ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ
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- 私が書いた小説はただの妄想に過ぎなかった。
- 日時: 2011/01/08 12:11
- 名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)
初回作『隠忍』に基づいた二作目。
よろしければどうぞ。
荒らしは無視。
- Scenery that reflects under em ( No.28 )
- 日時: 2011/03/31 11:28
- 名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)
—空 の 下—
「日向!ちょっとこっち手伝ってもらえる?」
私は政府から届いた物資を避難所に運ぼうとしていた。
しかし、あまりの量に一人で運べるはずもなく、泣く泣く日向に
助けを求めた。
「うん!今すぐ行く」
炊き出しを行っていた日向は手を洗い、こっちへ走ってきてくれた。
「わぁ、すごい量だね。もっと他の人も呼んでこようか」
「ううん。みんなそれぞれ頑張っているから、こっちは私たちで
やっちゃおう!」
私と日向はせっせと運び始めた。
「ふぅ〜やっと終わった・・・・。結構力仕事って大変ね」
「悠は女の子だからね。僕は全然平気だったけど」
「うわっむかつく!私だって女子にしては力はある方です」
「はいはい。でも、あんまり無理しないで」
そんな会話をしながら、私は空を眺めていた。
———————————その時、
急に目の前が真っ白になった。
かと思うと、見たことのない映像が次々に出てきた。
殺す 助 ママ!!
け
あ て テロ
な 痛い…
た
は 隠した
場
やめて 所 悠!!
り
切 も
裏 の
知ってるような声
女 男 子供
かすれて弱々しい声
泣き叫び
立つくし
欺き笑い
血
憎しみ
悲しみ
苦しみ
残酷な風景・・・・・・・
これは
———————————カクシノ
そして
これから起こる未来……
「・・・う・・っ・・・ゆう!悠!!!!」
ハッ
気がつくと、6人が私を囲んでいた。
私はびっくりするくらい汗をかいていた。
「あ・・・・」
「大丈夫か?」
玲央が私の頬に手を当てて心配そうに聞いた。
「・・・うん。ごめん」
「カクシノだな?」
煌が真剣な表情で私を見つめる。
私は黙って首を縦に振った。
「どんな内容だったかは聞かない。だけど、何か心配なことや
疑問に思うことがあったら、なんでも俺たちに言ってくれ」
あの残酷な風景を思い出しては、鳥肌がたち、それ隠すのに必死で
ただ黙ってうなずくことしかできなかった。
震えが止まらない・・・・
これから何が起こるっていうの
怖い
また誰かが死ぬの?
そんなのいや
「悠・・・・」
私の震える体を暖めるように、6人は私のそばを離れずに
支えてくれていた。
大丈夫・・・・
私は一人じゃない
必ず未来は変えてみせる
私の命が削られていくとしても
私の力で
- A thoughtless idea : unhappily ( No.29 )
- 日時: 2011/04/01 11:31
- 名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)
—7 人 の 家—
「はい、悠の好きな僕特製の紅茶だよ」
と言って、日向は私の大好きな温かい紅茶を淹れてくれた。
「ありがとう。・・・・はぁ、本当に日向の淹れる紅茶はおいしい!
