ダーク・ファンタジー小説

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Change the World 【カキコ版・旧】
日時: 2019/03/27 13:31
名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)

削除の理由は【大切なお知らせ】を参照。
(大会入賞は削除対象外のようです。こちらはカキコ版として残しておきます)

2017年の小説大会で銅賞を受賞しました。
・見直しをサボっているため、最初と今で地名や内容が異なる場合があります。
発見次第、直していく予定です。*ただいま修整中
・小説家になろう でも連載開始しました。


これは、人と幻獣の絆の物語。


悪逆非道な帝国により離ればなれになってしまった少年少女たち。
だが、長い時がたち再会する。

──そんな時だった。

あの帝国が再び動き出したのだった。

少年少女たちはそれぞれの思いを持ち旅立つ。
帝国を止める事を
これ以上悲しむ人を増やさない事を目的にしながら……

そして知ることとなる。宿敵の目的、幻獣の覚悟を。

以上、あらすじです。

ーお知らせーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リク依頼・相談掲示板にて『CTWいろいろ募集』を開始しました
連載が少し遅れ気味です。
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メインキャラクター

レオン・ハイレゾ
主人公。17歳。武器は剣。魔法の属性は無。乗り物に酔いやすい。
小動物に好かれやすい。髪色は黒い。姿は簡単にいうと、少女漫画で出てくるクールなイケメン。白いTシャツに黒いライダースジャケットを羽織り、チャックは前回。暗めの色のジーンズをはいている。料理好き。

ミント・グリーンティー
みんなのお姉さん的存在。17歳。武器は鞭。魔法の属性は風。
髪色は薄緑。ポニーテールでまとめている。デニムシャツワンピースの中に黒色のロゴが入った白いTシャツを着て、ミニスカぐらいの丈のデニムをはいている。

オリガ・ハイウィンド
頭にうさ耳に縛りをしたバンダナをつけている。16歳。武器は槍。
魔法の属性は氷。レオンに片想い。髪色は空色(水色)で肩までのショートカット。カーキ色のミリタリーシャツの下に白いレースのシャツ。それにショートデニムをはいている。(踝辺りまでのスパッツも)フーの世話役(一応このメンバーの中では飼い主となっている)

フレイ・ウォーリア
緑の国の現国王。フレイヤとは双子の兄。17歳。武器は己の拳。魔法の属性は火。
やる時はやる男。ボケる時はボケる。金髪で前髪を上にあげているためソフトリーゼント風。動きやすさを求めた服装で、ゆとりのある白いハーフパンツ(膝丈)に白いタンクトップ。その上に目に優しいくらいの紅色の半袖のジャケット(ロゴ付き)を着ている。

フレイヤ・ウォーリア
なぜか森の中で暮らしていた。フレイの双子の妹。17歳。武器は銃。魔法の属性は土。
兄に突っ込みを入れたり(蹴る、殴るなど)など止め役。金髪で長い髪を肩辺りでツインテールにしている。(おさげに入るのかな?)白いワンピースに腰辺りにベルトをしている。ベルトについているのは武器の銃。黒いスパッツをはいている。

シド・メロ
元帝国ラーミナ特殊部隊の一員。追放されて雪の国へ。19歳。一応医者。武器は双剣。魔法の属性は雷。
髪色は銀髪でストレート。服装は脛まである白衣着て、中には薄緑のシャツにネクタイをしている。ズボンは茶色。白衣を脱げば学生のような格好。飛空艇の基礎プログラムや部品にとても詳しい。

ジュリィ・ティーク
さすらいのギャンブラー(一応踊り子)。妹がいる。19歳。魔法の属性は水。
武器はタロットカード。髪色は茶色で長く、毛先は鋭い。服装は白い肩出しガウチョ風のシャツに赤茶色っぽい膝下まであるスカートのような物をはいている。(長い布を履く物にした感じのやつ)くるりと回るとスカートのような物が綺麗に舞い広がる。

