ダーク・ファンタジー小説 ※倉庫ログ

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機械と魔法戦争 program requiem キャラ募集
日時: 2011/10/11 16:43
名前: 黒鳩 ◆Y62Eyrx3rA (ID: Y8BZzrzX)

皆さまどうもはじめまして。あるいはお久しぶりです。黒鳩といいます。何ヶ月かぶりにようやく帰って来れました……。
今回は初めてここで書いていた小説のリメイクを再び書きたいと思います。前回での自分での反省点を踏まえて、今度は気づいたらなくなるということがないように……。

キャラ募集開始しました。詳しくは>>4まで

それでは、prologueに入ります。




炎が、銃口から走る。続けて連続する炸裂音。
私は駆けだす。木々の合間から銃口の光が見える。パパパ、と乾いた音。後ろから着弾音と思われる音が聞こえた。
すぐにまた違う爆発音。後ろの方から焦げくさい匂いがした。多分、炎の魔法だと思う。
だけど無視。この戦争、いや。戦いの終わりは、頭。つまり司令官を打ち取る。それが勝利への近道にして、定石。相手も想定しているだろう。
木々の間から微かに見えた建物。頑丈な作りをしていることは前もって調査してある。手持ちの武器じゃ、正面突破は困難。
周りはもう戦場だった。死体、弾痕、銃声、悲鳴。どこにでもある、普通の戦場だ。ただこの白の森が紅くか黒くに染まっているだけ。硝煙の臭いも嫌というほど嗅いできた。もう、私は機械兵の一人なのだろう……。
駆ける前に敵兵が躍り出た。人数は二人。視界に入るのは、短機関銃と機関銃。生身の特殊兵隊。ガスマスクに似たマスクに銃弾をはじき返すどす黒い防護服。鴉の黒よりそれは黒かった。確か名称、溝ガラス。あいつらとの距離はまだこの速度なら5秒ほどかかる。その前に発砲された。横に飛び退け回避。大木を楯にする。
「……イーグル、シフトチェンジ。ダブルアクション」
大木に寄りかかり、呼吸を整える。そして手に持ってる武器に音声入力する。この場合、速度と威力を優先、手回しは無視する。
「タイプ、ガブディラス、タイプ、メタルイーター」
がちゃん、とトリガーを引く。見た目は機関銃のような私のイーグルから、銃口の下あたりに収納されていた刃が飛び出した。銀色の鈍い光が綺麗だと不謹慎ながら思った。
「アクション!」
また銃弾の進行ルートに私は飛び出した。あいつらは予想外の反応に一瞬怯んだ。そこに隙が生まれる。だから狙う。まずがメタルイーターで。
「!」
距離を詰めつつ、銃口を頭に向けて発射。特殊弾丸は正確に、無慈悲に、ガスマスクごと頭に直撃。まさに砕く、といった感じに爆ぜてそいつは後ろに吹っ飛んだ。
「!?」
相方の死にざまに驚いたのか、もう一人はこちらに背を向けた。兵士としては素人以下。それが命を刈り取られる好機を相手に与えることになることになるのだから。
「!」
私はそのまま走る。相手が振り返ったときには、そののど元に刃を突き付けていた。身長が相手の方が大きかったので私が武器を掲げるような形で。
「司令官の居場所を吐け。そうすれば殺さない」
「う、ウソつくな!い、今ころ、殺しただろう!?」
「だから最低限しか殺さない。最低限に、その人は入っていた。だから殺した。本当なら皆殺しにしなきゃいけない。でも、これは超お節介を焼いている。だから居場所を吐け。そうすれば貴方を殺さない大義名分ができる」
私は淡々と続けた。こいつはやっぱり新兵らしい。短機関銃の銃口が震えている。身近で人が殺されるのをはじめてみた時の反応だ。私はもう慣れているけれど。声からして男。若い男性だ。
「さぁ。どうするの?死にたい?私を殺すなんて考えて行動に移したらすぐさま蜂の巣にしてあげるけど」
「……」
迷ってる。祖国を裏切るのはいやだ、でも死ぬのはもっといやだ。でもここで情報を吐けば戻ったときに殺される。でも吐かなければ今ここで殺される。八方ふさがり。だったら、選べる方法は一つ。自分が殺されることもなく、国を裏切ることもない、方法。それはだめだと警告したのに。
「死——」
「警告無視。だから気絶でもしてて」
刹那、ガブディラスを引っ込め、銃身で思いっきり顎を殴った。
彼は悲鳴を上げるまでもなくぶっ倒れた。顎にひびが入らない程度に軽く殴った程度だから1時間もすれば気がつくだろう。でも、それころにはこの戦場は終わっている。私の手によって。

