二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

■漢字にルビが振れるようになりました!使用方法は漢字のよみがなを半角かっこで括るだけ。
 入力例)鳴(な)かぬなら 鳴(な)くまでまとう 不如帰(ホトトギス)

【イナGO】〜雷門の蒼きストライカー〜
日時: 2013/01/14 08:31
名前: 時橋 翔也 (ID: bHw0a2RH)
参照: また…つくってしまった

毎度どうも 銀河一の駄作者 時橋です

イナゴ第三弾!今回はオリキャラが主人公です

注意!

・恐ろしいを飛び抜けた駄文
・セリフはほとんどオリジナルです アニメでのセリフあんま使わないです
・アニメあんま見たことないので色々おかしい
・アニメと言うよりゲーム沿い そしてオリジナル要素がある
・更新遅し これでも作者は受験生なの
・荒らし&悪口は禁止 それ以外のコメントなら大歓迎
・天馬が本来すべきシーンはオリキャラの主人公がやります
・キャラの多くに重い過去がある、特に剣城がかわいそう
・キャラ崩壊がヤバイ
・謎が解明されるの遅いですかなり
・話が意味不明&ドロドロ
・マイナーキャラ多いです
・十%コメディ九十%シリアスです

これらが許せる方はどうぞ

目次   主人公 >>5

第一章「蒼きストライカーの出現とホーリーロード」

プロローグ >>1  第一話 >>2  第二話 >>6  第三話 >>10  第四話 >>11  第五話 >>12  第六話 >>15  第七話 >>16  第八話 >>17  第九話 >>18  第十話 >>19  第十一話 >>20  第十二話 >>21  第十三話 >>22  第十四話 >>24  第十五話 >>25  第十六話 >>26  第十七話 >>27-28  第十八話 >>31  第十九話 >>32  第二十話 >>33  第二十一話 >>36  第二十二話 >>37  第二十三話 >>38  第二十四話 >>39  第二十五話 >>42  第二十六話 >>43  第二十七話 >>46  第二十八話 >>47  第二十九話 >>48  第三十話 >>49  第三十一話 >>50  第三十二話 >>51  第三十三話 >>52  第三十四話 >>53  第三十五話 >>54  第三十六話 >>55  第三十七話 >>59  第三十八話 >>62  第三十九話 >>63  第四十話 >>64  第四十一話 >>65  第四十二話 >>68  第四十三話 >>69  第四十四話 >>70  第四十五話 >>71  第四十六話 >>72  第四十七話 >>73  第四十八話 >>74  第四十九話 >>75  第五十話 >>76  第五十一話 >>77  第五十二話 >>78  第五十三話 >>79  第五十四話 >>80  第五十五話 >>81  第五十六話 >>82  第五十七話 >>83  第五十八話 >>86  第五十九話 >>87  第六十話 >>88  第六十一話 >>89-90  第六十二話 >>91  第六十三話 >>92  第六十四話 >>93  第六十五話 >>94  第六十六話 >>95  第六十七話 >>96  第六十八話 >>97  第六十九話 >>98  第七十話 >>99  第七十一話 >>101  第七十二話 >>102  第七十三話 >>103  第七十四話 >>104  第七十五話 >>105  第七十六話 >>106  第七十七話 >>107  第七十八話 >>108  第七十九話 >>109  第八十話 >>110  第八十一話 >>111

《捕捉短編集》

本編の捕捉説明を兼ねた短編集 暇なときにどうぞ
本編では語られないキャラ達の過去の話

No.1 「絆が憎悪に変わるとき」
前編 夜桜said

エピソード1 >>100

Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23



第五十一話 ( No.77 )
日時: 2012/11/13 19:43
名前: 時橋 翔也 (ID: xhJ6l4BS)


