ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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私が書いた小説はただの妄想に過ぎなかった。
日時: 2011/01/08 12:11
名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)



初回作『隠忍』に基づいた二作目。


よろしければどうぞ。
荒らしは無視。

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One story of the truth ( No.23 )
日時: 2011/03/24 15:09
名前: 涙歌 (ID: WJdkfPQp)



—真 実 の 話—



 現代の社会は、情報社会、少子高齢社会、循環型社会など現実味の
 あるものばかりだ。しかし、今から語られる内容は全く現実味の
 ない、事実であり、恐ろしい話だ。




 神崎悠と言う少女には誰もが欲しがるある能力があった。
 それは、過去、未来をその場にいるかのように目に映し出される物。
 
 その力の名は“カクシノ”




 しかし、この力には大きな代償がある。
 1回この力を使うごとに、寿命が5分短くなる。
 あまり長く感じないかもしれないが、力を使うごとに体力的にも
 精神的にも辛くなる。
 それによって、初めは自分の思い通りの力だと思い込み、たくさん
 使おうとするが、次第にこの力が疎ましくなる。
 そして、この力を封印しようとする。



 この力を封印することができる「ある物」がある。



 それの「ある物」の名は“慾手仰”


 慾手仰(よくしゅこう)にはさまざまな種類がある。
 一時的に力を抑える物、長期間抑えることができる物、別の人間に
 力を渡すことができるもの、など他にもたくさんある。



 その中で、神崎悠は一時的に力を抑える慾手仰を自ら口に含んだ。
 それを含むと約2年間、カクシノを抑えることができる。
 しかし、それと同時に今までの記憶が全て、まったく違うものに
 作り変えられ、それまでの記憶は削除される。
 代償が必ず付いてくるのだ。
 中には命の半分を削られる物もあると言う。


 神崎悠が慾手仰を含んだのは、彼女が中学2年生の時。
 あれから2年が過ぎた。



 ついにカクシノの力が復活する時が来たのだ。




 


 しかし、カクシノは誰もが欲しがる力。
 力を持っていると知られれば、すぐさまに恰好の餌食になる。
 この世界でカクシノの力について知っている人間は約1万人。
 彼らには2パターンの人間に分かれる。

 何としてでもカクシノの力を手に入れようとする者。

 手段を選ばない彼らは、どんなことをしても何も思わない。
 それによって、まったく関係のない人間を平気で殺す。

 そして彼らに殺された人間の家族は、神崎悠を殺そうとする。

 こいつさえいなければ、と変な感情に流されてしまうのだ。
 そして、何としてでも彼女を殺そうとする。




 ここで一つの疑問が湧いてくる。
 
 こんな話はほとんどの人間は絶対に信じない。
 しかし、なぜこの世界に1万人もの人間がこの力を知っているのか。


 1万人以上に広まらないのは、彼らが普段は普通の生活を
 しているためである。
 カクシノについて知る人間が多ければ多いほど、ライバルは増える。
 つまり、これ以上のライバルを増やすまいと、この力については
 一切公表をしようとはしない。
 万が一、公表したとしても、信じてもらえるわけもない。


 では、なぜ彼らはカクシノについて信じているのか。




 それは彼女が慾手仰を含む前の、約2年半前にまでさかのぼる。
 2年半前のある出来事で、一部の人間を興奮させてしまったのだ。
 


 しかし、2年前に慾手仰を含んだことで、カクシノについては
 ひと段落をしたのだ。




 しかし、ある物をきっかけに再び、彼らを興奮させてしまう。


 それが、あの「小説」







 あの「小説」を見た人間の一部で、これはカクシノではないのか
 と言う噂が広まった。
 そして、本格的に彼女を手に入れようとする者、彼女を殺そうと
 する者が動き始めたのだ。





 神崎悠と幼馴染の6人の男たちは、彼女を守るために、一度消した
 姿を再び、彼女の前に現したのだ。
 これまでの流れは全て、把握していた彼らは、彼女に不審に
 思われないように、多少の嘘は致し方がなかった。



 そして、彼女に全てのことを話し、欲望に満ち溢れたやつらと
 戦う事を決心したのだ。

















全ての話を聞き終えた私は、一息をついた。




嘘のようだが、作り話にしてはつじつまが合っている。

おそらく、さっき見たものは「夢」ではなく、

「カクシノ」だったのだろう。




彼らは最初から「脳」に関係してるとかしてないとか知っていたのだ。
 
私に嘘をついて近づいたのだ。




——————————————いや、違う







彼らは私を守りたいだけなんだ。




私に「カクシノ」と言う力があることは理解できた。

これから恐ろしいことが起こることも予想が付く。




一体これから私は、どれだけの人を傷つけるだろう・・・・・











私の力はこれから、何に役立つのだろう・・・・・・・













それでも私は、絶対に逃げたりなんかしない。


Hope not visible ( No.24 )
日時: 2011/03/25 10:48
名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)