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Re: 機械と魔法戦争 program requiem キャラ募集 ( No.18 )
日時: 2011/10/14 14:01
名前: 黒鳩 ◆Y62Eyrx3rA (ID: Y8BZzrzX)




inside 放浪、流れ者


今の時代、物騒なご時世だ。居場所のない人たちなんて、たくさんいる。だから、特別珍しいことじゃない。
こんな世界だからこそ、私は居場所がほしかった。だけど。その居場所を、私は壊された。そして壊してしまった。奪ってしまった。奪われて文句があるのに、私は二人の女の子から居場所を奪って、それなのに被害者のふりをしている。最低だ。
私という存在は、この世界には必要ないのかもしれない。
私は、奪い、殺し、破壊する。それだけの存在。
たとえ、許されたとしても。私は私を許さない。私と言う存在。
その意味を。




「ううん……」
傍らで、パールが眠たそうな声をあげて眠っている。もう、この生活を初めて一週間。私はただ幸せなそうな寝顔を見て、複雑な気分になった。今、私たちは壊れかけた廃屋の中で夜を明かしている。
居場所もなく、やることもない。互いの基地は互いの手で壊してしまった。私たちロックテール姉妹は、結局やることもなく放浪することを決めた。やることも、行くところもない。気まぐれと言えば聞こえはいいが、単なる孤児と変わらない。生きるために殺して、なんてこともしそうだった。今のところ、私とクリスの二人が、互いの基地跡地からたんまり金塊をもらってきているのでお金には困っていない。というか貰いすぎて持ち運びに不便だ。クリス自身は、異次元歪曲システムなるもので、空間を捻じ曲げてその出来た場所に金塊を放り込んである。つまり手ぶら。下手すれば一生遊べて暮らせるくらいの金額をもらっているような気もするのだが、気にしたら駄目だそうだ。
クリスも私も機械兵と機械導兵だが、パールだけは普通の女の子なので、最低限の暮らしは必要だ。
だから今のところ、旅をしているところだ。向かう場所は、ネレコ。
南の国なら、その国民性ゆえ、難民を受け入れてくれる。そこで私たちは機械兵とばれなければいいのだ。幸い、私もクリスも見た目は普通の人間だ。この世界、機械を使う国は歪み、魔法を使う国は正義に目覚め、混沌とした世界である。
「お姉ちゃん、眠りなよ」
「必要ない」
「体壊すよ?」
「それは嫌味?クリス、私たちの体はナノマシンで壊れない。それくらいわかってるでしょ?」
「そうなんだけど……」
「じゃあ見張りは私がやる。クリスは好きなことをしていていいよ」
「ラピスお姉ちゃん、いい加減」
「うるさい」
クリスは、拗ねたような声で私を責める。いまだ、私は本名を彼女が呼ぼうとするたびに怒る。私はラピスじゃない。ヒスイ、それが私の名前だ。ヒスイ=ロックテール。それが名前だ。姉妹であることは認めたが、名前だけは認めない。私はヒスイ。上官からもらったこの名前だけが、私の存在。その存在意義はまだ失ったままだ。どこで何をすればいいのか、分からない。
「お姉ちゃん……」
「うるさい、寝てなさい」
「あたしもいい加減怒るよ?」
「怒れば?私も怒るから」
「あーもう!」
「うるさい。パールが起きる。黙ってて」
私は壁に寄りかかったままただ神経を研ぎ澄ます。クリスはともかく、パールにだけは邪気はない。だからあの子は守る。妹だから。家族だから。
「お姉ちゃん……」
「クリス、誰か来たよ」
「え」
「パールを起こして。まさか、レーダー内蔵してないの?わかるでしょ?」
「え?何が…?って」
「気づいた?」
足音に気付いたようだ。かすかだが、こちらに近づいてくる足音がある。数は7つ。ここの領土は、ネレコだから、魔法使いだと予測。
「襲われるかもね。武器、用意しておいて」
「……うん。パール、起きて」
神妙にうなづいて、彼女はパールを起こしにかかる。
私は、壁に立てかけたイーグルに手を伸ばし、しょい込む。
パワーアップしたのはいいが、何で肥大化してるのかよく分かんない。前は機関銃だったのに、今は狙撃銃並みの大きさになっている。重い、テデカイ、邪魔。それだけは今亡き上官を恨んでいる。

