ダーク・ファンタジー小説

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●凛花と恐怖のゲーム。 ●完結!!!!
日時: 2015/12/31 20:32
名前: みーこ (ID: EWbtro/l)
参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel2a/index.cgi?mode=view&no=3816

↑URLは、番外編です。
翠と、紅の過去のお話。最後は飛ばして、無理やり完結です。


★この小説をクリックしていただき、誠にありがとうございます。
★文才0の小説ですが、閲覧していただけると有難いです。
【あらすじ】
▲世界中を回る、支配人はついに日本へと降り立った。そして、標的となったのは凛花達の住む町、風ヶ丘。平凡な街だったが、次第に破壊されていく。しかし、その町の市民全員が参加するわけではない.『選ばれしもの』だけが、ゲームを行うことを許された。

■中藤凛花-ナカトウリンカ-「独りぼっちの人間なんていないよ?」(NO,148より)
平成15年3月15日生/12歳。/O型、魚座。
性格 :心配性だが、強気。口が悪く、思ったことははっきり言う。
身長 :152cm(ゲーム開始時)
体重 :36・4Kg(ゲーム開始時)
容姿:黒髪、セミロング
学年 :風ヶ丘小学校6年A組
種族:人間

■田村颯斗-タムラハヤト-「傷口なんか、もう痛くねぇ。」(NO.181より)

平成14年5月5日生/12歳。/A型。オウシ座。
住所:風ヶ丘3丁目4-15
性格:自由人。見た目とは裏腹に器用。
身長:158cm(ゲーム開始時)
体重:37.7kg(ゲーム開始時)
容姿:茶髪、短髪
学年:風ヶ丘小学校6年A組
関係:幼馴染
種族:狼/人間



『Escape until you die 』ーーーー死ぬまで逃げろ



prologueーープロローグーー


ついに、扉を開けてしまいましたね





もう、後戻りはできません











この、つまらない世界から出よう______










毎日、勉強や仕事に追われる世界からでようーーーーねぇ、疲れてるでしょ?









毎日、マニュアル通りに進んでいくような人生







そんな人生どう思う?











なら、いっその事この世界に来て、人生を終わらせよう。end!











どう?楽しそうでしょ?








自分で人生を切り開く









敷かれたレールの上は、もう歩かない













そして、










たくさんの仲間が待ってるから











気になるなら、この扉を開いて。knock! knock!ノックを忘れずに












きっと、『新しい世界』が待ってるから。new worldOpen













______________________________まだ、誰も見たことのない・・・



………………………………………………………………………………………………
【ruleーーールール】
●1ヶ月間ゲームをします。
●ゲームの内容は、皆さんは、鬼から逃げます。
●鬼に捕まると、檻の中に入れられ、仲間が助けに来るまで出れません。
●また、鬼に食われる可能性もあります。
(そのような事のないよう、こちら側も餌を与えるなどの対応をしておきます。)
★1ヶ月逃げ切れば、望みをなんでも叶えます。
………………………………………………………………………………………………
【guest】
●ちほりん様【森山ミミ】__(1番乗りキャラをありがとう!ずっと大好きだよ〜)

●雲雀 様【市村紅】______(紅、ありがとうござます。イメ画、待っております)

●雪花菜様【ユズリ】__(白血病は、私もあまり理解してないんだよね…)

●yukihiro様 【トウジ&セイ】______________(また、小説見に行きます)

●riyal様_____________ (文才ないよぉ〜見てくれてありがとう!)

●ENA様____________(名前見つけてクリック・・・嬉しいです!)

●リオキチ様___________________ (また、学校で話そー!!)

●文月様【音方文】____ (初めまして。閲覧ありがとうございました。)

●蘭子様 __________(お越しいただきありがとうございました!)

●詩歌様___(応援、ありがとうございます。凛花と生年月日一緒・・・驚き!)

●桜蝶様___(コメントありがとうございます!マジ感謝!×100000000)

●ばなな様__(素敵な文章を書かれる方です。コメントありがとうございました。)
●ペンちゃん様_______(コメントありがとうございます。アリスさんも、ありがとうございます。)

●じゅき様____(私なんかで、よかったのかな?『母さんが出て行った日。』の作者の方です。)

●アリス様[麻央]_____(コメントありがとうございます!また、見に行きます!)