こんな感じで頑張ります!
初投稿のため、少し物足りないと思います。

目次

一気に読みたい方>>1-

第1章 良くも悪くも再会 >>2-15 (途中コメントもあり)←ありがとうです!
1話>>2 2話>>3 3話>>6 3.5話>>7 4話>>8 4.5話>>9 5話>>15

第2章 皇帝の野望を知れ>>16-25
6話>>16 7話>>17 7.5話>>19 8話>>20 9話>>21 9.5話>>22 10話>>23 >>25

第3章 真実>>26-38
11話>>26 12話>>27 13話>>28 14話>>29 15話>>31 16話>>32 17話>>33 18話>>36
19話>>37 20話>>38

第4章 それぞれの思い>>39-94
20.5話>>39 21話>>41 22話>>42 23話>>43 24話>>44-45 25話>>46 26話>>47 27話>>48
28話>>49 >>51 29話>>55 29.5話>>56 30話>>58 31話>>65 32話>>66-69 (とても長いです…)
33話>>71 >>74 34話>>75-76 35話>>77 36話>>78 37話>>79 38話>>82 39話>>83
40話>>84 41話>>85 42話>>86-87 43話>>88-89 44話>>92 45話>>93 46話>>94

第5章 恩返し(仮題名)
47話>>95

第4章から、章の区切り方を変えました。(今までは『再会編』など1つの編で1章。今は3つぐらいの編が合わさって1章。)

もしかしたら、フィルタリング機能でこの小説が書けなくなるかもしれません。
ですが、かけるだで書きます。

コメントはバシバシしていいですよ! (してくれた方が嬉しいです…)
返信を必ずしますのでお気軽にどうぞ

☆この小説の歴史☆
2017.8.26 開始
8.28 番外編を別スレで開始(URLで行けます)
8.28 閲覧数100突破。
8.29 第2章開幕。
8.31 キャラ情報更新
9.11 閲覧数150突破。
9.24 第3章開幕。
9.25 閲覧数200突破。
10.16 閲覧数250突破。
11.1 リク依頼・相談掲示板にて『CTWいろいろ募集』を開始。
11.2 閲覧数が気がついたら300突破
11.3 もう閲覧数350突破。更新できなくていつもすみません…
11.7 閲覧数400突破。
11. 16閲覧数450突破。
12.7閲覧数550突破。
12.18閲覧数600突破。今更だけど第4章開幕(書き忘れてた)
12.27閲覧数650突破。
12.30閲覧数700突破。
12.31キャラクター投票開始
1. 1閲覧数750突破! 今年もよろしくお願いします
1.13閲覧数800突破!
1.22閲覧数900突破
2. 5閲覧数1000突破!!
2. 6 2017年冬の小説大会にて銅賞を受賞
5.22第5章開幕
6. 5閲覧数2000突破!物語も折り返し地点へ
8.3小説家になろうで連載開始

Re: Chage the world ( No.79 )
日時: 2018/03/25 18:26
名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)

〈ちょっとコメント〉
今気づいたのですが、36話を出した時には日付は変わっていたんですね…
ということは、制作時間約2時間40分!? 今までで一番最長だな〜
…ん? コレいらないって? たまには喋らせてくださいよ(笑)
まぁ、37話、始まります。

37話 次の目的

目を開くと、そこはルミルの家ではなかった。
中央には純白の布が敷かれた長いテーブルがあり、囲むように建物を支える柱が並んでいる。
誕生日席のような場所にいる俺のテーブルを挟んだ先には人影があった。
大きな窓から差し込む月光しか部屋を照らすものが無いためはっきりとは見えない。
しかし、その人影は俺の記憶の中にあるものだった。
記憶の中にある名を口に出す。

