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- あなたがねむるまえに【完結】
- 日時： 2012/04/28 19:28
- 名前： 朝倉疾風 （ID: 2WH8DHxb）
- 参照： http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/
急に朝倉は御伽噺みたいなお話を
書きたくなって衝動的に。
短いお話になるだろうけれど、
書きたいものを書きたいです。
【登場人物】
■ハウエル
30年深い眠りにつき、１年だけ目を覚まして、また長い眠りにつく魔物の王。
外見は二十代前半の若く美しい男性の姿だが、器としている人間の姿であり、
ハウエルという名前もその人間のもの。
感情があまりない。
□アリス・フローレイ
12歳 快活な少女で無自覚の毒舌家。
魔術の名家であるフローレイ家の一人娘。
魔術の腕は長けており、逸材と言われている。
■イド
ハウエルに仕えている魔物。
彼自身の魔力で少年の姿をしているが、本当は黒豹のような姿をしている。
ハウエルが目覚めた時の世話係で、彼が寝ている間は自由に暮らしている。
□シュリ・フローレイ
42歳 フローレイ家現当主
夫は既に他界している。
アリスに厳しい指導をしたが、愛情もきちんとある。
■リーガン・エアハルト
25歳 護衛部隊のリーダー。魔術の腕は長けている。
アリスを妹のように可愛がっている。
□チェルシー
ハウエルを眠りに誘う、唄を紡ぐ魔物。
海色の長髪に大きな瞳を持つ美少女の姿をしているが、
これはハウエルによって造られたものであり、本来は実体はない。 性別も無い。
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- Re: あなたがねむるまえに ( No.42 )
- 日時： 2012/04/18 15:56
- 名前： ひいらぎ ゆあ （ID: rmiTrBcI）
ハ・ウ・エ・ル！
え〜っと、いき…てないのかな？
- Re: あなたがねむるまえに ( No.43 )
- 日時： 2012/04/18 17:12
- 名前： 朝倉疾風 （ID: 2WH8DHxb）
- 参照： http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/
。○ ひいらぎ ゆあ様
生きてはいません。
ハウエル・フローレイの魂に、魔物の王であるハウエルが
姿形を与えてやっただけの、まがい物です。
- Re: あなたがねむるまえに ( No.44 )
- 日時： 2012/04/21 00:25
- 名前： 朝倉疾風 （ID: 2WH8DHxb）
- 参照： http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/
【 遠い過去に沈み 慟哭に触れて 】
暗い。 暗い。 目を閉じると、暗い。
誰かの声が聞こえるけれど。
これは、誰の声だろう。
視せられているのは、誰かの生きた、過去の記憶。
∮
酷く爛れた場所だった。
ドブの腐敗した臭いが充満した、とある児童施設。
親に捨てられ、行き場を失くした子どもたちが、ゴミのように扱われる。 もはや、児童施設としての機能を果たしていないような、ろくでもないところだった。
「あ……ッ、おえッ、んあ、あ」
その臭いに耐え切れずに、トイレで嘔吐している少年がいた。
酷くボサボサの赤毛。 年齢は十代半ばほどだが、背丈はそんなに高くはなく、どちらかというと華奢な方だった。
裸足の素足はガラスなどの傷痕が膿を作っていた。
「ゲロ吐いたら、次は私の番ね、リーガン」
「が……ッ、あ」
リーガンと呼ばれた少年は、鼻水と胃液でベタベタになった服を脱ぐ。 その際にも、迫り上がってくる胃液が抑えきれず、静かに吐き出す。
精悍で整った顔だちのせいで、施設の運営者側の女性たちから身売りを頼まれはじめたのは、数ヶ月前だった。
両親の顔も知らないリーガンは、数年前からこの施設にいる。 それまでどうやって生きてきたのかは、もう覚えていない。
ただ、気づけば、ここにいた。
気だるく長髪をかきあげながら、ぼんやりと施設の窓から外を見る。
酷いところだ。
毎日が、地獄だ。
どこかでいつも、誰かが泣き叫んでいる。 いまも、弟のように可愛がっていた少年が、大人にぶたれて火がついたように泣いている。
庇う気力も無く、リーガンは女性の元へと向かった。
「風呂へ入ったらさっさとどこかへ行って。 あと、リリア達にご飯食べさせといてね」
身売りの仕事が終わり、酷使された身体を引きずりながら、リーガンは再び胃液が迫り上がってくるような感覚に、廊下へうずくまった。
施設内は、カビとドブの臭いで息苦しい。
せめて、外でなら。
そう思い、必死の思いでリーガンは施設の外へ出て、雨で湿った草の上に、吐瀉物を撒き散らした。
「あ……ッ、あ、ぐあ……ッ」
誰も見ていない。 ならいっそ、このまま内臓が出るほど吐いて、吐き尽くして、消えてしまおうか。
震える指を口内につっこみ、無理な嘔吐を繰り返そうとしたとき。
「あっれれ……。 こんなところに児童施設なんてあったっけ？」
声がした。
ビクッと身体を震わせて振り返る。
見たこともないような、明らかに育ちの良いことがわかる身なりをした同い年くらいの少年がいた。
柔らかそうな栗色に髪。 優しげな瞳は翡翠色で、まっすぐにリーガンを見据えている。
少なくとも、こんな施設内ではありえない格好だった。
「魔術を失敗しちゃったかなぁ……。 それは嫌だなぁ。 無事にフローレイの屋敷まで帰りたいんだけど」
「お、おまっ、お前誰だよっ！ どこから来たッ！」
突然現れた少年に、リーガンは驚き仰け反った。
少年はキョトンとした目でリーガンを見て、そして日溜まりのように笑った。
「僕の名前はハウエル・フローレイ。 今度ね、妹が３歳の誕生日を迎えるんだよ」
- Re: あなたがねむるまえに ( No.45 )
- 日時： 2012/04/18 21:36
- 名前： ひいらぎ ゆあ （ID: RtL2YTyX）
リーガン!?
児童施設かぁ…
- Re: あなたがねむるまえに ( No.46 )
- 日時： 2012/04/19 22:44
- 名前： 朝倉疾風 （ID: 2WH8DHxb）
- 参照： http://ameblo.jp/asakura-3-hayate/
。○ ひいらぎ ゆあ 様
“これ”は、リーガンの過去のお話です。
年代で行くと、１０年前になるのでしょうか…。
リーガンは１５歳の時、という設定です。
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