ダーク・ファンタジー小説
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- Change the World 【カキコ版・旧】
- 日時: 2019/03/27 13:31
- 名前: 和花。 (ID: qU5F42BG)
削除の理由は【大切なお知らせ】を参照。
(大会入賞は削除対象外のようです。こちらはカキコ版として残しておきます)
2017年の小説大会で銅賞を受賞しました。
・見直しをサボっているため、最初と今で地名や内容が異なる場合があります。
発見次第、直していく予定です。*ただいま修整中
・小説家になろう でも連載開始しました。
これは、人と幻獣の絆の物語。
悪逆非道な帝国により離ればなれになってしまった少年少女たち。
だが、長い時がたち再会する。
──そんな時だった。
あの帝国が再び動き出したのだった。
少年少女たちはそれぞれの思いを持ち旅立つ。
帝国を止める事を
これ以上悲しむ人を増やさない事を目的にしながら……
そして知ることとなる。宿敵の目的、幻獣の覚悟を。
以上、あらすじです。
ーお知らせーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
リク依頼・相談掲示板にて『CTWいろいろ募集』を開始しました
連載が少し遅れ気味です。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
メインキャラクター
レオン・ハイレゾ
主人公。17歳。武器は剣。魔法の属性は無。乗り物に酔いやすい。
小動物に好かれやすい。髪色は黒い。姿は簡単にいうと、少女漫画で出てくるクールなイケメン。白いTシャツに黒いライダースジャケットを羽織り、チャックは前回。暗めの色のジーンズをはいている。料理好き。
ミント・グリーンティー
みんなのお姉さん的存在。17歳。武器は鞭。魔法の属性は風。
髪色は薄緑。ポニーテールでまとめている。デニムシャツワンピースの中に黒色のロゴが入った白いTシャツを着て、ミニスカぐらいの丈のデニムをはいている。
オリガ・ハイウィンド
頭にうさ耳に縛りをしたバンダナをつけている。16歳。武器は槍。
魔法の属性は氷。レオンに片想い。髪色は空色(水色)で肩までのショートカット。カーキ色のミリタリーシャツの下に白いレースのシャツ。それにショートデニムをはいている。(踝辺りまでのスパッツも)フーの世話役(一応このメンバーの中では飼い主となっている)
フレイ・ウォーリア
緑の国の現国王。フレイヤとは双子の兄。17歳。武器は己の拳。魔法の属性は火。
やる時はやる男。ボケる時はボケる。金髪で前髪を上にあげているためソフトリーゼント風。動きやすさを求めた服装で、ゆとりのある白いハーフパンツ(膝丈)に白いタンクトップ。その上に目に優しいくらいの紅色の半袖のジャケット(ロゴ付き)を着ている。
フレイヤ・ウォーリア
なぜか森の中で暮らしていた。フレイの双子の妹。17歳。武器は銃。魔法の属性は土。
兄に突っ込みを入れたり(蹴る、殴るなど)など止め役。金髪で長い髪を肩辺りでツインテールにしている。(おさげに入るのかな?)白いワンピースに腰辺りにベルトをしている。ベルトについているのは武器の銃。黒いスパッツをはいている。
シド・メロ
元帝国ラーミナ特殊部隊の一員。追放されて雪の国へ。19歳。一応医者。武器は双剣。魔法の属性は雷。
髪色は銀髪でストレート。服装は脛まである白衣着て、中には薄緑のシャツにネクタイをしている。ズボンは茶色。白衣を脱げば学生のような格好。飛空艇の基礎プログラムや部品にとても詳しい。
ジュリィ・ティーク
さすらいのギャンブラー(一応踊り子)。妹がいる。19歳。魔法の属性は水。
武器はタロットカード。髪色は茶色で長く、毛先は鋭い。服装は白い肩出しガウチョ風のシャツに赤茶色っぽい膝下まであるスカートのような物をはいている。(長い布を履く物にした感じのやつ)くるりと回るとスカートのような物が綺麗に舞い広がる。
こんな感じで頑張ります!