「オーディン… なのか?」

人影が振り向き、頷いた。オーディンのようだ。

鎧のせいで顔は見えないため、表情はわからない。
いったい何を考え、何を思い、俺をここへ呼んだのだろうか。

「あんたには聞きたい事がたくさんある。」
「ほう… そうか。我もお主に話したい事がたくさんある。しかし… 時間が無いようだ」

話したい事があるなら、時間がある時に呼んでくれ。

「とりあえず、これだけ伝えておこう。お主達、次はハイランドへ行き秘宝を貰い幻獣界へ来い。話は、そこからだ」
「どういう事だよ…」

再び光に包まれ、眩しさで目を閉じる。

「お〜い、聞こえるかい?」
「ん…?」

目を覚ますと、シドとジュリィがこちらを心配そうに見ていた。

「大丈夫そうだな」

ジュリィが胸をなでおろす。
そんなに長い時間、俺は目を覚まさなかったのだろうか。
… オリガは大丈夫なのだろうか。

「オリガは…?」
「大丈夫だよ。目を覚ましてルミルの話を聞いて、フレイヤと先に飛空艇に戻ったみたいだから」

安心した。もう、心配しなくてよさそうだ。
とりあえず立ち上がり、体を伸ばす。
そして、オーディンから聞いた話をシドとジュリィにも話した。

「幻獣王がアタシ達に遊楽の街へ行けだって?」
「そして秘宝を貰って幻獣界へ来いだってさ」
「ふ〜ん。どーいう意味だかわかんないけど、ハイランドへ行くってのは確定っぽいね」

シドはスマホを取り出すと、報告書を提出しに行ったフレイに飛空艇に戻るよう伝えた。
すぐ出発するらしい。

「おや、そろそろ行くのですか?」

部屋の奥の方からルミルがやってきた。

「うん。次の目的ができたから」
「そうですか… 」

ルミルがポケットから何かを取り出す。

「これ、フレイに渡してください。単なる手紙です。中身は内緒ですよ。」
「直接じゃなくていいのか?」
「私には… ちょっと無理です…」

ルミル頬がわずかに赤くなる。
確かに、中身はフレイ以外見ないほうがよさそうだな。

「シドさん達、これからも頑張ってくださいね」
「ルミルも、頑張るんだよ」
「はい! では」

ルミルは俺達が飛空艇に乗って見えなくなるまで手を振り見送ってくれた。
その後俺は自分の部屋に戻り、ハイランドへ着くまで剣を磨く事にした。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

レオンから「ルミルからだ」と言われて手紙を渡された。
オレは自分の部屋に戻って、ベッドで横になりながら読む事にした。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
フレイへ

言葉にできない思いとか、直接言えない事とか、この手紙で伝えるね。
フレイに伝わるといいな… (バカにしているわけじゃ無いからね)

初めて出会ったのは、レヴェリー王就任25周年記念パーティーの時だったよね。
あまりそこまでに至る経緯は覚えてないけど、立場を考えないで一緒にいてあんなに楽しい思いをしたのは初めてだったの。だって私、他の人と分かり合えない事ばかり知ってたり専門だったりするでしょ?
きっとそれが原因で友達いないし…

でも、フレイは話がわからなくても興味深々で聞いてくれたよね。
こういう経験、私にとって初めてで嬉しかったの。本音で語り合えて、私の事を認めてくれて… 本当に嬉しかった。その時話してくれたフレイの話、面白かったよ。今でも覚えてる。
覚えているぐらいいい思いをしたから連絡先交換したんだと今になって思ってるんだ。

時々でもいいから、連絡ちょうだい。
そう言った理由、わかってくれた?
ちゃんと文章を理解しているならわかるはずなんだけど、きっとフレイの事だから念のために書いとくね。

あなたが私の支えになっているから。

自分で思っている事なのに書いてたら恥ずかしくなってきちゃったな…
フレイが私の支えになっているのと同じく私も、フレイを陰からでも支えられるようになろうと頑張ってるから。フレイも頑張ってね。
だから… 悩み事とか旅の話、いろいろな話でもなんでもいいから、連絡ちょうだい。

長くなってごめんなさい。もう紙のスペースも少ないから、思っている事、ストレートに言います。
本当は直接言いたいけど、私にはきっとできないから。
本当にストレートに言うからね? 驚かないでよ?

