ダーク・ファンタジー小説
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- 【本文修正中】SoA 夜明けの演者
- 日時: 2017/10/22 11:26
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
- 参照: http://www.kakiko.info/upload_bbs3/index.php?mode=image&file=598.png
※ SoAはStories of Andalsiaの略です。
長すぎるので略しました。
※ ただいま本文修正中です。変な所が多すぎたので。
あ、でもたまには番外編も更新しますよ?
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
〈導入部〉
柔らかな春風が肌を撫でた。
少女から大人になった彼女はそれに目を開け、草むらに転がらせていた身を起こす。
身を起こして立ち上がれば。輝かんばかりの金色の髪が風に揺れ、彼女の視界にも入ってきた。
春。その季節に、彼女は遠い日を思い起こす。
彼女が「みんな」に出会ったのは秋で、春に「みんな」を失った。
春は暖かくて幸せな季節だけれど。彼女にとって春とは、切なく痛む悲しみの季節でもある。
暖かな春空。優しい空気。その中で彼女は一つ、呟いた。
「……わたし、大人になったよ……?」
大人になる前に死んでしまった仲間を思って、彼女はそっと目を閉じた。
その紫水晶の瞳から、こらえきれぬ涙が一つ、二つ。零れ落ちていって、乾いた地面を濡らす。
彼女の名を、フルージアといった。
——そう、これは彼女、フルージアの物語。
「演者」と呼ばれる特殊な才を持った少女の、最も鮮やかだったころのものがたり——。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
Index
第一部 アスフィラル劇団 >>1-6
序章 フルージアの初舞台 >>1
二章 夜明けの演者 >>2-3
三章 力と未来 >>4-6
第二部 セラン特殊部隊 >>7-20
一章 新しい仲間たち >>7-8
二章 初陣は突風とともに >>9
三章 流転の善悪 >>10-14
四章 切れない絆 >>15-17
五章 束の間の夢だけど >>18-20
第三部 戦乱の彼方に >>21-32
一章 覚悟を決めろ >>21-22
二章 命の序列 >>23-26
三章 天秤に掛けるなら >>27
四章 燃える生き様 >>28-30
五章 爆発の太陽(エクスプロード・サン) >>31-32
エピローグ どんな夜にも…… >>33
あとがき >>34
メロディーのないテーマソング >>35
後日譚 水晶の欠片を透かしてみれば >>36
♪
《番外編1 風色の諧謔(かいぎゃく)》
第一章 始まりのオルヴェイン >>39-44
1 10の誕生日に >>39
2 「化け物」と呼ばれた子 >>40
3 束縛を脱して >>41
4 二人の絆 >>44
第二章 師匠とともに >>45-
1 嵐の瞳 >>45
2 我らレヴィオンの生徒たち! >>46
3 青玉の証 >>47
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
どーも、藍蓮です。
今作は、趣味で書いていた話を文芸部に提出したら、「長すぎる」と言われ、40000字も泣く泣くカットする羽目になった話の完全版です。つまり、完成した原型があります。それをちょっと推敲するだけなので……。まぁ、投稿ペースは速いと思いますよ。
それではでは。不思議な世界にご案内♪
(地図を添付しました。URL参照)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
補足 この世界の魔法の仕組み(時々更新?)(すみません、複雑です)
〜アンダルシア魔道原則〜
1 この世界には魔法素(マナ)と呼ばれる、意思を持たないエネルギー粒子が無数に飛び交っている。それは、ある異種族(イデュールの民)以外の目には見えず、通常は人々に認識されないし、ただそこにあるというだけで、別段、人に害を及ぼすものではない。
2 この世界で言う「魔導士」とは、無数に飛び交う魔法素を才能で特定の形に組み、それを破壊することで、空間をゆがませたりひずみを加えたりして高エネルギー体である魔法素に働きかけ、何らかの事象を引き起こす人々のこと。魔法素を組み、破壊することそのものが「魔法」と呼ばれる。
3 魔法素には、それぞれ関与できる事象が異なる一団、通称「属性」がある。魔導士は魔法素を組めないと話にならないが、個人の適性によって、どの「属性」の魔法素が組めるかが大きく異なる。
たとえば「火」の魔導士は「火」の魔法素を組んで火に関する事象を起こせるが、それ以外の魔法素は少ししか扱えない。