初投稿のため、少し物足りないと思います。
目次
一気に読みたい方>>1-
第1章 良くも悪くも再会 >>2-15 (途中コメントもあり)←ありがとうです!
1話>>2 2話>>3 3話>>6 3.5話>>7 4話>>8 4.5話>>9 5話>>15
第2章 皇帝の野望を知れ>>16-25
6話>>16 7話>>17 7.5話>>19 8話>>20 9話>>21 9.5話>>22 10話>>23 >>25
第3章 真実>>26-38
11話>>26 12話>>27 13話>>28 14話>>29 15話>>31 16話>>32 17話>>33 18話>>36
19話>>37 20話>>38
第4章 それぞれの思い>>39-94
20.5話>>39 21話>>41 22話>>42 23話>>43 24話>>44-45 25話>>46 26話>>47 27話>>48
28話>>49 >>51 29話>>55 29.5話>>56 30話>>58 31話>>65 32話>>66-69 (とても長いです…)
33話>>71 >>74 34話>>75-76 35話>>77 36話>>78 37話>>79 38話>>82 39話>>83
40話>>84 41話>>85 42話>>86-87 43話>>88-89 44話>>92 45話>>93 46話>>94
第5章 恩返し(仮題名)
47話>>95
第4章から、章の区切り方を変えました。(今までは『再会編』など1つの編で1章。今は3つぐらいの編が合わさって1章。)
もしかしたら、フィルタリング機能でこの小説が書けなくなるかもしれません。
ですが、かけるだで書きます。
コメントはバシバシしていいですよ! (してくれた方が嬉しいです…)
返信を必ずしますのでお気軽にどうぞ
☆この小説の歴史☆
2017.8.26 開始
8.28 番外編を別スレで開始(URLで行けます)
8.28 閲覧数100突破。
8.29 第2章開幕。
8.31 キャラ情報更新
9.11 閲覧数150突破。
9.24 第3章開幕。
9.25 閲覧数200突破。
10.16 閲覧数250突破。
11.1 リク依頼・相談掲示板にて『CTWいろいろ募集』を開始。
11.2 閲覧数が気がついたら300突破
11.3 もう閲覧数350突破。更新できなくていつもすみません…
11.7 閲覧数400突破。
11. 16閲覧数450突破。
12.7閲覧数550突破。
12.18閲覧数600突破。今更だけど第4章開幕(書き忘れてた)
12.27閲覧数650突破。
12.30閲覧数700突破。
12.31キャラクター投票開始
1. 1閲覧数750突破! 今年もよろしくお願いします
1.13閲覧数800突破!
1.22閲覧数900突破
2. 5閲覧数1000突破!!
2. 6 2017年冬の小説大会にて銅賞を受賞
5.22第5章開幕
6. 5閲覧数2000突破!物語も折り返し地点へ
8.3小説家になろうで連載開始
- Re: Change the world ( No.114 )
- 日時: 2018/07/29 22:03
- 名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)
CTW物語アンケートを、リク依頼・相談掲示板のCTWいろいろ募集で開催中。
ご協力をお願いします。
59話 剣に宿りし刀魂
「あれが遺跡だよ」
リアに案内されて10分ほど歩くと、遺跡と言う割にはしっかりとした建物が建っていた。見学業をやっているだけあってか、道は整備されている。
中へ入る。
「こういうの、慣れているんだね」
「迷いの森の古代遺跡やボルケーノ火山だって行ったからね」
「何のために?」
「魔石集めだよ。最初の頃は、帝国から守るためにやっていたけど今は違うんだ〜」
「へぇ〜」
リアとオリガの会話がはずむ。性格が少し似ているからなのだろうか。