—目 に 見 え ぬ も の—
 



「・・・悠?」

話を聞き終わった後、だまり込んでしまった私を心配そうに
日向が私の名前を呼んだ。


「あ・・ごめん。でも、大丈夫だよ」

私は微笑んでいた。

いつの間にか、彼らに心を許し、名前で読んでいたことに
自分自身でも驚いた。


「お前はこの話を信じるか?」


玲央が確認するように聞く。


「今はよく分からない。だけど、きっと信じるよ。
 それについさっきも、カクシノの力が出ていたんだ」

私の一言で6人は目を丸くして、驚いていた。

「え・・・?マジで!?」

空雅が声に響く大きな声を出した。

「うん。よくは覚えてないんだけど、たぶん慾手仰を私が食べようと
 していたところを6人が止めようとしていた場面だと思う」

「そうか・・・。でも元気そうで良かったよ」

「うん、ありがとう」


私の笑顔に6人は少し戸惑いを見せた。


「ん?どうかした?」


「あ・・・いや、悠が俺達に笑顔を向けていたから・・・その、
 びっくりしたんだよ。だって、あんなにも反発していたのに」

煌が珍しく、ドギマギしながら答えた。


「ふふふ。本当だよね。何でだか分かんないけど、6人ならいいかなって
 思ったんだよね。今までいろいろとごめんなさい」

私はペコリと頭を下げた。


「私、6人のことなら信じられるような気がする。
 本当の私の姿を見せられるような気がする。ううん、見せたい」


自然と言葉が出た。


でも、偽りはなかった。




信じてみたい、人を。

愛してみたい、人を。




「良かった。悠にそう思ってもらえて」

煌がやさしく微笑む。


「でも、まだ分からないことがあるから、一つずつ質問してもいい?」

「あぁ、もちろん」



私は話を聞いていた中で、疑問に思うことを頭の中で整理していた。



「あのね、慾手仰を口に含むと記憶が消されて、全く別のものに
 創り変えられてしまうんだよね。ってことは、あの小説を見る限り、
 前の記憶が想像や妄想となって出てきて、私はあの小説を書いたって
 ことなの?」

「あぁ、そうだ。説明不足で悪かったね。慾手仰にはさまざまな力が
 あるんだけど、その中で、悠が口に含んだものはまだ代償が少ない
 ほうだったんだよ。この慾手仰の効果を知っている者たちは、すぐに
 カクシノを持っている人間だと分かったんだ」

「カクシノの力を持っている人間は私以外にいないの?」

「今のところは見つかっていない。だが、もしかしたら持っているが
 自分で気付いてない人間、持っていると自覚しながらも意味が
 分からない人間、意味が分かっていても狙われることを恐れて隠して
 いる人間がいるかもしれない」

「カクシノを持っているとすぐに分かることはないの?
 例えばカクシノの力が出ているときは体のどこかに異変が
 起きたりするとか・・・」

「いや、それは見つかっていない。だからこそ余計に危険なんだ。
 カクシノを持っていると誤解されたり、神崎悠だと誤解されたりして
 殺されてしまった人間もたくさんいる」


ドクン

“神崎悠だと誤解されて殺されてしまった人間”

それは、私がいなければ殺されてなかった人間


私が殺したも同然——————————・・・・・




「一つだけ言っておく。悠のせいで人が死ぬわけじゃない。
 おかしいのは人を簡単に殺すことができる人間だ」


私の表情から心を見透かしたように、築茂が言葉を放った。


「・・・・分かってる。あ、あと2年半前の出来事で、私の力を
 ほしがる人間が出てきたんだよね?
 その出来事ってどういうものだったの?」

「・・・それは、ちょっと話が長くなる。それにまだ、話すことは
 できないんだ。ごめん」

「どうして?」

「悠が書いた小説の中に“風峰暁”っていう人間が出てきただろ?
 その人も現実に存在するんだ。そして、小説と同じような性格、
 職業なんだ。その人から、まだ言わないでくれって言われてる」

「分かった。みんなのことを信じるわ。必ず話してくれるって」

「ありがとう」

「あと、私の前の記憶は戻ることはあるの?」

「カクシノの力が戻れば全てを思い出すよ」

「じゃぁ、6人と過ごしていた日々も・・・?」

「あぁ、そうだ。今のお前には全く覚えていないかもしれないが、
 間違いなく俺たちは幼いころから一緒にいた」

「そうなんだ・・・・。それで、私はこれから何をすればいいの?」

「とにかく自分が危険な立場にあることを自覚しておいてほしい。
 いつ殺されてもおかしくない状況だ」


「でも、絶対にそんなことは俺たちがさせない。俺たちが悠は守る」


煌が話し終える前に、大和が強い口調で断言した。


少し、びっくりしたがその言葉はとても嬉しかった。


「ありがとう、大和。でも一つだけ約束して、みんなも」



私の言葉に真剣に6人は耳を傾けようとしている。

“守る”

