二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ
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- 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ
- 日時: 2011/04/04 17:39
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
初めて投稿させていただきます。燕と申す者です。
銀魂で二次小説投下します。
主人公の設定は下記をどうぞ。オリキャラは増えていくかもしれません。
※軽い流血表現、かるーい恋愛含むかもしれません。
※登場人物(特に攘夷ズ)の過去などは捏造過多でございます。
*
棗(ナツメ)
女性/165・48/18歳
鬼兵隊の一員で、高杉のお気に入り。
紅一点のまた子とは違って、鬼兵隊の闇として名を馳せている。通称“黒い引き金”。
*
壱、嘘をかぶりて斜に歌舞く >>41
弐、crocodile's tears >>42
銀魂×つっこ/イメソン紹介と見せかけた妄想 >>26
参、古語をしましょ >>43
銀魂×バクホン/イメソンと高杉の話 >>52
肆、鬼が笑う夜も泡沫の如く >>56
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- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.53 )
- 日時: 2011/04/04 17:15
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
吸って、吐いて、また吸って、そんな覚束ない呼吸を繰り返していると何時の間にか夜は深みへ潜っていた。ぴしゃん、と何度も鳴る水滴の音。誰か止めろよ、と誰もが思っている筈だが皆其れを拒む。此の静かな世界の中で小さく奏でられる確かな音を、此処で絶望に沈む皆の心を満たしていた。決して晴れることのない曇天の心を。冷たい床で寝返りを打てば、隣に銀時が寝ていた。俺が見つめていると其の目蓋は重そうに開き、恐ろしくも美しい其の色が姿を現した。俺はふっと笑って眼を閉じる。そうすることしか、できなかった。
真夜中は失楽園
ぴしゃり、とまた滴が地を打つ音が聞こえて顔を顰める。其れは床に落ちる涙のよう。眠る為にある夜の世界は重く静かだった。微かな音が心を煽り、微かな事実に心を揺らされる。
(先生・・・・・・、貴方がいなくなって、俺たちの家は冷え切ったよ)
俺が銀時と喧嘩して、踏み破った階段脇も。いちいち掃除の度に、久坂が拭いていた襖の溝も。やめときゃいいのに、料理に挑戦するとか言い出したヅラと入江が持った包丁がすっぽ抜けて出来た柱の傷も。
貴方が毎日、村の餓鬼(俺も餓鬼だけど)から貰った野の花を入れていた花瓶も。
なあ、先生、全部だよ。
貴方がありったけの願いと夢を込めて作った俺たちの家は、一日で——正確にはたった一つの報で——死んじまった。わたしがいなくなっても、だって?此の様だよ、先生。
こうやって故人と会話する俺の眼は酷く虚ろだろう。銀時が俺の表情を見て驚きの色を其の紅の瞳に混ぜた。月明かりは燦燦と残酷に滑稽に、俺たちの小さな身体に降り注ぐ。
ぎんとき、とひとつ呟いた。否、声は出なかった。掠れた小さな呻き声みたいなものと共に、口だけが動いた。銀時は其れに気付いたのか気付いていないのか、張り詰めたような顔を少しだけ綻ばせ手を伸ばす。俺の髪に銀時の長い指が絡められる。銀時は俺の髪に触れるとき何時もしかめっ面をしているが、今回は違った。其れは安らぐような、緩い表情だった。
(・・・腹減った)
何かを考えようとしてもそんな欲ぐらいしか脳内に浮かばず、やはり睡眠欲だけに縋ることしか俺には出来なかった。
先生の料理はとても喰えるようなものではなかった。だから今、銀時もヅラも俺も、随分料理が上手くなった筈だ。其れを先生に味見して貰うのはお約束で、其の度に銀時の飯は先生の太鼓判を押される。
浮かんで消えるのは、儚い想い出だけだった。
先生の訃報に接したのは二日前だった。俺は泣き崩れも暴れもしなかった。只今も、その実感が湧かない。こうやってだらしなく寝転んでいると、先生が向こうから帰ってくる気がして。
(・・・・・・壊れそうだ、)
此の可笑しな感情はもう壊れているのだろうか。先生が死んだ。天人に殺された。此の恨み、如何やって晴らそうか。心臓の奥のほうから沸きあがるのは只ひたすら醜く歪んだ答えばかり。
(たすけて、・・・なあ、銀時)
声が出ないのが救いだった。此の少年に、俺は慰めを乞うことなどできない。だってこいつは優しいから。俺は如何したいのだろう。如何して欲しいのだろう。きっと荒く醜く、殺して欲しいのだろう。
先生、今度はそう口を動かした。其れが銀時に伝わったようで、奴は眉間に皺を深く刻み、瞳を閉じた。泣きそうな顔だった。其の紅は暗闇の中でひときわ妖艶に輝く。其の美しい蘇芳が欲しいと思った。俺の色にしたい。そして手に入れた其れを、憎き天人共に浴びせるのだ。其れはまるで血のように。そういえば、あいつらの血の色は、
思考を海の底まで深く巡らせたところで、己のあまりの醜さに思わず眼を閉じる。目の前の少年は微かな呼吸を繰り返していた。
そしてまた、目蓋を開く。世界は何も変わらない。俺に秘められた確かな紅が激しく燃え上がり牙を剥く。
(たすけて)
・・・うう、と向こうで誰かの呻き声が聞こえた。寝言だろうか、泣いているのだろうか。掠れたような声がまた聞こえ、ああ、ヅラだと声の主を探り当てる。俺は冷たい身体を起こしてそいつの元へ向かった。
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.54 )
- 日時: 2011/04/04 17:19
- 名前: MiNi ◆L/NsWzLsGs (ID: NcVt2sWO)
- 参照: http://www.youtube.com/watch?v
お久だゆ燕!