「……ん?」
オリガが何かに気づく。
「どうした?」
この遺跡をよく知るリアは異変に気付いてはいないらしい。その事から遺跡関連では無いことがうかがえる。
「帝国は魔石を手に入れても、私達の所へ置いていってる。さらに最近、魔石関連の行動をしていない。どういう事だろう?」
その言葉により、今までの帝国の行動が脳裏に浮かぶ。最初のフェニックス。1度フェニックスの力を使っただけで撤退した時、持ち去っていなかった。忘れて行くという事は考えにくい。ただ、考えられるのは──
「本当の目的と関係あるのかもな。……構えろ」
「あ、ホントだ」
目の前にアンタレスと呼ばれる赤い大きな体のサソリが2体現れた。
こいつの毒はかなり痛いと聞く。刺される前に倒さなければ。
「わたしの出番かな」
後方にいたリアがジャンプをしてアンタレスの前に出る。カフェの制服──エプロンを豪快に外し私服の姿になると、短剣が両手には握られていた。
「ツインダガー使いなんだな」
「魔力、抜かれちゃったからさ。女の子が剣を握るのっておかしいかな?」
「いや、よくいる。特にツインダガー使いはな」
「へぇ〜 わたし以外で見た事無いな〜」
「1級持ちあたりになると、普通だ。行くぞ」
「あ、うん! ──1級持ちって行った!?」
前に監獄に潜入した時に、俺は剣術1級持ちと言った。その検定を受け、合格したのはだいぶ前の話だが実力は衰えていないはず。
「剣舞技 龍水!」
刀身から2匹の水の龍が現れ、アンタレスを攻撃した。アンタレスは光となって消える。この技は出し方は違うが、フレイの火猪と同じようなものだ。だから、自我を持っている。
「最近つまんなかったぞー!」「たまには使ってよー!」
「ごめんな、お前らの活躍する場所なかったからな」
「ていうか、何でいつも水属性なんだー!」「雷龍や炎龍にもなりたいよー!」
「同時に話すなっ! 少し出てていいから、黙ってろ」
『はーい』
剣舞技で生き物の名を冠する技を使う時には、その剣に宿っている生き物が発動者のやりたい技の魔法の属性となって現れる。剣に宿る生き物に発動者が力を求める理由を1度認められれば簡単にできる剣舞技だが、認められるまでが大変なのだ。
「剣舞技…… それにツインじゃないのに2匹も…… そして喋ってる……」
「フウ達双子なんだー!」
「だからいつでも一緒なのー!」
双子の龍──フウとライはリアに答える。
「フウ達はわかっているだろうけど刀魂(とうこん)って呼ばれてる生き物だよー!」
フウはまるで聞いた事のないような人たちに向けるかのように話す。
「あなたの刀魂はー?」
「出てきてくれないんだ…… もしかしたら、いないのかも」
「大丈夫! あなたのツインダガーから気配を感じるよー ただ魔力が少なくて出れないだけ。もしかして雷属性持ちー?」
ライが問う。
雷属性。それは、古世界の方に偏ってしまったと言われる属性だ。悪天候を表すとされて新世界では縁起の悪いものとされており、魔力を抜かれる事もある。
「そうだよ。抜かれちゃったんだ…… だから、出てきたくても出れないんだよね」
申し訳ないと言わんばかりに暗い表情を浮かべるリア。そこに助け舟を流したのはライだった。
「ライに任せて! ちちんぷいぷいのぷい!」
リアのツインダガーに妖精が通った後に現れる小さな光の粒がかかる。起きた変化はそれだけで、何も変わっていないように思える。
「あなたの短剣に魔力をあげたよー! これで魔力を込めなくても大丈夫!さぁ、剣に宿る獅子を出してあげてー!」
「ありがとう。やってみるね」
リアが深呼吸をする。そして構える。
「剣舞技 雷獅子!」
ダガーから稲妻が走り、目の前に小さな獅子が2匹現れる。
「で、できた…!」
「普通の人間はさー 魔力のみがちゃんとしてて刀魂が宿るほどの事をしていないんだけど、あなたは逆だったのー! これから仲良くしてあげてね」
