二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- FAIRYTAIL
- 日時: 2010/03/07 19:32
- 名前: 紅 (ID: 7jEq.0Qb)
新しく入らせてもらいました、紅です。
まだまだ未熟ですが、暖かい目で見てもらえると嬉しいです。
コメントも書いてもらえるとなお良し。
注意
1・荒らしや、人を傷つけるコメントなどは書き込まないで下さい。
2・訳の解らない事やアドバイス等、何かあったら書いてください。
3・主人公は一応ナツ。
4・この小説は、別サイトFAIRYTAILの短編集、おまけ小説のようなものです。気軽に読んでください。
5・よかったらサイトの方も来て下さい。
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- Re: FAIRYTAIL ( No.23 )
- 日時: 2010/04/11 15:06
- 名前: 紅 (ID: 7jEq.0Qb)
過去の束縛と未来への解放(ナツ編)Ⅲ
三年前、私はマスターに拾われ、ギルド『妖精の尻尾』へとやってきた。
家族を失い、身も心もボロボロになった私は他者を拒絶し、ギルドのメンバーとの仲は不仲だった。
そんな私に声をかけてくれたのは、ナツとリサーナ。
何度も何度も、私がギルドに馴染めるまで、話しかけたり、仕事に誘ったりしてくれた。
いつしか私はすっかりギルドに馴染み、友達も増えた。
そして、新しい感情も増えた。
他人への好意。暖かく、穏やかで、そして、悲しい気持ち。
私はナツが好き。
馴染めない私を励ましてくれるあなたが。
誰にも隔てなく優しく接してくれるあなたが。
でも、それは叶わない。
リサーナとナツは、惹かれあっているから。
どんなに共に行動しても、どんなに言葉をかけても。
あなたの瞳には、リサーナしか映っていないから。
悲しかった。辛かった。
リサーナは友達。でも、私にとっては、邪魔な存在でしかなかった。
『消えちゃえばいいのにな』
いつしか幼い頃の口から発せられた、残酷な言葉。
心から祈っていたのではない。
それなのに、私の願いは叶ってしまった。
一年後。
リサーナは死んだ。
みんな、泣いていた。
ミラも、エルフマンも、グレイも、マスターも。
そして、ナツも。
私の願いが叶ってしまった。
心の中で呟いたが、全く嬉しくなかった。
残ったのは、ただの虚無感だけ。
それから、ナツの私に向けての態度が、なんとなく変わった。
チームも組むし、どこかに出かけようと誘うし、いつでも私を優先させてくれる。
嬉しくも何ともなかった。
だってその瞳に映っているのは目の前の私じゃなくて。
もっと愛しいもの。
リサーナを見ているから。
私は、リサーナの代わりじゃないのに。
私は、リサーナじゃないのに。
きっとこれは、私に課せられた罪。
消えて欲しいと願ってしまった私への罪。
もう二度と、あなたは私を一人の少女、 と見てくれない。
見ているのは、過去に奪われた愛しい思い人だけ。
私は、リサーナの代わり。
- Re: FAIRYTAIL ( No.24 )
- 日時: 2010/03/23 13:17
- 名前: 紅 (ID: 7jEq.0Qb)
今更だけど……これ、短編なんでしょうか?
昨日のアニメ、エルザかっこよかったです。(3月22日)
「仲間を売るくらいなら、死んだほうがマシだっ!!」
- Re: FAIRYTAIL ( No.25 )
- 日時: 2010/04/11 15:08
- 名前: 紅 (ID: 7jEq.0Qb)
過去の束縛と未来への解放(ナツ編)Ⅳ
「それじゃ、行って来るわね」
リサーナの命日。ミラとエルフマンは、そう言って教会へと向かって行った。
チラリと横を見ると、どこか虚ろなナツが、二人の背中を見つめている。
一緒に行かなくていいの?
そんなささいな気遣いの言葉も、今は口から出ない。もし言ったら、ナツはもう二度と、私を見てくれないような気がしたから。
「あれ、ナツ行かないの?」
突然、ティアがナツに言う。
ナツと は驚き、後ろを向いた。ティアが、複雑そうな表情で立っていた。
「………ああ」
無理に笑顔を作り返事をするナツに、チクリ、と胸が痛んだ。
やっぱりまだ、リサーナのことが好きなんだな。
改めて思い知らされる強い思い。
私は、ナツの何なのだろうか。
ふいにティアを見ると、とても辛そうな表情、というより、とても哀れむような表情をしていた。
ティアは、平気なのだろうか。
ティアも、チームの一員だ。
リサーナが死んだ時も、同じように泣いていた。
それからおかしくなったナツに、彼女も気付いているはず。
『ティアはいいの?!!』
いつの日か訊いた、ティアへの疑問。
『ティアは、ナツがこのままでもいいの?私のことをリサーナの代わりにしてるナツを、放って置いていいの??!』
『……ナツが……望むなら』
彼女もまた同じ。ナツが大切だから、仲間が大切だから。わざと気付かない振りをする。
心に亀裂を生まないために。関係に傷をつけないために。
「よーし、ルーシィ達も呼んで、仕事行くか!!」
机に突っ伏しているルーシィの元へと駆けて行き、背中を叩く。
涙目になルーシィを視界の隅に入れていると、ティアが の肩に手を置いた。
「このままじゃダメだって…私も解ってるよ」
「!!?」
