二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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悪ノ娘ノ召使
日時: 2011/03/17 18:07
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

初めまして、双海です!

これは、悪ノP様の「悪ノ娘」と「悪ノ召使」を、私が自分なりに小説化したものです。
私の勝手な解釈に基づき小説化した為、あなたの解釈とは違う所があると思います。
ご自身の解釈を壊したくない方はご遠慮下さい。

また、私はプロなどではない為、非常に読みにくい文章になってしまうと思います。
それが嫌という方もご遠慮下さい。

あと、誤字などもあると思います;
見つけたら、ご報告して頂けると嬉しいです!

はい、こんな拙い文章を読んでくださり、ありがとうございました!
それでは無駄に長い本編となります、どうぞ!

目次らしきもの

序章
>>1

第一章
>>2, >>3, >>4, >>5, >>6,

第ニ章
>>7, >>8, >>9, >>13, >>14, >>15,
>>16, >>17, >>18, >>19, >>20, >>21,

第三章
>>22, >>23, >>24, >>25, >>26,
>>27, >>28, >>29, >>30, >>31,

第四章
>>32, >>35, >>36, >>41, >>45, >>46,

第五章
>>49, >>52, >>57, >>58, >>59,

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第ニ章 ( No.20 )
日時: 2010/12/11 20:42
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 彼女は僕がパンを受け取ったのを確認し、
「じゃあ、玄関まで送るわ。」
と言った。
 急いでるのにごめん、と僕が言うと
「こちらこそ、ごめんね。」
と、彼女はさも申し訳なさそうな顔をし、そう言った。

「じゃあ、また今度。」
「ええ。」
 僕違はそんな事務的な会話を済ませ、歩き出す。
 また今度、なんて言っても、もう会う機会はないだろうな。
 そんなことを思いながら後ろを振り返ると、彼女が手を振っていた。
 そんな彼女を名残惜しげに見つめ、手を振り返す。
 彼女のものだと思われる一軒家は、とても綺麗だった。


 彼女の家からそう離れていない公園に、青い髪を持った青年がいたのが見えた。
 その青い髪の彼は、とても整った顔立ちをしていた。それと同時に、どこか見たことのある顔立ちであった。
 誰か待っているのかな、なんてことを思いつつ、僕はその公園を通り過ぎようとした時、
「カイト〜!」
という、透き通った声が聞こえた。

 その声は、さっきまで僕が話していた人物の声と酷似していた。

 ーまさか、そんなはずはない。

 そんなことを思いつつ僕は声のする方を見た。
 その声の持ち主はやはり、さっきまで話していた“彼女”だった。
 彼女はさっきの青年の所まで走って行き、何かを話し始め、笑い合う。
 その仲睦まじい姿を見て僕は、
             胸が痛んだ。

 僕は、その場から離れたい一心で走りだす。
 別に、彼女が誰と仲良くしようがそれは彼女の勝手なのだが。
 けれど、離れずにはいられなかった。
 だって、あの青い髪の青年は、王女の想い人、そして王女の婚約者…だったから。

第二章 ( No.21 )
日時: 2010/12/11 22:00
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)




 程なくして馬車の止まっている場所へ戻って来る。
 あの場から離れたい一心で、ただ、ただ走っていたから、どうやってこの場所に辿り着いたか覚えていない。
 馬車の後ろにある座席に僕は座る。
 座って初めて僕は呼吸が荒くなっていることから全力で走っていたことに気が付く。
 僕は肩で息をしながら御者に、行っていい、と言った。



 僕は流れゆく景色を眺めながら、別のことを考える。
 あの二人の仲睦まじい姿を見る前までの、舞い上がった気分が嘘みたいに、今は落ち込んでいた。 

 さっきの二人の姿が頭から離れない。
 その姿を思い出す度、気持ちが落ち着かなくなる。
 これは、きっと…嫉妬だ。
 そして彼女に、他の者と話してほしくないという独占欲。
 僕はこんなにも欲が深い奴だったのか。

 僕は深い溜め息を吐き、その考えを振り払う。
 あの二人の姿を、振り払う。
 そして浮かんでくるカイトへの疑問。

 どうしてあの男が緑ノ国にいたのだろうか。
 どうして彼女と仲良さげに話していたのだろうか。

 彼女とは、どんな関係なのだろうか。

 考え出したら止まらない疑問。
 答えは、僕にはわからない。
 だから、二人は友達、ということにしておく。
 その方が自然だし、…そうであって欲しいと思う。
 あのカイトが浮気なんて有り得ない、そう自分に言い聞かせて考えを止める。

 ただひたすら、無心で流れゆく景色を眺め続けた。



 この後、王女があんなことを言い出すなんて、この時の僕には知る由もなかった。

第三章 ( No.22 )
日時: 2010/12/12 16:23
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)


 僕の足の上に何かが落ちて、僕は我に返る。
 それは、紙袋から転がり落ちたであろう、林檎だった。
 林檎を拾い、紙袋の上に乗せる。すると、目に入ってきたのは、同じく紙袋の上に乗せておいた一つのパン。
 それを見た瞬間、腹の虫が鳴き、さっきから何も食べていなかったのに気付く。