「もちろん! で、きみ達名前は?」
2匹の獅子はじゃれつきながら答える。
「おれはトォオーノ」「僕はトネール」
「トォオ、トネ、よろしくね」
『うん!』
トォオーノとトネールはリアの短剣に戻った。左がトネールで右がトォオーノのようだ。
「じゃあ、行こう!」
再びリアの声で俺達は歩き始めた。
- お知らせ ( No.115 )
- 日時: 2018/07/30 23:51
- 名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)
お知らせです。
よりよい物語作りのためのアンケートをリク依頼・相談掲示板の『CTWいろいろ募集【アンケート実施中】』で行っています。
よければご協力よろしくお願いします。
- Re: Change the world ( No.116 )
- 日時: 2018/08/02 01:02
- 名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)
60話 3つの試練
「覚悟はいい? ヤバかったらわたしに言ってね。これで脱出できるから」
リアがポケットから四つ葉のクローバーのキーホルダーを取り出す。
見ただけだと、バッグなどにつけると可愛らしさがプラスされるキーホルダーに思える。本当に脱出などができるほどの効果を持っているのだろうか。
「それで本当に脱出できるのか?」
「もちろん! テレポ石を使った時、出現場所が特定できるようなやつだからね。それに、いざとなったら用でテレポ石もあるから大丈夫」
「そんなら安心できるぜ!んじゃレッツゴー!」
フレイはまるで遠足にでも行くかのように大きな扉を開ける。
重たい音が聞こえなくなり、砂埃が消えると扉の向こうの景色が見えた。
「わたしは扉の外で待っているね」
リアを置いて行く。フーも安全のためにリアに見守ってもらうことにした。
扉の向こうは今まで歩いてきた道とは違く、吹き抜けとなっており、中央に位置する秘宝は祭壇の上に無防備に置かれている。石レンガの繋ぎ目からは緑が生え、この空間が生きているように感じる。
「鍵ってこんな感じなんだ……」
鍵は、俺達の思う扉に差し込み回すタイプの物ではなく、白い花だった。ただそこに、力強く生えている。
「むしったら怒られそうだな」
「そうだろうね、だから容易に触っちゃ……って、フレイ!」
「え?」
珍しく大声をあげたシドの先には、花に触れようとしたフレイがいた。
こんな無防備に秘宝が置いてあるだなんて罠としか思えないだろう。
「お兄ちゃんったら、もう! お花は力強いけれど繊細なんだよ!」
「そ、そうか…… まぁ、オレの中に作戦があったんだけどな」
「バレる前にやる? そんなのつまみ食いしか通用しないからね」
「なんでわかったんだよ! はぁ……」
妹に攻められて悔しい兄。フレイの言う、『兄としてのプライド』が傷ついているみたいだ。
「やった、私の勝ち〜 でも、喜んでいる場合じゃないかも」
先ほどから地響きがする。単なる自信ならいいのだが、そうとは考えられない。
「誰?」
奥の暗闇から、足音がする。ブーツの音だ。
「守り神さんとーじょーだな」
陽の光の当たるところでやっと姿がわかる。
長い銀髪に高身長でスタイルの良い女性。瞳は閉じていて、前が見えているのかわからない。服装も肌も白いため、一言で言えば『白い女性』だろう。
「高身長で胸もあって優しそうでスタイル良いなんて…… 羨ましい……」
自身と比べるオリガ。体については能力以外平均的(胸は同年の平均の少し下。本人談)な彼女にとって憧れでもあり敵視するものでもあるのだろう。
──オリガの身長、俺にとってはちょうどいいんだけどな。
ハイランドで抱きしめた時のことが脳裏に浮かぶ。今思うと恥ずかしいことだが、自分の気持ちに素直になれた良い思い出だ。
「我が名はトゥスルム。幻獣王より遺跡と宝の守護を任されたものです」