直接会って話した回数は少ないけれど、私、フレイの事が好きです。
もし、私でいいのならば… 旅が終わったら返事ください。待ってます。

ルミル・ストレイト

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「えぇ!?」

最後の文章により、思わず声が出てしまった。
なぜなら、オレも… ルミルの事は気になっていたから。
あの他者を思いやる心にオレは惹かれていたから。

それよりもっと驚いた事は…
オレが、誰か… ルミルの支えとなっていた事。
緑の国の人達に支えられて生きてきたオレは、緑の国の人達のように誰かを支えたいと思っていた。
まさか、こんな風に実現するとは…

お願いします ( No.80 )
日時: 2018/03/20 21:52
名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)

私、ありえない間違いを今までしていました…

それは、このスレッドの題名。
皆様はお気付きでしたか?

『change』が『chage』となっていた事を。
『n』が抜けていた事を…

今は修正してあります。
読者様にご迷惑をおかけした事をお詫び申し上げます。
(迷惑なんかかかってない…? お詫びってなに? という事はつっこまないでください)

そこで、読者様にお願いがあります。
間違いをしているのに気づいたら、コメントしてください。
このように気づかない場合がありますので。

Re: Change the world ( No.81 )
日時: 2018/03/25 19:33
名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)

37.5話 最高責任者さん

「ここがハイランド…」

飛空艇発着場にユピテル号を停め、ハイランドヘ来た。
世界1とも言われている遊園地。地図を見てその凄さが一目でわかる。

「まずは、秘宝ってのがなんなのかを調べなきゃな。一番手っ取り早いのは…」
「ここの最高責任者に聞く。だろ?」
「レオン、それだ!」

こんなにも単純なことも思いつかなかったのか。
…さすがフレイだ。
でも、自分の考えの後にどうすればいいのかを考えないで発言するところは俺も同じだ。
最高責任者に聞く。そうするにはどうすればいいのだろうか。

「最高責任者に聞くって言ったけど、どうやってそもそも会うんだ?」
「そういう事なら私にお任せを!」

一応、病み上がりのオリガが言った。
何かいい方法があるのだろうか。

「オリガ、何かいい方法あるの?」
「これでも私、軍の中で諜報担当だよ。最高責任者さんに協力してもらってここで潜入捜査した事だってあるんだから。まぁ、任せてよ」

オリガが前へ進む。
俺達はオリガについていく事にした。

ここは星型となっていて5つの角ごとにエリアがあるらしい。
エリアは北の角を1とし、時計回りで2,3,4,5となっており今から行くのはエリア1のようだった。

Re: Change the world ( No.82 )
日時: 2018/03/29 17:35
名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)

38話 条件

エリア1は、他のエリアと違っていてアトラクションがなく雰囲気は落ち着いていた。
エリア自体がスタッフルームのようだった。
あたりには事務所のような建物が並んでいる。
ここでハイランド全ての管理をしているのだろう。

「ニャー」
「猫… ?」

どこからか猫の鳴き声がした。

「待てー! ニョー」

後ろから誰かが走ってくる音がする。

「ちょっと、そこの君! その猫を捕まえて!」
「君… ってアタシのこと!?」

猫を追いかけ走ってくる男性が頷く。
それを見るとジュリィは猫を見てタロットカードを取り出す。

「ニャー ニュー ニョー」
「不思議な鳴き方をする猫だな、ちょいと止まりな」

取り出したのはジュリィが最もよく使う死神のカード。
猫の前にいつもとは違う小さく可愛らしい死神が現れ鎌を振るうと、猫はその場で倒れた。

「ジュリィ、『捕まえる』だよ?」
「大丈夫。気絶しているだけさ… えっと…」

男性が猫を捕まえたのを確認すると、ジュリィはさっきのものとは違うカードを取り出した。

「その猫、起こしていいか?」

男性は少し悩むと、

「部屋に戻ってからでもいいですよね?」
「その方がさっきみたいにならないかもね〜」

男性に案内されてついたのは、事務室という看板がついていた部屋だった。
…ということは、この人はハイランドのスッタフなのであろう。

「お願いします」
「了解! さて、猫ちゃん起きろ」

取り出したのは、審判する人が描かれたカード。そこから暖かい光が放たれると、猫を包みこみ、猫が目を覚ました。首元を掴まれているせいか、猫はおとなしい。

「ニョーを捕まえてくれてありがとう。」
「ニョー… ? この猫の名前か?」
「そうです… あ、私(わたくし)はここの最高責任者のタンド・リキンです。みなさんがエリア1に入るということは、私に用があるということですよね」
「リキンさんやっぱ勘が鋭いね。実は…」