●NIKO様_____(来てくれてありがとう☆いつもお世話になってます)

● 緋狼様_____(また、見に行かせていただきます。コメント、ありがとうございました。参照がヤバい事になっている小説の作者さんです。)

●裏の傍観者様___(自衛隊の、小説を書かれている方です。細かい、キャラ設定が凄過ぎて……憧れます。コメント、ありがとうございました)

●いろはうた様__(私の、尊敬している方です。コメント、頂いたときは、涙で海が、出来そうでした。一言で言うと、神!です。)

●ライド様【来夏&冬華】______(見てくれて、ありがとう)

●燐想様【蛇月】______(オリキャラありがとウ)

●王様 様_____(コメント有難うございました。貴方様の文才に憧れております。参照はこんな駄作を読んでくださった皆様のお陰です)

●とりけらとぷす様____(閲覧、有難うございました。嬉しかったです。これからも、宜しくお願い致します。)

●てるてる522様____(来てくれてありがとう☆てるてるずっと友達〜)

●千紫万紅様___(コメント&閲覧ありがとうございました。)

●RINBYO様__(コメント、ありがとうございます!RINBYO様の小説お気に入りです!)

●黒hana様___(コメントありがとうございました。長い長い、お話を読んでくださりありがとうございますm(_ _)m

●ますらお様___(感想、ありがとうがとうございます!m(_ _)m)

●天蜜様__(温かいお言葉有難うございました。励みになります)

●ことり様__(ことりさんの励ましのお蔭で、立ち直ることが出来ました。感謝しています)

《Contents》ー目次ー
●1章 【ゲームとの出会い】
>>0 >>1 >>4>>6 >>8>>9

●2章 【ゲームの恐ろしさ】
>>11 >>13 >>16>>18>>20

●3章【仲間】
>>21 >>24 >>26 >>27>>28>>32>>34
>>51>>52>>53>>56>>57>>60>>62
>>68>>84>>89

●4章 【大変な事に!!】
>>94>>95>>96>>97>>99>>101>>102>>103 >>104
>>105>>106

●5章【大変な事に2】
>>107>>108>>109>>111>>112>>113>>114>>115
>>117 >>118>>119>>121

●6章【変わるゲーム】
>>123>>124>>125>>126>>127>>128>>130>>131
>>132>>133>>136

●7章【死】
>>137>>139>>145>>148>>150>>151>>156>>181
>>184>>185>>186

●8章【生きる】※更新再開までお待ちください
>>187>>188

【地獄編】
>>189>>190>>191>>192>>193>>194

【新たな敵編】↓長編注意
>>195>>196>>197>>198>>199>>202【この章についてー読者の皆様へ】
>>203>>204>>205>>206>>207>>208この章では、ボスを倒す事を忘れていました
>>209>>210>>211>>212>>213>>214倒せないまま、次の敵と戦います
>>215>>216>>217>>218>>220>>221本当にすみません(多分ボロ負けしてました)
>>222>>223>>224>>226>>228
>>229>>231>>232>>233
>>234>>235>>237>>238
>>239>>240>>241>>242

【Ⅱ】

>>245>>246>>247>>248>>249>>251>>252
>>253>>254>>257>>258>>259>>260>>261
>>262>>263>>264>>267>>268>>271>>271
>>272>>273>>274>>275>>277>>278>>279
>>282>>283>>285>>286>>287>>288>>290
>>291>>294>>295>>296
【成長過程】
執筆開始 不明
◆1/23 参照1000突発!◇2/4参照2000突破!
◆2/18参照3000突破!◇3/7参照4000突破!
◆3/22参照5000突破!◇5/10参照6000突破!
◆8/9参照7000突破!◇11/17参照8000突破!

*初めてこの作品を閲覧される方へ*
1話から読まれる場合、↑の目次を使用して頂くといいかと……。
しおり代わりになると思います。

又は、↓の[1]のような所を!!!クリックして頂くと、1話から閲覧できますー

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.271 )
日時: 2015/07/07 13:52
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: pmOIN4oE)


レンは、空を駆け回りミオウを探していた。
どこにもミオウの姿は見当たらない。
どこだ……どこだ……
どうして、こんなことに!!!!
もっとミオウを監視していれば、こんな事にはならなかったのに。
ライトは今、何をしているだろう。

仲間の身の安全を祈りながら、レンは空を見渡した。
ミオウを攫った後は、そのまま連れて移動する事は不可能だろう。
どこかに隠さなければ、荷物になる。
となると、建物があるはず。
そして、そこまで遠くには行かないはず。