トゥスルムは一礼する。どうやら、礼儀正しく丁寧な口調の神らしい。
「幻獣王って言ったな。俺達がここへ来た理由、わかるのか?」
「ええ。ですがその花を簡単にそなたたちに渡すことはできません。なぜならば我の目的は消え、眠ることとなり、この身が朽ち果ててしまうのだから」
「それでもアタシらは必要なんだ。この戦いの元凶、パナソはレオンらを孤児にした。それは『神を超える者』にするためだ。そうなると、アタシらを神のいる世界へ連れていく必要がある。そのためには扉を開く鍵──魔石が必要となる。だからそれを阻止するためにアタシらが魔石を集めているんだ」
「そうですか。それはどなたから聞いた情報ですか?」
「幻獣王、オーディンだ」
「なるほど。さすがの我も王の御子息様の口から言われれば信じます」
トゥスルムと俺があったのは初めてなはずだ。なのに、オーディンの息子だとわかってしまうとは。さすが守護神だ。
「先ほどのお話を聞いたからには、幻獣達の覚悟などもお聞きに?」
「この戦いが終わったら消えるってやつと、もし扉が開いたら命かけて閉じるってやつだろ?」
「そうです。──今の口調ですと、どうやって消えるかはお聞きになっていないようですね」
「自分たちで決めたことだから、自分達で消えるんじゃないの〜?」
「幻獣は元はと言えば神に作られた、対人間用の道具です。幻獣達は自らの力や、他の幻獣の力で自らの身を滅ぼす事はできない作りになっており、人のみが滅ぼす事が可能です。だから、そなたたちが幻獣を倒すのです。」
俺達が幻獣を倒す? そのような事ができたら人類史上初の快挙だ。少なくとも、幻獣界へ行けたり幻獣と共に過ごしている俺達は世界が4つに分けられてから初の事なのだが。
「私達が? なんで……」
「古の時代の最後の戦争にて、幻獣と人は確かな絆を得る事ができました。その時と同じように、今はそなたたちと幻獣の間にも絆ができています。その絆が、幻獣を倒す力となるか否かわかりません。ですが、絆のできたそなたたちだからこそ頼める仕事。言うのは2度目ですが、そなたたちが幻獣を倒すのです。でないと、意味がありません」
オーディンがあの時、自らが消える方法を俺達に教えてくれなかった理由がよくわかる。俺達はトゥスルムに言われて幻獣との間に絆ができていた事を改めて感じた。きっとオーディン達は俺達との間に絆がある事をわかっていたから言えなかったのだろう。
「答えは1つ、『はい』しかありません。なぜならばその覚悟を聞いた時、そなたたちは了承したのだから。でもあの時は深く考えてはいなかった。なので我からもう1度問います。それが我からの1つ目の試練。さぁ、やりますか?」
俺達の答えは決まっていた。
「やってやる。それが、今まで共に戦ってきてくれた事のお礼になると俺達は思うからな」
「さすがですね。幻獣王から我への頼み事、そして1つ目の試練は合格です。さて、2つ目の試練はそなた達がこの『キーフラワー』を持つ権利があるかどうかです。……が、幻獣との絆があるから大丈夫でしょう。さぁ、3つ目の試練です。我の力に勝ちなさい」
最後の『我の力に勝ちなさい』と言った瞬間、辺りの雰囲気がガラッと変わった。
俺達はそれぞれの武器を構える。相手は守護神。油断などできない。
トゥスルムは銃の先端が剣となっている武器を使っている。それは、近距離、遠距離のどちらも攻撃できる事を意味する。
「フウ、ライ、行くぞ!」
『りょーかい!』
「剣舞技 炎龍!」
フウとライの体が炎となり、龍が炎を吹き出すような勢いでトゥスルムに直撃する。ぶつかった衝撃で煙が上がる。それをうまく使い、不意打ちを刻みこむ。
普通なら肉をさばくような手応えがあるはずだが、トゥスルムには傷しか付いていなかった。それに、行動を読まれていた。
「我は竜人。そなたたちよりも皮膚は硬く、視力はよいぞ」
言動からして先ほどとははるかに違う戦闘モードに入っているようだ。