「この近くをくまなく探せ まだ近くにいるはずだ」
牙山が言うと、男達は何かを探し始めた

何を…探しているんだろう

その時だった
海音は誰かに裾を引っ張られた

見ると、そこには海音より年下の少女が立っていた

「来て…そろそろ術が切れかかる頃だから」
「え…君は…?」
海音は言った
どこかで見たことある…

…あ

「……君はもしかして シュウの妹の…?」
「こっち」
少女に手を引かれ、海音は走り出す

そしてやって来たのは、少し離れた高台だった
森のすぐ目の前で、試合もよく見える

「ごめんなさい…訳も話さず術をかけて」
少女は言った
「術って…?」
「今の貴方はある意味幽霊と同じなの 私がかけた術のせいで」

…もしかして
「皆にボクが見えてないのは…術のせい?」
すると少女は頷いた

「私はミュウ …あなたは海音さんだよね お兄ちゃんの仮想空間によく来てた」
少女は言った
「仮想空間?」
海音は訪ねる

「力を究極にまで高めた人は、その力で夢の中に自分の世界を造れるの …だからあなたはお兄ちゃんの夢に入れた」
ということは、あの森は全てシュウが造ったものというわけだ

「お兄ちゃんって…シュウの事だよね」
「うん… そうだよ」
ミュウは頷いた

「海音さんは知ってるよね …私たちはもう死んでるって」
「うん 知ってる 」
海音は言った

「お兄ちゃんは私が生け贄にされたあと、力を過剰なまでに求めるようになった …お兄ちゃんは今、力を手に入れるためにフィフスセクターに入ってるの」
「シュウが…フィフスセクターに!?」
海音は声をあげる

