二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ
- 日時: 2011/04/04 17:39
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
初めて投稿させていただきます。燕と申す者です。
銀魂で二次小説投下します。
主人公の設定は下記をどうぞ。オリキャラは増えていくかもしれません。
※軽い流血表現、かるーい恋愛含むかもしれません。
※登場人物(特に攘夷ズ)の過去などは捏造過多でございます。
*
棗(ナツメ)
女性/165・48/18歳
鬼兵隊の一員で、高杉のお気に入り。
紅一点のまた子とは違って、鬼兵隊の闇として名を馳せている。通称“黒い引き金”。
*
壱、嘘をかぶりて斜に歌舞く >>41
弐、crocodile's tears >>42
銀魂×つっこ/イメソン紹介と見せかけた妄想 >>26
参、古語をしましょ >>43
銀魂×バクホン/イメソンと高杉の話 >>52
肆、鬼が笑う夜も泡沫の如く >>56
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- Re: 銀魂/我が愛しのロクデナシ ( No.7 )
- 日時: 2011/02/26 16:59
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
それは私の夢 それは空色の夢
二日酔いも程々に、てっぺんまで昇った太陽はじんわりと暖かい。
日曜だというのに今日も民の為、命を懸けて江戸を護らなければならない。当然だが、昨日の宴と今とでは皆態度ががらりと違って、流石だと思った。
ぼんやりと助手席に座り、開け放った窓の外を見つめる。過ぎてゆく景色の中、人々は鮮やかな笑顔を見せた。
隣に座る男は、真選組の頂点だ。濁りの無い眼つきは、鋭く、それでもどこか親近感や田舎っぽさを感じる。一言二言声を交えただけでも、彼が誰もに信頼されているということが解った。
「なあ、棗」
「はい」
「血は怖いか。人を斬ることは、怖いか」
真っ直ぐ、どこか未来でも見つめるような眼差しで、近藤はわたしに問うた。
「・・・血は怖い。人を斬ることは・・・・・・怖い」
わたしは本心を言った。馬鹿にされても構わないと思った。この男になら。
「そうだろう。・・・いや、そんな心配するな。女だからと、お前を見くびったわけではない」
「・・・・・・」
「皆、怖いよ。人を殺すことも、殺されることも。俺だって嫌さ。———棗、お前は俺達の仲間だ。だから、」
「あんた達を、裏切るなと?」
「・・・・・・ったく、いがみ合うつもりはないんだ。ただ、お前は死んでくれるなよ」
「————」
困ったように近藤は笑う。その笑顔の裏に何を思い浮かべているのか、わたしには解ってしまった。仲間を斬ることほど怖いものはない。伊東という男は、仲間を知ったと共にこの世から消えた。
「あんた、馬鹿だな。頂点というのは屍の上でさえ立っていなければならないのに」
「ははっ、よく言われる科白だ」
こんな会話で、心を揺さぶられたわけではない。だけど、わたしがもし高杉を裏切ったら、あいつはどんな顔をするのだろうか。
そして近藤を、真選組を裏切ったとき、わたしは、澄んだ心でいられるのだろうか。わたしの愛を貫く為に、ちっぽけな復讐の為に。わたしは人を殺められるのだろうか。
「局長、あんたはもう少し警戒した方がいい」
「・・・・?」
「わたしがあんたの仲間を殺したりしても、ちゃんと立ってられるのか」
「———もしお前が裏切ったら、俺はお前を一度だけ抱いてから葬りたいね」
「・・・・・・それもまた、十全だ」
二人はクツクツと笑みを漏らした。成程、ストーカーと噂される男でさえ、こんなに美しいものか。
そしてその箱から出た時、やけに眩い空の色にくらりと眩暈を覚えた。
どうしてだろう。何故だか、どいつもこいつもいろんな色で輝いている。ひとり鈍い色を発する己の魂よ。どうしようもない汚れた魂よ。この水色の空に溶けてゆけ。
- Re: 銀魂/我が愛しのロクデナシ ( No.8 )
- 日時: 2011/02/26 19:50
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
蝶よ花よと弄ぶ
わたしが来てから、屯所にはより一層煙草のにおいが染み付いたと皆口をそろえて言う。だが誰もそれを嫌がるような素振りは見せず、浮かび上がる紫煙の中で呼吸を繰り返した。
煙草は煙草でも、わたしはキセルで吸うほうが好きだ。本来の煙草の味を楽しめ、品があるように感じる。土方にも勧めてみたが、面倒なもんは嫌いだとあっさりと斬られた。
キセルの使い方は高杉のを見て覚えた。恐る恐る吸ってみたのはまだ今以上にガキの頃だった。それほど美味いわけではなかった。ただ、吸っていると落ち着く味がした。
「あぁ・・・どうも」
縁側に座っていると、後方に人の気配を感じた。振り向くと副長の土方の姿があった。
「一服していくか?」
微笑を忘れず問いかけてみる。
「ああ・・・そうしてーが、煙草が切れちまった」
「・・・貸すけど?」
「んー・・・、」
男は暫し考え、「使い方わかんねーし」と右手をヒラヒラと振った。
「いいよ、はい」
すぐに吸えるようにしてやれば、土方は
「サンキュ」と無表情でキセルを受け取る。そしてわたしの隣に座り、それをゆっくりと吸って、ゆるゆると吐いた。