とはいえ魔法素の基本は同じで、「属性」はそれにわずかに付与された「特性」みたいなものだから、「火」の魔導士でも、弱い事象ならば「水」や「風」も操れる。
4 この世界で言う「魔力」とは「魔法素を組める力」のこと。これは運動すれば体力が減るのと同じで、魔法を使えば魔力が減る。体力が減れば身体的に疲れるが、魔力が減れば精神的に疲れる。
7 この世界には、「反魔法素(アンチマナ)」と呼ばれる、魔法素よりも大きい、意思を持たないエネルギー粒子がややまばらに飛び交っている。反魔法素には魔法素でつくられた術式そのものを破壊し、ときにはその術者にさえ影響をもたらすことがある。
8 反魔法素は凡人はおろか通常の魔導士でさえ操れないが、操れる者もいるにはいる。彼らは「破術師」と呼ばれ、その存在は非常に貴重である。反魔法素を使えば、呪いの類はもちろん、攻撃魔法や補助・妨害、離脱・移動魔法、発動前の、まだ魔法素を組んだだけで破壊していない魔法すら壊せる。
しかし「破術師」は破術にのみ特化しており、魔法は一切使えない。
9 この世界には、「原初魔法素(オリジンマナ)」と呼ばれる、魔法素と反魔法素の中間ぐらいの大きさの魔法素が存在する。それは、何の属性にも染まっていない魔法素のことで、「属性による事象(発火、突風、落雷など)」が起こせない代わりに、集まることで力を成す。
要は、目に見えぬ拳で殴ったり、目に見えぬ壁で攻撃を受け止めたり、などということが可能。ただし、どれも通常の魔法素に比べると威力が劣るが、その術式は決して破術では破壊できない点が特徴。
10 「原初魔法素」使いは「無属性魔導士」と呼ばれる。属性の一切こもっていない「力の球」などで攻撃をされると対処が難しいため、割と応用範囲は広い。「破術師」ほど稀少ではないが、これを使える者は少ない。無属性魔法は破術での打ち消しができないが、消費魔力が多めの上に、属性魔法よりも威力が劣るので何とも言えない。
結論;三つの魔法素は、どっちもどっちの能力である。
12 特珠職業「魔素使(まそし)」は、魔法素を武器や盾として実体化させて戦うが、それに使われる魔法素は原初魔法素である。要は、無属性魔導士の派生職。魔素使は破術師並みに人数が少ない。
実体化させた武器や盾は、本人の意思によって、あるいは本人の意識の消滅によって消えてしまう。
13 魔法素を組む方法は個人によって異なるが、「詠唱」として言葉に出して行う者が多い。頭の中の考えがバラバラだとできる式もおかしくなるが、言葉に出すことによって、考えに指向性を持たせて正確な式を作る。
詠唱の言葉はその人のアドリブで構わないし、技名をつけるのも勝手なので、特にそのあたりに決まりはない。技や詠唱=人それぞれ、と言ったところか。
19 魔法素は目に見えず、普通は触れられないため、感覚的に組まれる。慣れぬ者は頭の中で式を組んでから術を使うが、慣れた者は頭の中で式を組まなくとも、無意識に術を使える。
魔導士として大切なのは理論ではなく、才能と勘と経験である。理論だけでは魔導士には決してなれない。
26 神も悪魔も精霊も死者も。一定の条件が整えば、人間と契約し、その力を貸し与えることができる。契約の方法はそれぞれ違い、あらゆる決定権は人間でない側にあることがほとんどである。
ちなみに。「召喚」と「契約」は似て非なるものである。
32 神や悪魔、精霊は気まぐれに人間と契ることがある。(ときには逆、あるいは相互もある)これを「契約」と呼ぶ。
「契約」は召喚ほどの強制力はないため、互いに信頼し合っていることが大切である。(人間の上位に当たる存在から契約を迫ってきた場合、信頼がなくとも契約できる)
33 人間の力には「魔力」「体力」「生命力」の三つがある。わかりやすくたとえてみよう。
ここに一つの器があるとする。その真ん中には仕切りがあり、左右それぞれ別の液体が満たされているとする。このうちの片方が「魔力」、もう片方が「体力」、器そのものが「生命力」である。
この中で「魔力」が減って(使われて)も、仕切りがあるため「体力」は減らない。その逆もしかり。ただし、人によって「魔力」と「体力」の配分は異なる。つまり、仕切りが偏っていることがある。
しかし、「生命力」、つまり器そのものが削れたり欠けたりすれば、「魔力」も「体力」も、満たすことのできる絶対量が必然的に減る。いくら「液体」があろうとも、「器」が小さければあふれるばかりで、全てを収めることはできないのだから。
「生命力」すなわち「生きる力」である。だから、これがなくなれば人は死ぬ。「死」はいわば、「器が砕ける」ことである。
【ごちゃごちゃしてきたし、本編に関係のない原則も出てきたので、いずれ整理します……】
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
速報!