「そんな…シュウはサッカーが大好きなはずなのに」
「…きっとお兄ちゃんは 自分のせいで私を死なせたって思ってる そんなことないのに…」
ミュウは言った

「私は普通の人には見えない お兄ちゃんとは少し違う亡霊なの だからお兄ちゃんとは話せない…」
「…今のところ、君が見えるのはボクだけなんだ…」
海音は呟く

「お願いがあるの…海音さん お兄ちゃんを助けてあげて」
「助けるって…サッカーで?」
「うん お兄ちゃんの目を覚ますにはサッカーしかない」

すると海音のなかにひとつ疑問が生まれた

「…でも、なんでボクを皆と引き離す必要があったの?」
「……あっちを見て」
ミュウは向こうを指差す

そこでは男達が何かを探している様子だった

「フィフスセクターはあなたを探してる」
「え…ボクを!?」
海音は驚く

「海音さんは…ある組織に命を狙われてるんだよね?」
ミュウに言われ、少し間をおいて海音は頷いた

「フィフスセクターはその組織と手を組んだの …海音さんを渡せば強力なシードを生み出す方法を教えるって」
「じゃあ今でてったら…」
「捕まって、殺されると思う」

海音は絶句した
そんなことが…

「でも…私が何とかするよ」
ミュウは微笑んだ
「ミュウ…」
その時だった

「うわああああッ!!」

向こうのグラウンドでは土ぼこりが立っていた
見るからに、相手は白竜以外動いていなかった

「…白竜!」
すると海音は走り出した
「海音さんダメ!今出ていったら…」
ミュウもそのあとを追う

「へへっ…」
白竜は再び強力なシュートを繰り出そうとした
時だった

「白竜ッ!!」
海音は白竜の目の前に立ち塞がる
「なっ…海音!?」
白竜にはどうやら見えるらしい

だが周りを見ると、海音が見えているのは白竜だけだ

「海音…だと…?」
すでにボロボロの神童は言った
だが 辺りには海音の姿は見えない

「もうやめようよ!こんなの白竜のサッカーじゃない!」
「…くっ 」
白竜は海音に向かって駆け出す

そして海音をすり抜けた
「白竜…」
シュートする鋭い音と悲鳴
白竜…なんで…

ここで試合終了
雷門の完敗だった

「くっ…」
「剣城!」
近くで剣城が地面に倒れる
「格の違い わかってもらえたかな?」
白竜は言った

「白竜…」
「海音…そうか お前は雷門の一人だったのか」
白竜は海音を見て言った

だが周りの人々には、白竜はただの独り言を淡々と話すおかしなやつにしか見えない

次の瞬間だった

グラウンドにサッカーボールが転がり、そこから大量の土埃がグラウンドを包み込む

そして、走ってくる人影が見えた
「海音さん!逃げるよ!」
「ミュウ…」
「急いで!」
土埃と共に、海音はミュウと森の方に走っていった

第五十二話 ( No.78 )
日時: 2012/11/17 13:38
名前: 時橋 翔也 (ID: B6N9vk9k)


顔に水滴が滴り落ち、天馬は勢いよく起き上がる

「これって…?」
どうやらここは洞穴のようだ

辺りを見ると、周りも次々と起き上がる
「どうやら誰かに助けられたらしいな」
「さっきまで俺達はアンリミデットシャイニングと戦っていて…」

「………」
「剣城くん どうしたんだい?考え事?」
「…白竜が言っていたこと…」

『なっ…海音!?』

「白竜がなんで海音を知っているのかはわからない…だが白竜はまるで、目の前に海音がいるかのように言っていた」

「よっ!皆気がついたみたいだな」
声がした

洞穴の奥から、円堂が歩いてくるのが見えた

「円堂監督…?!」

——————

「もう すっかり夜だね」「この島はすぐに暗くなるの」
ミュウは言った

歩いているのは、よくシュウと会っていた森とよく似た森だった
するとミュウは立ち止まり、上を指差す

「あそこが私の家なの」
それは樹の枝にある小さなツリーハウスだった

ミュウは入り口に掛かっているはしごを登り始めた
「狭いけど…ごめんね」
「いいよ べつに」
登りながら海音は言った

なかに入ると、ミュウはろうそくの灯をともした、するとテーブルやイス、ベッドが置かれているのがわかる
「きれいな家だね…」
「…昔 お兄ちゃんと住んでた家の中を再現したの」
ミュウは言った

よく見ると、なぜかベッドが二つある
「…もしかして このベッドはシュウの分?」
「うん …多分 お兄ちゃんが使うことは無いかも」
ミュウは悲しげに言った

——————

円堂の他に居たのは、元イナズマジャパンの吹雪、壁山、風丸、不動だった
円堂の話によると、この島を調べている仲間らしい

「円堂監督、ここに来た理由を教えてください」
「調査ってどういうことですか?」
天馬は言った

「訳も話さずチームを離れることになってしまってすまなかった… 実は白恋との試合のあと、ある事実を知ってしまったんだ」
円堂は言った
「僕はこの島に少年達を閉じ込め、シードを生み出すための恐ろしい特訓を行っている施設があることを掴んだんだ」
吹雪は言った
「そのことを雷門と白恋の試合の後に円堂くんに伝えた」

「俺達の調査によると、シードはフィフスセクターが運営するいくつかの特訓施設によって生み出されている」
風丸は言った
「その中には高い能力を持つプレイヤーだけを集めた最高ランクの特訓施設が存在する それが究極のプレイヤーを生む島 ゴッドエデンだ」
円堂は言った

「問題はそのやり方だ この島では少年達を閉じ込めて無理矢理特訓をさせている可能性がある」
不動は言った
「…まさか 海音はフィフスセクターに捕まって特訓を受けさせられるのかな」
すると輝は言った

「影山…」
「けど、それが本当なら大問題ですよ!円堂監督 これからどうするんですか!?」
天馬は訪ねた

「もちろん俺達は少年達を解放して フィフスセクターの陰謀を暴く」
円堂は言った
「……」
「どうした吹雪?」
「いや…なんで海音だけ僕らと引き離されたのか…」
吹雪は言った

