二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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銀魂 * 我が愛しのロクデナシ
日時: 2011/04/04 17:39
名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)

初めて投稿させていただきます。燕と申す者です。
銀魂で二次小説投下します。
主人公の設定は下記をどうぞ。オリキャラは増えていくかもしれません。

※軽い流血表現、かるーい恋愛含むかもしれません。
※登場人物(特に攘夷ズ)の過去などは捏造過多でございます。



棗(ナツメ)
女性/165・48/18歳
鬼兵隊の一員で、高杉のお気に入り。
紅一点のまた子とは違って、鬼兵隊の闇として名を馳せている。通称“黒い引き金”。



壱、嘘をかぶりて斜に歌舞く >>41

弐、crocodile's tears >>42

 銀魂×つっこ/イメソン紹介と見せかけた妄想 >>26

参、古語をしましょ >>43
 
 銀魂×バクホン/イメソンと高杉の話 >>52

肆、鬼が笑う夜も泡沫の如く >>56

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Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.22 )
日時: 2011/03/05 00:43
名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)




 硝子の金平糖で唇を穢して




 泥沼に浸かったように足取りは重く、朦朧とする意識の中で必死に自分に鞭打って、霞んで見えづらい眼を一杯に見開いて、夕闇に没した街を歩く。
 汗ばんだ手にはまだあの短刀が握られていることに気付き、急いで血に塗れた其れを懐へ隠した。紛れもないあの男、土方の血。裏切ることはわたしの十八番であり、誰よりも慣れている筈だった。なのに、今、何故こんなに此の胸は痛いのだろうか。自分が自分じゃなくなる感覚をリアルに感じて、わたしは涙を零す他に何も出来なかった。
 何処に向かおう。只ぼろぼろの身体を泳がせているだけでは何時かは死んでしまいそうだ。情けないことを考えた挙句、自分の居場所へ戻ろうと決めた。わたしに居場所をつくったのは高杉だ。他の誰でもない。其れがとても悔しい。こんな時に奴の声を思い出して、此の惨めな滴を抑えることが出来なくなった。


 薄汚れたスナックの前まで歩みを進めたところで、脚が悲鳴を上げ始める。思い出せばずっと屯所から走ってきたのだ。壊れそうな精神で、崩れそうな身体で。わたしは道端にしゃがみ込んだ。無様な女。此のまま夜が明けるのを待とうと、瞳を閉じたところで、頭上から五月蝿いほど元気な声が降ってきた。
「・・・・・・お前、こんなとこで何してるアルか?」
 片言気味の日本語を操る子供。顔を上げればチャイナ服を着た少女が立っていた。
「リーダー、如何した」
 其の娘の後方、胡散臭く明かりを漏らすスナックから一人の男が歩み寄ってきた。リーダー、とは此の娘のことだろうか。だとすれば男は娘の手下か何かか。重い頭を必死に働かせていると、笠を深めに被った男は心配そうな面持ちを此方へ寄せてくる。
「・・・・・・お主、如何したのだ。気分でも悪いか。とりあえず、中へ入れ」
 男はわたしを軽々と抱き上げ、此の身体は成す術も無くスナックへ運ばれた。

 安っぽい店内の一角に座ったわたしは、男の顔をじろりと睨んだ。
「・・・何処か痛いところがあるか?すまぬが俺は用があって此処を離れなければならない。何かあればリーダーや新八君に、」
「————大丈夫だ。わたしのことは放って置いてくれ」
「しかし、」
「大丈夫だといっている。貴様は用があるのなら急げ。・・・・・・それと、有難う」
「・・・ふっ、わかった。では失礼する」
 そして男は取っていた編み笠を再び被ろうとカウンターに置いていた其れに手を伸ばした。其処でわたしはふと、此の男に見覚えがあると思った。そして其れは、確信となる。
「・・・貴様、桂小太郎ではないか」
「・・・・・・人違いだ」
「わたしは幕府の者ではないから答えてくれ、攘夷志士の桂だろう」
「・・・そうだが、何か?」
 やはり、とわたしは小さく息を吐いた。桂は困ったような顔をした。
「貴様、今から何の用だ。何処へ行くつもりだ」
「お主に言う必要はない」
「・・・教えてくれ。・・・・・・若しや、高杉の元ではないか?」
「・・・・・・!」
 桂は僅かに目を見開いた。
「何故・・・、」
「・・・わたしも、一緒に行ってはならぬか。其処へ」