2017/8/31 この作品が、小説大会ダークファンタジー部門で、次点を獲得しました!
いえ、次点ですけどね。あくまでも次点。
ですが、本当に、心から嬉しく思ったので!
皆様、ありがとうございました!(うれし泣き)(号泣)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
2017/8/17 連載開始
2017/9/12 本編終了
2017/9/24 番外編1 風色の諧謔 開始
- 夜明けの演者—Performer of Dawn— ( No.33 )
- 日時: 2017/09/12 22:25
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
最後の話です。
これにて「夜明けの演者」本編は完結となります。
しかし、まだ物語は続きます。
だってあるじゃないですか! 後日譚とか!
だから、本編が終わっても、この物語は終わらないのですよ……。
ではでは!
最後のエピソードへ! エンディングへ!
ご案内!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
〈エピローグ どんな夜にも……〉
♪
リクセスが死んだ翌日。
アルドフェック王ニコラスが討ち取られたとの報が届き、戦争は終結した。
草木芽吹く季節のことだった。
「終わった……ね……」
フルージアがつぶやけば。
「終わった、ね」
スーヴァルが返す。
今はもう、彼しかいない。他のみんなは死んでいったし、ハインリヒだって、目覚めるかはわからない。
「リクセス……あと一日、生きていれば……夜明けを見られたのに……」
空は紫から藍色を経て、次第に青に変わっていく。——夜明けだ。戦いの、戦乱の、新しい日々の、夜明けだ。——夜明けが、来た。
「……もう、特殊部隊はないんだね」
「もう、不可視の軍団はないんだよ」
「……寂しいね、スーヴァル」
「……悲しいね、フルージア」
あの戦争で、たくさんの人が死んだ。死んでいった。
そして残ったのは、たったの二人。
「会いたいよ……みんな……」
フルージアは、泣いた。大きな声で。まるで幼い子供のように。失った、喪ったものを思って。もう手の届かない、あの懐かしい日々を思って。たくさんの思い出があった。たくさんの幸せがあった。あの場所に、あの部隊に。こんな日々が永遠に続けばいいなと、夢みたいな景色の中で思った。
永遠なんて、存在しない。失ってみて、初めてわかった。
大好きなものも大切なものも。どんなに守ろうとしたって、いつかは必ず、消えていく。
泣いていたその身体を、誰かがそっと抱きしめた。こんな時に慰めてくれるのは、いつだってクィリだった。
「クィリ、わたし、大丈夫だから」
思わずつぶやいてはっとする。
——もう、クィリはいないんだ。
あの死に様、しかと見た。
なら、わたしを抱きしめている、この人は——。
「……僕じゃクィリの代わりになれないかもしれないけれど」
「スー……ヴァ……ル……」
「大丈夫。今は、泣いて、いい」
優しいその言葉と、確かな腕の感触に。フルージアは、彼の身体にしがみついて、わんわん泣いた。胸が張り裂けそうだった。悲しみに押し潰されそうだった。喪失感に、呑み込まれそうだった。
——でも、スーヴァルがいるから。
彼という存在が、彼女をつなぐ確かな鎖。生き延びてくれた大切な仲間。ただそれだけで、嬉しかった。
「存分に、泣いて。僕は、泣けない。こんなにも悲しいのに、辛いのに。泣けないんだ、涙が流れないんだよ。だから……僕の分も、泣いて」
そうして抱き合う二人を、やがて朝日が照らし出す。
「……もう、いいわ。ありがとう」
フルージアは、ちょっと恥ずかしそうに、笑った。
「夜明けが来た。わたしは劇団に帰るわ。あなたは?」
「里の仲間と連絡が取れた。僕も帰るよ——ミスルの、新しい里へ」