「…そういえば俺、監督たち以外の人影を見た気がする」
天馬は言った

「…もしかしたら、実は海音は近くにいるんじゃないですか?」
剣城は言った
「ただ 俺達に見えてないだけで」
「幽霊みたい…」
「海音ー いるのー?」
天馬は言ってみるが、返事はない

その時
天馬の腹が鳴った
「…あ」
「そういえばめしまだだったな …今 簡単なの持ってくる」
そう言って円堂達は洞穴の奥に消えていった

——————

「ごめんね 果物だけで…」
「全然良いよ この果物おいしい!」
海音はそう言いながら、見たことない果物を頬張る

おいしいと言っても、海音にはおいしいとまずいの判別がないので、大した理由ではない

「よーし!明日からはサッカーの特訓をしよう…」
「海音さんってサッカー好きなんだね」
「うん 楽しいよ!」

するとミュウは悲しそうにうつむく
「…きっとお兄ちゃんは、そう思ってない」
「………」
シュウ…

すると突然、すごい眠気が海音に襲いかかる
そしてベッドに倒れ込み、そのまま寝てしまった

「………」
疲れていたのかな そう思いながらミュウは毛布をかけた

——————

眠れず、剣城は外に出た

ここはどうやら廃墟のようで、剣城は風が気持ちいい高いところに行く

「………」
すると剣城は頭に手をかけ、縛っていたゴムを外す
そのとたん、ポニーテールがほどかれ、長い藍色の髪が風になびいた

なんでここまで伸ばしたのか、実際自分でもよくわからない
気がついていたらこんなに伸びていた…とでも言うべきか

「…剣城?」
後ろから声がして、とっさに剣城は振り返る

そこに立っていたのは、霧野だった
「霧野先輩…」
まずい 一番この姿を見られたくない先輩が来てしまった

「珍しいな 剣城が髪を降ろすなんて…一瞬誰だかわかんなかった」
「そうですか…」
すると霧野もゴムを外し、二つ縛りをほどいた

縛らないと、余計に女っぽく見える

「神童や家族以外に見せるのは始めてだな」
「…先輩は 髪を切ろうと思ったこと無いんですか?」
剣城は言った

「あるさ 何度も…でも切れなかった」
「切れなかった…?」
「…トラウマのせいかもな」
霧野は言った
「トラウマ?」
「俺には姉さんがいたんだ」

霧野は悲しげに言った
「…姉さんは美人で、なんでもできる人だった 両親も、姉さんにはとても優しかった… 圧倒的に姉さんが優遇されてた」
「………」
「ある日、姉さんは交通事故で死んだ いともあっさりとな そして聞いてしまったんだ 夜中の両親の話が 『奈美じゃなく 蘭丸が死ねば良かったのに』」
霧野は言った

「悲しかったよ だからその日から俺は一変した 髪を姉さんくらい長くして、勉強もがんばった …俺が姉さんになれば両親もきっと俺を見てくれる そう思ったんだ」
「…で、実際どうなんですか?」
剣城は訪ねる
「両親は…結局見てくれる事はなかった 両親は姉さんが死んでから目が虚ろになり…ある日ビルの上から自殺した」
霧野は言った

「多分、しばらくは髪を切ることは無いと思う …剣城は切らないのか?」
「俺は…昔からの髪型なんで」
剣城は言った

「そういや 剣城は海音に告らないのか?」
「それ、松風と狩屋にも言われました」
剣城はため息をつく
「…結局、剣城は海音が好きなのか?」
「………」

顔を赤くしながら、剣城は頷く
「多分、恐らく…」
「へ〜(゜▽゜)」

だが霧野は、神童も海音が好きだと言っていた事を思い出す
どっちが勝つのかな…

霧野は再び髪を縛った
「まぁ頑張れよ剣城!」
そう言って中に戻っていった

第五十三話 ( No.79 )
日時: 2012/11/18 19:12
名前: 時橋 翔也 (ID: Z6SnwTyI)