とっても落ち着くよ」
「そう言ってもらえるとうれしいね」
「でも、良かった。だいぶ落ち着いたみたいで」
煌が微笑んだ。
「うん・・・。ごめんね、ありがとう」
「気にするな。早くこういうことに慣れれば、倒れたりしなくても
カクシノの力は使えるようになる」
「慣れると立ったままでもカクシノは使えるんだ。でも、それは自分の
意思じゃなくて、勝手に出てきてしまうの?」
「いや、今はまだ力がしっかり保ててないから勝手に出てきてしまうが
慣れれば、自分が力を使いたいときだけに現れる」
「だが、なるべくその力は使わないほうがいい」
「築茂の言うとおりだ。前にも説明したように、力を使うごとに悠の
寿命は短くなっていく」
「うん、大丈夫。分かってる」
寿命が短くなっていくということをまだ実感できてないが、
きっと本当なのだろう。
6人を心配させないように、私は力に頼らずに道を開いていかなきゃ…
しばらくの沈黙が続いた・・・・・。
その答えは全員が同じことを思っている。
でもそれを口に出すのが怖い。
私がさっき見たものは一体何だったのか。
みんなは私に気を使って話題にさせないようにしている。
だけど、やっぱり気になって仕方ないんだ。
私も話すのははっきり言って、あまり好ましくない。
だけど、みんなを信じているし、みんなに話したいという想いもある。
私は決心をして、口を開いた。
「あ・・・さっきのカクシノのことなんだけど……」
全員が少し気が抜けたようになったが、私の話にしっかり耳を
傾けようとしていた。
「さっき見た映像は、たぶん・・・未来のことだと思う。
これから起ころうとしている残酷な風景だった。怖かったわ」
「未来・・・・」
大和が深刻そうに未来と言う言葉を口にした。
「いろいろな声といろいろな風景が次々と現れたの。どれも悲しくて
辛くて、苦しくて、憎しみがあふれていたわ。
男の人、女の人、子供・・・本当にさまざまだった」
「場所はどこだったか分かるか?」
築茂が腕を組み、考えながら聞いた。
「うーん・・・はっきりとは覚えてないんだけど、真っ暗だったり、
真っ赤だったの。木や建物は何もなかった」
「どんな言葉が聞こえた?」
「テロ・・ママ、やめて、あなたは・・・あと痛い、えーっと助けて
って言うのも聞こえたわ。あとは・・・隠した場所とか裏切り者とか
そういうのもあった。あっあと私の名前も呼ばれた気がする」
「テロか・・・。やはりまだまだ何かしらが起こるみたいだな。
もしかしたら、真っ赤だったのは炎かもしれない。泣き叫ぶ人たちは
その場にいて、生き残った人たち・・・」
「でも、誰も知らない人たちばかりだったし、知らない声もあったわ。
ただ、どこかで聞いたような声もあった。それがよく思い出せない
んだけど・・・・」
私たちはそれぞれあらゆる可能性を考えていた。
「あ———っもう!!」
途端に空雅が頭をかきむしながら、立ち上がって声をあげた。
「考えてもこんなの分かるわけねーだろ!?俺たちは今できることを
しようぜっ。で、そのあとに考えればいいじゃん」
みんな目を丸くしたが、途中から怖い顔から笑顔へと変わっていくのが
分かった。
「ははっ、空雅の言ううとおりだね」
「だろっ!?日向は分かってくれたな」
「お前もたまにはいいこと言うじゃん」
「何だとっ大和!!俺はいつもいいことしか言ってねーし」
「そんじゃ、今は俺たちができることをやりに行くか!」
煌の掛け声で全員が勢いよく家を飛び出し、車に乗った。
もちろん、向かう場所は・・・・・被災地
私たちが今できること。
それは、まぎれもなく困っている人たちを助けること。
今を見つめて、今やれることをやればいいんだ。
私たちはなぜこの時、もう少し冷静に考えなかったのだろうか。
この時のこの判断が、またたくさんの人を犠牲にするとは・・・・
考えてあることに気づいていれば、起こらなかったかもしれない
- All members are sets in sunlig ( No.30 )
- 日時: 2011/04/04 12:08
- 名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)
—日 差 し が 照 ら す 中—
「いや〜ずいぶん頑張ってるね」
いつも通り避難所のボランティアをしていたら、S高校で生き残った内の
一人である、校長先生が私に声をかけた。
校長先生もテロにより、家族を失い家を失った。
以前のような元気な姿ではなく、古ぼけたジーパンにジャンバー、顔は
痩せて疲れている様子だった。
「校長先生!お久しぶりです。大丈夫でしたか?」
