二次創作小説(紙ほか)※倉庫ログ

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悪ノ娘ノ召使
日時: 2011/03/17 18:07
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

初めまして、双海です!

これは、悪ノP様の「悪ノ娘」と「悪ノ召使」を、私が自分なりに小説化したものです。
私の勝手な解釈に基づき小説化した為、あなたの解釈とは違う所があると思います。
ご自身の解釈を壊したくない方はご遠慮下さい。

また、私はプロなどではない為、非常に読みにくい文章になってしまうと思います。
それが嫌という方もご遠慮下さい。

あと、誤字などもあると思います;
見つけたら、ご報告して頂けると嬉しいです!

はい、こんな拙い文章を読んでくださり、ありがとうございました!
それでは無駄に長い本編となります、どうぞ!

目次らしきもの

序章
>>1

第一章
>>2, >>3, >>4, >>5, >>6,

第ニ章
>>7, >>8, >>9, >>13, >>14, >>15,
>>16, >>17, >>18, >>19, >>20, >>21,

第三章
>>22, >>23, >>24, >>25, >>26,
>>27, >>28, >>29, >>30, >>31,

第四章
>>32, >>35, >>36, >>41, >>45, >>46,

第五章
>>49, >>52, >>57, >>58, >>59,

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第ニ章 ( No.15 )
日時: 2010/12/02 17:33
名前: 双海  (ID: BdM.OEZp)


 それにしても、この国は面白い。どこを見ても、緑なのだ。
 そんなことを思いながら街を歩く。

 ああ、そういえば。
 ポケットから王女に貰った紙を取り出す。
 王女に頼まれてこの国に来たんだった。つい、観光の感覚で歩いていた。

「…お。」
 品揃えの良さそうな店を見つけ、入っていった。

「よし、戻るか。」
 全ての買い物が終わり僕はそう呟く。

 それにしても、多い。頼まれた物が多すぎて、前が見えない。
 林檎は、紙袋からはみ出していて、気を付けないと落ちてしまいそうだ。
 僕はふらふらと来た道を戻る。

「あ。」
 そう呟いたと同時に林檎が転がり落ちる。
 紙袋で両手が塞がり使えない為、林檎が拾えない。
 誰か拾ってくれないかと、辺りを見回す。

 だが誰も拾ってはくれず。
 仕方ないから自分で拾うか、と腰をかがめる。
 すると、目の前の林檎を誰かが拾ってくれる。
 タイミングが悪いな、なんてことを思いつつ、顔を上げ礼を言おうとする。
 そこには、
「はい、どうぞ。」
優しい声で笑う、綺麗な緑の髪を持つ少女がいた。

第ニ章 ( No.16 )
日時: 2010/12/02 22:19
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 胸が高鳴り、顔が熱くなるのを感じた。
 礼を言おうとするが、緊張で声がかすれる。
 彼女は林檎を紙袋の上に乗せる。
「どっ、どうも。」
 やっと出た、その裏返った声に、彼女はにこりと笑う。
 その笑顔に、一際胸が高鳴る。

「あら、怪我しているじゃない。」
 彼女は、そう言い僕の手を見つめる。
 僕には紙袋が邪魔で見えないが、さっきから手が微かに痛むのを感じていた。
「手当てしてあげるわ、ついてきて。」
「あ、はい。」
 彼女の有無を言わさないその態度に、僕はそう答えていた。

 しばらくし、彼女は家の前で立ち止まった。
 そして扉を開け、目線だけで入るように促してくる。
「おじゃまします…。」
 そう言い、彼女のと思われる家の中に入る。
 流れで来てしまったが、本当に来てよかったのだろうか。まだ会って間もない人の家に。

「ささ、入って。」
と、彼女は僕の背中を押し、半ば無理矢理リビングへと連れ込まれる。

「荷物、そこのテーブルに置いて、座って。」
「あ、はい。」
 言われるがままに動く僕。そんな僕の前に彼女は屈む。
 そして、僕の手を取り、アロエを傷口に塗り包帯を巻いてくれる。
「ありがとうございます。」
「ええ。あと、薔薇には、棘があるから気を付けてね。」
 彼女はそう言い、笑う。
 へぇ、薔薇には棘があるのか、これから気を付けよう。
 そんなことを思いつつ、僕は彼女の笑顔に見惚れていた。

 用が終わったので帰ろう、そう思い
「じゃあ、失礼しました。」
と言った。だが
「あ、待って。」
と、呼び止められる。あれ、なんか既視感。
「なんでしょうか?」
「こうして会ったのも、何かの縁。少し話しましょう?」
 「強引」。そんな言葉が僕の頭の中に浮かんでは消えた。

第ニ章 ( No.17 )
日時: 2010/12/03 17:53
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 僕は椅子に座りなおし、
「そうですね。」
と言って微笑んだ。すると彼女も微笑んでくれる。