弱い日差しが差し込むベッドの上で海音は目覚めた
…ああそうか ボクはいつの間にか寝てたんだ

「おはよう 起きた?」
するとミュウは起き上がった海音に言った

テーブルには昨日食べた果物と、赤い小さな木の実が混じったパンが置かれている
「お腹すいたよね 朝食食べよう?」
「…うん」

海音は頷き、テーブルに座った
果物はもちろんだが、パンもかなりおいしかった

「変わった形のパンだね、この島の主食?」
「うん 毎日食べてるの」食べながらミュウは言った
「死んでるのにお腹空くの?」
「ううん 空かないよ 食べてもお腹一杯にはならないしね あくまでこれは嗜好品なの」

嗜好品か…
カップに入った果物のジュースを飲み干し、海音は食器を片付ける
「よーし 特訓するか!」そう言った時だった

島中にサイレンが鳴り響いた

「フィフスセクター?」
海音は呟く
その読みは合っていた

『円堂守と雷門の愚かなる少年達に告ぐ…』
牙山の声だ

円堂守…やっぱり監督はこの島にいるんだ!

『三日後、お前たち雷門と我々フィフスセクター公認チームによるスペシャルマッチを行う 場所は島の中央にある我々の施設ゴッドエデンスタジアムだ』

「ゴッドエデン…」
ミュウは呟く

『こちらには人質がいる お前たちはこの試合を拒むことはできない』

人質…監督やマネージャー達だろう
「…ミュウ 公認チームにシュウはいる?」
「多分」
ミュウは言った

「丁度よかった …ボクもこの試合に参加して、シュウの目を覚ます」
「海音さん…」

多分、雷門の皆も特訓するはず
少し見ていくか…

「じゃあボク行ってくるね」
「待って!」
ツリーハウスから出ようとした海音をミュウは呼び止める

「これを持っていって」
ミュウが差し出したのは、きれいな石のペンダントだった
青いきれいな石で、小さく細かいカットが入っている

光が入ると、石の中には不思議な模様が浮かび上がる仕組みだ
「これは?」
「お守り…これをつけている間は昨日の術と同じように誰にも見えないの でも物にはさわれるようになるから」
「…ありがとう」
海音はペンダントを受けとり、首につける

大して変わった感じはしないが、もうこれで他の人には見えないんだろう

ジャージを脱ぎ、ユニフォームになると海音は
「いってきます!」
そう言ってツリーハウスから飛び出した

——————

森を歩くと、どうしても夢の中を思い出す
「シュウの森ってここなんだな…」
海音は呟く

すると向こうに見たことがある樹が見えた
それはよく夢の中でシュウが見ていたお地蔵様がある樹だった

「ここにもあるんだ…」
海音はお地蔵様を見て言った
時だった

「この森も特訓に使えそうだね」
「そうだな」
向こうから天馬、信助、剣城の三人が歩いてきた

すると信助は海音に近づく
「ヤバッ…」
急いで海音は避けた

「ねー見てみて!これってお地蔵様かな?」
信助はお地蔵様を見て言った
「…そいつはこの島を守る神様だと言われている」
剣城は言った

『このお地蔵様は、この島の守り神と言われているんだ』

シュウの言葉を思い出す
剣城もその話知ってるんだ…

「この島には古くから サッカーによく似た玉を蹴りあう競技が伝えられていたらしい…」
「じゃあこの玉はサッカーボールって事かな」
天馬は言った

なんだか天馬、ボクと同じようなこと言ってる
海音が思った時だった

突然、向こうからボールが飛んできた
「!!」
剣城は即座に反応して、ボールを蹴り返した

「へぇ、少しはやるじゃないか」
向こうには人がいるようだ それも一人ではなく何人か

その中の一人が、いつの間にか集まっていた雷門に進み出る

「…シュウ…」
その人物を見て海音は呟く
「いきなり危ないじゃないか!」
天馬は言った

「実はさ、この島に来てからずっと見てたんだ 君達がボロボロにされて負けちゃったのをね」
シュウは言った
「許せないんだよな あの程度の実力でサッカープレイヤーぶってるの」

