二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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悪ノ娘ノ召使
日時: 2011/03/17 18:07
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

初めまして、双海です!

これは、悪ノP様の「悪ノ娘」と「悪ノ召使」を、私が自分なりに小説化したものです。
私の勝手な解釈に基づき小説化した為、あなたの解釈とは違う所があると思います。
ご自身の解釈を壊したくない方はご遠慮下さい。

また、私はプロなどではない為、非常に読みにくい文章になってしまうと思います。
それが嫌という方もご遠慮下さい。

あと、誤字などもあると思います;
見つけたら、ご報告して頂けると嬉しいです!

はい、こんな拙い文章を読んでくださり、ありがとうございました!
それでは無駄に長い本編となります、どうぞ!

目次らしきもの

序章
>>1

第一章
>>2, >>3, >>4, >>5, >>6,

第ニ章
>>7, >>8, >>9, >>13, >>14, >>15,
>>16, >>17, >>18, >>19, >>20, >>21,

第三章
>>22, >>23, >>24, >>25, >>26,
>>27, >>28, >>29, >>30, >>31,

第四章
>>32, >>35, >>36, >>41, >>45, >>46,

第五章
>>49, >>52, >>57, >>58, >>59,

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第一章 ( No.5 )
日時: 2010/11/29 18:34
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

「そうよ。明日、緑ノ国へ行ってきてほしいの。」
「緑ノ国、ですか?」
 緑ノ国というのは、我が国ー…黄ノ国の隣の国である。
「いいですが、何の為にですか?」
「そろそろ食料も少なくなってきたでしょう?だから、食料を買いに行ってほしいのよ。」

 食料を、買う?
 食料が少ないから買うのはわかるが、どうしてわざわざ緑ノ国へ行かなければいけないのだろうか?
 別に、黄ノ国で食料を買ったって、特に変わらないのに。

 僕のそんな疑問を見透かしたように、王女はくす、と笑い
「薔薇の花を買ってきて欲しいのよ。」
「薔薇の、花ですか?」
 確かに薔薇の花は、黄ノ国には売っていない。
 薔薇の花は、緑ノ国には売っているのか。
「ええ。部屋に飾りたくてね。食料はそのついでよ。」
「…置いて、どうするのですか?」
「どうするって…。眺めるのよ。」
「そうですか…。」

 内心驚いていた。王女に、そんな、花を眺めるなんて趣味があったとは思わなかったからだ。
 まぁ、女の子だから、そのような趣味を持っていたっておかしくはないが。

「まぁ、そういうことなんだけど、いいかしら?」
「いいですよ。食料と薔薇の花、ですよね。」
「そうよ。食料はこれに書いてあるのをお願い。」
 そう言い、小さな紙を差し出してくる。
 それを受け取り、ポケットに入れる。

「では、失礼します。」
 なにも残っていない皿とフォークなどを持ち一礼し、今度こそ部屋を出ようと思ったのだが、
「ねぇ、レン。」
また、呼び止められる。

第一章 ( No.6 )
日時: 2010/11/28 22:19
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 半ば呆れつつも、
「なんですか?」
という返事をする。
「私たちってさ。」
「はぁ。」
「似てるって思わない?」
「まぁ…。」
「もしかして、私達って双子?」

 王女は確かに、そう言った。

「え?」
 双子か。そう聞かれたのはわかっているが、聞き返さずにはいられなかった。

 王女はさっきと同じ言葉を言う。
「私達って双子?」
「違うと、思いますが…。」
「レン、こっちに来て。」
 そう言い、手招きする王女のもとへゆっくり歩く。
 心臓はいつもよりも早く動いている。

「ほら、見て。」
 王女は手鏡を取り出し、僕の顔を王女の顔を交互に写す。
「ね?似てるでしょ?」
「まぁ…。」
 曖昧な返事しかできない僕を王女は見つめる。
 真意を、確かめるように。
「私達って双子?」
「違うと、思います…。」
 そう言う僕を、王女はじっと見つめる。

 そして、王女は突然吹き出した。
「あはは、そんな真面目に答えなくても…!」
「え…。」
「冗談!レンと私が双子なんてありえない、そうでしょ?」

 冗談、だったのか。

「…じゃあ、失礼します。」
 今も尚、笑い続ける王女。
 もう話はないよな、と思い部屋を出る。

 扉を閉めると王女の声は聞こえなくなった。

 厨房に向かう途中同じ召使のテトに会い、
「明日緑ノ国行くんでしょ?朝早いだろうから早く寝な。」
と言われたので、備え付けられている部屋のベッドへと潜り込む。
 僕の残りの仕事は彼女がやってくれるそうだ。