Re: 機械と魔法戦争 program requiem キャラ募集 ( No.19 )
日時: 2011/10/14 15:14
名前: 黒鳩 ◆Y62Eyrx3rA (ID: Y8BZzrzX)



inside 戦闘、鮮血、硝煙

「さて、始めるよクリス。パール。初陣だけど、絶対に死ぬのは駄目だよ。相手を殺してでも生き残る」
「分かってるよ。お姉ちゃんと一緒に肩を並べて戦えることが嬉しいもん。あたしは死なない、お姉ちゃんと一緒に、パールと一緒にいたいから」
「わたしも同意見です。姉さん、クリス。行きますよ」
私たちは、廃屋を飛び出した。それぞれの得物をもって。生き残るために、戦うために。




「ほぉ……ずいぶんとあっさり出てきやがったな」
「……」
無言で、銃口を向けた。やはり人数は7人。のち、二人だけ、距離を詰めていた。つまり私たちはこの二人をまず相手しなちゃいけないらしい。野太い声の彼は、ギロリと私たちを睨む。猛禽類のような眼光に、パールが怯え始めている。彼女はやはり戦闘自体になれていない。小動物のように逃げだしたい気持ちを、懸命に奮い立たせているのだろう。
私はそいつをにらみ返しつつ、パールを庇うように前に移動した。その間にも襲われてもいいように銃口だけは向けたまま。
「姉さん……?」
「大丈夫、パール。貴方は背中は守ってね、その代わり、前面は絶対誰も通さないから」
「姉さん……」
「ずいぶん仲のいい姉妹だな」
奴が嘲笑うように、私たちに言った。
「だが、ネレコに不法侵入されちゃあ、困るんだよな、難民さんよぉ」
「……建前はいい。さっさとかかってこい、ひげずら」
「あぁ?」
クリスが苛立ちを隠そうともせず告げた。と同時にブレードを両手に構える。
「お前は戦いたいだけの戦闘狂だ。みればわかる。お前の目はいかにして殺すか、そうやってあたしたちを値踏みしてる。ほんとは早く戦いたいんでしょ?来いよ、相手してあげる!」
「テメエ!」
男が吼えた、仲間の制止を無視し、氷の槍を瞬時に作りだし、発射しようと
「ばーか」
その前にクリスの姿が消えていた。ブレードを構え。
「斬れちゃえ」
振るう。斬り落とすために。その刃が銀の煌めきを走らせる後に、鮮血が迸る。
「ぎゃああああ!」
悲鳴を上げ、切断された側面を振り回す。が、それすらもクリスは許さない。返す刃を素早く走らせる。今度は首を狙って。
「はい、いっちょ上がり!」
すっ飛ばされた頭部が宙を舞い、仲間たちのそばの草むらにポトリと落ちた。その顔は痛みで歪んでいた。仲間たちは全員唖然としていた。そして怯えに変化した。
「……残酷すぎます、クリス」
パールが目を逸らしたまま呟いた。
「いいんだよ。あたしは決めてる。あたしたちの命を狙う奴は殺すって。だから殺した」
彼女は後悔も感じてないみたいだ。平然として言った。
「……化け物上等ってわけ?」
私も銃口をあげ、話に参加する。その銃口は、微かに硝煙をあげていた。
向こうでバタリ、と誰か倒れた。もう一人の詰め寄っていた男だ。
今は顔と胴体がさよならしているが。
「「「「!?」」」」
何名かがそいつに駆けより、大声で悲鳴を上げた。顔が跡形もなく吹き飛んでいれば当然だろう。
「うわ、酷い。お姉ちゃんだってえげつないよ。何で消し飛ばしてんの!?」
「喋る間もなく……ってね。声聞くのも嫌だったから」
私もやはり人殺しの道具だ。やろうと思えばもうちょっとマシな殺し方も出来たと思う。が、痛みなしで殺す以上の慈悲など必要ない。
「姉さん……」
「パール。パールは、こういうことしちゃいけないよ」
これが、機械兵としての意味。殺しをするための道具。彼女は、絶対にこうなっちゃいけない。