意外と様になるんだなあと感心していれば、キセルを返され、じゃあ俺行くからと、あっという間に仕事に戻っていった。忙しない奴だ。もう少し見ていたかったのに。
今日は仕事が入っていないので、制服ではなく私服の着物を着ている。こうやっていると、自分が本当にお嬢様みたいで気持ちが悪かった。鬼兵隊の中では、如何装っていようと紅一点は来島であり、自分はのびのびと女を捨てていられる。ここに居れば、己の性別を余計に厭ってしまう。
見せ物じゃないんだ、とわたしは思う。其れ以前にわたしは敵なのだった。男も女も無いだろうに。
部屋をのろのろと歩く黒猫を見つけた。先日近藤が拾ってきたのだという。何を考えているのやら。そっとわたしの膝に乗ったそいつは綺麗な丸まって眠りについてしまった。
「おっ、すごいや。誰にも懐かない猫なのに」
横を通りかかった山崎が声を上げた。
「やっぱり、女の人だから安心するのかな」
・・・ですってよ、黒猫さん。またわたしをはみ出し物みたいに扱うのか、と男を軽く睨んだが、ただ笑っているだけの阿呆には効かなかった。
女だから安心する?冗談じゃない。
安心なんかしてくれるな。わたしに殺されたいのだろうか。そう思ったところで、わたしは、自分が真選組に未練を作り始めていることに気付いた。
離れられなくなってしまえば、わたしの負けだ。
高杉、如何したらわたしは幸せになれるのか。まだ一週間と経っていないというのに、もう貴様の声を求めている。其れが悔しくて、わたしは結った髪を荒く解いた。
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.9 )
- 日時: 2011/02/26 22:17
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
答えは風の中
コーヒーには砂糖とミルクをたっぷりと。それが銀時流だった。其れはもうコーヒーというよりは只の砂糖と牛乳の飲み物であった。
「ヅラァ、高杉がまたやらかしたらしいぜ」
甘ったるい香りが漂う。その銀色は如何でもよさそうな口調で言った。
「———やらかした、とは?最近はそのような情報入ってこないが」
「・・・ああ、性格に言やあ、まだ未遂さな。っつうか、手下にやらせてるだけだとよ」
「へェ、銀時、お前もようやく新しい話題に敏感になったか。それはいいことだな」
「いンや、こないだ来たんだよあのちび助。信じらんねーだろ?」
その言葉に俺は、コーヒーを掻き混ぜる手を止めざるを得なかった。
「・・・高杉が?お前を訪ねてきたのか、此処へ」
「ああ・・・、あいつはほんと、よくわかんねえ」
俺は再び手を動かしつつ、銀時の阿呆のような眼に視線を移す。
「・・・・・・其れで銀時、斬らなかったのだな?」
「悪ィな、ちったぁ警戒ぐらいはしたけどよ。斬る気になれなかった。あいつももう、なんか人生に疲れたような感じだったし」
其れは貴様の見間違いだ。心の中で小さく思った。奴は殺されるまで死なない。いずれまた、牙を剥く。今以上に激しく。
「俺達と高杉は、敵なんだよなぁ・・・・」
銀時が小さく呟いた。俺も今、同じことを考えていたので少し驚いた。
「誰の所為なのかねェ」
他人事のように、うわ言のように男は言う。高杉は、松陽先生を殺した奴の所為で、世の中の所為で、幕府の所為だと言うだろう。俺だってそうだ。
———だが、銀時は?
高杉の言葉を借りれば、のうのうと生きて白夜叉を殺した銀時は、もう憎しみを覚えないのだろうか。
耐えているのならば、俺はこの男を本気で凄い奴だと思う。おそらく、そうだ。一番辛い筈の男が、幾つもの怒りと叫びを殺して、今を生きているのだ。
其れでは高杉は。そして俺でさえ、まだあの風の中で覚束ない呼吸を繰り返しているというのか。
「なぁ、ヅラ」
「・・・・・・何だ」
「俺ァ、てめーらが居たから・・・・・・」
その呟きが、紡がれることはなかった。
哀しげに伏せられた血の色をした眼。その姿は、まるであの頃と同じで。俺は目頭が熱いのを必死で堪えた。
春を告げる風が、ふわりと。ただ、優しく弱く。
其れはあの頃の血生臭さを少しだけ背負って、ゆっくりと、只ゆっくりと、血みどろの俺達を背を押してゆく。
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.10 )
- 日時: 2011/02/26 22:22
- 名前: 如月葵 ◆iYEpEVPG4g (ID: 4uYyw8Dk)
- 参照: http://www.kakiko.cc/novel/novel3/index.cgi?mode
お初お目に掛かります。
如月葵と申します。
文章の書き方と言い、理想とする小説そのものでもう感動してます!
私も幾つか書いてはいるんですけど、その、残念な方です。
更新頑張ってくださいね。陰ながらひっそり応援します。
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.11 )
- 日時: 2011/02/27 10:45
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
如月葵さん初めまして^^*
うわわわ///嬉しい限りでございますっ!
ゆるーい感じの小説ですので、糖分でも摂りつつ気ままにお読みいただければ光栄です。
勿体無きお言葉、ご馳走様でした><
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