 桂は暫し頭を捻らせた挙句、潔く頷いて、わたしの手を取る。チャイナ娘は、
「何処行くアルかー?」
と元気な声を此方へ向けた。桂は其れに笑みだけで答えた。
「桂さん、気をつけてくださいよ。最近幕府の人がよく偵察に来ているんですから」
「それくらい解っている。・・・・・・しかし、銀時は何処にいるのだ。迎えに来てやったのに」
「銀さんならどっか行っちゃいましたよ、お昼頃」
 眼鏡の少年の其の言葉に、桂は深く溜息を吐き、そして小さく頭を下げスナックを後にした。わたしも其れに続いた。

Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.23 )
日時: 2011/03/05 16:58
名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)





 YOU LOVED THE WORLD




 今宵の闇は冷たい。日中の温もりを嘲笑うように朽ちたような空気が堕落した街を襲う。屯所にも同じくらい冷えた温度が流れていた。誰もが何かを怖れ、誰もが何かに憂い、誰もが錆びた愛を噛み締めた。
 とある一室、土方は死んだように眠っている。其の傍らに俺は膝をつく。乾いた畳の音が聞こえたようで、男は重い目蓋をゆっくりと開いた。

「・・・・・・起きちまいやしたか」
「・・・お目覚めにオメーの顔なんざ見たかねえな、」
 掠れた声は俺に罵りの文句を吐き捨てた。其の苦し紛れの嫌味に俺はザマーミロと心の内で奴に冷笑した。
「腹ァ、どーです。大分良くなりましたか」
「・・・こんなの傷の内にも入らねぇな」
「強がらなくていいでさァ。———如何足掻いても弱いだけの男が、」
「・・・・・・テメェ」
 強い獣の眼が俺を睨んだ。酷く鋭く、惨めだ。
「女に夜襲されるたァ土方さん、其れは弱いっていうんでねぇかィ?」
「・・・・・・・・・黙れ」
 返す言葉も無いというように男は再び俺をじろりと睨み、眼を閉じた。


「———土方さん、あんま情けねえことなさってると、副長の名がへし折れますぜ」
「・・・・・・そう言う癖にお前は何時も本気でかかっては来ねぇな」
「・・・皮肉でさァ。其れは、俺が弱いんでィ」
「そーかい」


 此の男は、俺に殺してくれと言っているのであろうか。閉じられた瞳に気迫なんてものはなく、其の阿呆面は只眠った振りをする。
 俺が本気でかかって来ないって?本当に皮肉だ。何時だって俺は本気だというのに。だけど、殺すつもりでかかったって、奴は、土方はおとなしく殺されてはくれない。血を帯びた眼が、昔の面影を纏う其の面が、俺の剣を薙ぎ払う。姉上が居た頃からずっと、俺は変わらず、土方ばかりが丸くなっていく。其れなのに俺は、女に殺られるような男さえ殺せない。


「———俺よかお前のほうがずっと強えーよ」
 静かな声が響く。
「俺ァ弱い。そんで吐き気がするほど甘い。どっかの糖分王よりも甘ぇーよ。あの女を殺すつもりでずっと居た筈なのに、あの時あいつを追うことも出来なかった」
 淡々とした、声が響く。
「・・・総悟、お前なら、あいつを殺れたか。どうしようもないような馬鹿な女を、お前なら殺したか」
 其の声は俺の心臓を掴もうとした。避ける術も無く俺自身ごと引き寄せられた。
「————」
 だけど其の問いに、答えることは出来なかった。



 此の世界を憎む者が居る。そいつらは俺たちの敵だ。だが俺は此の世界を愛せない。こんな非情でこんなに甘くてこんなに脆い世界に流されるなんて絶対に厭だ。けれども此の男は、其れでも浮世を愛し尊んだ。此の世に生まれ落ちたこと。此の世で自分を受け入れる者と巡り会えたこと。此の世で心を持てること。
 俺はどうしても愛せなかった。此の世に生まれ堕ちたこと。此の世で自分を受け入れる者と巡り会えたこと。此の世で愛するものを失うこと。此の世で欲望も満たせないこと。
 どうしようもなく溢れるものがある。其れは涙ではなかった。けれど男は其の血塗れた身体を起こし、俺の頭を優しく撫ぜる。

Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.24 )
日時: 2011/03/06 12:45
名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)