「ちょっと待ってて。お茶を淹れてくるわ。」
 そう言いリビングから出て行く彼女を目で追う。
 歩く度に揺れる彼女の二つに分けて結んだ美しい髪に、目を奪われる。
 町を歩いている時、いろいろな人を見たが、ここまで綺麗な髪の人はいなかった。

 ぱたん、と扉が閉まる。
 一瞬御者の顔が浮かんだが、少しくらいならいいだろう。そう思いその顔をかき消した。

 しばらくして彼女が帰ってくる。
 そしてふわ、と漂う紅茶の香り。
 コト、と音をたて紅茶を目の前の机に置き、向かいの椅子に彼女が座る。
 そして彼女は何かを思い出したかのように、あ、と声を出し
「そういえば、名前は?」
と言う。
 ああ、名前。
 そういえば、お互い名前を知らない。
「レン、といいます。」
「レン…。素敵な名前ね。私はミクよ。」
 「ミク」。彼女に似合う、いい名前だ。純粋にそう思った。

「あと、レン?」
「はい、なんでしょう?」
「私の前では敬語じゃなくていいわ。」
 彼女にそう言われ、気付く。その“敬語”は、僕の癖になっていることを。
 王女などと話す時は大体敬語な為、それが当たり前になってしまっていた。

「ですが…。」
 だが、彼女は明らかに年上。敬語を使わない訳にもいかない。

第ニ章 ( No.18 )
日時: 2010/12/04 22:18
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

「年上だろうから、敬語を使わないわけにもいかない?」
 僕の心を見透かしたかのようにくす、と笑い彼女はそう言う。
「…はい。」
「じゃあ、同い年って思ってくれればいいわよ!」
 …いや、どう見ても貴方はニ、三歳くらい年上です。
 心の中でそう突っ込みつつ、粘る彼女に僕はわかりました、と返事をするのだった。

「そういえばレンって、どこの国の人なの?」
 彼女は唐突にそう聞いてくる。さも不思議だという感じの表情で。
 …今更かい。もう話し始めて20分程度は経っているのに。
 どうもミクは天然っぽいなぁ、なんてことを考えつつ
「黄ノ国だよ。」
と返す。
 それにしても慣れないな、敬語じゃないのって。
「そうよね、金髪だものね。」
「でも金髪だからといって黄ノ国出身だ、ってことでもないよ。」
「へぇ、そうなの。あ、緑ノ国もみんな緑の髪ってわけじゃないのよ?」
 へぇ、そうなのか。
 さっき見た人達は皆、緑の髪だったから、皆そうなのかと。

「ねぇ、レンって召使さん?」
 またも唐突に、そう聞いてくる。
「そうだよ、よくわかったね。」
「んー、あんなに一気に食料買うのはそういう人だけかな、って思って。」
「ああね。」
「誰に仕えているの?」
「王女だよ。黄ノ国の、王女。」
「王女?!すご〜い!」
 そう言って、無邪気に笑う彼女を見て胸が高鳴る。
 ちょっと気恥ずかしくなり、目の前の紅茶に手を伸ばす。
 温くなったそれは、時間の経過を感じさせられる。

 彼女と話しているのは他愛のない話ばかりなのだが…嬉しい。
 さっきから、彼女と話せて嬉しいだとか、もっと知りたい、だとか考えている僕。
 それはどうしてか。そんなの、考えなくてもわかることだ。

 僕は、彼女が、…ミクが好きなんだ。

第ニ章 ( No.19 )
日時: 2010/12/05 13:10
名前: 双海 (ID: BdM.OEZp)

 そんな女々しいことを考えていたら突然
「あ、そうだったわ!」
そう言い、彼女は立ち上がった。
 内心驚きつつも、どうしたの、と冷静に尋ねる。
 一方彼女は焦りながら、
「ごめん、レン!私、行かなきゃいけないところがあるの!」
と言う。

 彼女は時計をちら、と見て、もうこんな時間!と独り言を言う。
 時計は、もうすぐで昼時になるところだった。
 慌ただしく、リビングから出て行く彼女を目で追いつつ、現状を整理する。

 僕は重い紙袋を抱え、立ち上がる。
 彼女はまたリビングに戻って来て、早口で捲し立てる。
「ごめんね、長話しちゃって。私行かなきゃいけないところがあるの。あ、そうだ。お腹空いたでしょう?」
「あ、いえ…」
「これ、パン!食べて!」
 僕の言葉を聞く余裕すらないのか、返事すら聞かずに言う。

 いらない、そう言おうとしたが、さっきの買い物で食料を買える程のお金はなくなってしまった為、
「ありがとうございます。」
と言って受け取りに彼女のもとへ向かう。
 断ったって無理にでもパンを受け取らせようとするだろうから、彼女の好意に甘えることにする。
「…。」
 僕が受け取りにいったと言うのに、彼女は渡してくれない。
「あの…?」
 僕が狼狽しているのが見て取れたのか、彼女は自分の口元を指差す。
 そして、口を動かす。
 け、い、ご。彼女は口パクでそう言った。
 そこはしっかりしているんだなぁ、なんてことを思いつつ、僕はありがとう、と言い直した。


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