「あぁ、私は一応ね。でも、君が無事だったのが何よりだよ。君は、
次世代の希望の星だからね」
「まさか!そんなんじゃありませんよ。ところで、もうお昼はお食べに
なりましたか?まだでしたら、よそってきますが・・・」
「いや今はあまり食べる気にはなれないんだ。少し風に当たっている
ほうが気が楽でね」
「そうですか・・・。でもあまり無理はなさらないで下さいね。
何かありましたら何でもすぐにおっしゃって下さい」
「いや〜ありがとね。君もボランティアはいいが、しっかり自分の体も
大切にするんだよ」
「はい!お気づかいありがとうございます。では」
普段の学校生活でも私は校長先生とはよく話していた。
大人の相手の話をすることは、同い年の人たちと話すより楽だった。
そのため、校長先生にはいろいろなことを頼まれたりして、学校の事を
動かしたりもしていた。
「悠ちゃん!校長先生と何話してたの?」
作業に戻ろうとしていたら、また誰かに声をかけられた。
青木美鈴だった。
彼女の家族は東京にいるため、無事だったらしい。
しかし、そんな彼女は家に帰ろうとはせず、この避難所で今もまだ
過ごしている。
しかし、無理にその理由は聞く気にはなれない。
「あー美鈴ちゃん。いや、ちょっとした世間話だよ」
「ふーん・・。なんか・・・悠ちゃんちょっと雰囲気変わったね」
「えっ!?嘘!どこがぁ?」
「う〜ん、何ていうか、前は優しすぎて控えめだったけど、今は前より
たくさん笑うようになったかも!!」
驚いた・・・・
結構周りには分かってしまうものなんだ。
確かに前の私は偽りだった。
心から笑えたことなんて一度もなかったし・・・・
私・・少しずつ変われているのかな
「そう?そんなことないと思うけど」
何とか誤魔化そうとした。
「ううん!絶対変わった!なに〜?なんか嬉しいことでもあったの?」
にやにやしながら顔を近づけてくる美鈴ちゃんは、とても楽しんでる。
「違う違う!何にもないって!!」
「え〜?本当に??」
「本当!!本当だってば!」
「・・・・・ま、いっか。今はそんなこと言ってる場合じゃないしね」
「そうだよ!うん、さ、早くやらなくちゃ!!」
何とか話しをそらして、私たちは一緒に作業をし始めた。
「おっ!悠ちゃんに青木じゃん」
「あっ淳也じゃん。何してんの?」
「いや、ちょっくら散歩?でも悠ちゃんに会えるなんてラッキー」
「うわっ私じゃねーのかよ!」
「はぁ?おめ—なんか眼中にもないわ」
「何だとー!!あんたこそ、女の子にもてないつらしてるわ!」
とまぁ、こんな感じで教室でもよく見ていた、バトルが始まった。
声をかけてきたのは、佐川淳也。
彼も生き残った内の一人だ。
美鈴ちゃんとは幼馴染らしく、昔からよく喧嘩をしていたらしい。
「ああー!!!またやってるぅ」
「ほんとだ!あっ悠もいるよ!!」
またここで聞き覚えのある声が聞こえた。
声のするほうを振り向くと、満面の笑顔でこっちに向かってくる
田辺真希と皆藤里沙がいた。
「あっ真希!里沙!」
「美鈴〜!会いたかったぁ」
「また淳也ともめてたの?あきないねぇ」
キャッキャッ言いながら、女子だけで話し始めて、淳也は相手に
されなくなった。
少しすねながらも、嬉しそうだった。
「おお、みんないるじゃん」
バケツを両手に持った峯村龍樹もここに合流した。
「わぁお、峯村何やってんの!?」
バケツを見て、目を丸くしながら里沙が聞いた。
「何って・・・手伝ってんだろ!ボランティア。お前らも手伝えよ。
若いものしか働けねーんだからさ」
「それもそうね。じゃ、みんなで手伝おっか」
美鈴ちゃんの掛け声で全員が動き始めた。
私はそんなみんなの姿を見ながら、絶対にみんなを守ると誓った。
何があっても私は生きようとしている人たちを見捨てない。
絶対にもう犠牲者は出さない。
出したくない。
「ん?どうしたの、悠ちゃん」
淳也が立ち止ったままの私を見ながら、首をかしげた。
「あっううん。何でもない。さっ行こう」
「ああ」
“絶対に守るからね”
そう、心の中で叫んで勢いよく走りだした。
- Re: 私が書いた小説はただの妄想に過ぎなかった。 ( No.31 )
- 日時: 2011/04/08 20:18
- 名前: 風(元:秋空 ◆jU80AwU6/. (ID: sCAj955N)
初めまして,「I」と言う小説執筆してます駄作者風です。
凄いですね……設定の練られ方が!題名も素敵だと思います^^
唯,間の置き方が広すぎる様な気もします(苦笑
妄想は女の子を綺麗にすると言うのは私も同感です(チラっと見えました
では,頑張ってください!!