などと、レンは推測を立てながら移動していく。
見つかりにくいのは、部屋が多いような場所だろうか。
隠し扉などのある、屋敷も監禁であれば良いかもしれない_____



レオウは、視界の端にレンを見つけその場に停止した。
鳥に指示を出し解散させた。羽を残しながら鳥たちは山の方へ去っていく。
空中をレオウは歩き、レンの元へ駆け下りていった。
途中で、足を止め声を出す練習をする。
「あーあーあーあーあー」
よし、バレない。これで、レンになんとか嘘をついて誤魔化してまた、ゲームを再開させれば良い。ミオウの服を奪う際、レオウはミオウの日記を奪っていたため大体の事は理解している。

「レン!」
どこからか、ミオウの声がしてレンは振り返った。そこにはミオウが立っていた。少し汚れたドレスの埃を払いながらミオウはレンの前にやって来た。
「心配かけてごめんなさい。なんとか逃げてきたの!」と用意していたセリフを行って一旦安心させる。「良かった」とレンはレオウを抱きしめた。そして、レンはレオウと共に一度地に降り立った。
「良かった!無事だったんだ、怪我してない?」
……ミオウは、いつもレンに心配して貰ってるんだ。って、これからは私がミオウなのよ!ミオ……レオウは死んだの!
「行方不明になってたから、探してたんだよ」
「そっ……そうだったのね。えっと_____」
レオウは言葉に詰まった。ミオウと共に行動をしていたドラゴンが思い出せない。名前は、なんだったっけ?これをレンに聞いたら疑われるかもしれない。死ぬ間際に色々聞いておくべきだったわ。

と、反省しながら続きを話す。
「そのぉ____」
すると、レンは「あっ!」と理解してレオウに謝罪する。
「ごめん、ライトだよね?さっき俺だけ分かれて来ちゃったから……。すぐ呼ぶよ!」
レンは口笛で、「ヒュルルー」と鳴らしライトに合図を送った。その音は、木霊のように何回も何回も繰り返され、やがて空の彼方へ分散していった。その時、雲の割れ目から何かが飛び出してきていた。緑色の体の子供のドラゴン。肩乗りサイズの小さなドラゴンだ。しかし、やって来たのはライトだけでは無かった。

一際大きい赤いドラゴンが、大きな口を開けて今にもライトを食べようとしている。レンはライトに叫んだ。「そのドラゴンは!?」と、するとライトは叫び返す。レオウは耳を疑った。今、あのドラゴンが喋った??嘘でしょ、と自分の中で幻聴だと言い聞かす。
「レン、ごめんね。レンがいなくなったの知らなくて、探し回ってたらおっきいドラゴンに見つかっちゃって………」
ライトに続き、大きな赤いドラゴンが炎をはきながら着地した。地鳴りがしてレオウは危うく転びかける。レンはレオウを端に寄せて置いてから、矢を放った。しかし、その矢は虚しくもドラゴンに跳ね除けられてしまう。

「くそっ!」
レンはもう一回矢を放った。が、これまた失敗。どの矢もドラゴンが手で跳ね除けていた。レオウはその時、自分にも危険が近付いていると察し、小さく呟き武器を召喚する。レオウの武器は、鎌だった。草刈り用の鎌ではない、死に神のような鎌。もしレンが殺られてもこの、「対ドラゴン製」の鎌なら倒すことができるのだ。今、先に倒すこともできるがこの状況をまずは楽しみたかった。

ライトは必死に巨大化を続けたが、ドラゴンに勝る大きさにはなれない。、まだ、子供だから。さすがにレオウにこの先の勝敗が見えてきて出て行かずにはいられなかった。岩陰からレオウは飛び出して、何かを呟き空を走りドラゴンに向かって鎌を振りかざす。その瞬間、ドラゴンは姿を消していた。この対ドラゴン製の鎌はドラゴンを消す、という力を持っている。

この鎌があれば、ドラゴンに限るがその存在を無かったことにできる。結構優れもの……のようで優れものでもない。なぜならば、「ドラゴンに限る」からだ。
レオウの居た、アヌール王国であれば頻繁にドラゴンが出ていたがこの世界では御伽話の住人として扱われるため、出現率が極めて低い。先ほどのドラゴンはレアモノである。

「ミオウ……?」
しまった、ミオウの使えない技を……!これではバレてしまう。

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.272 )
日時: 2015/07/08 07:00
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wIulFSp9)