全てが終わったら別れなければならない。だって特殊部隊は、もうないから。
「よかったら、カウィダに来てよ。わたし、そこでまた、劇をやるわ。そして、演じるの! インヴィシブル・アーミー……セラン特殊部隊の、物語を」
「楽しみに待ってる。僕は都合上、里においでとは言えないけど……」
「ううん、気にしない。あなたにはあなたの生活があるから」
「ありがとう」
「当然でしょ?」
別れがたかったけれど、夜明けが来たんだ。別れなければならない。
「じゃあね、スーヴァル。わたし……幸せだったよ。みんなと、出会えて。思えばたった半年しかなかった日々だったけれど、わたし、本当に幸せだった! だから、忘れないわ。時が過ぎて、お婆ちゃんになったって。あの日々はおそらく、私の人生の中でも、いっちばん輝かしいい日々になると思うの! 出逢えて——よかったっ……!」
その言葉に、スーヴァルの碧い瞳が優しく答えた。
「僕たちの生きた日々は、決して無駄なんかじゃない。戦争の中に消えた無数の命のこと。劇でしっかり伝えておくれね」
「もっちろんよ! 将や王ばかりがすべてじゃない。その陰で生きてきた命にだって意味があったんだってこと、伝えてやるんだからっ!」
「その意気だよ、フルージア。泣いてる君は、君じゃない」
「…………!」
じゃあ、と、彼は歩き出す。
「またね、フルージア。僕の大切な……ともだち……」
別れは、必ずあるから。
フルージアは、笑顔で彼を見送った。
また会える日を信じて。
♪
「たっだいまー!」
ふきのとうが顔を出し始める、初春。
フルージアは、帰ってきた。
「おお、フルージア!」
「今まで一体どこ行ってたんだい? みんな心配したんだよ」
「ルーシュはルーシュでわけわからないこと言うし……説明してもらうよ」
帰ってきた途端、熱烈な歓迎を受けた。フルージアは嬉しそうに微笑んだ。
「色々あったの。そこでわたしも変わったわ。でも……こうしてみんなにまた会えて、嬉しい」
また会いたいと思ったって、現実がそれを許さなかった。みんなみんな死んでいった。だから、幸せに思う。誰一人欠けず生き残ってくれた劇団の仲間たちを見て。変わらぬ日常を見て。
知らず、一筋、頬を涙が流れた。
「……フルージア?」
「……嬉しい……」
あふれる思いに胸がいっぱいになって、フルージアはそれしか言えなかった。
ウォルシュが、優しく笑った。
「……色々、あったんだね……」
「…………うん」
「たくさん、辛い思いをしたんだね……?」
「…………うん」
「でも、その毎日は、幸せだったんだね……?」
「————うん!」
幸せだった。幸せだったからこそ。こんなにも涙が流れるのだ。
ウォルシュはそれを見ると、皆に言った。
「みんな、今日は解散だよ。あと、彼女に構わないで。彼女はいっぱい傷付いてる。だから、しばらく一人にしてやって」
何人かは不満そうな顔をしたけど、泣いているフルージアを見て、渋々引き下がっていった。
それを見届け、ウォルシュは、言う。
「君の友達……ハイン? は、まだ目覚めてない。けれど、生きているよ」
「……ハインリヒ」
ぽつりと、その名を呟いた。あんなに怪我して。あんなに傷付いて。それでもなお、「自分の見つけた大切なもの」のために戦おうとした、勇者。英雄。
目覚めなくとも、生きている。
「わたし、会いたいです。どこにいますか? 目覚めてなくたっていい。何ならわたしが目覚めさせる。そして、言うんだ。もう戦争は終わったよ、いつまで眠っているのって。わたし、またあなたと話したいよって!」
「その人は君の、大切な人なのかい?」
「そうよ、大切な友達よ! あとね、ウォルシュ……」
「何だい?」
問われ、フルージアは考えを話す。
「わたし……劇を……やりたいの……」
巡り巡って、夜明けの演者は帰りつく。
己の原点に。天職と思った、劇に。
