まぁ…しかたないですね。学院祭の日は流石に人多いでしょうし、ステージの外から見てるだけですよ? 」
「うぬぬぬぬ。どうにか信頼できる奴を学校の警備に当たらせられんのか!? 」
 バンッ!。またテーブルを叩く神谷さん。
 確か、母方の親戚の兄弟に国際サミットの一部や超大規模な美術品の展示イベントなどを受け持つ、信頼が高い警備会社を運営している奴がいたな…。
「一応、血縁の運営しているヨーロッパの国際警備会社は知っていますが…」
「よし、それだ! いくらだ! 」
値段を聞かれても、正直、口に出せる程安くはなかった。
 …しかし。
 神谷さんの顔はいくらだって払うというような顔だ。
 いくら貴方がTVに出るほど大きい家に住んでいてもどうにもならない金額だってあるのよ…
「お金はどうにかしますよ。その会社は実績があるので信頼できると思いますよ」
「本当か! これで安心だ! ありがとう! 本当に!」
 神谷さんはそう言って、腕を伸ばし、抱擁をしてきた。
 困ったなぁ、その親戚って面識自体はあるけど、大して話さないしなぁー。
 …なかなか離してくれない、暑いんですけど。
「はい、お茶どうぞ」
 マスターが優しそうな笑顔で俺の前にお茶を出した。
「ありがとうございます。ていうか神谷さん、いい加減離してください」
「おおっと。すまん、ついついな…。マスター、もう一杯」
 神谷さんは手を離したあと、マスターにグラスを見せて言った。
 ていうかまだ飲むのかよ!
「そういえば、なんで僕なんですか? 」
「…え? あー、なんとなく」
 白々しい。
 さっきまでのが親としての遠上さんなら、なんとなくで俺を選ぶはずがない。知っているのか…または本当になんとなくなのか…
 そんな話題はすぐに消され、雑談が続いた。

Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.13 )
日時: 2010/11/25 15:46
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

—それから30分位。もう何杯飲んでいるんだろうこの人…。

「うぃー、マスター、もういっぱ…ぐー、ぐー…」
 遠上 修也、完全に沈黙!ってこんなこと言ってる場合じゃない!これは少し不味いんじゃないか!?
「はぁ…、また寝てしまいましたね…」
 マスターが携帯を取り出して、ため息をついていた。「また」と言うからには、いつも酔いつぶれているのだろう
「彼はね、元はあまり飲まない方だったんだ。でも奥さんと死別してからいつもこんな感じなんだ、男一人で娘を育てる、そのストレスを身にしみて感じているんだろうね」
 マスターは多分、タクシーを呼んでいた。
 神谷さんの奥さんは、6年前行方不明とあったと聞いたことがある。
「奥さん、死んでいるのわかったんですか? 」
「ええ、実は行方不明じゃなくって通り魔にあって殺されたんですよ。修也さんは娘に知られたくなくって、巨額の金を払ってでも奥さんの死を隠していたんです」
「まさか、そんなことが……」
 この人も、色々苦労してるんだな。
「だから、一般人には行方不明、死んでることを知っているのは修也さんと彼女の家族だけ。高校生の娘にもまだなんにも言ってないそうです」
 遠上は本当に知らないんだろうか。
 いや、気づかないハズがない。分かっているのだろう。
「申し訳ないんですが、タクシーで彼を送ってやってくれませんか? 」
 マスターが手帳に何かを書き込み、その部分をちぎって俺に渡した。
「別に構いませんよ? 運ぶの大変そうだけど」
 マスターからもらった紙には遠上家の住所が書かれていた。
 立ち上がって金を払おうと財布を出したとき、マスターが手を横に振り
「お勘定はまた来たときに修也さんにしてもらいますから。霧鎌さんはお気になさらず」
「ありがとうございます。ほら、神谷さん、行きますよ? 」
 完全に寝ている…。酔いつぶれた大人を担ぐのは初めてだ。
「それじゃあ、お気をつけて」
 マスターは笑顔で見送っていた。

 前に止まっていたタクシーに神谷さんを乗せ、その後俺も乗る。
「ここまでよろしくおねがいします」
 さっきの住所が書かれたメモを渡す。
 タクシーが発進する。彼はブツブツと寝言を言っていた。
「真唯…すまない…真唯……」
 真唯、とは、多分奥さんのことだろう。彼は今どんな夢を見ているのか…。
『おい。交、血觸症使ってみろ』
 多重人格の片方が喋る、あまりコイツから口をだすことは無いのだが、なにかあるのだろうか?
[いきなりなんだよ…]
『いいから、さぁ』
 推されるがまま、血觸を発動させてみる。
 そこには、驚きの光景があった。
 
 美しい女性の霊体が、夢で涙を流す遠上修也の手を握っていた。

Re: 血觸症−Murderer(s) syndrome−  ( No.14 )
日時: 2010/11/26 01:44
名前: アぶそりゅート (ID: 3CNtvX8U)

 悪い霊には見えない。だがしかし、彼女はとても哀しい顔をしていた。彼女が遠上真唯なのだろうか。
『死してなお、いや、死んだからこそ。あの男を思い、いつもそばにいるんだろう』
[未練がある霊でも、悪い霊ばかりじゃないんだな。彼女は酔いつぶれた彼をいつもあの哀しい顔で見つめていたんだろうな]
『めったに無いが、あれは見てるオレ達も辛い。交、なんとかしてあげるのも、良しでは無いか? 』
 …殺しの為の能力が人を救えるのか? 分からない、コイツは俺に何をさせたいのだろうか。
 何時も感情や敬意という言葉と無縁そうなコイツは、何かを期待するような目で俺を傍観(みて)いるような気がした。


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