皮膚が硬いとの事から、斬撃は効果は無に等しいだろう。そうなると魔法攻撃、剣舞技ぐらいしか俺の攻撃は効かない。
「魔法でどうだ!」
フレイヤが瞬時に詠唱すると、トゥスルムの足元の地面にヒビが入り、ガタンゴトンと音を立て上下に地面が揺れた。
「くっ……」
トゥスルムは反撃するかのように、風魔法を唱え、辺りに強風が吹く。
だがトゥスルムは次の行動に移せるような姿勢になれない。足元が揺れているせいだろう。
強風をいかしオリガがジャンプする。それと同時にジュリィがトゥスルムの周りにシャボン玉のような割れる水を浮かばせる。飛んでいる間に揺れがおさまったことを確認してオリガは、トゥスルムの周りに浮く水のシャボン玉を割り凍らせ、トゥスルムを動けなくする。そして、槍の刃を魔法で氷の刃として空中から降ってくると同時にトゥスルムに直撃させる。ジュリィとオリガの合わせ技だ。
「やっぱ効いてないか〜」
「そなたの余裕もそこまでだ」
「え?」
トゥスルムの周りに鏡がどんどん浮かび上がる。それに俺達は目が向く。
「かかったようだな」
今まで閉じていた目を開く。鏡にはオッドアイが綺麗に写り、俺達と目があう。
「うわ、金縛り?」
「動けねぇ」
俺以外が金縛り状態となってしまった。
「さすが幻獣の血を引く者…… この攻撃は効かぬか」
「そうみたいだな」
初めて幻獣の血を引いててよかったと思えた。まさかこのような感じで思えるとは。
「フウ、ライ、別のもいけるか?」
「フウは風がいいー!」「ライは雷がいいー!」
「順番にやってやるから待ってろ!剣舞技 風龍!」
「やったー!」というフウ。さっきトゥスルムが起こした風によりフウ達の威力が上がっている。それをわかりやすくするかのようにフウ達の体が巨大化している。それはまるで天を仰ぐ龍のようだ。
フウがトゥスルムに噛みつき、ライが周りに浮かぶ鏡を割っていき壊す。鏡はその場に散らばると、光となって消えた。
「レオン! 僕も参戦するよ!」
誰よりも早く金縛りの解けたシドが再び参戦する。
「次行くぞ! 剣舞技 雷龍!」
「がんばるよー!」
「それじゃあ僕も!」
シドが雷属性の魔法を唱え、稲妻がライにあたりフウのように巨大化する。落ちてきた稲妻の勢いを衰えさせることのないスピードでライはトゥスルムに巻きつき放電する。
「グハッ…… まさか我がここまでやられるとは……」
トゥスルムには確実におおきなダメージだ。
続々と他の皆も金縛りが解ける。今のところ、確実にきいているのはフウとライと魔法を使った合わせ技。俺の魔力はもうじき底をつく。そう考えると次に放つ剣舞技が最後だろう。
「魔力あるー?」
「おう、いっぱいあるぜ」
「じゃあ次、合わせ技やろー!」
フウとライがフレイに合わせ技を頼む。フレイの属性は火。やるのは再び炎龍だろう。
「レオン、避けて!」
「なにっ!?」
トゥスルムが銃口をこちらに向けている。引き金が引かれ、避ける時間がない。
どうするべきか。そう思った瞬間だった。
「ワゥ!」
「リア・メルリ参上! さぁ、今のうちに!」
目の前に現れたのはリアだった。防御魔法をわずかな魔力で唱えてくれたのだ。
「フレイ! やるぞ」
「任せろっ!」
「剣舞技 炎龍!」
フウとライがフレイの有り余った魔力をふんだんに使った火属性魔法で強化される。そして、トゥスルムを焼き尽くす。
「どーだ!」「すごいでしょー!」
トゥスルムは火が消えると再び立ち上がろうとする。しかし、立ち上がるほどの力は残っていないようだった。
「ご、合格だ…… まさか我が、我が、ここまでやられるとは……」
「話ができる状態にしてあげるから、動かなで」
フレイヤがトゥスルム近づき、回復魔法を唱える。
「ありがとうございます」
「あ、戻った」
「そなたなど潰そうと思えればいつでも可能ですよ」
「す、すいませんでしたーっ!」
微笑みの裏の確かなる殺意がフレイの背筋を凍らせる。