「わたしたちの過ごした日々を……形にしたいの……!」
しかし、彼女はもう、彼女ではない。
半年の日々を得て、彼女は変わり、強くなった。
「その劇の名前は——!」
♪
不可視の軍団。その昔、そう呼ばれた一団があった。
彼らのほとんどは、「火花大戦」にて命を散らしてしまったけれど。
語り継がれる、物語がある。
少女は、声をからして叫ぶのだった。
どんな夜にも。どんな闇にも。
——夜明けは来る。
END
Thank You for Reading!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
え〜、完結です。完結したのです。
それは嬉しいのですが、折角ですし、余韻を崩したくないので。
あとがきは次のレスに書きます。
それまでコメントしないでほしいのです。
よろしくお願いしますですハイ。
執筆期間
2017/8/17-2017/9/12
Stories of Andalsia 夜明けの演者、本編完結!
- 夜明けの演者 あとがき ( No.34 )
- 日時: 2017/09/12 22:45
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
あ と が き
「夜明けの演者」、ついに完結です!
一か月にも満たない連載でしたがね……。
私は今日! カキコ内で、初めて中編作品を完成させたのです! 感慨無量ですよぉ!
この作品は、私が文芸部に提出した際に「長すぎる」と言われたため、泣く泣くカットした作品の完全版です。文芸部版では第二部の二章と五章、第三部の一章と三章がないのです。これじゃあキャラの過去が意味不明です……。死んでも悲しくないじゃんか! 薄すぎるんですよ! キャラの中身が、そのままだと!(泣)
さてさて。
今作は、「演者」と呼ばれる特殊な魔法の才をもった少女の数奇な運命の物語です。その短くはない人生の中で最も輝いた半年間、「永遠」に忘れられない「刹那」の日々を中心に、彼女、そして彼女の仲間たちとのかけがえのない日々を描きました。楽しんでいただけたら嬉しいです。(しかし主人公が全然目立って……って、これ以上言うな!)(茶番すみません)
とある小説(名前忘れましたが)にこんな一文がありました。
「過去とは、遠ければ遠いほど、直視できないほどに眩しく輝くもの」
私はその言葉に、この一文を付け加えたいと思います。
「そして、その日々が濃密であればあるほど、何よりも強く胸を灼くもの」
今作は、そういった想いを意識しながらも書きました。
78000文字とそれなりの分量がありますが、これでも、活躍していないキャラが多すぎるんですよ……。「魔素使」のVとか、死霊術師のAちゃんとか、刀使いのSとか。「組師」のRは最後しか見せ場ないですし。
あと、主人公! 二章でもちっとは活躍しろー! 主人公の良さ(特殊な力)が物語の要なのに、全然活かされてない結果となりました。藍蓮はまだまだ甘いです。キャラの扱いがなってませんねハイ……。
次には、メロディーのないテーマソング(みたいなもの)も載せます。
なのでまだ、コメントはお控えください。
※ ちなみに、テーマソングのタイトルは「Eternal Moments」です。直訳すると、「永遠の刹那」です。今年の文芸部の部活動誌の文化祭号は「久遠」と「刹那」の二冊に分かれるので、それを意識したタイトルとなっております。
それは、たった半年の物語。人の長い生に比べれば、まさに刹那のことかもしれませんが、胸に刻まれた思いや痛みは、永遠に残り続ける……。
久遠まで忘れられない、鮮烈な刹那の日々。それを想った歌詞となっております。
ではでは。
(伏線張りまくったけど全然回収できてない! ……深く追求しないで下さい。これでも本気です)
これまで、この作品を読んでくださって、誠にありがとうございました!
