ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

私が書いた小説はただの妄想に過ぎなかった。
日時: 2011/01/08 12:11
名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)



初回作『隠忍』に基づいた二作目。


よろしければどうぞ。
荒らしは無視。

Page:1 2 3 4 5 6 7 8



Re: 私が書いた小説はただの妄想に過ぎなかった。 ( No.13 )
日時: 2011/01/08 17:35
名前: 山田涼子 (ID: EM3IpZmD)



 こんばんわww

  いやいやほんとに行き過ぎた真似なんかして・・・・。

マジでスマソ‘

  今度からはちょくちょく来ますんで!!

私の小説もヨロシクです!!

The chance is all novels that ( No.14 )
日時: 2011/01/16 11:09
名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)



—休 み 時 間—



「悠ちゃん!本当なの!?」


休み時間になるとたちまち私は生徒に囲まれる。

めんどくせーな・・・



「あの人達と幼なじみって」


「あー・・・うん。そうみたいだね」

キャーキャー言う女子のくだらない質問に
適当に答える。


「おい、悠」



鬼藤大和。

さっきまでうるさかった女子どもが一瞬にして黙る。

全員が彼に注目する。


「何?」

「何って・・・お前が学校を案内してくれる約束だろ?」


知らねーよ、何様だ。

ま、ここを逃れるにはいい口実だ。


「あーごめん。そうだったね」

「廊下で全員待ってるから。早くしろよ」


「じゃ私も行くね。ごめんね」

女子にそう言って彼らの後を追った。








薄暗い誰もこなそうな廊下に彼らはいた。

そしてひと目で彼らの区別がついた。


ネクタイを染め、きちっとしたスーツ姿なのは恐らく
教師として来た、春日井煌。

優しそうな表情をして柔らかいオーラを放っているのが
荻原日向。

生意気そうな顔に、6人の中で一番小さいのが
月次空雅。

冷めた目に何事にも無関心そうな顔をしている彼は
氷室玲央。

教室ではあまり口を開かず、完璧な頭脳派のようなのが
橘築茂。

そして、一見クールそうだが熱い心を持っているのは
鬼藤大和。


全員私が書いた『隠忍』の小説のなかに出てくる
キャラクターとぴったり合う。

こんなことが、ありえるのだろうか。






私はこれから何を知るのだろうか。

私はこれから何を聞かされるのだろうか。

そしてこれは一体どういうことなのか。








すべては私が書いたただの小説がきっかけだった——————。



Girl who knew completely ( No.15 )
日時: 2011/01/23 09:31
名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)


—不 思 議 な 廊 下—



「初めまして。神崎悠さん」

最初に口を開いたのは春日井煌だった。



「そういうのはいりません。今この状況をご説明くだ さい」

私の丁寧な挨拶に全員が多少驚いたような顔を見せる。


「それとも、そんなに話ずらい内容なんですか?」


私の言葉に全員が黙り込む。



ふーん・・・・。なるほどね。

悪いけどあんたらに怯えているような私じゃない。

むしろこの状況を楽しんでるよ。

何を聞いてもたぶん私は驚かない。




「君もこんなのありえないと思っているだろう。しか しそれは、俺達も同じなんだよ」

「どういうことでしょうか?」

「君が1年ほど前に書いていた『隠忍』と言う小説は 本当に君が書いたものなんだよね?」

「はい、その通りです。そこに私が思い描いたキャラ クターたちがあな たたちそっくり・・・・いや、 全く同じ人間なのです」

「そう・・・。最初、君の小説を読んで驚いた。名  前、性格がはっきり書かれていたからね。そして、 その後なぜ君がこの小説を書いたのか知りたくなっ たんだ」

「まぁ、普通に考えれば見知らぬ他人の書いた小説  に、自分の名前や性格が正確に書かれていれば君  が悪いですもんね」

「それも理由の一つだ。でも、どう考えてもおかしい んだ」

「おかしいですね。こんなことは現実的に考えてもあ りえない。あなたたちはその謎を解明するために、 ここへ乗り込んだんでしょう?」

「さすがだね。俺達はこれには誰かの力が加わってい るような気がするんだ」

「誰かの力?しかし、私やあなたたちをコントロール できる人間がどこにいるでしょうか?」

「それもそうなんだけどね・・・。だから余計にやや こしくなってくるんだよ」



確かに私が想像で書いた人物が、現実に存在していたとするならば
これは何か裏がある。

一人ならまだしも6人はただの偶然じゃない。

私はあの小説を書いていた時点では何もなかった。

そう考えると・・・・



「・・・脳」

「え?」

「脳に関係するかもしれません。私にあなたたちの名 前、性格をなにかしらの方法で自然に脳に刻まさせ た。そうすれば、脳が勝手に考えることだから、私 も気付かずにできてしまいます」