「話を戻しましょう。さぁ、受け取りなさい。我の大切な『キーフラワー』です」
キーフラワーが増え、花束となり受け取る。祝福されている気分だ。
「そしてこれも」
トゥスルムが首から下げていたネックレスを渡す。
「我の役目は終えました。あとは朽ち果てるだけ…… でも我はここにいたいのです。幻獣王からそのネックレスで我を呼び出し先ほどの状態を引き出せば、朽ち果てないと聞いています。どうか、早めにお願いしますね」
トゥスルムがネックレスの中へと消える。
──その時だった。
キーフラワーの生える祭壇に鳥がとまり、へし折った。
その鳥は、悪名高く肉厚で美味しいブラックチョウだった。
「ちょっとそっちに出ますね」
トゥスルムが再び出現する。
「我の花をよくも……」
「キィィィィィ」
ブラックチョウは威嚇するが相手は守護神。一瞬で血抜きのされた美味しい鶏肉となってしまった。
「これで朽ち果てないね〜」
「はい、これは後で美味しくいただきます。ネックレスは持っておいていいですよ。では、さようなら」
今までよりもご機嫌で「食材が手に入ってよかった」と呟きながら来た道を戻るトゥスルム。俺達はなんてすごい神を味方にしたんだろう。
「じゃあ、戻ろうか。みんな、手をつないで」
手をつなぎ輪となる。キーホルダーの鈴のチリーンという音と同時にあたりが光に包まれ、魔法が発動した。
- Re: Change the world ( No.117 )
- 日時: 2018/08/02 23:48
- 名前: 和花 (ID: qU5F42BG)
思った以上に60話が長くなってしまいました……(3話ぐらいに分ける予定でした)ノーグルリーチ村編、ウェンディを手に入れたら終了です。
61話 海底遺跡へ向けて
「よっと」
転送された場所はフォーチュンベルの中。
「ただいま戻りました〜」
「あ、おかえりなさいっす」
アグラルは何事もなかったかのように店番をしている。
顔の赤みは治ったようだ。先ほどのようにチャラチャラとしていないのはいろいろあったからだろう。
「さて、これでわたしの仕事は終わり。なんか、いろいろありがとう」
「こちらこそ〜 案内わかりやすかったし、トゥスルムを倒せたのもリアのおかげだよ」
「そんなに言われると、照れちゃうなぁ」
リアが照れながら答えた。
「そうだ、これはあんたが持っていたほうがいい」
トゥスルムのネックレスを差し出す。
「え! なんでわたしが?」
「トゥスルムは遺跡の守り神なんだろ? 遺跡を管理しているのはこの店だから、俺達よりもあんたの方が持っているのにふさわしいと思ってな。本当は店長に渡したいが、きっと……」
「言いたいこと、わかったよ。『トゥスルムにシバかれる』でしょ?わたしが受け取っておくね」
リアがネックレスを受け取り、首からさげる。意外にも似合っている。
「それじゃあわたしはここの仕事をするね。また、近寄ったら来てね」
「じゃあね〜」
リアがエプロンを取り出し身につけながら店の奥の方へ走って行った。
次に向かうは海底遺跡。すぐに行きたいところだが、1つ問題がある。
「次行くのは海底遺跡だよな。どうやって行くのかアテはあるのか?」
「え、ジュリィ、水属性の魔法でどうにかならないの〜?」
「さすがに無理さ。あのかどうかわからないし」
水属性使いのジュリィは問題を解決できる魔法はないらしい。
となると、飛空艇を改造するべきだろうか。
「シド、ユピテル号を潜水艦にできないのか?」
「うーん…… オケアトゥスかレヴェリーに行けばできると思うよ」
「そうか…… でも時間も費用もかかるよな。あ、国の修復費、どうするかな……」
世界のいろいろなものが揃う港町、オケアトゥス。世界の都市とも言われ、技師もたくさんいるであろうレヴェリー。どちらもここから気候などを考えると時間がかかり、別の道を通るので道のりは遠くなる。
