ダーク・ファンタジー小説
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- 運命ゲーム [祝] 完結
- 日時: 2014/08/04 23:05
- 名前: 魔女 (ID: Q/YoPvlY)
私は極度のゲーム好きだ。「お前ってオタク?」即座に頷くだろう。
オンラインゲームでは、常に首位争い。ちなみに、大体は戦闘系である。パズルゲームも好きだが、やはり自分が主人公となって戦うのが一番楽しい。
だから、だろうか。
友達が「今度、無茶苦茶難しい脱出ゲームが出るんだって」と言ったとき、私の闘争心は燃え上がった。うざい程友達に話を聞いて、自分好みのモノだと分かると、すぐに予約をした。
そして、今に至る。
「うん、どこだ?」
長い黒髪は動く度に揺れ動く。ラフなパーカーと半ズボンのファッションに色気はない。ゲームのし過ぎで悪くなった目の為に、赤い眼鏡をかけている。でも知的には見えないのです。
とりあえず、状況の確認。
最初、友達の言っていたゲーム屋に向かう。次、路地を曲がりまくっていたら、迷った。ここはどこ? と言う状況です。
「しかも、ケータイは圏外だし。可笑しいなぁ」
シンプルな青い携帯電話に表示される『圏外』は、私の気持ちをどん底まで叩き落とした。友達に連絡することが出来ない。
さて、どうしようか。
そう思った直後だった。
「ここは……」
目の前には、ぼろ……古い建物が。見た目だけだと、お店に見える。ここがゲーム屋? でも、人影はない。
——行くしかない。
私、勝木運霊は足を踏み出した。
魔女です。下手くそな文ですが、楽しんで頂けたらと思います。
- Re: 運命ゲーム ( No.23 )
- 日時: 2014/07/27 15:25
- 名前: まご。 (ID: UJz1k79g)
はじめまして…。えと、魔女さんの小説、拝見させていただきました。
すっごく面白いですね!文章の書き方がお上手で、続きがすごく気になります!
更新頑張ってください^^
- Re: 運命ゲーム ( No.24 )
- 日時: 2014/07/27 22:03
- 名前: 魔女 (ID: ysgYTWxo)
★まご。様
初めまして。コメントありがとうございます。
面白いの一言で感激です……。まだ文章の書き方は勉強中ですが、そう言ってもらえると嬉しいです。
応援の声に応えれるよう、これからも更新頑張らせていただきます。
「運霊ッッッッ!! 唯亜ッッッッ!!」
「落ちてしまったわね……」
暗闇の中に引きずり込まれた二人の姿はもう見えない。名前を読んでも応答しない。ここはまだ二階だ。生きている可能性がある。
だが、どうやって助けに行けば良いのだろうか。階段は運霊達と一緒に落ちてしまい、道を戻ることは出来ない。
「おい、他に道は!?」
「分からないわ……三階に上がって、役に立つものを探した方が良いんじゃない?」
名菜がいうことは正論だ。ロープか梯子か……または下に戻れる道でも良い。何でも良いから探して、二人を助けに行かねばならない。
血管が切れそうな程強く拳を握り、崩落した穴に叫ぶ。
「助けに行くから、絶対死ぬなよ!!」
すぐに振り返り、階段を早足で上る。三階には最初に来たが、さっさと帰りたかったから探索せずに降りたんだった。さっさと二人を救う為に、何か見つけなければ。
「ねえ、星さん」
「何だ?」
名菜に振り向かず答える。
「運霊ちゃんと唯亜君だったかしら……生きていると思うの?」
「……どういう意味だ?」
足を止めて振り返る。名菜はどこか微笑んでいるように見えた。
「あそこから落ちたのよ……? 瓦礫に潰されてるかもしれないし、頭を打ったかもしれない。生きている保証はないわ」
「死んでる保証もねえ。大体、あいつらはそう簡単に死なねえよ」
「信じているなんて、可愛いわね……生きていると良いわね、本当に」
クスッ、と笑った。名菜は顔が綺麗で、お嬢様のような雰囲気が出ているが実際は何者なのだろうか。
四人の中で、唯一の華かもしれない……と言ったら運霊に殴られるかもしれないな。
「生きてるさ。ほら、さっさと行くぞ」
「ええ」
——生きてろよ、運霊、唯亜……!!