オリガはタンドにここに来た理由を話した。

「秘宝… 『他世界への鍵』のことですね。でも、タダではあげませんよ。なんて言ったって、無の守一族の宝ですから。」
「秘宝って名が付くぐらいだもんね」
「…でも、オーディンが言ったんですよね。今から言う条件を満たしたら差し上げましょう」
「本当か!?」
「条件を満たしたらですよ」
「条件とは?」
「ここにあるアトラクション全てやってきてください。この台紙にスタンプを押してもらえばやったという事になります。中には絶叫系もありますので、仲間と分けて乗ってもいいですよ」
「それならきっと簡単だな。さて、行くか!」
「全てやったら再びここに来てくださいね。いってらっしゃい」

そして事務室を後にした。
この条件なら、すぐに達成できそうだった。なぜなら、このメンバーにはこういうのが好きなやつらが沢山いるからだ。言ってしまえば、俺以外だろう。

「なぁレオン、アレ乗ろうぜ!」
「命の保証… できないな」
「何言ってんだよ! あの高さから落ちることは絶対ないって。だから、な?」
「そういう意味… っておい!」

フレイに誘われたのは、絶叫系のジェットコースターだった。
俺が乗り物に弱い事をフレイは忘れているのだろうか。いくら飛空艇は慣れたからってこれはさすがに酔うだろう。乗る前からそれはわかるはずだ。

腕を引っ張られジェットコースターの列に並んでしまった。
後ろにも人が来てしまったため、戻る事は出来ないだろう。
…ここは、酔い止めの魔法をいつも以上に強くかけ我慢するしかないようだ。
俺は、覚悟を決めてそのジェットコースターに乗る事にした。

Re: Change the world ( No.83 )
日時: 2018/04/06 23:04
名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)

39話 時には息抜きも

「よし、次だぜ!」

フレイはジェットコースターへのワクワクが止まらないらしい。
昔からそうだったよな。こういうのを待っている間、お前はまるで欲しいものを買って貰える時の小さな子供みたいにテンションが上がるのは。立場を考えないのは。

「シートベルトの確認のため、スタッフがお客様の元に向かいます」

スタッフと思われるお兄さんがシートベルトを固くしめる。
これだけしめれば落ちることはないだろう。

ブザーがなった。いよいよ始まるらしい。

「みなさん、今日はご来場ありがとうございます…」

そこからこのジェットコースターの説明が始まった。
…地味に長い。きっとこのせいであの長い行列ができてしまうのだろう。

「良い旅を!」

俺にとっては『酔い旅』だがな。

ゴゴゴゴ、という音がしたと思うと、機体が動き始めた。
早速目の前に大きな登り坂が見えてきた。
ゆっくりと上がり、坂の頂点で止まると一気にスピードを出し下った。
その勢いで一回転もし、もう一つの坂を上がる。

「もう、ダメだ…」
「ちょ、おい! どうしたんだよ?」

酔いが最高潮まで達した。
やはりこのようなジェットコースターは俺には無理だった。


気がつけば、ジェットコースターが終点まで付いていた。

「お前、そういえばこういうのダメだったな… ゴメン」
「次こんなことしたら、後がないと思えよ…」
「…はい」

機体から降り、外に出る。まだ、少しふらふらとする。
俺のふらつきを見たためだかわからないが、フレイはより反省してるように見えた。

「少し休憩したらどうだ?」
「そうだな… あそこのベンチででも休んでるか」

近くにあった海の見えるベンチ。
そこに俺は座り目を閉じる。
涼しい潮風が頬に当たる。その気持ちよさは孤児院にいた頃を思い出す。
少し休もう。ここなら静かだし落ち着ける。
そして俺は座りながら寝た。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