「ねぇ、ふっくらおじさんに一度聞いてみない? 海とか川とか好きでよく探索しているから、持っている気がするよ」
「あのふっくらおじさんか! 価値はありそうだな」
船着場の店主のボブ。小さい頃、よく相手をしてもらって前に1度船を借りたこともある。ボブなら潜水艦を持っていそうな気がする。
「そうと決まれば船着場だな!よし行くぞ」
フォーチュンベルを後にし、ノーグルリーチ村をでた。
行きと同じようにB・T・Uを呼び出し緑の国に戻った。
「おかえりなさいませ陛下! どうなされましたか?」
街の復興作業をしていた兵士がフレイにかけ寄り話しかける。
フレイは周りを見渡すと兵士の問いに答えた。
「海底遺跡行くためにふっくらおじさんを探してんだけど、どこにいるかわかるか?」
「ボブ殿ですか…… あまり見かけていませんので、船着場に居られると思います!」
「そうか、ありがとよ! あと、今はかしこまった場所じゃないから敬語なんて使わなくていいぜ」
「ですが──」
「いいんだ、そのほうがオレも気が楽だし」
「そうですか…… ならそうさせていただきます! 次から」
「りょーかい! オレ、復興作業手伝えないけど、頑張ってな!」
「はい! フレイさんも頑張って」
兵士が去って行く。
他の国では考えられない、王の緩さ。そのおかげで民は王に親近感を持て、気軽に意見を言えるようになり、王は民を深く知れる。
そして、面倒見のよく協力的な国民。裏表がなく信頼できる民だからこそ王は上下関係を気にしない行動ができるのだろう。その2つが合わさっていることで緑の国は成り立っているのだと感じる。
緑の国の城側の門、北口からマゾア側の方へ歩いて行く。
だいたい徒歩10分で船着場に到着した。
「おう!久しぶりだな!」
ご機嫌のボブ。そんな時はだいたいいい魚が釣れた時だ。
「ふっくらおじさん、潜水艦ってある?」
「潜水艦か? ボケてるやつならあるぞ、うおうお ニ〇ニだ」
まるで用意をしていたかのように鍵をくれた。うおうお ニ〇ニにはいつもの絵の魚がゴーグルをつけている。
「ボケてるとは、いったい……?」
「潜水時間が20分ぐらいしかできねぇ。もうこいつも古いからなぁ」
潜水時間が20分。それではマゾア川の上流まで行き、海底遺跡につくことしかできない。
「それじゃあ海底遺跡、探検できないじゃん。も〜」
「海底遺跡つったな、あそこは幻獣様の加護があって招かれざる客以外なら呼吸もできるらしいぞ」
「──行けそうだな」
召喚士の里の地下で感じたウェンディーネの気配。それが感じられたということは、俺達は招かれざる客ではないという事だ。
「行くんだな。せいぜい海のモンスターには気をつけろよ!」
「ふっくらおじさんも高血圧には気をつけてね」
「さっさと行けッ!」
潜水艦に乗り、俺達は海底遺跡へと向かった。
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作者名のところに。とアルファベットがないのは、打ち込み忘れたからです。
寝ぼけてました。
- Re: Change the world ( No.118 )
- 日時: 2018/08/04 06:37
- 名前: 和花。 ◆5RRtZawAKg (ID: qU5F42BG)
再びお知らせ
小説家になろう のほうでこの作品の修正・リメイク版を連載開始しました。
今後は 小説家になろう の方を先に連載します(こちらのやつは遅れて連載)
また、CTWいろいろ募集もやめませんのでどんどん応募してくださいね。
小説家になろう の方では読む事だけなら登録しなくてもできるようです。
「登録はしてないけど、コメントは書きたい!」という方、ぜひ、こちらのスレッドでどうぞ。
どちらのサイトのCTWもよろしくお願いします!
ということで、連載が遅れます。
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