しかしまだ終わりませんからね!
語り終わっていないキャラの過去とか!
そのあたり、短編にしてこのスレにぶち込みますから!
原本がない分更新ペースは落ちますが……。
「夜明けの演者」は、まだ終わらない!
だから、恒例!
——次の話に、請うご期待ッ!!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ちなみに過去編案は、リクセスの話がプロットできてます。
こっちを書こうかな……。
ハインリヒとクィリの話もアイデアはありますが、プロットはそもそも作っていません。
リクセス編終わったらそっち行こうか。(独り言)
- 夜明けの演者—Eternal Moments— ( No.35 )
- 日時: 2017/09/23 02:00
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
夜明けの演者 テーマソング
《 E t e r n a l M o m e n t s 》
※「不可視の軍団」はインヴィシブル・アーミーと読みます。
頭の中でルビ入れてお読みください。
◆
〈1〉
久遠の彼方へ紡ぐ歌
忘れてはならないものがある
耳を澄ませば聞こえてくるでしょ 先人たちの歌声が
泣いて笑って叫んで散った 彼らの名前は不可視の軍団
遠い昔のことだけど ほんの刹那のことだけど
行くあて失い辿り着いた 特殊能力持つ人の集まり
豪放な隊長と堅い副隊長 千里眼のあの子はムードメーカー
新しくやってくるメンバーだって みんな笑顔で迎えてた
風の光る日 緑の濃い日 仲間とともに駆け抜けた日々
組師リクセス、僕に言った「友達だろう?」 嬉しかった
堅物クィリ、わたしに言った「泣いてもいいが、絶望はするな」
いつも傍には仲間がいて どんな時だって支えてくれた
苦しい時も つらい時も 立ち上がる救いの手をくれた
〈2〉
夜明けの向こうへ響く歌
忘れてはならないものがある
その目を閉じれば見えてくるでしょ 先人たちのあの勇姿
泣いて笑って叫んで散った 我らの名前は不可視の軍団
とうの昔のことだけど たった一瞬のことだけど
いつしか幸せは消えていって 戦乱の予感 喪失に怯えた
豪放な隊長も堅い副隊長も 千里眼のあの子も死んでいった
新たに死に逝く仲間たちを ゆがんだ顔で見送った
紅葉の散る日、雪の白い日 駆け抜けた日々は遠く向こうへ
命のシフォン、オレに言った「序列に従い死ぬんですよう」
隊長アミーラ、みんなに言った「覚悟を決めろ」 時が来た
今では傍に仲間もおらず どんな時だって独りきり
苦しい時もつらい時も 立ち上がるのは己の力で
〈3〉
闇を透かして届く歌
忘れてはならないものがある
心を開けば思い出すでしょ 先人たちの温かさ
泣いて笑って叫んで散った それらの名前は不可視の軍団
とうに終わったことだけど わずか半年のことだけど
ただ幸せに暮らしたかった 皆と笑顔で過ごしたかった
それだけなのに何ゆえに 運命は我らを弄ぶ
教えて神様 教えてほしい 僕たちオレたちわたしたちは
一体どこで間違ったのか 何がいけなくてこうなったのか
記憶の底から呼ばう声
忘れてはならないものがある
失ってみればいつかわかるでしょ 傍にいる人の大切さ
泣いて笑って叫んで散った 大好きだった仲間たち
ずっと昔のことだけど 刻まれた想い 忘れないから
久遠の彼方へ紡ぐ歌
忘れてはならないものがある
耳を澄ませば聞こえてくるでしょ 先人たちの歌声が
泣いて笑って叫んで散った 彼らの名前は不可視の軍団
遠い昔のことだけど ほんの刹那のことだけど
夜明けの向こうへ響く歌
忘れてはならないものがある
その目を閉じれば見えてくるでしょ 先人たちのあの勇姿
泣いて笑って叫んで散った 我らの名前は不可視の軍団
とうの昔のことだけど たった一瞬のことだけど
とうの昔のことだけど たった一瞬のことだけど
◆
※メロディーはありません。歌詞のみです。
ある日ふっと思いついたので書かせていただきました。
ちなみに、歌詞の中の「僕」はスーヴァル、「わたし」はフルージア、「オレ」はハインリヒです。この三人で作った歌、という設定になっています。
タイトルの意味は「永遠の刹那」です。
読んでくださり、ありがとうございました!