フレイがこっちに戻ってきた時、レオンはいなかった。
フレイ曰く、休憩しているとのことらしい。
ジェットコースター… きっと酔ったんだな。絶対そうだ。
「自分で運転するか、慣れた乗り物以外は酔う」って前に言っていたような気がするもの。

「お〜い、オリガ?」
「ん? なに?」
「あれ、乗ろうよ」

フレイヤが指をさした先にあったのは、クルクルと回るコーヒカップ。
なんだか、とてつもなく早く回りそうで楽しそうだった。

「いいよ、でも次は私が指定するね」

コーヒカップの列に並ぶ。
相変わらず、ここに来るお客さんは多い。さすが世界一。
並んでいる途中にコーヒカップを見ると、ありえない速さで回っているのもあった。
人の力であれほどまでできるとは…

なんだか肩が震えている。
震えている右肩にはフーが乗っていたはずだ。どうしたのだろうか。

「どうした、フー?」
「ワゥ…」

あんな回転したら、吹き飛ばされそうで怖いワン。
そう言っているように感じたのはきのうせいだろうか。

「怖いんだね?」
「きゅぅ…」

フーはいつもよりも元気がなかった。
よほど吹き飛ばされるのが怖いのだろう。
どこか、安全な場所はないだろうか…? ん?

急にフーがジャンプして地面に降り、どこかへ走って行った。
吹き飛ばされるのが怖いみたいなのに、高い所からのジャンプは怖くないようだ。
走って行った先にいたのは、シド。
フーは得意なジェスチャーを使ってシドに来た理由を伝えているみたいだった。
その必死に何かを伝えようとしている姿はとても可愛らしかった。

どうやら無事伝わったようだった。
シドはフーを肩に乗せフレイと共にどこかへ行ったみたいだった。

「オリガ、あそこにしよ〜」
「あ、うん! いいよ」

フレイヤが声をかけてきた。
気がつけばもう私達が乗る番になっていた。

フレイヤが指定したコーヒカップは、先程ありえない速さで回っていたコーヒカップだった。
見た目は他のと変わりない。しかし、腰元あたりにシートベルトがある。差込口へ差し込むとカチッと音が鳴った。これでシートベルトは完全に着用できただろう。

安全確認のため、スタッフのお姉さんがやって来た。
コーヒカップの扉を閉じると共に、話しかけられた。

「このコーヒカップは回しすぎ注意ですよ。先程のようになってしまいますので。…と言ってもここに乗ったという事は、最速を味わいたいということですよね。くれぐれも気をつけてくださいね」

スタッフのお姉さんが操縦室へ戻ると、ブザーが鳴った。

「みなさん、今日はご来場ありがとうございます!くれぐれも回しすぎにはご注意くださいね。では、開始です!」

ファンシーな曲が流れると共にコーヒカップが回り始めた。
早速、フレイヤは中央にある銀色の円形をしたハンドルを回し始める。

「最高まで回していいよね?」
「もちろん! だってそのためにここにしたんでしょ?」
「えへへ、ノリがいいねオリガは〜 ミントもいたら、もっと楽しかっただろうな…」

フレイヤがボソッと呟く。大がつくほどの親友だったミントのことを。
毎回、ミントの事を思うと『なぜあそこで自らを犠牲にしてあの魔法を唱えたのか』という疑問がわいてくる。
確かに、ミントがあの魔法を使わなければ緑の国は滅んでいただろう。でも、それ以外に方法はなかったのだろうか。

いつもそうだ。戦いの結末を迎えると共に過ごしたり、戦った誰かがいなくなる。
院長も、女王様も、ジンくんも… みんな私達を残していなくなってしまう。家族だってそうだ。
その時人は『そういう運命だったんだから仕方ない』とか『あの人のおかげで今生きていれているのだから頑張ろう』とか前向きになろうと言ってくることがある。でもそれって言い訳だと思うんだ。
運命にだって抗えるし、他の方法がきっとその時は思いつかないだけでもっとあると思う。なのにいなくなってしまった人達をそんな風に言うのは、なんだか生かされた者としてずっと嫌だった。

