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機械と魔法戦争 program requiem キャラ募集
日時: 2011/10/11 16:43
名前: 黒鳩 ◆Y62Eyrx3rA (ID: Y8BZzrzX)

皆さまどうもはじめまして。あるいはお久しぶりです。黒鳩といいます。何ヶ月かぶりにようやく帰って来れました……。
今回は初めてここで書いていた小説のリメイクを再び書きたいと思います。前回での自分での反省点を踏まえて、今度は気づいたらなくなるということがないように……。

キャラ募集開始しました。詳しくは>>4まで

それでは、prologueに入ります。




炎が、銃口から走る。続けて連続する炸裂音。
私は駆けだす。木々の合間から銃口の光が見える。パパパ、と乾いた音。後ろから着弾音と思われる音が聞こえた。
すぐにまた違う爆発音。後ろの方から焦げくさい匂いがした。多分、炎の魔法だと思う。
だけど無視。この戦争、いや。戦いの終わりは、頭。つまり司令官を打ち取る。それが勝利への近道にして、定石。相手も想定しているだろう。
木々の間から微かに見えた建物。頑丈な作りをしていることは前もって調査してある。手持ちの武器じゃ、正面突破は困難。
周りはもう戦場だった。死体、弾痕、銃声、悲鳴。どこにでもある、普通の戦場だ。ただこの白の森が紅くか黒くに染まっているだけ。硝煙の臭いも嫌というほど嗅いできた。もう、私は機械兵の一人なのだろう……。
駆ける前に敵兵が躍り出た。人数は二人。視界に入るのは、短機関銃と機関銃。生身の特殊兵隊。ガスマスクに似たマスクに銃弾をはじき返すどす黒い防護服。鴉の黒よりそれは黒かった。確か名称、溝ガラス。あいつらとの距離はまだこの速度なら5秒ほどかかる。その前に発砲された。横に飛び退け回避。大木を楯にする。
「……イーグル、シフトチェンジ。ダブルアクション」
大木に寄りかかり、呼吸を整える。そして手に持ってる武器に音声入力する。この場合、速度と威力を優先、手回しは無視する。
「タイプ、ガブディラス、タイプ、メタルイーター」
がちゃん、とトリガーを引く。見た目は機関銃のような私のイーグルから、銃口の下あたりに収納されていた刃が飛び出した。銀色の鈍い光が綺麗だと不謹慎ながら思った。
「アクション!」
また銃弾の進行ルートに私は飛び出した。あいつらは予想外の反応に一瞬怯んだ。そこに隙が生まれる。だから狙う。まずがメタルイーターで。
「!」
距離を詰めつつ、銃口を頭に向けて発射。特殊弾丸は正確に、無慈悲に、ガスマスクごと頭に直撃。まさに砕く、といった感じに爆ぜてそいつは後ろに吹っ飛んだ。
「!?」
相方の死にざまに驚いたのか、もう一人はこちらに背を向けた。兵士としては素人以下。それが命を刈り取られる好機を相手に与えることになることになるのだから。
「!」
私はそのまま走る。相手が振り返ったときには、そののど元に刃を突き付けていた。身長が相手の方が大きかったので私が武器を掲げるような形で。
「司令官の居場所を吐け。そうすれば殺さない」
「う、ウソつくな!い、今ころ、殺しただろう!?」
「だから最低限しか殺さない。最低限に、その人は入っていた。だから殺した。本当なら皆殺しにしなきゃいけない。でも、これは超お節介を焼いている。だから居場所を吐け。そうすれば貴方を殺さない大義名分ができる」
私は淡々と続けた。こいつはやっぱり新兵らしい。短機関銃の銃口が震えている。身近で人が殺されるのをはじめてみた時の反応だ。私はもう慣れているけれど。声からして男。若い男性だ。
「さぁ。どうするの?死にたい?私を殺すなんて考えて行動に移したらすぐさま蜂の巣にしてあげるけど」
「……」
迷ってる。祖国を裏切るのはいやだ、でも死ぬのはもっといやだ。でもここで情報を吐けば戻ったときに殺される。でも吐かなければ今ここで殺される。八方ふさがり。だったら、選べる方法は一つ。自分が殺されることもなく、国を裏切ることもない、方法。それはだめだと警告したのに。
「死——」
「警告無視。だから気絶でもしてて」
刹那、ガブディラスを引っ込め、銃身で思いっきり顎を殴った。
彼は悲鳴を上げるまでもなくぶっ倒れた。顎にひびが入らない程度に軽く殴った程度だから1時間もすれば気がつくだろう。でも、それころにはこの戦場は終わっている。私の手によって。