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
- 夜明けの演者 後日譚 水晶の欠片を透かしてみれば ( No.36 )
- 日時: 2017/09/17 16:55
- 名前: 流沢藍蓮 (ID: GfAStKpr)
後日譚です。
主人公たちが大人になった後の話です。
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
《後日譚 水晶の欠片を透かしてみれば》
♪
——あれから、二十年。
眠ったままのハインリヒも目覚め、フルージアはいつしか大人になった。
平凡な男と結婚し、子供だってできた。
だけど——。
「フルージア!」
「スーヴァル! ハインリヒ! 久しぶり!」
もう、かつてのような日々はない。皆、すべて平和になった、けど。
「そう言えば、今日は終戦の日だな。忘れてはいないだろう?」
あの怪我の後遺症で、右半身の自由と、彼を象徴していた「空間使い」の力を失ったハインリヒが、優しく微笑みかける。その彼も大人になり、今はリクセスの知恵の輪を受け継いで、「組師」として独り立ちした。
「その前日に、リクセスが死んだんだよね……」
痛みをこらえるかのように目を閉じるスーヴァル。そんな彼からは、かつてのような無愛想さがなくなり、代わりに、どこか諦観のような、達観したものが現れるようになっていた。
「あれから、何年? もう二十年は経ったかしら。でも、不思議と忘れられないのよね……」
少女から大人になった今でも、鮮やかに思い出せる、あの遠い日々の物語。
クィリがいた。アミーラがいた。マキナがいた。アイオンが、ヴィラヌスが、時雨が、リクセスがいた。フルージアがいた時期は短いけれど、それでもそこには確かに、「居場所」があった。——幸せがあった。
それはもう二十年も昔の物語だけど、決して、久遠まで忘れられない、鋭く痛む刹那の記憶。
もし、この場に彼らがいたのなら——変わった自分たちを見て、何と言うだろうか? この平和を見て、どんな表情をするだろうか。
その日々を想い、手の届かぬ遠い日々と、愛した人々を思い、こぼれた涙に。
「おかーさん。泣いているの?」
二番目の子供、ミカーナが不思議そうに問いかけた。それを見て、微笑む。
ミカーナ——Mikana——Makina——マキナ。
そう、この名前はあの子から採った。文字をばらして並び替えて。マキナから、とった。
「あのね、おかーさん。ミカ、きれいなもの、ひろったの!」
紅葉のような手が差し出したのは、輝く水晶の欠片。
「ミカ、もっとたくさん、きれいなものひろってくるね。だからおかーさん、なかないで」
フルージアは優しく微笑んだ。
「……みんな、変わったね」
感慨深げにスーヴァルがつぶやく。
「でも、思い出は、色あせない」
いくら時が過ぎたって。刻まれた思い、忘れないから。
夢のようだったあの半年。でもそれは夢じゃない。夢で終わらすことのできない、確かな記憶がそこにある。
「……お墓参り、行こうね」
言ってフルージアは、ミカーナからもらった水晶の欠片を、美しい朝の光に透かしてみた。
朝の透み渡った光を受け、水晶の欠片は見つめていられない程眩しく輝いた。
まるで、あの刹那の思い出のように。
水晶を透かして見た空には、懐かしい人々が、いた。
FIN
◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆ ◆
ハインリヒの伏線、回収できなかった藍蓮です。
本当はエンディングで、闇の神と再会する手はずだったのですが。
まあ、そこはifストーリーとして、いずれ載せますね、たぶん。
- Re: 【完結】Stories of Andalsia 夜明けの演者 ( No.37 )
- 日時: 2017/09/17 17:12
- 名前: 四季 ◆7ago4vfbe2 (ID: zh8UTKy1)
完結おめでとうございます!お疲れ様でした!
テーマソング素敵ですね♪ 曲付けたいな……などと思いつつ読ませていただきました。
これからも無理なく頑張って下さいね。