翠とトウジは、また翠の術を使い空を飛んでいた。仲間探しである。暗い夜空を駆け抜けて、星に手が届きそうなところまで上昇する。

風ヶ丘は、あっという間に小さくなっていった。今はもう、米粒くらいの大きさだ。二人は、風の流れに身を任せ夜空の旅を楽しんでいく。

夜風は冷たく、肌寒い。
「うぃぃぃ」
トウジは、上着のセーターを引っ張りながら体を震わせる。翠は、自分の上着を脱いでトウジに投げた。

「寒いなら、着ろよ。風邪ひかれて足手まといになられても困るし」
「あっ!翠わりぃ」
トウジは緑の黒い上着を着て、フードもしっかり被った。(ここで、なんでトウジなのかなぁ。碧になら貸しても全然OK!なのに)

ハァ、とため息をついて翠は刀を振り、加速させた。移動スピードが上がり、体が引っ張られる感覚になる。

トウジにはそれが、負担になるかもしれない。しかし急がなければ…。
「イギッ!」
いきなりトウジが変な声を上げていた。もしかすると、加速させたためやはり体に負担がかかり_____???
翠の目に映ったのは、足から出血しているトウジだった。
「トウジ!」
翠は慌てて、術で治療して服をちぎって応急処置を施す。一体、何故?その時トウジの足に異変があるのを感じた。

足に短い針が刺さっている。(吹矢か、結構古典的な攻撃・・・ん?それでもこれが使われているから少しは人が___)翠は針を抜いて空の彼方へ投げ捨てた。そしてトウジを背負い矢が放たれた場所に向かって降りて行った。

その国の範囲内に入ると、温度は一定に保たれており外程寒くはない。
一つの丘のふもとにトウジをおろし、休ませる。
「翠、ありがと」
「ああ」
その時、翠は異変を感じ丘を身をかがめて駆け上り、向こう側を覗いた。そこには二人の少年少女と死体が転がっている。辺りは一面血の海だった。
「アイツラガ・・・全部やったのかよ」
白いパーカーの少女と、猫耳の少年。二人とも、返り血を浴び真紅に染まっている。その二人には、見覚えがあった。
「凛花!颯斗!」
仲間である。猫耳の少年、颯斗は白銀の狼である。二人は振り返り、慌ててこちらへかけてきた。パタパタと足音を立てて丘のふもとまで降りてくる。そこで、2人はトウジに気が付いた。

「トウジ!大丈夫なの?」
トウジは吐血していた。手に血を溜めて、苦しそうにしている。翠は、その時やっと矢の正体を理解した。


「_____トウジ、気が付かなくて済まない。毒矢だったのか」

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.273 )
日時: 2015/07/11 15:53
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wIulFSp9)

戦いを終えた2人は、紅を翠に見せる事が出来ないままだった。

翠はトウジを背負い凛花達の後に続く。移動中にもトウジは毒と闘っていた。「大丈夫かよ?」と聞くと、誰がどう見てもしんどそうなのに笑顔を作り、

「だっ・・・大丈夫!」
と答える。本当に辛かった。早く、助けてあげたいが治療法が___。
その時、凛花は「ん!」と叫びポケットから手を引き抜いていた。
そこにはビニール袋が入っている。中には液体が入っていた。
「ナニソレ?水?」
翠は凛花が手に持っている液体を指さし首をかしげた。

「これは_____」
凛花が液体の正体を言おうとしたとき、何処からか発泡する音が聞こえた。狙撃!慌てて4人は屈み狙撃を避ける。その時、颯斗の視界の隅にビニール袋が宙を舞う映像が記録された。

「しまった!」
慌てて駆け出し、ビニール袋を追う。あれは絶対に守らなければ・・・!地面を蹴りビニール袋までジャンプした時、また発砲する音が耳に飛び込んできた。

ビニール袋を口でキャッチすると颯斗は弾丸を避けながら、着地し、転がりながら元の場所に戻ってきた。

「ハァ・・・ハァ。っ___とって来た」
苦しそうに顔をリンゴみたいに真っ赤にしながら、袋を差し出した。それを受け取ると、少しだけトウジの患部にかけた。


_________

2時間ほど休むと、トウジの身体はすっかり元気になりピンピンしていた。

「すっげぇ、あの傷がきれいさっぱり消えてる!」
と大声で叫びながら。しかしまだ敵兵は近くにいるため、トウジの叫びは敵に位置を教えるGPSになってしまった。

そのため、その場所への集中攻撃が開始する。
「いいか!散らばれ!早くっ!森に入れ!」
翠が指示を出し、全員散り散りに蜘蛛の子を散らすように走っていった。



「チッ、いいか!森に入った。森の周りに網を張って出口を塞げ!」
「奴らは能力者の可能性が高い!」
「ならば、能力部隊を派遣しよう・・・」

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.274 )
日時: 2015/07/10 07:43
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wIulFSp9)