 紙袋の上のパンを手に撮り、頬張る。
 少し硬めのそれは、喉に引っかかり飲み込みにくい。
 それに不快感を覚えつつも、そのパンを頬張り続ける。
 やはり、お腹が空いているのには勝てないし、なにより、彼女にもらったものだから。
 彼女のことを思い出したら、あの二人の姿が浮かんだしたが、その姿を彼女の笑顔で塗り替える。

 ごく、と最後の一欠片を飲む。
 そして、流れゆく景色を眺めようとしたのだが…。

「あれ…?」

 そう呟き、辺りを見回す。
 そこには、見慣れた王宮があった。
 ふと、御者と目が合う。そして、着きましたよ、と言う。
 その様子からして、今着いた所なのだろう。
 僕は礼を言い、紙袋を持ち王宮へと入って行った。

 僕は、真っ先に食料庫へと向かう。
 鍵を開け、食料庫へ入ると、
「……。」
思わず溜め息がでる程、沢山の食料がそこにあった。
 なんだよ、沢山あるじゃないか…。そんな悪態を心の中で吐きながら、食料を置く。
 そして食料庫に鍵を掛け、王女の部屋に薔薇の花を届けに行くのだった。

 王女の部屋へ行く途中、教会の金が鳴ったのが聞こえた。
 早く行かなくちゃな、と思い小走りで王女の部屋へと向かう。

 そして王女の部屋の、一歩前のところで、
「私の言うことが聞けないの?」
という、王女の明らかに怒りを含んだ声が聞こえ、ノックもせず扉を開けた。

第三章 ( No.23 )
日時: 2010/12/12 17:47
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 そこには、窓際にある椅子に座り憤怒の表情を浮かべる王女と、狼狽した大臣が話をしていた。
 王女の横には、困惑した顔のテトがいる。
 窓際のテーブルには、食べかけのお菓子が置いてある。

 僕に気付いたテトは此方に駆け寄ってくる。
 一方王女は、僕には気付かず、大臣と話し続けている。

「テト、何があったの?」
 いい機会だ、と思い、小声で問い掛ける。
「えっ…と、り、リン様がお菓子を食べている途中、その…っ、大臣が来て、」
 焦ったように話す彼女に、
「落ち着いて。」
と声をかける。
「う、うん…。それで、大臣が、カイト王子がリン様との婚約を破棄した、って。」
「え…?」
「それで、緑ノ国の女と婚約する、って言い出したらしくって。それで…」
「ちょっと、待って…。」

 そう言い、さまざまな思考を巡らせる。
 ちょっと待てよ、なんだそれは…。
 カイトが婚約破棄…?緑ノ国の女と婚約…?
 その言葉に、あの二人の姿を思い出す。
 あの仲睦まじい、カイトと彼女…、ミクの姿。

 僕の手から落ちる薔薇の花の入った紙袋。
 僕はそんなのを気にせずに問う。
「その、女って、誰…?!」
 今度は僕が焦る番だった。
 気に入らない者は全て処刑しろと言うような王女のことだ。
 その女性のことを、自分の想い人を奪った憎い奴と認識し、そして…、
「それが、わからないのよ…。」
その思考はテトのその言葉によって遮られる。
 わからない、そう聞いて安堵した僕だったが、その次にテトが言い放った言葉に絶望を感じざるを得なかった。

「それで王女が、わからないなら、緑ノ国を滅ぼしてしまえ、って…!」

第三章 ( No.24 )
日時: 2010/12/16 15:40
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

「じゃあ、緑の髪の女だけでもいいわ!」
 王女のそんな言葉が聞こえたと思ったら
「…わかりました。明日、兵士を緑ノ国に向かわせます。」
大臣は確かにそう言った。
 僕が一番聞きたくなかった言葉を、言った。
「そうしてちょうだい。」
 そして王女は満足げな声を出す。

 僕とテトは顔を見合わせる。
 テトの顔は青ざめていた。きっと僕も同じ風になっているだろう。
 僕達の横をすり抜け大臣は出て行く。
 ぱたん、という扉の閉まる音だけが虚しく響く。
 テトと僕は顔を見合わせたまま動かない。

「…あら、レン!薔薇の花は?」
 少しして王女はやっと僕に気付いたらしく、先程とは打って変わって機嫌の良い声でそう言った。
「…あ、はい。」
 僕は落としたままになっていた薔薇の花を棘に気をつけながら取り出す。
 そして花を花瓶に入れ王女のもとへ持って行く。

「それ、この机に置いてちょうだい。」
「あ、はい。」
 僕はお菓子の置いてある机の上にそっと乗せる。
 その薔薇の花は、王女のきらびやかな部屋にとても合っていた。
 すると王女は薔薇の花をうっとり、とした様子で眺め始める。
 そういった姿を見ると、やはり王女が冷酷だ、なんて嘘であるように思える。

「あの、リン様、お菓子は…。」
 なかなかお菓子を食べようとしない王女にテトが控えめにそう聞いた。
「ああ、持って行って構わないわ。」
「え…。」
 その言葉を聞きテトは驚いた顔をする。
 それは僕だって同じだ。お菓子が好きで残したことのない王女が、そう言ったのだから。
 戸惑いながらも、テトはお菓子の残った皿を持ち、出て行く。
「失礼しました…。」
 そう言いテトは出て行き、二人だけの空間になる。けれど王女は薔薇の花から目を離さない。


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