「あの程度だと…?」
神童は言った

するとシュウは辺りを見回した
「…海音は居ないの?」
「海音を知ってるのか?」
剣城は言った

「ああ知ってるよ よく僕の仮想空間に来ていたからね」
「仮想空間?」
天馬は言った
「ここは僕達エンシャントダークの森だ よそ者は出ていってもらう」

なんかシュウ、初めてボクと会ったときと同じこと言ってる…

「待って!」
向こうへいこうとするシュウに天馬は言った
「君達の森なら頼みがあるんだ!ここで俺達特訓したいんだ!仲間を助ける為に!」

少し考え、シュウはこちらを見た
「…分かった もしサッカーで僕達に勝つことが出来たら この森での特訓を認めてあげるよ」

第五十四話 ( No.80 )
日時: 2012/11/19 20:45
名前: 時橋 翔也 (ID: 21getbfq)


森の中には大きなグラウンドがあり、そこで雷門とエンシャントダークは試合することになった

「ここならよく見える…」
海音は樹の上で観戦することにした

「いくよ!」
エンシャントダークからのキックオフ

パスを出しても、エンシャントダークには攻める様子は無かった

「あいつら…やる気あるのか?」
三国は呟く

違う…
これは…

信助のパスカットにより、ボールは雷門へ
それでもエンシャントダークはまるで遊んでいるような様子だった

「読まれてる…」
ベンチから青山は言った

「エンシャントダークは相手の力を見切り、力を奪うことを得意とする…言わばマイナスの力を持つチームなんだ!」
海音は呟く

「終わらせるか」
シュウは言うと、思いきりシュートした

「うわあっ!」
それは強力で、剣城と輝は止められなかった

エンシャントダークはシュートチェインを繰り返し、威力絶大のボールは三国に向かう

「止める!」
天馬はボールに向かって走り出した

その時だった

「ヤバイ!!」
グラウンドにヤギが入ってきていた
天馬もそれに気づいた

「危ない!!」
天馬はヤギに向かって走り出し、ヤギを抱えあげる
「まずい…」
避けきれない…天馬が思った時だった

「……スノーウインド!」
海音は天馬とヤギの間に立ち、必殺技を炸裂させた

ボールは威力を無くし、天馬の前に転がった

「え…?」
今のって…海音の…?

身体が勝手に動いてしまった… 海音は急いで天馬から離れた

「天馬大丈夫か!?」
雷門の皆は天馬に駆け寄る
「…今、海音の技が出なかったか?」
神童は言った
「でも…海音はどこにも…」
一乃は辺りを見るが、海音の姿は見えない

「もうこっちに来ちゃダメだよー!」
天馬はヤギを逃がした

シュウはそんな天馬をじっと見ていた
「…もう試合は止めようか」
シュウは言った

「え?なんで?」
「なんか…海音が初めて僕の仮想空間に来たときのことを思い出したからさ …いいよ、この森使っても」
「本当に?」
天馬は言った

すると円堂達が歩いてくるのが見えた
円堂監督、それにシロにぃまで… 本当にいたんだ!