「それもそうかもしれない・・・・」

春日井煌は一度考えてからまた口を開いた。


「どうだろう、神崎さん。これから俺たちに手をかし てくれないかな?君の頭脳はとても力になる」

「その前に、私にまだ話してないとがたくさんありま すよね。悪いですが、私はあなたたちを信用できま せん」


「っていうか、誰のことも信用してねーんだろ」


そう挑発してきたのは鬼藤大和だった。

私のことを恨んでいるような目をしていた。

それでも私はひるまない。


「はいそのとおりですよ。あの小説を見れば誰にでも 分かることです」

「その丁寧な喋り方もやめてくんないかな。胡散臭い んだよね」

「おいっ大和。いい加減にしろよ」

月次空雅が中に入って鬼藤大和に言った。


「でも、確かに敬語だとこっちも気が狂うから普通に していいよ」

春日井煌が私を促す。

「・・・・。分かった。そうさせてもらう」


いきなり話し方と声のトーンが大きく変わったせいか、一瞬ピリッとした空気が流れた。


「私は自分のためだけに生きている。それとはっきり 言ってこのことも 私には関係無い。だが、面白そ うだから乗ってやる。それだけだ」

全員を睨みつけるように私は本性を出した。

「はははっ。おもしれーじゃん、そうこなくっちゃ」

「もう休み時間も終わる。今日はここまでだ。学校な いではあまり私に近づくな。何かあったときだけ私 を呼べ」



そして、私は教室へと向かった。










「あの子、何者なんだろうね」

「かなり何かデカイもんもってるぜ。何を言っても跳ね返されてたし」

「俺もびっくりしたよ。ここまで話すのが緊張したのは初めてだ」

「なんにせよ、俺達は俺たちのやることをらればいい」












こんな会話さえも私には聞こえてしまう。

だから私にはこれがどれだけ大変なことになるのか大体予想はつく。







「さーて、最初に死ぬのはだれでしょう?」

People killed by me ( No.16 )
日時: 2011/02/18 15:42
名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)



—5 月 16 日 午 前 4 時 27 分—




その日は朝から騒がしかった。




救急車、消防車、パトカー、ヘリコプター。

何台もがサイレンを鳴らしながら一箇所を目指しながら
走っていた。

空はまだ薄暗いはずだが燃えているかのように真っ赤だった。

それと同時に火山が噴火したかのように真っ黒い煙が
厚い層を作っていた。

家々の窓の明かりが次々と付き始める。

何事だとある場所に野次馬が約千人押しかけるが、それを
警察にさえぎられる。




私はそんな光景をただ見つめる傍観者だった。




次々と担架で運ばれる負傷者たち。

たくさんの人が血を流し、苦しみ、泣き叫んでいる。

そして私の目の前を私を通過していく全員が
私を知っている。

頭のなかにモーツァルトのレクイエム“怒りの日”が流れる。




 2012年 5月16日 日本大規模テロ事件発生
 午前4時27分-午前10時34分
 死者 8956人 負傷者 15889人 行方不明者 377人
 場所 I県M市
 攻撃手段 あらゆる場所に仕掛けてあった数百個の爆弾を同時に爆破
 標的 一人の少女