「あっ・・・!」
颯斗は、背中に紅を背負っていたことをトウジの騒動ですっかり忘れていた。「ごめん!」と凛花に謝り来た道を引き返していく。凛花はその場で休むことに。

重い紅を引きずるような形になりながら、森の中を抜けてあの場所へ帰っていく。するとそこには、なぜかトウジと翠の姿があった。

「さっき、逃げたんじゃねぇのかよ」
と小声でしゃべりながら、地面に紅を下す。
「颯斗っ!それ!」
翠は駆け出していた。紅に向かって。そして紅の前に立つとその場に崩れ落ちていた。

「・・・・・」
トウジは俯き、黙り、颯斗も近くの岩の上に座っていた。
「紅、お前、なんで____」
動かない魂の入っていない人間の形をした人形(マリオネット)に、翠は話しかけ続ける。煤だらけの顔に涙を落としながら。

「紅、先に逝くなよ・・・」
「まだ、勝負の決着ついてねぇよ」
「なんで、お前逃げなかったんだ。意地か?」

などと話しかけ続ける。
しかし、答えは返ってこない。

「凛花、に聞けば紅の最期も知ってるかもな」
颯斗が膝を抱えた格好で、ボソリと呟く。しかし、翠は首を振った。予想外の反応に颯斗は戸惑いの色を隠せない。

「ライバルの最期は、みたくねぇのか?」
「あぁ、紅が見せたくないと思う」

「そうだよな」と颯斗はつぶやくと、岩の上から飛び降り茂みの中に消えていった。一人になった翠は、また紅に話しかける。

「絶対、生き残って故郷へ一緒に帰ろう。、のはずだったんだけど、もう「故郷へ帰ろう」でいいか」

そういって、翠は紅の横にゴロリと寝転がった。翠の瞼の裏には、故郷の映像が流れていた。そこには碧の姿もある。
____________

紅と、翠と碧の3人で田圃道を走る。稲の刈り終えたオレンジ色の畑が広がっている。

虫の音が耳に聞こえてくる。

また、場面が変わり3人は釜倉の中で蜜柑を食べている。おいしそうな夕食の匂いが漂い始めると、全員家へ帰っていく。

3人の走って行ったあとには小さな足跡が出来た。

春が来ると、土手でフキノトウを摘んでいる。そこで碧が滑りながらもフキノトウをカゴに詰めていた。

また夏がやって来ると今度は、崖の上から3人で飛び降り川に飛び込んでいた。

「だれが、一番水しぶきが上がった!?」
碧が顔をTシャツで拭いながら皆に話しかける。
「俺だな!」
と、紅が手を挙げた。翠はただ、ニコニコと笑う。
「これじゃ、決着つかないよ」
碧が不満そうにしていると、翠は川の中から顔を上げ、
「魚がいるよ!」
と叫んでいた。すると碧はいきなり笑顔になって水の中に体を沈めた。

水中には、たくさんの魚が泳いでいる。

「うわぉ!あれピラルクじゃねーか!」
「紅、ピラルクはこんなところには居ないわよ」
「んじゃ、雷魚かな?」
「どうせ、鯉でしょーが」

碧が水中に顔を付けた時、目の前を体に赤い斑点のある巨大な魚が通って行った。
慌てて碧は水面から顔を上げ、

「伝説の魚が、とおったぁ!」
と興奮していた。



______________

「おっもしれーな。なぁ、紅!そう思う・・・」
翠の笑顔は、固まってしまった。
「喋って、くれね〜のか」
頭を掻きながら、翠はもう一度目を閉じた。

出来れば、あの世界に住みたいよ。
俺も、お前のいる世界に連れて行ってくれ。
碧に会わせてくれよ。

翠の頬には涙が伝っていた。

Re: ● 凛花と恐怖のゲーム。〜人生ノ崩壊!〜 ● ( No.275 )
日時: 2015/07/11 17:01
名前: みーこ ◆jdHxHHqZ4A (ID: wIulFSp9)