- Re: 運命ゲーム ( No.25 )
- 日時: 2014/07/28 15:33
- 名前: 魔女 (ID: ysgYTWxo)
「うぐ……あが……っ!」
体に強い衝撃が走り、肺に詰まった空気が一気に吐き出された。再び息を吸い込むと、咳き込んでしまい、しばらくその場にうずくまっていた。
ようやく落ち着き、自分を包み込む体温に気づいた。
「……お姉さん!?」
僕を抱きしめていたお姉さんは、意識がないようだ。声をかけても体を揺すっても目を覚まさない。
まさか……と思ったが、意識を失っているだけらしい。体も温かいし、ちゃんと息をしている。お姉さんの腕を離して、僕はゆっくり立ち上がった。
「階段が崩れるなんて……全くついてないなぁ……っ!」
体の所々が痛む。でも、お姉さんよりはマシだろう。お姉さんは僕を守ってくれていたんだ。もっと傷が付いている筈。
——でも、運良いなぁ……。落ちた先に藁の山があるだなんて。
足に感じるふわふわ感が、命を助けてくれたようだ。と言っても、二階から落ちた程度だし、藁がなくても大丈夫だったかもしれない。
ただ、瓦礫に押しつぶされなかったのは不幸中の幸いだろう。
「お姉さんは起きないし……星達の姿は見えないし。どうすれば良いんだろ……とりあえず、出口を探すしかない、か」
薄暗い部屋の中、お姉さんを寝かして歩き回る。今までは、手を繋いで歩いていたから片手に違和感が有る。
その手を握り締め、僕は一人で探索を開始した。
「藁しかないって……ここは家畜でも飼ってたの……」
一応、出口の扉は見つけた。古びた木の扉だったが、開けれなかった。開いたとしても、お姉さんを置いていくわけにはいかない。無理に起こすのも可哀想だし、しばらくはここに留まることになるだろう。
「そういえば……鋏どこに落としたんだろう」
無くしてしまった武器の感触を思い出しながら、自分の右手を見ると、突然後ろから手が伸びてきて僕の鋏を乗せてくれた。
『これでしょう……』
「うん、ありがと……う、わああああああああああああああああ!?」
思わず飛び退いた。この部屋には僕とお姉さんしかいないのに、何故か見知らぬ少女が僕の後ろにいたのだ。つまり、幽霊。
鋏を握り締め、震えながら刃を向ける。少女の幽霊は、肩をすくめた。
『お礼を言った後に驚かれると、傷つくね』
「なななななっなんだよお前!! いつから、どこからいた!?」
『ずっとここにいたよ。見てくれなかっただけで……会うのは初対面だけど、君とは「あそこ」で会ったんだけどなぁ……』
「僕はっ! お前なんか知らない!!」
鋏を大きく振ると、幽霊の少女は一歩後退した。
すると、後ろから声。
「唯亜君……? いったぁ……」
「お姉さん!」
お姉さんが目を覚ましたらしい。僕の声が大きかったのかもしれない。ごめんなさい……でもそんな状況じゃない。
お姉さんは痛みに顔を顰めながら起き上がった。そして僕と——幽霊の少女を交互に見つめた。だが、視線は幽霊の少女の方に集中している。
——起きた瞬間、幽霊にあったら驚くよね。
しかし、お姉さんの言葉は予想できないものだった。
「メイちゃん!!」
——知り合いなの!?