「僕はシュウ よろしくね」
「俺は松風天馬 よろしく!」

「………」
もう行こうかな
海音は森の奥に歩き出した

——————

ミュウが貸してくれたサッカーボールを使い、海音は特訓を開始した

森の中には大きな滝と共に険しい崖が幾つもある まずは危ないがそこでのドリブル練習をした

「危なっ…」
崖の小さな突き出た岩などを使い、空中でのドリブルを続ける

一度白竜とやったな… あの時は落ちそうになったのを助けてもらったけど、今はそうはいかない

落ちたら大変なことになる

「すごいね海音さん」
すると声がして海音は止まる

崖の近くにミュウが立っていた
「ミュウ!」
「お昼持ってきたの 食べようよ」
ミュウは大きな葉っぱにくるんだ何かをみせる

「うん ありがとう」
海音はうなずいた

とりあえず、ミュウのお気に入りの場所らしい大きな樹の上で食べることにした
見晴らしが良く、雷門の皆が特訓してるのも見えた
「お昼食べないのかな?」
海音は呟く

「うわああ!!」
どうやら水の上の葉っぱを使った特訓らしい
何度も水の中に落ちていてびしょ濡れだ

がんばれ先輩方

葉っぱにくるまれていたのは朝に食べたパンを使ったサンドイッチだった
中にはチーズや肉、ソースなどが入っている

「おいしい…」
「海音さん頑張ってたからつくってみたの」
ミュウは食べながら言った
「夕食はもっとおいしいの作るね」
「本当に?」
海音は言った

すると向こうにシュウと天馬が見えた なにか果実をもらっている
「…シュウのあの感じ…フィフスセクターにいるとは思えないけど」
「お兄ちゃんは少し不思議なの …気に入った人には優しいから」
ミュウは言った

——————

特訓に明け暮れ、太陽がオレンジ色に変わった頃だった

「よっ…と」
崖の上で海音はドリブルをしていた
そろそろ切り上げようかな ミュウのごはん食べたいし
そう思っていた時だった

「あっ…」
ボールを崖の下の森に落としてしまった

やらかした…そう思いながら海音は崖の下に降りる
「…まぁボクが落ちなかっただけよかったかな」
ボールを拾いながら海音は呟く

「え…?」
すると声がした

ん? 海音は横を見る
そこには、剣城が立っていた
剣城はまっすぐ海音の方を見ている

「ヤバッ…」
そういえば剣城にはボクが見えないんだ
…ということは、剣城にはボールが宙に浮いてるように見えるのか

「…海音、なのか?」
すると剣城は言った
「………剣城…」
「そこにいるのは海音だろ?」

……仕方ないか

そう思い、海音はボールを地面に転がすと胸のペンダントを外した

変わった感じはしないが、剣城にはこれで海音が見えるはずだ
「海音…」
「………」
なんて言えばいいんだろう

「ひ…久しぶりだね 剣城…」
特に長い間会ってなかった訳でもないのに、海音は言った

その時だった
突然剣城は海音に近づき、思いきり抱きしめた

「え!?剣城…」
予想外すぎる対応に海音は戸惑う

離れようとするが、あまりにも強いのでうまくできない
「…心配した」
すると剣城は言った
「お前が無事なのか… 怖かった…」
「あはは…ごめんね心配かけて」
海音は言った

温かかった
人のぬくもりってすごいな…豹牙の時もだけど

「…剣城 、いちおうボク女子なんだけど…」
海音は言った
「あ…悪い」
急いで剣城は海音から離れた
「…そうだよな あんなに酷いことしたやつなんかに抱きしめられてもな…」
「? 剣城…?」
海音は言った

すると剣城は向こうへ走り去ってしまった
剣城… どうかしたのかな?

第五十五話 ( No.81 )
日時: 2012/11/23 21:17
名前: 時橋 翔也 (ID: bHw0a2RH)