 君が散らした花びらは汚れていくのだろうか




 高杉の屋敷へ向かう道中、棗と申す娘とは口をきかなかった。多少苦しそうな声が聞こえたので、俺は心配する素振りを見せた。だが、まだ女に心を許す気には、到底なれない。
 其の着物は泥だらけだった。きっと昨夜の雨の中、転びでもしたのだろう。俺は女に問う。
「着物を買うか?そんな格好ではあいつが厭う」
「・・・・・・じゃ、お言葉に甘えて。先に行ってても構わん」
「いや、いい。此処で待っている」
 
 着物店の壁に背を預けて、店内へ入る棗の後姿を細目で眺めた。高杉と繋がりのある女といえば、かの紅い弾丸ぐらいしか存じない。あの娘は見た目でそこそこ強い人間だと判断できるが、棗は比較的穏やかな外面だ。高杉の恋人であろうか。と、其処まで考え、ないない、と首を振る。
 面倒なことを考えているうちに、棗は店から出た。黒い布地に白や空色の花を散りばめた、太夫を連想させる着物姿だった。長い髪は上のほうでひとつに束ねただけだったが、其れだけで充分な華やかさを纏う。
「・・・どうだ?」
「やはり女子は美しい」
「ふふ、こんな格好をしていると、吉原に居た頃を思い出す」
「・・・お主、遊女だったのか?」
「・・・・・・」
 女は静かな笑みだけを俺に寄越した。吉原の女だったのならば、地上に逃げてきたのであろうか。いささか無理な話だと思うが、世の中は何が起こるか計り知れない。現に、常世の国吉原にさえ、今美しい月の光が降り注ぐ。

「———其れでは、行こうか」
「ああ」
 棗は紫煙をゆるゆると吐いて、キセルを懐に仕舞った。高杉も其れを愛用していたとふと思う。


 暫し歩みを続けると、辺りは夜の色を深め、穢れた街は宵闇に沈んでゆく。高杉が姿を潜める屋敷の前まで来れば、弦楽器や小唄の音色が微かに聞こえた。懐かしさを感じさせるにおいと、風流な外観。
 使用人と思しき女が、俺と棗に名を問い、静かに頷いて俺たちを連れてゆく。奴の元へ、ゆるやかに誘われる。

 開いた扉の向こう側はやけに眩しかった。其処には紫に溶かしたような黒髪と、やる気の無い銀髪があった。珍しくも高杉が銀時に酌をしている。
 高杉は少々驚いたように右目を僅かに見開いた。銀時は俺の背後に居る棗を見、誰だろうかと首を傾げた。そして、いずれも夜に酔うた顔を綻ばせ、俺たちを招き入れた。

Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.25 )
日時: 2011/03/06 16:16
名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)

 曇天の下を駆ける者の心知らず、死に逝く者は安らかで。大切なものは何処かに忘れてきた。あの人に教わったことだけが振り翳す刀の音と共に散らばってゆく。暗闇を走るほどに未来は眩しい。流した涙も血も、悲しみも怒りも喜びも、共有し合えた仲間が居る。今は道を違え袂を分かち、見せる顔さえ、知らない。
 限りない喜びは遥か深く、前に進むだけで精一杯。今日の無事と明日の健闘を願って。そうやって何度も盃を交わした。巡り巡り影差した、あの光を今も探してしまう。




 やわらかな思い出は心にしまって




 俺は銀時の盃に並々と酒を注いだ。銀時は愛おしそうに其れを見つめ、注ぎ終えたら今度は俺に視線を移した。
「お前がやってくれるなんてめずらしーな」
 そう微笑む姿は、あの頃とさほど変わらない。浄化したのか汚濁されたのか解らないが、死んでしまった其の眼を俺は嫌う。気だるそうな素振りで近づいて、あっと言う間に吸い込まれる。俺は何か喋ろうと口を開いた。だが其れは無駄に終わる。扉が開く音が聞こえ、廊下の闇が此方へ入り込んだ。

「———遅れてすまない」

 桂だ。そして後方に佇むのは、棗だった。
「・・・遅えよー、ヅラぁ」
 銀時が甘く言った。
「ヅラじゃない、桂だ。・・・・・・其れと高杉、棗殿だが、」
「・・・・・・どーしたよ棗?随分シケた面してんじゃねェか」
 俺は桂の声を遮って後ろに居る女に言った。そいつはたどたどしく部屋に入り、ゆっくりと腰を下ろす。