- The betrayer is a companion. ( No.32 )
- 日時: 2011/05/15 15:09
- 名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)
—テ ロ 発 生 か ら 二 ヶ 月 後—
あれから二か月が過ぎた。
S高校に在籍していた、教師・生徒は隣の県のとある都市の高校に
全員通うことになり、今に至っている。
そこでの生活が始まったのは、約1週間前から。
全校生徒約1000人と言う、とても大きな学校だ。
クラスのみんなともだいぶ慣れ、あの日のことは誰も口には出さず、
楽しく過ごしていた。
「次、音楽だよ!早くしないとチャイムなっちゃうっ」
「あーごめん、先に行ってて!ちょっと用事があるんだ」
とこの学校で新しくできた友達に言い残して、すぐさまとある場所に
足を急がせた。
自然に囲まれたこの学校は、とても気持ちがいい。
とくにこの時期の緑は最高の眺めだ。
5分くらい歩いたところで、人通りの少ないところから靴に履き替えて
6人の待つ場所まで来た。
あたり一面、木に囲まれていて普通の人は気付かない絶好の場所だ。
ここへ来て、すぐに見つけから私たちの秘密の場所となった。
「おつかれ。授業大丈夫そう?」
「うん。先生に許可とっといたから。で、早速どうする?」
「一応、今までのことについてまとめよう」
そう言って、煌が落ちていた木の枝で地面に何やら書きだした。
「このところ、悠にカクシノの力は出ていない。そして、奴らも何も
仕掛けてこない。これは良いともとれるが、かなり危険な状況だと
思う。何か裏があるはずだ」
「だとすると、一体何が目的なんだ・・・?」
「築茂の言うとおり、今の状況からでは奴らの目的が見えてこない。
だから、俺たちももう本格的に動こう」
「動くって言っても、どうすんだよ?」
空雅が首をかしげる。
「まずは、極秘に奴らの手掛かりを探そう。もしかしたらテロリスト
たちは案外近くにいるかもしれない」
「それは私も同感。というか、恐らく元S高校の教師・生徒の中にいる」
私の言葉に6人は驚いた顔を見せた。
「え?みんな気付いてないの?」
私は逆に驚いてしまった。
「悠、それってどういうこと!?」
日向が珍しく声をあげた。
「えーだってさ、見てれば分かんない?あぁこの人は怪しいなとか」
「全然分かんないし!悠は気付いてるの?」
「この二ヶ月間、ずっと観察していたんだよ。そんで、だいぶ怪しい
人物がいるんだよね。行動、言動、表情・・・あからさまに怪しい」
「それでそれは誰なの?」
「まぁ大体は全員怪しいけどね。全員が容疑者候補だよ。みんなも
注意深く見てみて。絶対に分かるから」
「しかし、こんなに近くにいて見張られているんだとしたら、あまり
動きたいようには動けないな」
玲央が腕を組みながら、考える。
「それもそうだよな。だけど、なんで何も仕掛けてこないんだ?」
大和も眉をよせる。
「それを今から追及していこう。じゃあまずは、それぞれの周りの
ちょっとした変化にも敏感になること。そこから、全員で考えよう」
全員が煌の合図に頷く。
「よし。じゃあ今日は解散!またあとで」
そう言って私たちは別れた。
木に囲まれた秘密の場所から一番最後の出てきたある一人が携帯を
ポケットから取り出した。
その人物は誰かに電話をかける。
相手が出たようだ。
「あぁ。こちらは順調ですよ。今も特に怪しまれることはありません。
ただ奴らは元S高校の教師・生徒の中にテロリストがいるということは
勘づいているようだが・・・」
『そうか。引き続きやつらの仲間のフリして見張っていろ。何かあれば
高校内にいる仲間に言え』
「了解」
そんな会話をし終えた、ある人物は何事もなかったかのように校舎内に
戻って行った。
電話の相手は電話を切った後・・・・
『ははは。この調子なら神崎悠を殺せるのも時間の問題だな。
まさか、自分の仲間にテロリストがいるなんて思わないだろう』
そうしてまた新たな事件が発生する。
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