Re: 機械と魔法戦争 program requiem キャラ募集 ( No.20 )
日時: 2011/10/15 13:46
名前: 黒鳩 ◆Y62Eyrx3rA (ID: Y8BZzrzX)





inside 機械の歌、キカイノウタ



「誰か!リアスさんを呼んで来い!ルィンさんもだ!」
「は、はい!」
魔法使いの一団の一人が、私たちを無視して走り出した。追撃しようとするクリスを私は手で制止させた。
「お姉ちゃん?」
「目の前の敵から、目をそらしちゃだめ」
後、4人。勝負は、一瞬で決着が決まる。私たちの手によって。
「決めるよ、クリス」
「うん」
クリスのブレードが煌めき、私のイーグルの銃口が光った。









「……」
パールからすれば、あの行為は虐殺と呼べるものだと思った。
目の前で行われる、処刑。圧倒的な力で殲滅させられるそれは、もう最低の力だった。
「……私だって、殺したくなんてないよ。ねえ、クリス」
「そうだね。でも、戦わないと殺される。死にたくないもん、あたしだって」
「だから殺す。私たち」
「機械兵、機械導兵の意味は、そこにある。殺して、殺して、殺して」
まるで歌の一片のように言葉を紡ぐ。彼女たちは、互いに向き合い、うつむき、泣いていた。
「殺して、殺して、いつまでも続く無限獄」
「出ることのできない後悔のうみ」
「気持ちを無くして、機械のように何度なりたいと思ったか」
「機械兵は半身機械。ゆえに心だけは人のまま」
「機械の体、それは長く朽ちることもなく、」
「果てることも、堕ちることも許されず、」
「ただただ目の前の物を殺し続け、」
「いつしか壊しているのか、殺しているのか分からない、」
「何が自分の敵なのか、何が自分を動かすのか、」
「それすら分からない。何が正義?何が悪?」
「機械が悪なら自分も悪だと、だけどしても、」
「自分を裁けるものなど、とうに滅ぼしていた」
「互いが互いを裁いても、そこに何の意味もなく、」
「「失った命は二度と返らぬ」」
そして二人は顔をあげた。やはり、泣いていた。
「お姉ちゃんも知ってたんだ、この歌」
「知ってるよ、私たちにしか分かんない歌」
二人は通じ合ってるように、泣き笑い。
「壊しちゃってもいいよね?こんな世界」
「駄目だよ、パールの居場所がなくなっちゃう」
「だったらパールだけでも」
「そう。仮初でもいい。偽りでもいいから、ひと時の平和を」
「あたしは陽だまりなんて似合わない」
「私はお日様なんて大っきらい」
「せめて、パールだけでも」
「平凡な幸せを」
「ね、姉さん!クリス!何なんですか!?」
パールだけはわからない。彼女たちは決意したのだ。一番互いの愛するもの、パールだけでも。
真っ当な幸福を歩んでほしいから。これからも殺し続けると。

Re: 機械と魔法戦争 program requiem キャラ募集 ( No.21 )
日時: 2011/10/15 14:28
名前: 黒鳩 ◆Y62Eyrx3rA (ID: Y8BZzrzX)