- Re: 運命ゲーム ( No.26 )
- 日時: 2014/07/28 20:54
- 名前: 魔女 (ID: ysgYTWxo)
「メイちゃんじゃん!! 何でこんなところにいるの!? つーか、騙したなッッッッ!!」
今、目の前にいるのは間違いなくメイちゃん。私の友達だ。数少ないゲーム仲間でもある。
そして——私に『運命ゲーム』を勧めた人物である。
ストレートな黒髪ロングに、白いワンピース。これはいつもと変わらないが、何故か彼女は素足だった。寒くないのだろうか。
「……何か、いつもと違うね。何かあった……っ!」
『あまり叫ばない方が良い。痛みが襲ってくるよ』
「そりゃぁ、親切にどうも……それより、何でここにいるの?」
「お姉さん、この幽霊と友達なの?」
「唯亜君?」
ふとメイちゃんを見た。どこか雰囲気が違う。というより、本当に幽霊みたいに透けている。いや、まさか。
「メイちゃん……?」
『ごめん、騙して……でも、これ以外に悲劇を止める方法がなかった……』
「悲劇? メイちゃんは何者なの!?」
メイちゃんは悲しそうに目を伏せると、再び顔を上げて決意に満ちた目を見せた。
『私が「運命ゲーム」を作ってしまったの……そして、あの子を解放させてしまった……』
「……どういうことか、詳しく教えてもらおうかな」
『元々、ここは相続者がいなくなった屋敷。今は廃墟となっているわ……私は、昔ゲーム好きの仲間とホラーゲームを作る為にここに来た。でも、それはここに封印された魔を起こしてしまった……』
「魔? ここにいる幽霊達?」
『あれは魔に影響された未練の塊……元凶は別にいるの。それは、もう貴方達が会っているわ』
「クソッ……ロクなものがねえな……!!」
棚の中に手をまさぐらせながら、大きく舌打ちをする。
適当な部屋に入って物色を続けていた。だが、これと言って役に立つ者はない。マッチや布、衣紋掛けやペットボトルなんて落ちた二人を救うことに使えない。
「名菜、そっちは?」
反対側で木箱を漁っている名菜に声をかけたが、首を横に振っただけだった。
「……そうか」
「ここには何もないわ。他の部屋に行きましょう?」
「ああ……っと!」
棚の戸を閉めたとき、その振動で棚の上に置いてあったナイフの刃が落ちてきた。取っ手のない刃は俺の横に落ちて、床に刃の半分が刺さっている。流石に冷や汗をかいた。
——何なんだよこの屋敷は!!
怒りを押さえ込み、足早に部屋から出る。部屋の扉に手をかけたとき、名菜がついてきていないことに気づいた。
「おい、何やってんだ?」
「フフッ……ごめんなさい、すぐ行くわ」
部屋を出ると、すぐ横の部屋に移動する。この作業はずっと続いていた。それだけ二人を助けにいけてないということでもある。
隣の部屋の扉を開けた瞬間、異臭が鼻をくすぐる。嫌な予感がしつつも、中に入ると、予感的中だった。
歳は俺より上くらいだろう。首がはねられた死体が転がっていた。サスペンスドラマで見たことはあるが、本物は違う。はっきり言って見たくない。
「どうしたの?」
「死体がある……この部屋に入るのはやめとこう」
「あら……物騒ねぇ」
「恐らく、五人目の主人公だろうな。化物に殺されたか……残念なこった」
異臭のする部屋の扉を閉じる。未だにあの異臭が鼻に残り、不快だ。
何故、名菜が微笑んでいられるのか謎だ。
「さあ、早く次の部屋に」
「わーってるつの」
あまり、のんびりしていられないしな。
- Re: 運命ゲーム ( No.27 )
- 日時: 2014/07/31 22:31
- 名前: 魔女 (ID: ysgYTWxo)
「どういうこと……?」
メイちゃんは、私達が魔の元凶に会ったと言った。だけど、そんなものに会った覚えはない。
『これなら分かる?』
メイちゃんは両手を頭の左右に伸ばして、髪を掴んだ。ツンテールのような髪型をしている……髪は黒色だが、その姿は先程会った四人目の主人公、雲月名菜にそっくりだった。
よくよく見ると、メイちゃんと名菜は顔も身長も似ている。
「まさか……名菜が元凶!?」
『名菜……そういう名前をしていたのね。ずっとここに閉じ込められていたから分からなかったわ』
「閉じ込められて……!? でも、私とよく遊んでいたじゃん」
『最近になって、他の仲間に頼めるようになってね。記憶の共有は成功したから、君達とは本物のメイと会うのは初めてか……』
「君達って……僕は会ったことないんだけど?」
唯亜君が隣で言った。メイちゃんはクスッと名菜に似た笑いを見せる。
『「UM」ってIDを覚えてる?』
「UM? ああ、僕に『運命ゲーム』を進めたオンラインゲームの友達だけど……は?」
『それ、私』
「はああああああああああああ!?」
『君、反応が面白いね。幽霊だってゲームくらいやるよ。生きてた頃から、ね』
いつも通り私と遊んでいたときのメイちゃんだ。
もしかしてメイちゃんは、私に何か伝える為にずっと遊んでいたの?
助けて。
血まみれ人間に襲われた後、夢の中で聞いた声が、再び脳裏に響いた。