こうしてこの日は世界の歴史に残る大事件となった。

テロリストたちが殺したかった少女は殺されずに生き残り、
その少女が誰なのかは警察も誰にも分からなかった。

日本でのこれだけの大規模なテロが起こるのはこれが初めてであり、
日本中が、世界中が混乱に陥った。







私が通っていたS高等学校は爆発で跡形も無く消え、
生徒、教師のほとんどが亡くなった。

生き残ったのは、


神崎悠

鬼藤大和

月次空雅

橘築茂

荻原日向

氷室玲央

春日井煌


田辺真希

青木美鈴

峯村龍樹

皆藤里沙

佐川淳也


校長 

教頭

第一学年主任

カウンセラー教師


以上634人中16人だけだった。








みんな死んだ。

死んだ




殺された

殺害

爆発



消滅












—————————————————————みんな私が殺した。


Girl's true feelings are insid ( No.17 )
日時: 2011/02/18 18:18
名前: 涙歌 (ID: qizRGjjT)



—5 月 17 日—



テロ事件から一夜あけたが、混乱は増すばかりであった。

生き残った私たちは、避難所にいた。

狭い体育館の中に、大勢の住民が避難せざるをえなかった。




「なんで・・・・・こんなことに」

田辺真希は家族を失い、精神的にかなりのダメージを受けていた。

彼女だけでなく、他の人たちも同じだった。

みんな何が起こったのか、一晩たっても頭の中は真っ白な状態だった。


私は外の空気を吸いに行って来るといい、その場を離れた。





外は春の陽気に包まれていた。

私はしばらく呆然と空を見上げていた。



「お前には分かってるんだろ?」

ふと後ろで声が聞こえた。

振り向くと、彼らがそこに立っていた。


「・・・。」



「このテロはお前が巻き起こしたものだ」

橘築茂の冷たい声に、私は目を伏せた。


「ええ・・・分かってるわ。奴らの狙いは全て私。
標的だった私を殺せたとでも思って、今頃騒いでいるだろうね」

「どうして自分が狙われたのか知りたくないのか?」

「知ったところでどうにかなるわけでもない。私には関係無い」

「本当にそう思っているのか?」

「私の本当の思いなんて誰も知らない。私にもわからないのだから。
 答えなんて見つかりっこない」


ふと歌が歌いたくなった。


  私にとってはただのゴミにしか見えない紙切れも
  誰かにとっては大切なお守りかもしれない

  尖った言葉のナイフで平気で人を傷つけて
  見て見ぬふりをしている“友達”と言う名前の人

  迷路の出口を見つけてもまたそこは迷路の入り口で
  自分だけ置き去りにされそうで暗闇の中もがいていた

  たった一人でいいから私の見方が欲しかった
  ずっと心に抱えた私の声を聞いて欲しい

  色眼鏡で人を見て本当のことを見失って
  それぞれの悲しみなど同じものでははかれない
  
  単純な物語のように上手に生きてゆけたなら
  だから今この胸を空っぽにして人を信じて愛してみたい

  世界中を敵にしても誰も私を知らなくても
  たった一人だけでいい私を抱きしめてくれたなら

  僕たちは同じ場所に立ってるけど
  本当は違う景色を見てるのかな
  誰にもわからない迷いなど消えないゲームの世界ではない

  たった一人でいいから私の見方がほしかった
  ずっと心に抱えた私の声を聞いて欲しい
  
  なくしても嘘でもいいずっと誰かを愛せたなら
  抱きしめた心の中いつか私に届くのかな





暖かい春の風が私の髪を揺らす。

綺麗すぎるほど青い空。


本当にこれは現実だろうか・・・?






全て夢なのではないのだろうか・・・?










「それがお前の今の気持ちか」

「はは・・どうだろうね。私は残酷な人間だから」

「そうやっていつも自分を責め続けてるんだろう?」


責め続けてる・・・?


誰が誰を?




私が・・・・・・私を?




ありえない

私は心底人を信じず愛さない人間

きれいごとなんかではすまさない  





「悪いけど私は、こんなことではなんとも思わない。
 あんたらの願う優しい私はどこにもいないよ。もう私に関わるな」

「そう言うのは自分のためか?それとも俺らのためか?」



なに言ってんだ・・・鬼藤大和


こんなくだらないお遊びはもう終わりだ




「なぜ私がお前らのためなんかに言葉を選ぶ必要がある?
 お前らのことなどどうだっていい。私は自分だけが大切なんだよ。
 分かったらとっとと消えな」






彼らは少しの間私を見つめていた。

しかし、何も言わずにその場を去っていった。














私のことは全て私が終わらせる。


Page:1 2 3 4 5 6 7 8



この掲示板は過去ログ化されています。