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Re: 機械と魔法戦争 program requiem ( No.1 )
日時: 2011/10/09 13:29
名前: 黒鳩 ◆Y62Eyrx3rA (ID: Y8BZzrzX)



inside 戦争の意味、出会う奇跡


「今回の作戦は成功だ。各部、帰還せよ」
インカムからそんな無機質な声が聞こえたのは、あれから少し経過した後だった。私は返り血で赤くなった頬をこすり、目の前の死体を確認する。頭が吹き飛んで、大の字に倒れている。確実に死んでいるだろう。
「ふぅ……」
警備の兵は皆伸びている。電気で痺れさせて気絶させた。強情に立ち向かう奴は……永眠してもらった。仕方ない、これが戦争だ。
戦争に意味を問うても無駄だ。そんなのは上の連中の考えること。私たちみたいな一兵士は黙って指令に従って戦って殺していればいい。見合うだけの金を貰っているのだがら。私の場合、体の整備費に結構かかるらしいので、戦場に投入ことは少ないのだが。少ない分、された時は相応の働きをしなきゃいけない。
「あ〜ぁ……。血まみれ……生臭い……」
ここは敵地で、そんなことを言っていたらすぐに蜂の巣になるのだが、生憎この整備基地は私一人で制圧した。大半の兵士はあとで来た連中が連れ去って捕虜なり実験道具にでもするのだろう。ま、死なないだけマシだ。あの時死ねばよかった、と後悔することはあるだろうが。そこまで義理だてするほど私は優しくない。でも……。
殺したくない、というのが本心だ。誰だって殺しになどなれるはずがない。慣れたふりをしているだけだ、少なくても私は。精神のいかれた奴ならまだしも、私はまともな感性を持っている。たとえ、体の隅々までナノマシンという機械が入ってるとしても。心まで機械化した覚えはない。心だけは、兵士になるつもりはない。私は軍の所持品にすぎない。心なんてもっちゃいけない。だけど、殺したくなんて————
「迷ってる?」
「!?」
不意に、後ろから声を掛けられた。誰かいたのだ。敵兵が。
焦って振り返ると同時に武器のセーフティを解除、銃口を向け——
「遅いよ」
「がっ!?」
振り返る前に何者かに首根っこを掴まれて床に叩きつけられた。肺の空気が一気に抜けた。苦しい、呼吸ができない。
「はいチェック。君の負けね」
「このっ!」
顔を確認する前に抵抗するため暴れる。私の身体能力は常人とはケタが違う。だからこの程度、大したことなどない、はずだった。
「はい暴れないー」
簡単に抑えられ、馬乗りにされて、首に刃物を向けられた。と同時に私も銃口をそいつに向けた。
「誰!?」
「んー。ここに囚われた女の子、ってところ?」
みると、若い女の子。ちょっと困った顔で、刃物を向けている。その格好はまるで試験者。飾り気のない服。ボサボサのロングヘア。持っているは物も、よくみるとただのナイフだった。刃渡りは親指ほどしかない。え?ウソでしょ、こんなその辺の町娘みたいな子に、私が負けた……!?
「あれま、第一世代の機械兵?道理で力強いわけだよ。あたしだって機械兵だもん」
「……なんの、つもり?」
機械兵。その言葉を聞いた瞬間、私は銃口をさげた。勝ち目がない。私は第一世代と呼ばれる機械兵だ。一番最初の不安定なナノマシンを持つ、俗に言う旧式だ。生身相手なら圧倒的だが、相手が同型なら私に勝ち目などない。
「あ、あたしは第二世代、特殊型の機械兵なんだ。ちょっと待ってて。今退くから」
と言って、彼女は何と私の上からどいた。慌てて体勢を立て直し距離を置く。再び銃口は向ける。勝ち目はなくても、抵抗するくらいは。
「……で、旧式の私に何のよう?」
「そう警戒しないでよ。あたしここの警備さんかと思って襲っただけだから。違うなら戦う理由ないよ?」
「私にはある。私の敵は全て倒す。機械兵なら尚更」
「はいはい、虚勢はそこまで」
彼女は呆れたように私を見る。
「ほんとは殺したくないとか思ってるくせに」
「……どういう意味?」
「あれ、はっきり言わないとわかんない?」
私を小馬鹿にしたような言い方。空気が重くなるのが分かる。私の中で殺意に近い憎悪がふつふつと湧きあがってきた。殺したい、壊したい、どこまでも馬鹿にしてる。
「迷ってるよね、銃口が。君、名前は?」
「……ヒスイ」
「違う、コードネームじゃない。本名」
「なっ!?」
私の名前はヒスイ。これは確かに本名じゃない。なのに、何故コードネームとばれている!?
「…………何者?」
「質問はこっちが先。はい答える」
「私の方が優先!」
ムキになって言い返してしまう。いけない、感情なんて私には必要ないのに。
「はいはい、何者だって聞いたね?もしかして忘れてる?あたしのこと?」
「……?」
彼女は何だか悲しそうな顔で、私を見る。何だろう、この感覚。
とてもさみしい、この感覚は————