中々このスレに来なかったから話が読めない^^;
後で一気読みするよ!w
そういえば今日銀魂やるんだよね?
妹が楽しそうに話してたw
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.55 )
- 日時: 2011/04/04 17:35
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
ミニぃぃ、おひさ!^0^*
今過去篇やってます!大分話書いたなー。ぶっちゃけ頭の中でうっすら話が組み立てられてるだけだし、暗い話だけど書くのが楽しくて楽しくて^///^笑 一気読み疲れるかも!
そうそう、今5時半だからもうすぐやん・・・スタンバらなければ。3Zの小説も今日あたり発売よ!高杉の話。楽しみすぎて顔引き攣る(笑)
コメあざっす!
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.56 )
- 日時: 2011/04/22 18:29
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
肆、鬼が笑う夜も泡沫の如く
>>53 真夜中は失楽園/背反せよ、と誰かの声がきこえる。銀時と高杉
>>57 神殺し/何時か神に祈る日が来ても、幻滅しないで傍にいてくれる?三人
>>58 Shall we die?/友の手が、汚れた日。桂と高杉
>>59 罪は涙の味がする/戦の中で忘れられていく夜の話。三人
>>60 悠久の愛を頂戴/君を突き放すのに必要な最低限の優しさ。土方とミツバ
>>61 罪深きイノセントローズ/偽りを含めた真実の愛と。土方と沖田
>>63 はじまりの日/此れこそがすべてであり、何もかもを失くしたとき。四人
>>62 解説っぽいもの
- Re: 銀魂 * 我が愛しのロクデナシ ( No.57 )
- 日時: 2011/04/07 17:53
- 名前: 燕 (ID: /kFpnDhT)
神殺し
あ、あ、と喉に力を込めても上手く声が出ない。掠れた音だけが静まり返った部屋に響いて明るんでゆく世界を揺らした。朝が近づくにつれて揺らぐ気持ちが宙にぷかりと浮かんでゆく。此のまま消えてしまおうか、なんて考えている自分に気付いてはっと眼を開けた。
「高杉・・・」
視界に誰かの足があって上を見ると見慣れた少年の顔があった。其の眼は何処か虚ろで、まばたきひとつしない眼は一度暗闇に戻るともう帰ってこないような、恐ろしい眼だった。
「・・・酷い顔してるぞお前・・・・・・」
「五月蝿えよ手前ほどじゃねえ。ヅラ、隈やべぇ」
「・・・・・・んん、まあいい。如何したんだ」
俺は眼を擦りながら問う。
「別に、お前が泣いてんのかと思ってからかいにきただけ」
「泣いてない。泣いてたのはお前だろう」
「馬鹿言うんじゃねえよ。・・・・・・・・・・・・涙なんか出てこねえ」
「・・・・・・そう、だな」
呟くように掠れた声が肯定を示した。高杉は疲れたように溜息を吐いて、起き上がった俺と目線が同じになるくらいにしゃがみ込んだ。
「せめて涙が流れれば、」
「悲しみさえも流れる———」
俺の声に高杉が言葉を紡いだ。
其れは虚言である。どんなに涙を流しても声を枯らしても、此の苦しみから逃れることは出来ない。俺たちは知っているのだ。其れでも流れ出す悲しみを抑えることは出来なくて。
高杉の瞳は痛みを孕んだように紅く、俺の眼に映った。其の眼は偽りだ。あいつの其れに似ている。鬼のように紅い、人間の血の色の。
ぴしゃり、と水音を聞いた。涙の流れる音だった。
「・・・・・・飯、つくるか」
ふと目の前に現れたのは銀時だった。ふらりと歩いて食材を探している。
「——銀時ッ、」
「・・・」
俺は何かを言おうと口を開く。高杉は奴のふわふわと揺れる銀髪を虚ろな眼で見つめていた。
「んだよ」
返される素っ気無い言葉。見ると、其の瞳も、痛々しく紅くて。
「・・・・・・お前らも、飯つくろーぜ」
銀時の呼びかけに、むくりむくりと、眠っていた影が目を醒ました。何処からか久坂の声が聞こえた。
「ぎんときー、お前、甘いもんつくるなよ」
「わかってらぁ」
銀時の声は優しい。闇夜に溶け込む其の声のぬくもりに、醒めた目がじんわりと熱を生む。
「ほら、ヅラ、ちび助。おめーらも」
呼ばれた名にお決まりの文句を返すことさえ忘れて、俺は高杉の手を引いて立ち上がった。
ありったけの食材で作った飯は決して美味くなかったけれど、皆喜んで喰らいついた。先生の飯の味を思い出してまた胸の穴が広がった。此れが、長い夢だったらいいのにと、何度思ったことだろう。
空が明けてきて、闇を纏った陽の光が部屋に差し込む。故郷のぬくもりが身に染み込む。
隣で高杉が長く息を吐いた。俺もゆっくりと呼吸をする。やっと、息ができるようになった。銀時は静かにゆらゆらと此方へ近寄ってきて、俺と高杉の肩に手をかけた。そして、ぎゅっと其の腕に力が込められる。身体がくっつく。冷たい熱が寄り添った。
そして其の冷たさが少しずつぬくもりを纏ってきた頃に、銀時は腕を解いた。
繰り返す呼吸は、混ざり合う。そして銀時は口を開いた。
「————行こうか」
「皆で、な」
高杉が途切れた声を紡ぐように呟いて、俺たちはにやりと笑みを浮かべる。萩の悪童と呼ばれ育った餓鬼の笑みだ。
失われた熱を取り戻す為に朝が生まれた。いざ行こう、まだ幼い拳が交じり合った。
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