この言葉は嬉しいと同時に不安も出てくる言葉。





「自分の命を守れない人間が、人の命を守れるわけがないわ。
 だから絶対に、死なないで」




真剣なまなざしで6人に訴えた。




人を守ろうとすると自分の身を守る本能が薄くなってくる。
 
そうすると、平気で自分の命をかけられてしまう。

そんなことは、絶対に許さない。

6人が私を守りたいように、私もみんなを危険な目に合わせたくない。

取り残されることだけは心の底から嫌だ。


6人には分かってほしい。



「あぁ、分かってるよ。俺らは絶対に悠を一人にはしない。
 何があってもそばにいるよ」


大和も5人も私の気持ちを全て理解してくれたみたいだった。




「ありがとう」






希望が見えてきた。

でもやっぱり怖い。

でもそんなのは当たり前だ。



“希望のない恐れもなければ、恐れのない希望もない”





だから私は、彼らと一緒に戦う。

There is a face in the back in ( No.25 )
日時: 2011/03/30 12:28
名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)




—裏 の 裏—



日本大規模テロ事件から2週間が過ぎた。

今もまだ復興へは程遠い現状だ。

私たちの住んでいたM市の住民のほとんどが住む場所を失った。

もちろん、私もそうだ。

だから今は、東京にある彼らの家に住んでいる。

しかし、まだ普通の生活には戻れる訳も無く、M市で被災者に対しての
ボランティア活動をしていた。

市内の学校で建物自体が残っているものは少なく、残っていたとしても
あまりにも授業ができるような姿ではない。

そのため、生き残った生徒、教師は避難所でぼーっとするしかなかった。




「それにしても、みんなだいぶ精神的にも辛そうだな」

S高等学校で生き残った生徒の一人で、一緒にボランティア活動を
していた、峯村龍樹が手を洗いながら言った。

私は罪悪感を感じながらも、答えた。

「・・・本当だね。でも今はまだ若い私たちが頑張らなくちゃ」

「お前はいつも前向きだよな。初めて話したときだってめっちゃ
 親しみやすかったし」

峯村とは生き残った中で、大和と築茂をのぞいたら、唯一同じクラス。

頭はそこそこで、スポーツが大好きでとても明るい少年。

しかし彼も、今回のことで家族や友達を失った。

「そう?そんなことないよ。私から見たら峯村のほうがすごいと思う」

「はぁ?ウソだろ。こんな俺がお前なんかに勝てるわけないっつーの」

「勝ち負けとかじゃなくてさっ」

そんな他愛もない話を峯村としていると、とても落ち着いた。




「でもさ・・・・なんでこうなっちまったんだろうな」

峯村の一言で現実に引き戻された。


そうだ・・・・

幸せなんかに浸っている場合じゃない。

私のせいでこうなってしまったんだから・・・・・。


私は少しの間、黙り込んでしまった。


「なーにやってんの?」

私の様子がおかしかったことに気付いたのか、大和たちがそこにいた。

「やることたくさんあるんだからさ、辛気臭い顔してないで
 頑張ろうぜ!!」

空雅が白い歯を見せて、二カッと笑って言った。

「・・・うん。そうだね、ごめん」



やっぱり、6人といるときが一番元気が出る。

不思議なくらいに・・


「あっ峯村・・・だっけ?久しぶり、生きててくれてよかったよ」

煌が峯村に気付き、声をかけた。


そういえば、事件が起きてから6人は初めてここに来たのか。

いろいろ説明してあげないと・・・・


「春日井先生もお元気そうでよかったです。じゃあ俺はこれで」

そう言って峯村は頭を下げて、走り去って行った。



慌てて逃げているように見えたのは気のせいだろうか?




「ふーん・・・見た目によらず、礼儀正しい子なんだな。
 学校であったことなんてほとんどないのに、名前まで覚えてる」

「とてもいいやつだよ。煌こそ、生徒の名前きちんと覚えてたんだね」

「まぁね。記憶力だけはいいですから」

「ほかにも、生き残っていたやつはいるんだろ?」

「そうだよ、築茂。ほんの数人しかいないけど、すぐに会えるよ」

「じゃぁ、俺たちも手伝おうぜ」











私たちはまだ知らなかった—————————・・・

S高校で生き残った中に










テロリストが紛れ込んでいたとは・・・・・・











「ええ、こちらは大丈夫です。まだ気付かれてはいません。
 はい、もちろんです。必ず神崎悠は殺します。
 
 そちらのほうも準備をよろしくお願いします」



ピッ。




「ふっ・・・・。
 さーて、あのむかつく顔、めちゃくちゃにしてやるよ」












「神崎悠さん」

Re: 私が書いた小説はただの妄想に過ぎなかった。 ( No.26 )
日時: 2011/03/30 20:22
名前: 梨聖 (ID: VNP3BWQA)

なッなッなんという題名ッッ!!
実は私も大の妄想好きで小説を書いてるんですが・・・。
なんか怖くなってきました・・・。

ありがとう(-^〇^-) ( No.27 )
日時: 2011/03/31 10:31
名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)


コメントありがとうございます(´∀`*)
妄想をしてこそ、女の子は輝きますからね♪

これからもよろしくお願いします(・∀・)


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