inside 炎の姫君、水の鉄壁



「な……なに、これ……?」
「酷い……」
たった今、あちら側に援軍が到着したみたいだった。茶髪の女の子、くすんだ空色の髪の毛の男の子。二人ともまだ十代だと思う。男のほうが少し大きい、それも痩せてる。何だか病気を持っているような感じがする。女の子の方は……特徴ない。普通の女の子だ。穏やかそうな顔、紅い目。ただその腕には何かの腕章がついている。二人の視線が、私とクリスにぶつかり、眉がつりあがる。
「貴方達が、やったの?」
「……」
返答の代わりに銃口を向けた。静かに告げる。
「先に手出しをされた。防衛のため、戦い、結果殺害。そちらに何か言い分があるなら、私が聞く。文句があるならかかってくればいい。その場合、こちらも本気でやる」
「だからって!どうして殺したんですか!?そこまでやる必要ないじゃないですか!」
女の子の方が怒りだした。半端じゃない怒り方だ。これはまずいかもしれない。襲われる。
「うるさい、迷ってるような新米が戦場に出てくるな」
「?」
クリスがブレードの切っ先を二人に向け、淡々と告げた。
「殺す殺さないの意味を考えすぎて、自滅してるような考えの奴が説教するな。そんなんじゃ、自警なんて出来るわけないでしょ」
「自警……?」
「姉さん、彼らはネレコの自警団です。国境を見張っていて、わたしたちは襲われたんでしょう」
パールも私の隣に立って、彼女たちを睨む。足が震えていた。
「リアス・エラトフィーム……まさか、「炎の姫君」と戦うことになるなんて、思わなかったです」
「炎の姫君?」
「え…?ネレコの魔術師!?ウソでしょ!」
思い出したように叫び、クリスが焦って一歩下がった。私だけが意味が分からない。
「?」
「お姉ちゃん、魔術師っていうのは……魔法使いの中でも、最強クラスの奴のこと。炎天の場合は、炎の魔法に関しては魔術師のレベルを超えた、正真正銘の化け物のこと!思い出した、炎の姫君って、確かネレコの自警団に移ったって噂で聞いたんだった!」
「つまり?」
「魔術師!それも最強クラスの!あたしとお姉ちゃんが二人で立ち向かっても勝てる確率が低いの!」
「……私は魔法使いです。一部じゃ炎天って呼ばれたり……炎の姫君なんて言われてるけど、私はそんなに強くない」
「リアス、今はそんなこと言ってるんじゃないよ」
傍らの少年がため息を吐きながら言った。
「僕らのことを知ってるってことは、軍人?」
「……アストの軍から逃げてきた」
あっさりとクリスは説明を始める。
彼らは、警戒を解かないも話は聞いてくれた。
「……そうですか」
「さすがに、いきなり襲われたら戦うしかないし、殺したくて殺したわけじゃないし」
「魔法使い相手じゃ、どうしようもなかったんです」
すっかりクリスは殺しを正当化していた。
「……」
私だけだろうか。納得できてないのは。あの、リアスという女の子、何かむかつくのだ。それだけの力がありながら、何故あんな風に仲間ができる?私なんて、基地じゃ上官以外が全て私を邪魔者扱いしたのに。
同じ化け物でも、どうしてここまで違うの?理不尽だ。そう考えると、ふつふつと憎悪が湧きあがってきた。悔しい、頭にくる、むかつく。
どうして、どうして、どうして。理解者がいてくれる?どうして?
私には、そんな風に安心しきった視線を送れる相手が死んでしまったのに。八つ当たりでも何でもいい。悔しい、やっぱり私は機械導兵だ。
体中のナノマシンが反応してる。怒りで発熱してる。悔しさで暴れてる。悲しみで嘆いてる。





「————全て、ぶっ壊せ」
静かにその言霊を呟いた。一気に視界がノイズだらけになる。視界の隅に浮かび上がる英語。
LimitOver
ザザ、と前回は聞こえなかったノイズ音が聞こえる。砂嵐というのか、そんな音が頭の中で直接響いている。
「お姉ちゃん!?」
「姉さん!?」
今度は自我がある。大丈夫だ。あいつを、あの女を、殺す。殺す。殺す。ころす、ころすころすころすコロスコロスKorosukorosu

Re: 機械と魔法戦争 program requiem キャラ募集 ( No.22 )
日時: 2011/10/15 16:40
名前: 黒鳩 ◆Y62Eyrx3rA (ID: Y8BZzrzX)




battleside 風天、風を祀るもの、暴走、ただ怒りのままに



だが、当初の目的は濁流のように戻ってきた記憶と箍の外れた感情の爆発によっていとも簡単になくなってしまった。
自我も当然、崩壊した。
彼女は戸惑い、困惑し、そして。行き場のない感情を発散させることで己を守った。
涙を流し、過去を責め、全てを否定しようとして。自棄に陥った。