 王女の言っていた言葉は忘れ、明日に備え、僕は眠りについた。

 もう終わりは近づいている、ということなんて知らずに、安らかに眠りについた。

第ニ章 ( No.7 )
日時: 2010/12/01 20:55
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 小鳥のさえずりの聞こえる、爽やかな朝。
「ん…。」
 僕はいつもより早く起き、緑ノ国へ行く準備を始める。

「これでいいか…。」
 準備が大体終わった時、迎えは来た。
「レン様、準備は終わりましたでしょうか。」
「ああ。」
 僕は短く返事をし、扉の方へと向かって歩いていった。


 しばらく歩いた所に、馬車が待機していた。
「お乗りください。」
 僕は馬車に乗る。
 御者が鞭を振るうと、馬は走り出し、馬車が動く。
 御者が手綱を引き、馬を操るのを僕は見ていたが、やがてそれに飽き、外の景色を眺めていた。
 緑ノ国へ行くのには結構な時間がかかる為、何か暇潰しをしていないと退屈になってしまう。

 ふと、広場に人だかりができているのが見えた。
「あの人だかりって…。」
「とある村人の処刑を見る為に集まった人々ですね。」
 僕が呟いた言葉に、御者が応えてくれた。

 昨日、王女の言っていた言葉を思い出す。
“その者を明日、公開処刑に。”
 成る程、昨日の村人の。

 昨日、といえば…。
 昨日王女が、
“私達って、双子?”
と聞いてきたのを思い出す。
 僕は溜め息をひとつ、こぼす。
 王女は冗談のつもりで言ったらしいが、僕は気が気でなかった。
 僕と王が話していたのを聞いていたのかもしれない、と。

 王女にそう言われる一日前。
 僕と王はとある話をしていたのだ。

 僕は、馬車に揺られながら、王と話していた時のことを思い出していた。

第ニ章 ( No.8 )
日時: 2010/12/01 20:52
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 一昨日のことだ。

 僕が布団に入ろうとした時、突然部屋にノックの音が響いた。
 誰だよ、こんな遅くに、と心の中で僕は悪態を吐き、扉を開ける。

 そこには、この国の王。王女の父にあたる人がいた。
 リン様が、女王ではなく王女なのは、この方がまだ、王としての権利を握っているからである。
 王女はまだ若い。だから、表のことは王女に任せている。直に、女王となることだろう。
「こんな遅くにすまんね。」
「何か御用ですか?」
「ちょっと、話がある。」
 そう言うと、王は踵を返し、歩いて行き、ついてこい、と言う。
 僕は少し考えた後、王の後を追った。

 王は、王女の部屋へ行く時に通る道を迷うことなく歩いて行く。
 一体どこへいくのだろうか。
 そんな疑問を覚えつつ、僕は王の少し後ろを歩くのであった。



 とある扉の前で、王が足を止めた。
 そして王は躊躇することなく部屋に入る。
 僕もその後へと続くが、やはり緊張する。
 それはこの部屋が、王女の部屋の隣の普段入ることのできない部屋…王の部屋だからである。

 僕が部屋に入った後、王は扉の鍵を閉める。
 僕がその行為を不思議そうに見ていたのを気付いたのか、
「人に聞かれたくない話なのでね。」
と言って王は笑った。

 王は部屋の真ん中にある向かい合わせになった長椅子に座る。
 そして入口で立ち止まっている僕に座りなさい、という。
 僕はゆっくり歩いて行き、王の正面の長椅子に座る。

 座っても話し出さない王に僕は痺れを切らし、
「話とは、なんでしょうか。」
と言った。

第ニ章 ( No.9 )
日時: 2010/12/01 20:58
名前: 双海  (ID: BdM.OEZp)

 王は下を向いていた顔を上げ、僕の瞳を見つめる。
 その間も僕は、目を逸らさず話し出すのを待つ。
「…ひとつ、質問をしていいか?」
「はい。」
 王は目を伏せ、言う。
「レンは、王女と自分が似ている、と思ったことはないか?」

「…え。」

 それは予想もしていなかった質問で、言葉に詰まってしまう。
 だが、答えは決まっている。
「あります。」
 ない訳がなかった。
 僕と王女の顔は、瓜二つであるのだ。
 僕の束ねている髪をほどいたら、王女と間違えられてしまうくらいに。
「だよな…。」
 そう、溜め息混じりに言う王。
 どうしてそんなことを訊くのか。そんな疑問が頭を支配する。

「あのな、レン。」
 そう言った王の顔はいつもに増して真面目であった。
「はい。」
 王はこれから何を話すのか。
 そんな、期待とも不安ともつかない感情が自分の中を渦巻く。

「お前たちは…、」
 主はそこで一回言葉を止める。言おうか言わまいか迷っている様子だった。
 だが、僕の表情を見て、王は深呼吸をし、言葉を続ける。
「お前たちは、…双子なんだ。」


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