Re: 機械と魔法戦争 program requiem ( No.2 )
日時: 2011/10/11 14:28
名前: 黒鳩 ◆Y62Eyrx3rA (ID: Y8BZzrzX)




inside 辛すぎる現実、逃避する結果


「あたしは水晶。といってもこれは君と同じコードネーム。ほんとは、クリスタル=ロックテール。覚えてない?」
「……」
……思い出せない。いや、思い出そうと心は、頭はその方向に走っている。が、感情がそれを止めている。無理やり、抵抗する心を押し潰してまで感情は認めようとしない。私にはその動きの理由が、他人事のように感じてしまって怖い。何がしたいんだろう、彼女は。
表情は相変わらず悲しそうで、さみしそうで。何かに縋ろうと必死になっているように見える。
「……まだ、思い出してくれないか。じゃあ、この呼び方ならどう?『お姉ちゃん』」
「!?」
そう、呼ばれた瞬間。ここがまだ戦場であることも、死体が転がり、対面している少女がいることも、一気に頭から吹き飛んだ。こいつは、危険だ。理性より本能が上回った。体が勝手に動く。
殺さなきゃ、殺さなきゃ、殺さなきゃ、コロサナキャ!
「イーグル、シングルアクション、タイプイーグル!」




「わぁ!?」
少女、クリスタルは慌てて軸から飛び退いた。刹那、横一線に銃弾が追うように壁に穴を次々に開けていく。焦りながらも部屋の扉を蹴破り、気絶して倒れている警備兵を踏み付けながら出口に向かって走り出す。そのあとを銃弾が高速で追ってくる。
「イーグル、バーストモード!」
後ろで音声入力と思われる叫び声が聞こえた。かつて、姉と慕いともに過ごした人が後ろにいる。感情は彼女をぶちのめしてでも説得しろと言っている。でも、そんなんじゃ意味はない。殺してしまう。自分の方が強いのだ。姉は第一世代、自分は第二世代。しかも特殊型——機械兵を殺すことに特化させられた自分は、どう手加減しても殺してしまう。
(お姉ちゃん、やっぱり記憶を改造されてる……!)
一か八かやってみたら案の定。何か切羽詰まったように突然の発砲。
「パール!駄目、逃げるよ!」
クリスタルは遠方に隠れていたもう一人の少女に向かって叫ぶ。
「はい!」
曲がり角から綺麗な金髪の女の子が飛び出してきた。見た目はクリスタルによく似てる。違いは金髪と黒髪。服装も同じと、まるで双子のようだ。
「駄目、お姉ちゃん暴走してる!早く逃げないと殺されちゃうよ!」
「え!?クリスタル、駄目だったんですか!?」
「駄目だった————パール!伏せて!」
「きゃっ!?」
彼女と合流し、逃げようとした瞬間、廊下の壁に弾丸が着弾、爆発した。動きの分かった二人は伏せながら前進、転がって体勢を立て直し近くの窓ガラスに近づく。
「行くよ!」
「はい!」
二人は窓ガラスをぶち破り一目散に逃げだした。





「はぁ……はぁ……」
息が荒い。視界に激しいノイズが走っている。液晶画面にノイズが入るのと同じようなものが、自分の目で起きている。音こそ聞こえないが、酷い状況だ。体内のナノマシンが暴走しかけていた。
イーグルもかなり危険な状況だ。まだ調整中なのに、バーストモードを使ってしまった。壊れなかっただけ、マシだろう。
「……さっきの、子たちは、何?」
問うたところで、返答などない。それでも私は聞かずにはいられなかった。何、あの子。何か途中でもう一人合流したような気がしたから、ノイズが酷くて狙いが上手く出来なかったので壁に向かって撃った。あれなら破片とかで体を打たれて、致命傷になったはず。少なくても、少しはダメージを与えられたはずだろう。でも、特殊型という言葉を信じれば、どうか分からないが……。
「……本部、連絡願います」
私は、インカムで本部に連絡を取るのであった。


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