今日の雷門の夕食はシチューだった
みんな練習で疲れているのか、シチューを頬張っていた

「おかわりー!」
「あ!俺も俺も!」
「えっと…お願いします」
「僕も!」

「………」
一年生組の中では一人、剣城だけはあまりシチューを食べてなかった

さっき海音を抱きしめてしまったことが頭から離れない

心配だった 海音がどんな目にあっているのか
無事だとわかって安心して…気がついていたら身体が動いていた

「剣城元気ないな どうしたんだ?」
すると神童が剣城の隣にやって来る

…キャプテンには話すべきか

「…さっき海音を見ました」
「本当か!?」
「ハイ… ……」
剣城がうつむくのを見て、神童は少し心配する

「海音は…無事だったか?」
「…ハイ」
「? 剣城どうしたんだよ」
「………」

『もしかしたら…キャプテンも海音のこと好きかもね』

狩屋はそう言っていた

「…それで俺は…安心して……海音を思いきり抱きしめてしまったんです」
「え……」

キャプテンになんて思われただろうか
剣城には検討もつかなかった

「そう…なのか」
「キャプテン?」
「いや…剣城もそんなことするんだなって思った」
神童は言った

「で…海音はなんて?」
「…いちおう女子だよと言われました」
「まぁそうだがな」
「………」

すると剣城は立ち上がる
「…すいません 俺はもう寝ます」
それだけ言って剣城は去っていった

——————

「ただいまー!」
海音はツリーハウスに戻ってきた
いいにおいがする…

「お帰り…夕食出来てるよ」
ミュウは厨房らしき所から言った

海音がテーブルにつくと、ミュウは色んな食べ物を持ってきてくれた
「わーおいしそう!」
海音は言った

テーブルの上にならんだのは、野菜や肉をふんだんに使ったスープや、白い魚の中に香草をつめたバター焼き、おいしそうなソースが掛かった薄い肉の盛り合わせなどがあった

どれも見たことのない料理だったが、ミュウの料理はおいしかった

「ミュウって本当に料理上手いね」
スープを食べながら海音は言った
「まぁ生きてる頃、お兄ちゃんと二人暮らしだったから…」
ミュウは言った

すると海音は、さっき剣城に抱きしめられた事を思い出す
あれは…一体何だったんだろう

「…海音さん?どうしたの?」
「いや、さっきね… 剣城って雷門の仲間に…抱きしめられたんだよね」
海音は打ち明けた
「前も別の人からそんなことがあったけど、その時は泣いてたし… 一体何だったんだろうかなって」

「…その人、もしかして海音さんが好きなんじゃない?」

…え?

「好きなんじゃないって…ボクのこと?」
「うん きっとそうだよ」「………ふうん」

好きか…
ボクは剣城の事好きだよ
でも…あくまでも友達として

「…ボクには、恋愛っていうのがよくわからない…」
「そうなんだ… でも私もよくわからないかな 村には子供少なかったし」
ミュウは言った

夕食が終わると、ミュウは厨房からデザートになにかを持ってきてくれた
それはカップに入った果物ジュースに粒々の小さな果物が入った物だった

「ミュウこれは?」
「タピオカっていうデザート おいしいよ?」
ミュウに言われ、海音は一口飲んでみる

「食べたことない味だけど…おいしい」
「本当に?良かった…」

明日はどんな特訓をしよう…
樹の上でのドリブルとか?

——————

「…?」
あれ…ここは…

見回すと、そこは昔俺が住んでいたアパートだった
目の前のドアの前からすすり泣きが聞こえる

「ううっ…何で…何で奈美が…」
母さんの声がする

「何で…奈美なんだ…」
父さんの声

耳を塞ぎたくなった
聞きたくない

「何で……」

やめろ…それ以上は…

「奈美じゃなくて…蘭丸が死ねば良かったのに」

聞いてしまった
俺の中の何かが壊れた

何で…何でそんなこというんだよ…
「うわああああ!!」
俺は声をあげて泣いた

悲しかった 胸が張り裂けるくらい

「…おい 霧野!」
すると別の声がして、霧野は目覚めた 夢か…

そこにいたのは神童だった
「神童…」
「大丈夫か?うなされていたぞ」
神童は言った

「珍しいですね…先輩が寝坊なんて 皆練習始めてます」
剣城は言った

どうやらもう朝らしく、洞穴には神童、剣城、霧野の三人しかいない

霧野は起き上がる
「…俺も練習行くか」
「今日も昨日と同じメニューだって風丸さん言ってました」
剣城は言った

試合は明後日
その為にも特訓しないと!


Page:1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23



この掲示板は過去ログ化されています。