「———わたしは任務をこなせなかった。土方一人、殺ることができなかった。・・・高杉、わたしはもう此処にいれない」
 棗は押し殺した声を出した。泣きそうな子供のような声。
「わたしを殺してくれ」
 其の呟きははっきりと空気を震わせ、俺の元へ届く。
「・・・馬鹿か手前は。ハナからお前みたいな馬鹿女に出来ることじゃねえって解ってたっつーの」
「・・・・・・」
 棗にそう話しかけた後、少しだけ酔いが醒めてしまった気がして、俺は盃を隣に居る銀時の前に差し出した。男は無言で酒を注ぐ。
「———殺すかよ。俺に愛された女が、生意気言ってんじゃねェ」
「・・・・・・」
 そいつは静かに涙を落とした。糞真面目な奴。俺は思った。そんなところが愛おしい。時々此の女から漂うにおいは、あの人のものと似ている。あの人も糞真面目で馬鹿だった。だから、俺はあの人が好きだった。


「・・・・・・あのォ、其の子もしかしてお前が言ってた“駒”?」
 銀時が呂律の怪しい声を放つ。俺は頷いた。
「あァ。・・・鬼兵隊の、黒い引き金だな」
 紅い弾丸こと来島また子。そして棗は闇色の引き金だ。其のトリガーを引くのは俺。弾丸は飛んで飛んで爆ぜる。
「———成程な。棗殿が、そうなのか。・・・噂には聞いていた。黒い引き金なる者が鬼兵隊に潜むと。・・・・・・ところで棗殿、お主、俺と何処かで会ってはいまいか」
「・・・・・・悪いが、貴様の顔に覚えは無いな」
 棗は否定する。其処へ銀時が飛び込んだ。
「俺もさァ、今思った。棗ちゃんよォ、俺の顔には見覚えあるかい」
「・・・貴様のようなふてぶてしい白髪天パーに出会うた覚えはない」
 棗はまたもや否定。
 俺も棗と初めて会ったとき、そんなことを思った。だが言わなかった。会っているとすれば、其の場所は限られているから。
「其れ酷いんじゃないの!ねえ!」
 銀時の悲痛な叫びも虚しく、棗は空になった俺の盃に酒を注いだ。俺はひとつ笑みを浮かべ、其れを口に流し込んだ。


 赤く燃える孤独な道を、誰のものでもない髪をなびかせ。道の先には蜃気楼。あの日を殺したくて閉じたパンドラ。銀時は白夜叉を殺し今を生きる。俺の愛した銀色は、今はもう、いない。桂はあの頃よりも一段丸みを帯びて阿呆な女のようになって俺の前に姿を現した。俺は腹立たしくてならない。闇を駆けた盟友たちよ、其の身体に眠る魂をもう一度見せてくれ。



 椿屋四重奏/BURN 参考・引用

Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.26 )
日時: 2011/03/21 22:22
名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)

 銀魂×つっこ

 龍 (あなたはひとり燃え尽きて天に消えた)  
 先生を失ったときの村塾三人の心情。戦に向かうに至るまでに、何度も涙を枯らして求めた。
 
 花冠 (愛しい人よ 君に出会えた喜びに 花咲かせた穏やかな私はもういない)
 戦の終わり〜銀時や桂と再開(紅桜篇)までの高杉。高杉は殺されるなら銀時に、桂に。殺されたいのかもしれない、と思ってしまいます。 
 
 箱庭 (もしあなたと始まることになっても かまわないと今なら強く言えるの)
 高杉から銀さんや桂に向けた歌のイメージ。剣突きつけられたときとか、大袈裟じゃなくこんなこと思ってたんじゃないかと思います。
 
 聲 (あなたの聲が雑踏に消える)
 愛しき君よ、其の声で救って欲しい。そんな感じ。高杉から銀さんへ。高杉は全て解ってるから尚辛い。

 以上、高杉メインにイメソン&妄想でした。よかったら聞いてみて頂きたいです。つっこさんこと天野月子さんの曲です。ニコニコのMADにも結構ありますね。銀魂MADのクオリティー半端ないですよ!お勧めです。
 攘夷大好きなんで妄想ばっかりしちゃいます。

 此の先の話から結構JOYズの過去捏造出てきます。殆ど馬鹿な妄想で出来ています。ご注意ください。


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