「でもさ……」
紫の瞳に、薄っすらと涙の膜が張る。それでも、涙は流れない。
流さない。
「これは、 が動かなきゃ、ダメだよ」
思いもよらない言葉に、 は目を見開く。
他人がなんとかするのではなく、自分で。ナツを、紫煙の夢から抜け出させるために。
「……無理だよ」
「なんで?」
下唇をきつく噛む。ジワリ、と血が滲んだ。
「私の、存在価値が無くなるから……」
リサーナの代わりではない私に、一体何が残るのだろう。
捨てたい存在は、自分の存在と一体化してしまった。
リサーナを捨てれば、私も捨てられる。
何も、残らない。
「 は じゃないの?」
「………ティア、解ってるんでしょ?」
自嘲気味に笑うと、ティアは身じろぐ。
「これは、罰。罪だから」
の瞳から、一粒の雫が零れ落ちた。
- Re: FAIRYTAIL ( No.26 )
- 日時: 2010/04/11 15:10
- 名前: 紅 (ID: 7jEq.0Qb)
過去の束縛と未来への解放Ⅴ
「うおらああああぁぁぁぁぁっっっ!!!」
森の中に、凄まじい叫び声が響く。数秒後、何か巨大な物が倒れる音が、辺りに響いた。
「どーすんのよ、これ……」
「あい」
「あいじゃねーだろ」
呆然と見つめるルーシィの視界には、炎上した木々達。
手刀をハッピーの頭部に突っ込ませているティアは、気にした様子もなく、あっけらかんと言い放った。
「別にいいんじゃない、いつものことだし」
「いいわけないでしょ!!」
くわっ、とティアを睨み、その場に泣き崩れる。
「これでまた報酬半減よー!!」
「魚食べる?」
「いらんわ!!」
そんなやり取りが隣で行われているにも関わらず、 は森で暴れるナツを見つめていた。
既に死体と化した今回の依頼の魔物を今だ炎で殴り続けるナツは、いつもと変わらないように見えるが、瞳の色が酷く不安定だった。色素の薄い瞳に、微かに邪念が見える。
「とにかく火、火消して!!」
叫ぶルーシィに言われ、 は右手を上げる。
なんの前触れも無く、 の掌から、大量の水が溢れた。
じゅっ、と炎が消える音と共に、大地に水が染み込む。
呆気なく消えた炎を寂しそうに見つめ、ナツは皆のもとへと駆け寄った。
「完璧に依頼はこなせたな!!」
「どこがっ?!!ぼろぼろじゃない!!!」
「文句ばっか言ってると老けるよ、老けルーシィ」
「あんたは黙ってなさいこの放漫娘!!」
魔法を解除したとたん、 は盛大なため息をついた。
どうして、ルーシィはそんなに素直なんだろうか。
言いたいことをはっきりと言えるルーシィを羨みながら、とりあえず四人と一匹は依頼主の所へ向かった。
「 とナツは、先に宿行ってなよ」
街中。ティアが宿の分のジュエルをわたしながら、二人に言った。
「はぁ?なんでだよ、みんなで報酬貰い行けばいいだろ」
「そうだよティア、どうし……て…」
ティアを見ると、真剣な表情で頷かれる。
自分で動かないとダメだよ。
紫の瞳が、そう訴える。
「でも、なんで とナツが?」
「いいからいいから」
不思議そうに首を傾げるハッピーとルーシィを無理やり押し、依頼主のもとへと向かわせる。
『がんばれよ』
去り際、くちぱくで伝えられたティアの言葉に、呆然とする。
がんばれって、何をすればいいのだろう。
「? 変なティア。ま、しゃーねぇな。行こうぜ 」
「あ……うん……」
宿への道のり。気まずい沈黙が、二人を包んだ。
- Re: FAIRYTAIL ( No.27 )
- 日時: 2010/04/11 15:12
- 名前: 紅 (ID: 7jEq.0Qb)
過去の束縛と未来への解放Ⅵ
「おお、広ぇ!!」
宿。広い室内に興奮するナツに、 は苦笑いした。
「見ろよ 、この部屋目茶苦茶広ぇぞっ!!」
「もう見てるよ」
笑うナツにまた、チクリと胸が痛む。
その笑顔は、私に向けての笑顔なの?それとも、私をリサーナと思っての笑顔なの?
ガラッ、と勢い良く窓を開けると、朱と紫に染まった空が、眼下に広がった。
優しく吹く風に、桜色の髪がフワリと揺れる。
薄暗い室内で、 は決心したように口を開いた。
「リサーナの命日なのに、仕事なんか来て良かったの?」
驚いたように、ナツが振り返る。薄暗く、 の表情は見えない。
「……別に。いいに決まってんだろ」
「じゃあ何で、そんなに悲しそうなの」
間髪入れずに、また の口から淡々と声が漏れる。
それに、ナツは苛ついたように顔を背けた。
「悲しくなんかねぇ」
「悲しいんでしょ。寂しいんでしょ」
「煩ぇな!どうでもいいだろそんなこと!!」
「リサーナのこと、好きだったんでしょ」
一気に吐いた言葉に、ナツと は呼吸を荒くする。
夜の闇が広がっていく。表情は、まだ見えない。
「お前、うぜぇよ」
苦々しく言い捨て、部屋を出て行こうとするナツ。
すれ違ったとき、ほのかに涙の匂いがした。
「うざいなら、どうして私を代わりにするの?」
ぴたりと、ナツの動きが止まった。
背中合わせのため、互いの表情は見えない。
「私は、リサーナじゃないんだよ」
「っ、お前、意味解んねえ!!」
の拳が、強く握られる。
震える腕が、だんだんと強張っていった。
「私は、 」
震える声。
「私は、 」
震える腕。
「私は、妖精の尻尾の、 」
震える足。
「リサーナじゃ、ないの」
震える心。
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