空に煙が上っていく。4人の目の前には炎に包まれた紅が横たわっていた。パチパチ、と火の粉が飛ばしながら紅は白い灰になっていった。
翠は天に昇る灰に手を伸ばし、掴む。

「紅!置いてくなよ!お前は、やりたいことを全部やってないだろ!」
しかしその叫び声は、届かない。紅はもう違う世界へ行ってしまったから。


____紅は、『今の自分』に満足していますか?_____


炎は灰も、飲み込みながら大きくなっていく。ゴォゴォ、と燃える炎に紅が映し出されたような気がした。
翠は、ハッと炎をもう一度見たが、ただの赤い炎に戻っていた。

「紅・・・俺は大きな、とても大切な失くしものをしたよ」
膝を抱え、顔をうずめる。紅の偉大さを翠は実感した。
碧をなくした時と同じ絶望に襲われた。

「今さ、紅。碧と一緒にいるんだよな?碧は元気?」
顔をうずめたまま、翠は話し続ける。(無口すぎなんだよ)死体に怒りをぶつけてしまう。

また、翠の目から光に反射する滴が溢れ、目を閉じ抑えようとしたときまた滴は地面に落下した。

颯斗は岩の上から、何かを話している。茂みからいつの間に…

「翠泣きすぎだろ。地面に水たまり出来てるし」

全く気持ちを理解してくれないんだ。”人間”じゃねぇもんな。
狼、何だよな。いくら人間の姿をしていても中身は狼だ。
狼は、どうせ群れの仲間が1頭死んだって、気にしないだろ?

その言葉は知らないうちに、口から漏れ出していた。

「___さっきから、黙って話聞いてりゃなんだよ。狼で悪かったな。狼だって、仲間が死んで悲しむに決まってるだろ!森の王者が、涙見せられるか!」

颯斗は獣化して翠にとびかかっていった。翠の首を噛み、怒りを表す。翠は刀を抜き、颯斗に話しかける。

「いくら仲間でも俺を襲うなら斬るけど」
「襲う。悪口言われて黙ってられないんで」

その瞬間、翠は颯斗を押しのけ立ち上がった。
颯斗は宙で回転して地面に着地する。

翠は刀を構え、颯斗を睨みつけた。颯斗もまた、牙をむき少しずつ翠との距離を詰めていく。

「そっちから、来るのか」

翠は驚いたように話す。が、余裕が感じられる。

(狼の狩りの成功率は約10%だ。そこまで高くない。むしろ、低い)

狼という生物は、基本的に何でも狩る。鼻を噛めば、麻痺する為狙いたいが・・・人間では解らない。

頸部を噛みついても、有効(羊などの大型動物)だが人間では試したことは無い。

というより、人を食う経験など人間界で生きていれば99・9%いや、100%ありえない。

颯斗が考えている間に翠は飛び出していた。慌てて後ろへジャンプする。翠は刀を振るが空振りに終わる。が、まだ終わっていない。

斬撃が颯斗に飛んでくる。

「空振りは、フェイクかよ」
翠は頷く。狼の最高時速は70㎞/h。人間であれば、20㎞/h。思いっきり走ってである。そのため、翠が追いかけてきても到底追いつけないわけだ。

ダダダダダダダ!と地をかけ、颯斗は走り翠の背後に回り、首筋に牙を刺す。翠は「くっ!」と首を抑え、しゃがみ、刀を振る。

「チッ。噛みやがったな」

噛まれた場所は、頚動脈。意識を飛ばして殺す気か!まぁ、そこまで深くない。頚動脈には達していないはずだ。

翠がもう一度、攻撃を仕掛けようとしたとき、首を何者かに掴まれていた。

「そこまで。バカじゃないの?なに、殺し合いしてるわけ?敵を殺しに来たわけであって、仲間を殺しに来たわけじゃない。能力を無駄遣いするな」

白いパーカーの少女、凛花だ。

「千里眼で、見させていただきました。くだらない」
「けどっ・・・!」
「颯斗、そのキレ症直した方が良い」
凛花に反論しようとしたが、次は緑に話しかけていた。

「襲い掛かって来たからって、刀を抜くのはどうかと思うよ?仲間でしょ?ねぇ、強いんだったら仲間殺してないで敵を殺してきて」
凛花に言われ、反論したくても殺し合いをしていた人間が反論できるわけなかった。









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