なぜ皆が生きていられる結末を選ばないのだろうか。

「お〜い、大丈夫?」
「ん?」
「ボーッとしてたから」
「…考え事、してたの」
「今はこの旅で滅多にない、思いっきり遊ぶ時だよ。何にも考えないで弾けようよ。ずっと考えてたり、悩んでたりすると、気づけたり、変えられたりした事とかできないで終わっちゃうよ… だから、ね?」

フレイヤにはフレイヤなりの考えがあるようだった。最後の一言から伝わってきた。

「そうだね… さて、遊ぶぞ!」
「おー!」

先程の速さを超える勢いでハンドルを回しコーヒカップを回した。
降りた後にスタッフのお姉さんから聞いたが、歴代最高速度が出ていたらしい。そのため入場料無料券をもらった。もしここへ来る時があったら使ってみよう。

次に私のリクエストで、乗り物型のシューティングゲームをやった。機体に備わっている銃のおもちゃから出る光線を、周りにあるモンスターの動く人形にある小さな的に当てるという簡単な物だった。ペアで乗ると1vs1ができる仕組みになっているようでフレイヤと得点を競う事になった。
結果はもちろんフレイヤの勝ち。さすが、2丁拳銃を操り百発百中のフレイヤ。降りた場所にある得点板に載っていたフレイヤの得点は私を含めお客さん、スタッフさんが驚きを隠せないぐらいのものだった。ここでもフレイヤは歴代最高得点を取ったらしくまた入場料無料券が貰えた。後に、この出来事がこのゲームの常連達の間で伝説として語り継がれていくらしい。まぁ、後ろにいたお客さんが言っていたのだが…

その後は、レオンを除いたメンバーで様々なアトラクションを楽しんだ。お化け屋敷でのシドの対応、ジュリィの反応は忘れられない。

「はぁ… 疲れた…」
「私はバリバリ元気だよ〜」
「オレも多分このメンツじゃ一番アトラクションに乗ってるけど疲れてないぜ」

なんだこの兄妹は。数百ともあるアトラクションで乗っていないものが残り3つほどとなったなかでもバリバリ元気だ。疲れというものを知らないのだろうか…

「アタシもまだ行ける」
「僕もあんまり乗ってないから大丈夫だよ」

この2人はまぁ、あんまり乗っていないのだから大丈夫だろう。
それにしても今日1日の疲れがバッと出てきた。どこかで休みたい。

「休んだら…?」
「そうしたいけど、そんな場所あったっけ?」
「今もいるかわかんねぇけど、レオンが休んでるエリア5には海の見えてベンチが置いてある休憩所があったはずだぜ。近いからどうだ? あと、様子見てきてくれっか?」
「了解… あとは任せたよ〜」

エリア5の休憩所… あそこだろうか。
気がつけばもう夕方。街灯の明かりがつき始めるか始めないかぐらいの時間になっていた。
潮風が気持ちく、水平線に太陽が沈み始めオレンジ色と夜空の色が混ざり合い幻想的な環境のなか、レオンはベンチで1人で眠っていた。

「寝てる…?」

目を閉じ、静かに寝ている。近くにマジックペンでもあったら落書きしてやりたいぐらいに静かに無防備に寝ている。しかし、疲れが出ている現在の私には、そんな気力もなかった。

とりあえず、そろそろエリア1に戻らないといけないから起こしておこっと。

「お〜い」

無反応。相変わらず寝ている。

「お〜い、起きてよ」

まぶたが少し動いた。こいつ、もう起きているな。なんならさっさと起きないだろうか。

「…起きないと、ふふっ」
「…悪かったな」

やっと目を覚ましてくれた。とりあえず、隣にでも座っておこう。本来は休みにここへ来たのだから。
胸がドキドキする。2人っきりになった事なんてあまりないしなんと言ったって…


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