「うるさい!うるさい!!
ふざけるな!どうして!何でいつも私だけ!私だけが邪魔者扱いさえる!?
機械にしたのはお前らだ!私から家族を奪ったのはお前らだ!全部お前らの都合だ!!
クリスタルも!パールも!大切な家族だったのに!何で!?
あげく私から名前奪って!自由も奪って!何もかも奪って!
もう嫌だ!こんな世界、壊れてしまえ!間違ってるんだ!
壊れてしまえばいいんだ!こんな、こんな————ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!」
「お姉ちゃん!?」
「姉さん!?」
突如、ヒスイ。いや、ラピスが暴走を始めた。泣き叫び、怒り狂い、目茶目茶に暴れ始めた。行動に目的がない。本当にただ壊すだけの為に暴れている。
イーグルを標準もつけずに乱射。
ただ彼女は目の前の光景に、羨望を抱き、嫉妬し、怒り、狂い、叫び、力の限り暴れ尽くす。その光景は子供の癇癪に似ていた。ただ武器を持っている点ではレベルが違うが。
「お姉ちゃん、どうしたの?!」
「二人を守れなくて、何で!?
何でこんな力があるのよ?!
私がほしかった時になくて、こんなどうでもいいときに!
うわぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
クリスの言葉も聞かずに何の予備動作もなく飛翔。そのまま逃げ出してしまった。
「お姉ちゃん!?」
「姉さん……泣いてた?」
クリスは展開についていけず、オロオロとするばかり。パールだけが、姉の異変に気付いた。
(姉さん、まさか……思い出したのですか?あの時のことを……?)





「うわぁぁぁぁぁぁぁぁああああ!!!!!」
「壊れろ!壊れろ!みんな、みんなぁ!砕けろ吹き飛べ跡形もないくらい消えちゃえーーーーーーーー!!!!!」
暴走したラピスは、近辺の町、村、人々を片っ端から攻撃していた。
ナノマシンの暴走がイーグルの全力解放の条件。そのせいで、彼女の通った後は戦術兵器を使ったのごとく、硝煙と爆炎と黒煙で覆われていた。不思議なことに、人だけは殺していない。傷つけてもいない。襲って、怖がらせて、それだけだった。
「姉さん!」
いち早く、彼女に追いついたのは何とパールだった。彼女は魔法を使い、疾風の如く彼女を追いかけたのだ。
「うるさいうるさい!!!!私は!私はぁぁぁぁぁ!!!」
「やめてください姉さん!そんなことしたってなにも戻ってきません!」
「戻らないから何よ!私があの時強かったら!力があったらみんな、みんなが辛い思いしなくてよかったのに!私の、私がいけないんだ!」
「なんでいきなりそういう結論になるんですか!?わたしは」
「どうすれば贖罪出来るっていうの!?
私が弱かったせいで!クリスタルは人間じゃなくなっちゃった!
パールは戦場に放り込まれてしまった!
全部、私が弱かったから!
全部私があの時強くければこんな未来はこなかった!
こんな未来、私は望んでない!
こんな未来、認めてたまるかぁぁぁぁ!!!」
ラピスは、泣きじゃくり、イーグルをあろうことかパールに向けてしまう。自分の行動が、もうコントロール出来てない。いきなり乱射した。
「っ!」
パールは風を弾丸の進行ルートに展開、分厚い壁を生成した。周りの風が荒れ狂い、二人を包み込む。特殊弾頭は壁に当たると明後日の方向に軌道を変えて消えていった。
「姉さんの分からずや!」
パールは突撃、ラピスより早く動く。疾風の早さ、それとしか言いようがない。
「え」
「目を覚まして姉さん!」
げんこつでラピスの顔を殴り飛ばした。当然、風の塊を纏った拳で、だ。彼女の体は紙きれのように吹き飛んだ。追撃にパールも金髪を躍らせ、吹っ飛ぶ彼女より先に背後に回った。そしてその無防備な背中を蹴りあげる。常にこの間、彼女の体の周りは風が狂うように吹き荒れている。
「がはっ!」
「ちょっと痛いですよ姉さん————」
彼女も舞うように空中に飛び上がり。
次々と空中で連撃を決めていく。一撃一撃が人体急所、そこを風のハンマーで殴り飛ばし、カマイタチで切り刻み、真空で呼吸すら止める。
「————」
どさり、と地面に叩きつけられた。そのままピクリとも動かない。じわじわと血がにじみ出ている。地面に紅い池が出来上がった。
「……」
パールは黙って血に沈むラピスを眺めていた。
殺すつもりでやった。だから、後悔はない。あとは、姉が立ち上がるのを、待つだけだ。


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